2020年6月10日

　むかしむかし、生粋の赤魔道士のために用意された生粋のカードがありました。

　その後これに影響を受けたカードが数多く登場し、どれもさまざまな方法でダメージを倍増させてきました。

　なにより、倍増はよいものでした。人気を博したのです。プレイヤーは何かを倍増して――まあその結果、少なくともその被害を受ける側は、生き残って何かを言い残すことはほとんどできませんでした。

　そうして、倍増というとても特殊な要素がやってきたことで、我々もあることに気づきました。ええ、我々はそれを３倍にすることも可能だったのです。それは強力でした。

　さて、もう少し数字について文章をつづったり、もっとじらしたりすることもできますが――我々がどこに向かっているのかをお見せしたいと思います。

　ええ、これは６マナ必要なので、アグレッシブな赤いデッキのほとんどでは使用できないでしょう。しかしこれを活用できるデッキではどうでしょうか？ すごすぎますね。《焦熱の解放》はこれまでに出てきた類似のカードとは異なり、あなたがコントロールしている発生源にのみ適用されることには気を付けましょう。

　『基本セット2021』に収録されるこの素朴なコモンをご覧ください。

　《焦熱の解放》が出ていれば、もう素朴とは言えません。《ゴブリンの付け火屋》はあっという間に歩く《稲妻》になります。

　あるいは同じ『基本セット2021』から、そこまで素朴でもないアンコモンはどうでしょうか？

　この小さくも便利なウィザードは、対戦相手のクリーチャーやプレインズウォーカーを焼き尽くしてくれることでしょう。しかし多くの場合、その脅威を倒せる大きさになるには、いくつかの呪文を唱えておく必要があります。じゃあ、ダメージが３倍になるとしたら？ ３倍になれば、《願いの頂点、イルーナ》も《巨大な戦慄大口》も、果敢なしで倒せるようになります。

　ところで、対戦相手を倒せるとわかっているのに、ただ戦場のパーマネントを除去するだけで手を止めてしまう理由はありますか？ パワーが７ならそれはもう21点のダメージを与えます。エンチャントに６マナ投資しているなら、それで勝っても何もおかしくないでしょう。私が『基本セット2021』ドラフトでやっておきたいことの中には、あるアンコモンと《焦熱の解放》との組み合わせで21点のダメージを与える、というものがあります。

　できっこ無いコンボだと思います？ そうかもしれません。でも、それで諦めちゃいますか？

　もちろん、そんなわけありませんね。

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)