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翻訳記事その他
ゼンディカー:変化した物事
2020年9月1日
再びゼンディカー次元へ皆さんをご案内できることを、とても光栄に思います。ずいぶんと久しぶりになりますが、最近では外宇宙からの名状しがたい怪物による侵略を乗り越えています。『戦乱のゼンディカー』での出来事からいくつかの非常に大きな変化があり、今回はその中でも最大のものをご紹介します。この次元を初めて訪問するという方は、もしくは単に復習をしたい方も、ここから「プレインズウォーカーのためのゼンディカー案内」を参照してください。(今回の記事を楽しむために必須のものというわけではありませんが、楽しい裏話がたくさんありますよ。)(訳注:英語のみ)
その変化について取り上げる前に、変わらずにいる最大のものについてお話しましょう。
乱動
《乱動への突入》 アート:Campbell White |
ゼンディカーの地形は暴力的かつ不規則な変化に苛まれています。大地そのものがまるで生きているようで、地表と植生は時に苦痛を感じているかのように揺れ動き、地殻変動や異常気象、前触れのない崩壊をもたらします。地質的な激動は時に世界規模に及び、その後には何ひとつ不変ではいられません。この荒々しい現象を「乱動」と総称します。
乱動は常に自然現象のように、恐らくはこの次元の独特なマナ、面晶体、もしくは次元そのものの荒々しい環境に結び付いた際立った特徴のように見えます。この性質のためにゼンディカーは危険で手に負えない世界となっており、大都市や高度に発達した商業、その他十分に発達した文明社会にあるものが存在しない――プレインズウォーカーたちはそう認識しています。エルドラージが暴れていた間に乱動が激化したことで、この現象はゼンディカー次元が腐食から自らを浄化するための動きなのだと判明しました。感染から回復した後も続く炎症のように、乱動はエルドラージが倒された後も活発なままで、ゼンディカーの荒野へ挑む冒険家たちにとっては今なお最大の脅威のひとつです。
地表で乱動が続く中、上空には何やら奇妙なものが生じました。巨大な遺跡が空に浮遊し、その中には罠と宝物が満ちています。探検協会からはスカイクレイブと呼ばれるその空中要塞には、古い歴史があります。
古代のコーが築いたスカイクレイブ
《スカイクレイブの列柱》 アート:Johannes Voss |
遠い昔、エルドラージが到来する遥か以前、コーは帝国を築いていました。もともとは、平和と調和のうちに世界が結ばれている様を目にしたいという欲求に突き動かされたものでしたが、この帝国は急速に権威主義的国家へと成長し、そこでコーたちは彼ら自身が理想とする法と機構を、それらを望まない他大陸の人々に課しました。この負担によって被支配者の間に反抗勢力が生まれ、支配に対する抵抗が増大する中、彼らは抑圧と圧制を更に増していったのです。
この帝国と名を同じくする大首都マキンディはオンドゥにありました(現在はマキンディ溝と呼ばれている地域です)。ですが帝国の世界支配を維持するために、コーの石鍛冶たちは七つのスカイクレイブを建造しました――軍事的基地であり、政治的本局でもある小都市が各大陸の空に浮遊していました。各スカイクレイブは小型の太陽のような中央のエネルギー源を取り巻くように建造され、何十基もの浮遊プラットフォームが防御のために固く密集して中空状態を成すように設計されていました。
スカイクレイブの凋落
《砕け散ったスカイクレイブ、エメリア》 アート:Matt Stewart |
世界がコーの圧政的な支配に何世紀と耐える中、帝国の鉄の支配にも陰りが見えはじめました。一世紀ほどをかけ、ひとつまたひとつとスカイクレイブは崩壊していったのです。
- 乱動がグール・ドラズの前哨地を飲み込み、沼へと沈めました。
- 精霊となる以前のオブーンに率いられたバーラ・ゲドのエルフたちはコーの支配者に反逆し、彼らのスカイクレイブを落としました。
- ある巨大な海の怪物が――「潮汐を作るもの」ロートスの祖先、もしくはロートス自身か――ムラーサのスカイクレイブを海へと引きずり込みました。
- そして内戦が帝国を二分し、オンドゥのスカイクレイブが首都マキンディに反旗を翻しました。その都市は破壊され(そしてその地は深い溝と化しました)、スカイクレイブもまたジュワー島へと落下しました。
- 帝国が崩壊する中、カルガの各部族がアクームのドラゴンを支配してコーを打ち負かそうと乗り込み、アクームのスカイクレイブを砕きました。
- 大天使イオナがタジームのスカイクレイブを破壊し、それは空の遺跡エメリアとなりました。
- 最後のスカイクレイブはセジーリにありました。ソリン、ナヒリ、ウギンがエルドラージをゼンディカーに幽閉しようと誘い込んだ際、エルドラージの巨人の一体がセジーリに現れ、スカイクレイブを触手の一振りで破壊しました。砕けた球は極地の氷に包まれました。
スカイクレイブの覚醒
《スカイクレイブの宝物》 アート:YW Tang |
エルドラージと戦うために天使イオナがエメリアから降りた際、空の遺跡は無防備となりました。エルドラージ打倒をきっかけに、とある冒険家の遠征隊がその遺跡を登り、かつてマーフォークが自分たちの女神の居城だと主張したそれは、スカイクレイブの残骸であると発見したのでした。そして探索の中で、彼らは古のスカイクレイブの魔法的防御を誘発し――そして他の六つも目覚めさせました。
破壊と荒廃の状態は様々ですが、七つのスカイクレイブすべてが空に戻り、開かれています。全ての大陸で人々は空を見上げ、巨大な遺跡の破片が雲間をゆっくりと漂流する様を目撃しました。
空中の破片は各スカイクレイブ独特の性質を引き継いでいます。壊れて散らばったアクームのスカイクレイブの破片は比類なき空の迷宮であり、その大陸のさまざまな怪物が住まい、少なくともひとつはドラゴンの巣となっています。ムラーサの閉ざされたスカイクレイブの一部は海面下にあったことから浸水していますが、他の部分はごく最近外気へとさらされました――ですがムラーサの自由奔放な植生は、速やかに遺跡のすべてを深い緑で覆いつつあります。
スカイクレイブの発見はゼンディカーの冒険家協会の間に興奮の大騒ぎをもたらしました。エメリアへと最初に侵入した冒険家らは古の石鍛冶による強力な魔法の武器を持ち帰り、彼らは新たな海門探検協会の中心となりました。ですが世界中の冒険家たちが何としても新たな空の遺跡を探検し、自分たちの宝を手に入れたいと願っています。
スカイクレイブの生物
《スカイクレイブの影猫》 アート:Simon Dominic |
落下したスカイクレイブの多くからは無事に避難がされましたが、住民が存在しないというわけではありません。それらには昆虫や害虫、実験体すらも棲んでいます。何世紀もの時を経てそういった生物は生き延び、進化し、スカイクレイブの魔法的エネルギーを餌としています――そして互いをも。
おそらくはこの魔法によって、こういったクリーチャーの多くはスカイクレイブ内の緻密な彫刻を模した模様を身にまとっています。遺跡内に自然光は入り込まないため、ありふれた適応としては暗闇での視覚、もしくは多くの場合、視覚を全く持たないというものです。こういったクリーチャーの他の感覚は増幅されており、多くが嗅覚や聴覚のみによって狩りを可能にしています。
以上のように、ゼンディカーの上空ではただならぬ事が起こっています。では地上はどうでしょうか。
海門の再建
《再誕の海門》 アート:Adam Paquette |
エルドラージとの戦いの中、輝かしい海門の都市は完全に消失しました。ゼンディカーの商業と文化の最大の中心として、素早く効果的な再建計画が必要とされました。ですが不幸にも、海門再建計画は多すぎました。五つの探検協会それぞれが素晴らしい新都市計画を提出しました――偶然にも、自分たちの協会が最も贔屓されているという計画です。協会間の争いに辟易し、タズリ司令官が(新たに昇進しました。ありがたくもギデオンが去ったためでなく、タズリ自身が喜んで言うように戦場での活躍によるものです)自らの計画を起草しました。
《タズリ将軍》 アート:Chris Rahn |
驚いたことに、タズリは軍事的指導者としてだけでなく都市の設計者としても優秀でした。彼女の提案は協会が提出したものを明らかに上回っており、すぐに住民の大半の支持を得ました。とはいえ資金の方は協会が持っており、それらの大多数を味方につける必要がありました。タズリは上からの助力を必要としているように思われました。
《保護者、リンヴァーラ》 アート:Magali Villeneuve |
そして文字通り上からの助力を彼女は受け取りました。他の天使の怠惰に嫌気がさしたリンヴァーラは海門へと飛び、奉仕を申し出ました。彼女は直ちにタズリの提案を支援し、天使の言葉は最もけちな協会ですら揺り動かしました。
一年と経たずして、海門の都市は修復されました。タズリの計画は成功を収め、リンヴァーラの援助は(同じほどに、天使の存在そのものが)人々が求める最大のモチベーションとなりました。海門はスカイクレイブ探検の中心として再び堂々と立っています。この街はその女性二人に多大な恩を受けています――光輪を持つ唯一の人間と、それを持たない唯一の天使に。
海門探検協会
《スカイクレイブの兵団長》 アート:Ekaterina Burmak |
エルドラージによる崩壊以前、五つの探検協会は荒野への定期的な出発点として海門を利用していました。それぞれの最初の目的地にちなみ、それらはヴァラクート協会、ペラッカ財団、そしてアクーム、ムラーサ、バーラ・ゲド探検協会と名付けられています。それぞれがさまざまな居住地に宿泊所を所持しており、案内人を雇いたい、物資を補充したい冒険家や探検家のためのリソースとなっています。
スカイクレイブの上昇以来、人々の目は新たな協会、海門探検協会へと移っています。この協会は最高の、最も目覚ましく、最もしぶといゼンディカーの冒険家たちから成り、古のスカイクレイブの発見と探検において重要な役割を果たしています。
それはケセンヤというコーの女性によって設立されました、タジームのスカイクレイブへの初の探検を率いた人物です。それまでその場所は空の遺跡エメリアとして知られており、天使イオナがエルドラージと戦うために守りを放棄していました。危険極まりない遺跡の奥深くで、ケセンヤは首輪に似たネックレスを発見しました。それには柔らかく発光する赤い宝石がはめ込まれていました。彼女の隊がスカイクレイブを離れる際、命を落としかねない爆発事故に遭ったことで、ケセンヤはそのネックレスが装着者へと炎からの驚異的な守りを与えることを発見しました――同時に、炎そのものをある程度操れることも。彼女はそれをドラゴンの襟飾りと称しました。その手柄の噂はたちまち広まり、後援者の目にとまり、すぐにケセンヤ自身の探検協会を立ち上げるに至りました。
実質的には誰も知りませんが、その後援者とはナヒリなのです。
《古代を継ぐ者、ナヒリ》 アート:Anna Steinbauer |
以前から存在する協会のような歴史的名声はなくとも、海門の協会は探検ビジネスにおける主要勢力の地位をすぐに確立しました。ドラゴンの襟飾りはそれだけでもよろめくほどの富と名声をもたらしました。今や、冒険家が至る所から訪れては、海門主導の探検に加わりたいと群がっています。そんな買い手市場のため、ケセンヤは引き受ける相手をえり好みし放題です。従って、設立されて短いながら、海門はゼンディカー全土でも最も熟練かつ大胆な冒険家の多くを雇っています。自然と彼らの探検の成功率は高くなり、さらなる資源をもたらし、それはさらに力ある冒険家を引き寄せる――成功が成功を生み、そして海門協会は更に力をつけています。
さらなるスカイクレイブが発見されると、すべての探検協会は一番乗りを目指して冒険家の部隊を送り込みます――そして海門協会はとても手強い競争相手なのです。
ゼンディカーの他の場所は、そこまで再建に成功していません。
最後の血の長
《マラキールの解放者、ドラーナ》 アート:Mike Bierek |
ゼンディカー次元の吸血鬼は何世紀もの昔、エルドラージを源とする魔法的な感染によって創造され、ウラモグの意思に隷属させられました。そのエルドラージが封じられると、吸血鬼たちはグール・ドラズの大陸を中心としてゆっくりと文明を築きました。古の主人の記憶は断片的な伝説へ、自分たちは抑圧と隷属の生存者であるというかすかな意識へと消えていきました。
エルドラージの巨人が覚醒すると、すべての吸血鬼社会は混乱へと投じられました。精神的、破壊的エネルギーの標がバーラ・ゲドの中心、巨人ウラモグの凄まじい存在へと吸血鬼を呼びました。ですが抑圧的隷属の遠い記憶に突き動かされ、多くの吸血鬼が異界の創造者の意思に抵抗しました。多数の犠牲を伴う激しい内戦が勃発し、エルドラージの下僕へと堕ちた吸血鬼たちは主人の支配に抵抗したほとんどの者を消し去りました。
ドラーナとカラストリア家はエルドラージに抵抗する吸血鬼の中枢となりました。初代吸血鬼の唯一の生き残りとして、最後の血の長として、ドラーナはエルドラージとの戦争による破壊からの再建において吸血鬼社会で疑うべくもない指導力を保持しています。吸血鬼社会を再建する窮余の策として、ドラーナは新たな血の長を創造する手段を見出そうとしています。血の長だけが新たな吸血鬼を作り出せるためです。
そして次は?
舞台は整いましたが、一体どのようなショーが繰り広げられるのでしょうか? ふふ、既にご存知かもしれませんが、『ゼンディカーの夜明け』ではとても多くのリクエストを頂いていた「Magic Story」ウェブ連載が帰ってきます! この先数週間に渡って、週に2本の記事を掲載する予定です――片方は『ゼンディカーの夜明け』メインストーリー、もう片方はこのセットの伝説のクリーチャーを取り上げるものです。それらの物語はこちらから読むことができます。それ以外の伝説については? そちらもカバーしますよ。カードが公開されたなら、このセットの(統率者デッキのものも)伝説のクリーチャー全員の物語の詳細についての記事を投稿します。かなりありますよ! どうか皆さんに楽しんでいただけますように。
(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)
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