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単語強盗『テーロス還魂記』の章

Mark Gottlieb
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2020年1月7日

 

 はっきり言いましょう。私は点数を追い求めていませんでした。他に選択肢のない狭い道を進んできました。もちろん、昔の暮らしのことを考えたともあります。エキサイティングなものでした、知っていますか? ギリギリの危険、追跡のスリル、そして綱渡りを失敗する危なさを。しかし今の私には家族がいて、捨てる余裕はありません。頭をかがめてまっとうな仕事をし、静かな暮らしを送る。ポケットに収まるサイズの楽園です。

 良かったですよ。

 長続きするものではありませんでしたが。

統計学者紹介:ヨニ・スコルニク/Yoni Skolnik

 ヨニは数字に強く、賭けに出るだけの度胸があります。彼は常に確率を知っています。彼はスイベルの上に頭を置き、常に機会をうかがっています。そして彼はある大きな出来事を見つけました。『テーロス還魂記』のセットデザイン段階の終盤になって、ヨニはこの表を信頼するデザイナー連中にメールしました。

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(「注釈文を含む」/「注釈文を除く」)
 

 もしこれが赤なら、熱い。

 コモンとアンコモンの単語数を記録しておくのはマジックのデザイナーにとって一般的な行動です。これは複雑さを測るとても基本的で簡単な基準です。コモンの単語数が全体的にとても少ない場合、そのセットではおそらくそんなにたくさん面白くてダイナミックなことはできません。コモンの単語数が全体的にとても多い場合、そのセットはおそらく扱いづらく処理が大変で、退屈なぐらい多くの決定を行う場面か、それを印刷するインク代分の価値もないようなどうでもいい能力でいっぱいです。我々はこの手の物事に関して厳格なルールを定めていませんが、ほとんどのセットでその範囲内に収めようとする、満足いく範囲を定めるガイドラインがあります。

 しかしレアと神話レアの平均単語数を記録するでしょうか? そんなのはイカれてます。ブースター・パックに1枚しか入っていないので、そのスロットに長文のカードがあってもそのブースターの平均単語量はさほど変わりません。しかしセットのレアと神話レアの大多数が一番小さいフォントサイズで文章の壁を作っている場合は赤信号です。全体的に最もエキサイティングなカードが長文で退屈だったら、それらは最もエキサイティングとは言えませんよね?

 ヨニは我々に削除の最有力候補を与えてくれました。しかし我々はさらなる分析と下見を必要としました。

言葉鍛冶紹介:グレッグ・リューベン/Gregg Luben

 グレッグは『テーロス還魂記』のエディターです。彼は状況を把握し、数字を処理して、それらを全部配置してくれました。

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(「平均単語数」/ M:神話レア、R:レア、U:アンコモン、C:コモン)

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(「注釈文を除く平均単語数」/ M:神話レア、R:レア、U:アンコモン、C:コモン)
 

 よしよしよし。『テーロス還魂記』が記録を破る準備ができました! このセットは熟した梅、太ったガチョウ、いいカモってやつです。このセットにはどんな動きをするかを理解するのには不必要な数の単語がありました。

 この赤く大きく点滅するライトは大量の単語を抱えているため、グレッグは通常の最小サイズのフォントよりも4分の1ポイント小さいこのフォント・サイズを規則的に「テーロス・ミニマム」と呼び始めました。彼は冗談半分で言っただけでしたが……これはよろしくありません。我々はこれらのカードが自身を傷つける前に、余分な単語を減らす必要がありました。

ボス紹介:アーロン・フォーサイス/Aaron Forsythe

 うちのボスは大当たりが滑っていくのを見過ごして出世してきたわけではありません。彼はスプリングボックの風下にいるチーターのごとく獲物を嗅ぎ分け得ることができます。アーロンは『テーロス還魂記』を評価し、熱波の時のイグルーにクリスマスの飾りをつけようとするよりも間違いなく失敗するということに気づきました。彼はいつもの容疑者達を集めて前進命令を下しました。

 通常、セットの構造上やむを得ない限り、私は単語数の記録を作りたくはない。私は『テーロス還魂記』はそういう構造をしていると考えていないので、単語を削ることは可能だ。

 カードの文字が多すぎる場合、経験豊富なプレイヤーであってもそれについて話すことや理解するのが難しくなり、経験の少ないプレイヤーをとてつもなく怖気づかせる。

 基本的に私は、単語は敵ではなく「楽しい単語」がカードをより楽しめるものにできると考えているが、物事には限度があり、今回はそれを超えていると私は考えている。

 その通りです。 正当な強盗、美しき泥棒、素敵な窃盗です。しかし我々は急いて事を仕損じる気はありませんでした。状況を調べる必要がありました。

標的紹介

ターゲット#1:レッドゾーンに進もうとするとポケットから動詞がこぼれ落ちるぐらい文章の長いレア

 ボスいわく「60単語以上あるレアを3枚だけにしたいのだが、現在6枚ある。」

 簡単です。それらのカードを半分にしましょう。

ターゲット#2:最初の束ほど金持ちではないが、ポケットを探られても気づかないようなレア

 ボスいわく「その後で、35単語以上ある、次に単語の多い束の調査を行う。機能している単語だけにする。これらのうち一部のカードは現在顧客が求めている処理能力に見合わない可能性がある。」

ターゲット#3:それら大金持ちの神話レア

 ボスいわく「悪い記録を実際に達成しているのはここだ。神話レア1枚あたりの単語数は『ドミナリア』よりも25%多い。ここを可能な限り減らす必要がある。」

 ボスがこの言語学的犯罪のために呼び寄せた精鋭部隊の単語泥棒は誰でしょう? グレッグはもう紹介しました。あとは……

未来学者紹介:イアン・デューク/Ian Duke

 イアンは『テーロス還魂記』フューチャー・フューチャー・リーグの責任者です。彼はどの標的を回避してどれを後回しにするかを分かっていました。

構造専門家紹介:アンドリュー・ブラウン/Adrew Brown

 アンドリューは『テーロス還魂記』のデザインに召集されたプレイデザイナーです。彼は解体(カードを跡形もなく爆破する)と再構築(ゼロから新しいカードを作成する)が得意です。

いつもは頭の中にいるけど物事が最悪に見えるときだけ仕事を終わらせるために迅速な決定を行うヒーローの紹介:私

 私は狂言回しです。私は最後の仕事のためにいます。またこの全体がひどいセットのリードデザイナーでもあります。さて、我々はどうやってここに来たのでしょう?

内省的回想

 私が不注意だったと言ってしまうのは簡単です。見えていないところがあったと言うのも簡単です。私はここれまでにいくつかデザイン・チームをリードしてきましたが、スタンダードで使えるセットのセットデザインの最後をリードしたことはありませんでした。いつもリードしていたのはデザイン段階の初期です。なのでこれは他のデザイナーが注意していた、もしくは自然に調整していたことなのかもしれません。また私の、単語数と複雑さに対する許容範囲は広めです。個別の各レアと神話レアは魅力的であるか、トップダウンの神話を語っているか、スタンダードでの役割を厳密に設計されているか、それがプレインズウォーカーか英雄譚であると理由で単語数が多くなっていました。どれも単体で考えれば正当化できるものばかりです。これらの大食らいのカードが単語を食っていることはレアと神話レアをレビューする会議でまとめて評価されたときにようやく明らかになりました。すべてのレアの見た目が最小のフォントサイズだったときに、我々は『アイスエイジ』の領域にいました。

 そして冷えていました。

目標

 ボスいわく「レア1枚あたりの平均単語数を1.5~2個減らすことができれば我々の勝ちだ。」

 OK、目標決定です。我々はこれを達成するために何をすればいいか分かっていました。

 これが全て相対的なものであることに注意してください。セットのニーズによって見た目や雰囲気が合うものが決まります。英雄譚、神々、タイタン、そしてプレインズウォーカーのいるセットでは、おそらく周囲のセットよりも単語数が多くなります。アーロンはこのセットや他のセットに絶対的な単語数を設定しませんでした。しかし彼は文章欄が肥大化しすぎているのではないかと鋭く指摘し、我々のポケットは辞書編集の余り物でいっぱいになりました。

 準備完了です。では今度は何をする時間かというと……

単語強盗!

 私にはあなたが何を考えてるか分かります。あなたはこれを「オーシャンズ11」みたいな強盗だと思っていますね。とんでもない。これは現実の問題解決であり、あれは荒唐無稽なハリウッド映画です。

 分かってください。

 これは「オーシャンズ13」みたいな強盗です。

 あの映画では、ギャングたちは敵のカジノのグランドオープンを狙おうとしました。彼らはそれを大きな1つの計画ではなく、同時多発的な狭い狙いの小さな計画で達成しました。彼らはクラップスとルーレットの卓でそれぞれ細工したダイスとボールを使いました。またバックドア・プログラムでスロットマシーンを乗っ取り、そしてブラックジャックの卓ではイカサマのカードシャッフラーを使いました。

 これは単語泥棒としての私の仕事です――物事を盗むという神聖な義務です。この映画のプロットを盗むことも含まれます。我々はこの脚本のトリック全てを使って単語を吸い上げにかかりました。

戦術:レナード・シェルビー

 これは簡単です。ズルでもあります。しかし、もしあなたが私の言っていることが分かった上で単語泥棒精鋭部隊に名誉ある振る舞いを期待しているなら、あなたの個人蔵書を見てみたいものです。(私は、泥棒には名誉がないのであなたの単語を盗みたいと言っています。「泥棒の名誉」は、人が泥棒が悪用できる厳格な道徳基準を守るならそれに感謝するような名誉のない泥棒によって広められた神話です。)

 なんにせよ、これはレアリティの高いカードから注釈文をよく考えてカットするという戦術です。レアもしくは神話レアに注釈文を入れる余裕があれば入れておきます。しかしメカニズムの注釈文を入れるとフォントサイズが最小を下回ってしまう場合、落とし穴がパッと開いて――それは消されます。そのキーワードの意味を教えるための注釈文を入れるための十分なコモンやアンコモンがあれば切り抜けることができます。

 これはまた後で出てきます。

戦術:タハニ・アル・ジャミル

 カードは通常、それ自体を表す場合フルネームで書かれます。《不正利得》の最初の文は「この呪文を追放する」ではなく「不正利得を追放する」です。なぜこのカードが今頭に浮かんだのかは分かりません。

 我々は長いテキストを持ち「名前・称号」の形で書かれたカード名の伝説のクリーチャーで2回目に言及する場合の例外を設けました。例えば《死体生まれのグリムグリン》を見てください。これの最初の能力はこれ自身を《死体生まれのグリムグリン》と書いています。しかし2番目と3番目の能力では自身を「グリムグリン」とだけ書いています(訳注:日本語版では全て《死体生まれのグリムグリン》と書かれています)。これは普遍的事実ではなく、グリムグリンより後に印刷された《竜英傑、ニヴ=ミゼット》は名前が2回フルネームで書かれていますが、それはそうする余裕があったからです。

 『エルドレインの王権』の称号を削ることができる、すべての伝説のクリーチャーはテキストの長さと関係なくそうしています(《勇敢な騎士、カラ卿》《具眼の主、エレノラ卿》、《ヘンジの槌、ファレン卿》、《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ》、《フェイに呪われた王、コルヴォルド》)。

 『テーロス還魂記』ではこれを次の段階に進めました。伝説のクリーチャーのちょうど半数は1回目であってもそれ自身を名前だけで言及しています。神々、亜神、タイタンを含む30枚の伝説のクリーチャーがこのセットにあり、そのうち15枚がこの戦術によって単語を削り落とされました。他の5枚はフルネームで言及したままで、さらに他の10枚は能力で自身の名前に言及しません。この戦術は今後も適切だと思われたときにまた使われます。

戦術:エルドン・タイレル

 これは一番シンプルで一番実行が困難です。さまざまな状況において、我々はカードのデザインを完全に抹殺してその穴埋めに新しいデザインを作りました。

 例えば、このセットにはダラコスという名前の赤青の伝説のクリーチャーがいます。これはギリシャ神話のダイダロスを元ネタにしたトップダウンのデザインで、統率者戦のプレイヤーに向けたカードです。そして非常識でした。これは現在には存在しない統率者デッキを作らせようとした、厄介で過程集約的な66の単語のごった煮でした。私はこれが好きで、斬新な空間を遊ぶことを楽しみましたが、あるとき我々は複数の段落を2行の箇条書きのリストにしてこのカードをテンプレート化する実験をしていました。このデザインは今、 シウィ・グラス・ガーデンの奥にある浅い墓で静かに眠っています。

 これを埋め合わせるために、以下の条件を満たす新しいデザインが募集されました。

  • 赤青の伝説クリーチャーのままであること。
  • ギリシャ神話のダイダロスを元ネタにしたトップダウンのデザインのままであること。
  • 現在存在しない統率者デッキを作らせる、統率者戦のプレイヤー向けのままであること。
  • 単語数は20ぐらいであること。

 グレート・デザイナー・サーチ3の優勝者、アリ・ニーエ/Ari Niehはこれを見事にやってのけました。彼のデザインはブースターパックに入っているものです。

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 他のカードも同じような過程を経ていきました。特に、機能している長文のカードの再デザインは行いませんでした。あるカードが、楽しい、人気がある、斬新である、強力であるなどの要素のうちいくつかが組み合わさっている場合、それを撃とうとはしません。しかしプレイデザイナーが使えないと見なすか、もっとカジュアルなプレイヤーが魅力を見つけられなかったカードのどちらかである場合は狙われます。我々はいくつかのカードをこの方法で同じ目標を達成していてよりシンプルなデザインのカードに差し替えました。

戦術:ヴィダル・サスーン

 大規模な差し替えは必要なく、ちょっと整えるだけで良かったカードもあります。我々は全てのカードを精査し、使われているすべての単語にそれに見合う価値があるかどうかを問いました。

 英雄譚である《アクロス戦争》の最後の能力は短くなりました。

 新しい赤緑の神であるクローティスは、メインの能力がすっきりしました。

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 《夢さらい》は能力を1つ切り捨てられ、残された能力は4つ(!)だけになりました(これは明日AllieStraszaで紹介されます:リンク先はTwitch英語チャンネル)。

 新しいプレインズウォーカーのケイリクスは4番目の能力がなくなりました。それは楽しそうで今までにない方法の、追加の忠誠カウンターを置くクールな常在型能力でしたが、選択肢は「テキストが収まらないのでこのカードを印刷することさえできない」か「このカードを他の3つの能力で印刷して、それらの数字を調節することで追加で受け取れなくなった忠誠カウンターの補填をする」でした。簡単な選択です(ケイリクスは今日TCGplayerで紹介されます:リンク先は英語) 。

戦術:ビリー・ビーン

 これは私のお気に入りです。《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》、もしくは開発時の愛称である「ポルクラノス・ゾンビ」はこのセットで最も文の長いカードの1枚でした。このカードをデザインしたのは私で、そして私はこのカードが大好きでした。これはバランス調整がとても難しいカード(数字と変更可能な箇所がたくさんありました)だったので数か月かけて進化していきましたが、プレイデザイン・チームはついに適正だと思われる場所にたどり着き、そして彼らはこのカードを本当に楽しみました。そしてその首よりも単語数のほうが多いため、今や頭は全てまな板の上に置かれていました。我々はどのようにして『テーロス還魂記』のレアにこのカードを入れたままにして『テーロス還魂記』のレアの平均単語数を減少させたのでしょうか?

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 簡単です――神話レアに入れ替えました!

 これは気まぐれではありません。オリジナルの《世界を喰らう者、ポルクラノス》は神話レアでしたし、このカードが同じ位置にあることは全くもってもっともなことです。これがレアにいた唯一の理由は、神話レアが神々、プレインズウォーカー、タイタンでごった返していて、この多色カードをそのグループに移動させるとわずかに色のバランスが狂うからです。しかしこれが神話レアっぽさがあるという感じは常にあったので、これを神話レアに移すという声は数か月間ありました。これはまさにどんでん返しに必要な最後のひと押しでした。もちろん、代わりにレアになったカードの単語数はもっと少ないものです。

戦術:グレタ・ガルボ

 我々が放っておいたカードはたくさんあります。我々はあらゆるものの調査と議論を行いました。どんなカードであっても、単語数に対して複雑さと楽しさの比率にに良い変化がない場合は変更を行いませんでした。最も話題に上がった長文のカードの中には《悲哀の徘徊者》、《半真実の神託者、アトリス》、《奇怪な具現》 、《死の国からの脱出》が含まれていました。いずれの場合も、我々はそのカードを短くそしてより良くする方法を見つけられませんでした。なのでそのままにしました。

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ちょっとした神学的余談

 ボスいわく「特に神々だ……初代『テーロス』の神々の(破壊不能と信心を除く)特徴となる能力の単語数は12、15、15、18、26だ。最長のもの(パーフォロス)以外には信心の注釈文を入れる余裕があった。『テーロス還魂記』の神々の特徴的能力の単語数は25、29、30、25、39そして40だ。倍も長いぞ? なぜだ? 私は特にこれらのカードにある程度優雅さがある方が好みだ。」

 神々から盗んで回るためには健全な自尊心が必要です。しかし私はここでそれをしない理由についてアーロンに回答するという……挑戦をしました。彼は素晴らしい質問をしてきました。私の答え方はこう答えました。

 その質問について検討の余地があるので、怒ってるのではなく、本当に理由が知りたいのだと思います。ではどのようにして神々はこうなってしまったのか?

 言い訳をさせてもらうと、『テーロス』の神々がすでに簡単な能力を全部取ってしまったので、我々には長いものしか残っていなかったのです。

 開発過程は昔とは少なくともいくらか変わっていて、ヘリオッド、ナイレア、タッサはプレイデザインがそれらを中心にしたFFLのデッキを組んでいるので、高度に設計された能力を持っています(そしてナイレアとタッサは準備が必要な、領域変更を伴うカード・アドバンテージを得る能力を持っています)。

 しかし私は、主に、因果関係が逆転したことによるものだと考えています。『テーロス』では信心は新規の能力だったので、苦労してその注釈文を残したのではないでしょうか。『テーロス』の神々に注釈文を入れる余地があったのは、注釈文が必須であると考えて神々の能力を制限したからです(そしてパーフォロスは例外として省かれました)。『神々の軍勢』では神々に信心の注釈文をつけるのはすでに余分だと考えられ、どれにもついていません。『テーロス還魂記』では、神々に注釈文の余地を残すことさえ考えませんでした。

最終集計

 我々は実際の問題を解決するために多角的なアプローチを行い、すべてのデザイン資源と問題解決の技術を自由に使いました。我々は思慮深く慎重でした――我々のチーム全体がアーロンから与えられた目標は、可能な限り文章の短いセットを作ることではなく、可能な限り最高のセットを作ることでした。与えられた指示は、減らすことでセットを改善できる単語があればそうするべきだというものでした。

 目標はレア1枚あたりの平均単語数を1.5から2減らすことでした。

  • 最終的な(注釈文を含む)レアの平均単語数=32.415
  • 最終的な(注釈文を含む)神話レアの平均単語数=51
  • 最終的なレア枠の開封比単語数(2R+M)÷3=38.61

 レア1枚ごとの単語数は3.5、神話レアは2.13、そしてレア枠全体では1枚ごとに3.05減少しました。

大!成!功!

 素敵な素敵な成功の調べ。最後の噴水の場面のために「月の光/Claire de Lune」を流しましょう。(分かってます、「オーシャンズ13」ではなく「オーシャンズ11」に戻っています。私に言えるのは――こっちのほうがいいエンディングだということです。)

ファム・ファタール紹介:《タッサの神託者

 しかしこの記事はもう1章残っています。究極のグレタ・ガルボ。失われたもの。私が好きになったもの。私が守ったもの。彼女は見た目通り純真でしょうか? 実際、彼女はずっと私と遊んでいたのでしょうか? 私は知らなくても満足です。

 これは《タッサの神託者》と名付けられたカードです。これはこのセット全体で最も文章が長いカードです、それではご紹介します。

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 しばらくの間、このカードのテキストは最初の2段落だけでした。これは強力でしたが、ずっとつまらないままでした。それはレアっぽさがなく、複数のデザイナーもそう言っていました。なので、私は3つ目の段落を追加しました――時には圧倒的にそのゲームに勝つ可能性があるテキストです。これは評価されるようになりました。これは魅力的になりました。 もう誰も《タッサの神託者》をファンシークラブから追い出す者はいませんが、特定のファン層ができました。

 アーロンは単語に関する最初の行動の呼びかけの中で、少数のカードを名指しで挙げました。これはそのうちの1枚です。

 ボスいわく「《タッサの神託者》は最もひどいレアだ。通常のレアのほぼ2倍の単語数がある。私は特殊勝利がなくてもトーナメントで使われると思っているし、このカードはそういったものをつけるのに適正な場所ではない可能性がある。」

 イアンはアーロンに同意しました。 彼はこのカードから特殊勝利を取り除くことを支持し、その能力がなくてもこのカードは有望なレアに感じられました。アンドリュー・ブラウン/Andrew Brownと私は現状を支持しました。この特殊勝利はこのカードに(そしてこのセットに!)失いたくない良さを与えていました。我々は異なるデッキ操作手段を探しましたが、読みやすいものは実行するのが難しいものでした。どちらのものも、追加の文はそれに見合ったものでした。また私は注釈文を削ることも検討しましたが、その注釈文を収めることができたのでそのままにすることを支持しました。最終的に、我々はこのカードが泳ぎ通すのに十分なだけ他のカードの単語数を抑えました。

 あなたは「オーシャンズ11」の最後で、結局、強盗というのは実際のお金に関してではなくジュリア・ロバーツを奪うことだったのを知っていますか? 《タッサの神託者》は我々のジュリア・ロバーツです。そう、これらの物事全体が「オーシャンズ13」だというのは。実は大きな引っ掛けだったのです。

 これでこの話はおしまいです。結論としては、ボスであるアーロン・フォーサイスに負けないぐらい偉いということで、今日のプレビュー・カードは「最もひどいレア」です。悪名高いというのはいいことです。

 では、このセットをお楽しみください!

――マーク・ゴットリーブ

(Tr. Takuya MASUYAMA / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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