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テフェリー:ビハインド・ザ・マジック
2020年6月12日
師。学徒。旅人。父親。時間の魔道士。プレインズウォーカー。トレイリアのアカデミーの生徒から始まり、ゲートウォッチの一員として世界の救い手となるまで、テフェリーは長く素敵な人生を送ってきました――それは1200年以上にわたります。私たちなりのちょっとした時間魔法を用いて、テフェリーの名高い歴史に関わる重要人物とのインタビューに成功しました。テフェリーはいかにして……テフェリーとなったのでしょうか? それを探っていきましょう。さあ、「ビハインド・ザ・マジック」です。
トレイリアのアカデミー
《トレイリアのアカデミー》 アート:Stephen Daniele |
テフェリーを才能ある子どもと表現するのは、カーンを有能な文鎮と言うようなものです。彼は魔法の才能にとても秀でていたため、かのトレイリアのアカデミーの最初の生徒の一人として選ばれました。プレインズウォーカー・ウルザと練達の魔術師バリンによって創設されたそのアカデミーは、来たるファイレクシアの脅威に立ち向かうための精鋭魔道士の世代を育成するための学府でした。彼らは力強く、規律正しい生徒を求めていました。そしてそれはテフェリーには当てはまりませんでした。
私たちはトレイリアのアカデミーの共同創設者、バリン氏に話を伺いました。
《練達の魔術師バリン》 アート:Michael Sutfin |
ビハインド・ザ・マジック(以下BTM):教授、お会いできて光栄に思います。
バリン:ありがとう。何をお話しすればいいのですかな? 今日は忙しいのでね。忙しいのは毎日だが。
BTM:貴方の生徒、テフェリーについていくつかお聞きしたいことがありまして。
バリン:私の「元」生徒のテフェリーか。
(バリン、やれやれというように額をこする)
バリン:宜しい。ご質問とは? ですが手短にお願いしたい。
BTM:テフェリーはどのような生徒だったのでしょうか?
バリン:賢い子供だ。少々いたずら者で。尊大だが、それを補って余りある明敏さを持つ。天才と言ってもいいだろう。あれほど正真正銘の才能を持つ者を見たことは……ああ、私がこんなことを言っていたのは秘密だ。とはいえいずれウルザをも上回るだろうな。あの子はここに来て一週間もしないうちに、職員の誰も見たことのない呪文を作り出したというのはご存知ですかな?
BTM:テフェリーが、ですか? 彼がそれほど輝ける才能の持ち主だというなら、なぜ「元」生徒なのですか?
バリン:新たな呪文を作り出すのと、その呪文を用いて何千というブヨの卵を教師の執務室に隠して、一度に孵化させるのは全く別だ。無論、これはひとつの魔法的新発見だったため、どう思ったかはともかくして彼のことは称賛せざるを得なかったのだが。とはいえつまるところ、伝統的な教育法が全員に適しているわけではないということだな。彼はここのどの教授よりも、自ら学ぶものなのだろう。
BTM:つまり、彼は退学になったのですか?
バリン:詳細には触れないが、後年、同様の……骨の折れる出来事をいくつか経て、テフェリーはアカデミーの研究生としてウルザの下に入り、独立した。彼が追放されたのか自ら辞めたのかは率直に言ってそちらには関係のないことであり、私としては最も悩ましくもお気に入りの生徒の幸運を祈るというだけだ。
BTM:お時間を割いていただき、ありがとうございました。
バリン:どういたしまして。時は金なり、だよ。
アカデミーを離れたとはいえ、テフェリーは多くを教わり(そして独学し)、強大な時間魔道士となりました。ジャムーラ大陸に位置する故郷ザルファーに帰還すると、彼はただちに宮廷お抱えの魔道士となりました。力と影響力が増すにつれ、彼はそれを用いて時間魔法とフェイジングに関係する危険な実験を進めました――やがてそのひとつが致命的な失敗に至ります。ですが起こったのは災害ではなく他のものでした。彼の内なる何かが活性化しました。灯が点りました。テフェリーはプレインズウォーカーとなったのです。
ミラージュ戦争
図:Ethan Fleischer |
テフェリーは自らの新たな力に大興奮しました。実験をさらに拡大し、ファイレクシアを打倒する方法を見つけるためにあらゆる手段を用いました。彼は宮廷魔道士の地位を辞し、真剣に研究に打ち込むためにとある孤島に隠遁しました。そこから本当の実験が始まりました。高まった魔法の力を用いて、テフェリーは発見に次ぐ発見をもたらし、時間魔法についての性質を幾つも解明しました。そしてある日、その島に住む彼とすべての生物は現実からフェイズ・アウトし、消え去ってしまったのです。
これはジャムーラの歴史において、最も長く凄惨な戦争のひとつを起こす出来事となりました。テフェリーの呪文が放った魔力に惹かれた者たちがいました――コロンドールのマンガラ、炎熱の島のケアヴェク、ムウォンヴーリーの密林のジョルレイル、いずれも強大な力を持つ三人です。それから何が起こったのかを、マンガラ氏に尋ねました。
《外交官、マンガラ》 アート:Howard Lyon |
BTM:お越しいただきありがとうございます、マンガラさん。
マンガラ:こちらこそ。茶などはいかがですかな?
BTM:あー、ここは我々のスタジオであり……む、彼は魔法で茶を出したぞ。私は結構だが……インタビュアーはいただくようだ。ジェフ、進めてくれ。なんと。貴方が外交官と呼ばれる理由がわかりました。
マンガラ:こちらがですか? 簡単なもてなしの呪文ですよ――お気になさらず。さて、何をお話しすれば良いでしょう?
BTM:テフェリーの島で、あの日に何が起こったのでしょう?
マンガラ:そうですね。私はちょうど今と同じように茶を楽しんでいました。そこで奇妙なものを感じたのです。何かとても巨大な呪文が呼んでいるように思えました。そのため私は杯を空けると、その感覚の源へ向かいました。そしてその島は、私が到着した時には、完全な更地となっていたのです。木も草もなく、小さな虫すらいませんでした。完全に荒廃しきっていました。同時に、もう二人の強大な魔道士がやって来ました。一人は「獣たちの女帝」ジョルレイル、密林にて自ら築いた宮廷に獣だけを従えて住んでいます。もう一人はケアヴェク、暗き野心とそれを支える手強い仲間をアーボーグに持っています。その状況に我々三人は困惑しました。誰もテフェリーに会ったことはなく、彼の実験については何も知らなかったのです。そこで我々はジャムーラ近辺に滞在し、この島をともに調査することに合意しました。それは非常に有益な協力関係となるはずでした。
BTM:ジャムーラは貴方に理想的な労働条件を提供しなかったということですね。
マンガラ:ええ、あれは大変でした。私はテフェリーの呪文を解明することに集中しましたが、そこであの戦争が起こったのです。私は道理にかなった行動として、ジャムーラの全国家に平和的解決を提案しました。
BTM:全国家ですか。
マンガラ:ひとつ残らずです。もちろん、ケアヴェクは拒否しました。あの卑劣な裏切り者はそれらの征服を計画しており、私の平和路線は不都合だったのです。彼はジョルレイルを言いくるめました――あの女性は密林にただ独りで暮らしているため、人の欺きに不慣れだったのです。私は調停者ではなく征服者であると騙し、そして二人は私を琥珀の牢に幽閉したのです。
《悪意に満ちた者、ケアヴェク》 アート:Daarken |
BTM:いま何と?
マンガラ:むしろ衝撃だったのは私自身の方でした。とはいえこれは私についての話であってテフェリーではありませんね。少し飛ばしましょう。戦争はしばしの間続き、そして……「ぱっ!」と、テフェリーとその島のすべての生物が、まるで何事もなかったのかのように現れたのです。私はまだ琥珀の中にいましたが、騙されていたと気づいたジョルレイルは戻ってきたテフェリーのもとへと赴き、助力を願いました。
《ムウォンヴーリーの世捨て人、ジョルレイル》 アート:Izzy |
マンガラ:テフェリーは実験の失敗から慎重になっており、実験を放り出してしまってはさらなる厄介事が起こるかもしれないと不安でした。彼は島に留まり、直接の介入はできませんでした。ではどうしたか? ジャムーラ各国の指導者たちへと幻視を送り、戦争の終結へと導いたのです。私に言わせれば真に天才的な動きです。何と横柄な戦術! 指導者たちは彼の教えに従い、私は解放され、その琥珀に私はケアヴェクを捕らえました。言わせてもらえば美味な皮肉のひとつですね。そして戦争は終結したのです。
BTM:その後テフェリーとは一緒に過ごされましたか? 彼はどのような人物か教えていただけますか?
マンガラ:戦争が終わると、一度だけ会ってしばし話をしました。テフェリーは巧みなユーモアで応対し、それが彼の性質なのだと理解しました。ですが、彼はゆっくりと慣れていく途中なのですね。偉大な存在とは何か、ということにです。神にも等しい力が自らに与えられるなどと予想できる者は滅多におりません。それを善く扱える者とあればさらにわずかです。彼はやがて自らの力を使いこなすようになり、世界をよりよく変えていくのだろうと私は考えます。
BTM:貴重なお話をありがとうございました。
マンガラ:いつでも呼んでください。
そのように時は容赦なく進み、ドミナリア最大の恐怖が現実となりました――ファイレクシアは侵略を準備していたのです。プレインズウォーカー・ウルザは長いこと、この時に備えてきました。そしてテフェリーもひとつの役割を果たします。彼自身からそれを聞きましょう。
《テフェリーの後見》 アート:Ilse Gort |
テフェリー:私の……何もかもを知りたいと? それはそれは。喜んで……ん? もう始まっているのかい?
(テフェリー、咳払いをする)
テフェリー:私はテフェリー、史上最高の魔道士だ……なんてね。確かに私はテフェリーだが、もはやそのテフェリーではない。言わんとしていることはわかるかい?
BTM:年齢とともにずいぶんと落ち着かれたようですね。
(テフェリー、笑う)
テフェリー:いかにも。1200年の間に、わずかながら謙虚さというものを学んだよ。
BTM:1200年もすれば人は変わりますね。
テフェリー:その通りだ。
BTM:遠い昔の出来事についてお話をしたいのです。貴方が、言葉はあれですが、大いに自信に満ち溢れていた頃です。
テフェリー:何が起こるかわかっていたからね。では、どの出来事かな?
BTM:ファイレクシアの侵略です。
テフェリー:うーん、あの侵略か。誇れるものではないが、私以外の誰かから聞くよりはいいだろう。
BTM:何が起こったのかを聞かせていただけますか。
テフェリー:そうだな。いつかその時が来るというのは皆わかっていた。ウルザとバリンはとても長い年月をかけて備えてきたし、私も二人の計画のいくつかに内々で関わっていた。
BTM:アカデミーの後もそのお二方との関係は続かれていたのですか?
テフェリー:もちろんだよ。二人とはとても親しくさせてもらっていた。もしや――
BTM:バリン氏には話をお伺いしました。
テフェリー:あの爺さんか。私は十分老いたが、それでもバリンほど生きてはいない。私について何か言っていたかい? もちろん良いことだけだろうが。
BTM:よりよい標、だと。
テフェリー:うむ。あの侵略が始まると、私はかつての同級生であったジョイラとともにザルファーの防衛に加わった。そしてウルザがやって来て、ドミナリアを救う計画に加わるように強いてきた……どのような対価を払おうとも。その対価はすでにベナリアを破壊していた――私はザルファーを犠牲にする気はなかった。
BTM:何があったのですか?
テフェリー:ファイレクシア軍は私の故郷に迫り、ウルザはファイレクシアを攪乱する必要のある別のところの計画を立てた……そしてザルファーを餌にしろと。そのため私はやらねばならないと思ったことをやった。ザルファーを現実からフェイズ・アウトさせた。国家ひとつを。故郷の人々が戦い、ヨーグモスの手にかかって死ぬというのは許せなかったからね。もちろん例え話だよ、ヨーグモスに手はないだろうから。あっても煙を出す黒い触手かな。
次に私はシヴへ向かい、同じことをした。フェイズ・アウトさせたんだ、彼らを守るために。
《テフェリーの防御》 アート:Chase Stone |
BTM:ジョイラさんの故郷を守るために?
テフェリー:シヴは多くの人々の故郷だよ。
BTM:では、次に何があったのですか?
テフェリー:ああ。これは人生でも最大の後悔のひとつなのだが、私はドミナリアを離れた。ふたつの国家をフェイズ・アウトさせるために力を使い果たし、ファイレクシアと戦うために用いる力は何も残っていなかった。だから去った。もし今の私であったなら、残って何があろうとも戦っていただろうね。けれどそうではなかったため、私はそうしなかった。
BTM:ですがその未練と後悔こそ、今の貴方を形作るものかもしれませんよ。
テフェリー:寛大な人々なら、そう思うだろうね。
(テフェリー、笑い声をあげる)
テフェリー:いや、まさしく君の言う通りだ。それがあったからこそ私は今日に至る多くの決断に駆り立てられてきた。ところで、私がどうやってザルファーとシヴを元に戻したのか知りたそうだね。
BTM:ええ……
テフェリー:うむ。そしてこれが、我がもうひとつの最大の後悔だ。国家ひとつを無から時間魔法でフェイズ・インさせるというのは現実の性質そのものにとって非常によろしくないとわかった。私はウルザの傲慢さについては心底懸念していたが、私自身のそれについては考えていなかったんだな。皮肉なものだね。時の裂け目がドミナリアの至るところで開きはじめ、私はシヴを元に戻して裂け目を防ぐために灯を捧げねばならなかった。
BTM:ザルファーはどうなったのですか?
テフェリー:ザルファーは……今もここではない何処かにある。人々も……私の故郷の人々も、そこに。いつの日か、私の手でザルファーをあるべき場所に返せるのだろうか。
BTM:つまり貴方は灯を失い、もはやプレインズウォーカーではなくなったと。それでどうしたのですか?
テフェリー:これを言いたくはないが、私は隠れ潜んだ。国家ひとつを消し飛ばしたことで糾弾され、人々のその主張と論点はもっともなことだった。公人ではいられなくなった、例えそうでありたいと思っても。私の力はかつてのほんの欠片に過ぎなかったが、何世紀にも渡って時間魔術を用いてきたため、老化はとてもゆっくりだった。私は時間の海の追放者として、ジャムーラを彷徨った。
BTM:では、どのように再び目的を見つけたのですか?
テフェリー:多くの先人と同じように、愛する人の抱擁に拠りどころを見つけたよ。旅の途中で、私はスビラという女性に出会った。彼女はジャムーラ最古の隊商のリーダーで――それは何と私が生まれる以前から何らかの形で続いているものだ。スビラの機知はタールルームのクリスタルのように鋭く、それを向けられたらその二倍も危険なんだ。出会った時、彼女は私を殺人者だと考えていた。けれど私は何気なく人を殺してなどいないとわかってもらえると、私たちは大いに意気投合した。
《タルジーディの隊商、スビラ》 アート:Leesha Hannigan |
テフェリー:私はその隊商に1週間同行しようと決め、1週間は1か月になり、そしてその1か月は私の人生でも最高に幸福な日々だった。その後すぐに私たちは結婚し、質素だが幸せな年月を過ごした。驚くべき娘、ニアンビも生まれた。母親にとてもよく似ている。だが私は……スビラを想うと寂しいよ。ああ、少し休憩してもいいかな。
BTM:そうですね。とても多くのことを教えていただき、ありがとうございました。
全能のプレインズウォーカー、テフェリー。家庭人としてのテフェリー。このふたつの個人はあまりにかけ離れており、同じ人物の内にどのように属しているのかを知るのは困難です。前者についてはすでにたくさん聞いてきましたので、後者について、テフェリーの娘であるニアンビさんに接触しました。
ニアンビ:テフェリーはどんな父親か、ですか? あの人以上の人物を求めることはできません。優しくて、理解があって、世界のあらゆる面に喜びを見つけるんです。
BTM:貴女の子ども時代はどのようなものでしたか? テフェリーさんは家族のことを隠していたのですか?
ニアンビ:いえ、全くそのようなことはありませんでした。昔のことですので、偽名を使えば父の正体がわかる人はわずかでした。両親は隊商を離れて定住し、私が生まれました。残念なことに、母の心は何よりも旅路にあったので、母は私がまだとても幼いうちに隊商へと戻りました。そしてできる限り帰ってきてはくれましたが、私を育ててくれたのは父でした。
BTM:奥さんが不在の間、テフェリーさんはどう感じていたのでしょうか?
ニアンビ:悩んだり苦しんでいたりする様子は一度もありませんでした。少なくともそれを見せることはありませんでした。父はきっと長い人生の間に数えきれない出会いと別れを経験してきたため、母はまた戻ってくるとわかっていたのでしょう。母が亡くなるまで、二人はとても愛し合っていました、私が知っているのはそれです。
BTM:テフェリーさんは自らの過去について話してくれたことはありますか?
ニアンビ:私が子どもの時、とてつもなく非現実的な話をしてくれました。それがすべて真実だと教えられたのは大人になってからです。父はその物語とは違う人物です。ザルファーの記憶は父を苦しめ、あらゆる行動に影響しています。
BTM:貴女は五十歳といったところですね。父親が同じ年齢に見えるというのは奇妙ではありませんか?
ニアンビ:唯一奇妙なのは、私が大人だということですね。
(ニアンビ、笑い声をあげる)
ニアンビ:いえ、最初の四十年でほとんど歳をとらない様子を見れば十分ですよ。父がアーボーグの霊になって帰ってきても、私は顔色ひとつ変えないでしょうね。
娘が生まれてから五十年ほど経ったところで、テフェリーの過去が追いついてきました。ジョイラと、かの有名な船ウェザーライト号が、彼の人生を変える、ふたつのサプライズをもたらしました。ひとつは彼の灯、パワーストーンの内に閉じ込めて取り戻すためのもの。もうひとつは未来の仲間たち――ゲートウォッチのプレインズウォーカー、ギデオンとリリアナとチャンドラです。力を合わせ、そして多くの他のプレインズウォーカーの助けを得て、彼らは古龍ニコル・ボーラスを打倒し、多元宇宙を救ったのでした。
そこでチャンドラさんに、新たな仲間についていくつか質問したいのですが、彼女のスケジュールはぎゅうぎゅう詰めです。ありがたいことに、仕事の間に数分間だけ話をすることができました。
《炬火の炎》 アート:Steve Argyle |
BTM:チャンドラさん、今お忙しいですか?
チャンドラ:えー。今このでっかい怪物と戦ってるんだけど。忙しいに決まってるでしょ?
(チャンドラは少なくとも自らの三倍はある、巨大な四つ足の爬虫類に対峙している。今のところ、戦いは白熱している。怪物は焼け焦げ、チャンドラには疲労の色が見え始めている。インタビューが始まる以前から、私たちを疎ましく思っているかもしれない)
BTM:テフェリーさんについて、いくつかお聞きしたいのですが。
チャンドラ:テフェリー?
(興味を惹くことができた。不運にもその時、鱗に覆われた大きな尾が彼女の肋骨に直撃。チャンドラは飛ばされ、私たちを見る)
チャンドラ:ちょっとだけ待ってて。
(チャンドラ、怪物へ向き直り、両目と髪が燃え上がる)
チャンドラ:今、インタビューの最中なのよ!
(チャンドラが両手を掲げ、怪物を飲み込む荒々しい炎の奔流を放つ。甲高い悲鳴が大気に満ちる、茹でられるロブスターに似ていなくもないような。炎が晴れると、怪物は燃えがらとなって地面に転がっていた。チャンドラは練炭と化した獣に寄りかかり、息をつく)
チャンドラ:テフェリーの……何を……聞きたいの?
BTM:彼はあなたがたの割と新しい仲間ですよね? どのような人物なのですか?
(チャンドラ、しばし息を整え、そして早口の返答を放つ)
チャンドラ:知り合ってすぐに仲良くなれる人って会ったことある? それがテフェリーよ。話は面白いし、あの人がもう知ってることならきっかけを作るのもずっと簡単だし。魔法の時間のお父さん、って感じかな。ところで水ない? 喉渇いちゃって。
(チャンドラ、輸入品の炭酸水を断り、差し出された水袋を素早く空にする)
チャンドラ:あのね。前ね、私を見ていると過去の自分を思い出すって話してくれたのよ。それから深く溜息をついて。それはちょっと心配してる感じだったけど、全体としてはとっても楽しそうだった。私も1200歳まで生きたらその気分がわかるのかもね。
BTM:彼にもいろいろありましたからね。
チャンドラ:そうね。でも……テフェリーは英雄よ、知っての通り。自分でそうは名乗らないけど、ドミナリアとラヴニカで何をしたかを私は見てきたわ。自分の過去に苦しんでいるのかもしれないけど、その時がきたら話してくれると思う。けど、今のテフェリーは何者かって? それは「英雄」ね。
(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)
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