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『Mystery Booster』の解明

Gavin Verhey
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2019年11月14日


 

 ミステリーの出現だ!

 先週末にリッチモンドで開催されたマジックフェストで、ついに『Mystery Booster』Convention Editionの一端が垣間見え、何が起きるのかが公開された。

 そしてそれは……大ヒットだった!

 ドラフトは261卓(通常のマジックフェストで行われる新セット・ドラフトのおよそ3倍)、そして(400人以上のプレミアイベント参加者を除いても)シールド戦も300人以上というとんでもない数の参加者によってパックが次々に開封され、みながその体験を大いに楽しんだ。

 『Mystery Booster』とは、基本的にこのセットを使ったカオス・ドラフトを楽しむためのパックだ。過去最大の収録数を誇るセットであり、2バージョンのどちらも1815種類のカードを収録しているため、何度も何度もプレイを楽しめるだけでなく常に新しい体験が待っている。

 それで……どういうものなんだろうか? バージョン間の違いとは? というか、プレイテスト・カードとは一体全体なんなのか?

 今日はそれについて詳しく話そう。

 この記事は2つに分かれている。最初は、このセットがどうしてこうなったか。そして次は、中身の詳細だ。そちらのほうが気になるのなら、そのまま下にスクロールを――でもできれば、このセットにまつわる物語を楽しんでほしい。

カオスのただ中

 カオス・ドラフトは、私が最も好きなマジックの遊び方の1つだ。

 カオス・ドラフトをご存じない方に説明すると、これはブースタードラフトの一種で、パックが全部ばらばらなんだ。例えば、あなたのパックは『ラヴニカへの回帰』『基本セット2013』『灯争大戦』で、左のプレイヤーは『テーロス』『運命再編』『カラデシュ』だったりする。万事そんな感じで、本当にはちゃめちゃなんだ。

 私はこれを友達と遊ぶし、グランプリでも遊ぶ。機会があればいつでもカオス・ドラフトをするんだ。そのセットだけでは不可能だったシナジーを見つけるのはとても楽しいし、それはつまりどんなカードでも使い方次第ということになる。

 カオス・ドラフトが完璧なゲームだとは言わない。例えば、テーマカードの多くはそのシナジーをサポートするカードが不足するため、たいてい完成したデッキは弱めになる。そこに過去の普通のブースターからピックしたカードを合わせると、たまにまともなカードが出てくるボロボロのデッキが出来上がってしまう。

 というわけで、私は何年もの間、カオス・ドラフトのようでありながらもう少し調整された環境があれば、それで遊びたいと思っていた。『Mystery Booster』はとんでもない――普通のプレイヤーが予測可能な範囲を超える程度の――収録数になったが、デッキの強さはわりと良い感じに仕上がるだろう。

 しかしながら、その考えを現実とするための機会は事ここに至るまでなかった。この種の企画を成功させるのは相当難しい――1つのセットにとんでもない数のカードが必要になるからだ。実現にこぎつけるには、通常ではありえないような何かが必要だ。

 そして、『Mystery Booster』が誕生する。

ミステリアスな始まり

 信じられないかもしれないが、『Mystery Booster』の開発はイベント専用の製品として始まった。ウィザーズの組織化プレイはイベント専用の特別な体験となる特別な製品を望んでいて、その要望を私たちに伝えにきた。私は製品デザイン・チームの一員として(統率者セットなどの)通常とは違う路線のものを開発することが多かったため、私が扱うにふさわしい相談だったと言えよう。

 私の最初のアイデアは、1つのブースター・セットを使ってすぐにカオス・ドラフトができる製品というものだった。しかし私は単に持論を実現するよりも、他者とのブレインストーミングを通し、しかるべき判断と手続きを適正に行っておきたかった。デザイナーとして、それは物事を進めるための適切な手順だろう。

 だから、グループのみんなが同じアイデアを持ち寄ってきたときの私の驚きといったら!

 私はメンバーといくつかのアイデアについて話し合ったが、最終的には全員がカオス・ドラフトへと戻っていった。それはすでにイベントで人気を博していて、それに関連して何か面白いことができるだろう。

 私の熱意は、そのカオス・ドラフト・セットへと向かった!

 このときに私は、脳内で長年温めていた他のアイデアをたどり始め、それらを組み込みたいと思った。

 その時に、「ブラック・ボックス・パック」を思い出したんだ。

ブラック・ボックス

 我々がウィザーズ・オブ・ザ・コースト社で制作しているゲームはマジックだけではない。「ダンジョンズ&ドラゴンズ」、「トランスフォーマー」、あるいは「Betrayal at House on the Hill(丘の上の裏切り者の館)」のようなボードゲームについて知っているかもしれない。そしてもしかしたら知らないかもしれないが、「デュエル・マスターズ」もそうなのだ。

 これは我々がアメリカで開発した日本限定のゲームで、日本語で発売されている。日本で最も人気のあるカードゲームの1つだ!

 このゲームは本当に無茶なことをやってしまいがちだ。やったことがある人は、マジックでの『両面カード』システム―― アヴァブルックの町長/Mayor of Avabruck》などに代表される『イニストラード』の狼男のアイデアだ――という仕組みを先だって実現していたことを思い出すかもしれない。

 ほかにも、さまざまなことを行った。三段変形カード、カレーの匂いつきカード、シャッフルする前に戦場に置かれるカード、それからマジックでは(今のところ)絶対にありえないようなその他もろもろの――まあいろいろだ。

 しかし数年前にその存在を知ってから私の想像力を掻き立て続けていたのは、「ブラック・ボックス・パック」というセットだった。それは何なのか? 発売されるまで、本当に誰も中身を知らなかった。それはまさにブラック・ボックスだった!

 それが発売されると、みなパックを開封し始めた。多くの再録カードが登場したが、もっと変わったものも出てきたのだ。このパックの中には、その年のひと月分のカレンダーや、デザイナーの飼っている犬の写真を使ったカード、さらには〈精神を刻む者、ジェイス〉まで出現したんだ!

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 何年もの間、私はマジックで同じようなセットを作りたいと考えていた。本当に何でも出てくるようなものをだ。

 マジックのデザインの仕事をするときのコツは、適切な機会を待つようにすることだ。我々はみなセットやカードについての魅力的なアイデアをいくつも抱えているが、それらには適切な時間と場所が必要になる。というわけで私は「ブラック・ボックス・パック」というアイデアをズボンの後ろポケットあたりに入れておいて、完璧な機会を待つことにした。

 そしてこのとき、そのアイデアを持っていることを思い出したんだ。

 マジックのこれまでの歴史すべてから選ばれたカードでいっぱいのカオス・ドラフト製品、それだけですでにいけるように思えた。イベントのみという性質上、それを初めてプレイするときに人々はより驚くだろうし、よりこれまでにない体験を提供できるのではないだろうか。

 そして私はそれを目標としていくつかの方法で取り組み始めた。ほかのデザイナーとも相談した。このパックではどんなカードを取り上げれば魅力的だろうか?

 ここでもいくつものアイデアが出てきたが、我々が満場一致で気に入ったのはこれだ。「パックから開発部のプレイテスト・カードが出てきたらどうだろう?」

 それは我々の想像力を捉えて放さなかった。私はそれを『未来予知』のタイムシフト枠に当てはめて考えてみた。これは銀枠そのものではないが、マジックでやれることの幅を間違いなく押し広げることになる。それにはマジックのプレイヤーがなるほどと納得するものや、いずれ実現するためにフィードバックを必要としているものなどが含まれる。

 というわけで、『Mystery Booster』――別名「Whirlpool(渦巻)」プロジェクト――の開発が始まった。

ミステリーの作成

 カオス・ドラフト・セットのためにはどれほどのカードの種類があれば――どんなカードがあれば――うまくいくだろうか?

 セットの設計は私が担当し、デザイナーにはマーク・グローバス/Mark Globusが選ばれた。そしてマークと私は担当をそれぞれ決めることにした。マークが通常のカード部分をデザインし、私はプレイテスト・カードをデザインすることになった。

 そして、私はマークに、セットには何枚ほどのカードが必要かを尋ねてみた。もともと私は500種類ぐらいで考えていたのだが、彼は席に戻ってなにやら計算し、具体的かつ実現不可能と思える数字をはじき出してきた。

「再録カードを1694枚にするのがいいんじゃないかな」

「なんだって?」

「いや、だから1694枚さ」

 マジックのカードは通常、121枚のカードが1枚のシートに印刷される。狂気の天才マークが行ったのは、ブースターパックの14スロットにすべて違うカードが入るシートがあればどうなるかということだった。それにより多様性は最大化される。121×14は1694だ。

 超巨大セットだ。確かにそれはとんでもない。しかし実現は不可能だ――本当に?

 だが私はその考えに惹かれ、それについて調べることにした。

カオスの解法

 マークがその途方もない数字を提案する前から、私はこの製品で多くのカードを再録したいとは考えていた。

 しかし、過去にこれほどのサイズになるセットの製作は考えられたことがなかった。通常の製作工程期間では収まり切らない量の作業が必要になるとすれば問題だ。

 マジックのゲームデザインほどには語られていないが、編集、組版、そしてマジックのカード製作を確実とするためのあらゆるチームも同様に重要な存在だ。1つのセットを作るたびに、すべてのカードが枠に正しく配置されているか、テンプレート化されているか、印刷の準備が整っているかなどを確認するため、各担当グループが膨大な作業を行う。

 これには膨大な時間が必要になる。いわゆる専業だ! その内容は様々だが、いずれも同様だ。その作業の大部分は「デルタ/Delta」と呼ばれるチームと「オペレーション/Operations」と呼ばれるチームで発生する。

 これはカードの新旧を問わず起こる。例えば、『Commander Anthology』のような製品を作成する場合、ゲーム・デザインはデッキを選ぶだけだ。しかしそれらの担当チームにとっては、その商品全体のカードをすべて1から作成するようなものだ!

 カオス・ドラフト・セットを作成するのであれば、これにまつわる問題を解決する必要があった。通常のセットと同じ行程で進めなければならないとすれば、製作などできるわけがない。

 したがって、その問題について私は関係者に話を通した。そしてなんと、実現に至ることができた。最初に作成された「その通りに」カードを印刷できれば、追加の作業は必要ない。これらのカードファイルはすでに作成されていて、すぐに利用できる!

 また、ジェファーソン・ダンラップ/Jefferson Dunlapの努力によって、『ミラージュ』までのファイルの大部分が十全に保存されており、使用可能な状態になっていた。我々が想定していたよりもずっと過去にまでさかのぼることができた!

 元のカードと『Mystery Booster』版の区別はどうやってつければよいだろうか? 私が早い段階で受け取った切実な意見には、コレクターが自分のカードを区別できるように新しいカードと元のカードを識別する方法が重要だ、というものがあった。区別する方法はあるだろうかとメンバーに相談し、なんとかなるという結論になった。(これは最終的に、『Mystery Booster』版のカードの左下隅に小さなプレインズウォーカー・シンボルを印刷することで解決された。)

 というわけで、1694枚のカード・セットの話を持ち掛けるとき、私は恐怖の表情と即座の否定があるものだと考えていた。

 だから、ちょっと肩をすくめて「すでにあるカード・ファイルを印刷する準備ができるなら、枚数は問題にならないよ」と言われたときの私の驚きといったらなかったね。

 私は戻ってそれをマークに伝えると、彼も驚いていた! ともあれ、これは重要な製品デザイン上の教訓だ。確認しなければ、何事もどうなるかわからないのだ。ちょっと聞いてみるだけなら何も悪いことはない――そしてこの場合はうまくいった!

 皆で話し合ったときはばかげたことのように思えたが、1694枚の再録カード・セットに挑戦してみてよかったよ。

プレイテスト・カードのデザイン

 マーク・グローバスが再録セット部分の作成に忙しかったころ、私はプレイテスト・カード部分に取り掛かっていた。

 『未来予知』は私のお気に入りのセットで、プレイテスト・カードを作るための参考になるものだ。(実際、作成中は何度も『未来予知』のカードリストを確認した。)

 『未来予知』のようなカードをデザインしていることをマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterに話したとき、彼は「『未来予知』をデザインしたからわかるが、それはとても難しいことだよ」と忠告してくれた。

 そして、彼の言は正しいことがわかる。

 これは構築フォーマットでのテストができない。そしてイベントでしか手に入らないカードを構築で使用可能にしたくないということもあり、構築では使えないようにすることで意見が一致した。しかしそうやってレガシーのようなマジックの構築フォーマットに合わせる作業を取り除いても、いぜんとして難解な作業だった!

 通常のマジックを超えながらも銀枠セットに踏み込まないようにする絶妙なラインを見つけるのは、非常に難しい。そこで私はあらゆるところからカードを取り入れることにした。

 ウィザーズ社内で、誰でもデザインを提出できる穴埋め課題を実施した。アイデアの売り込みも受け付けた。作成したプレイテスト・カードを参考にした面白いものを探した。それから、私が自分で思いついた奇抜なアイデアで大部分を埋めた。ほとんどは私の脳内から生まれたんだ。それなりに時間はかかったが、最終的には素敵な121枚が揃った。(いくつかのお気に入りのアイデアはカッティングルーム現場に保存され、いずれ機会があればお目見えすることだろう。)タイムシフト・シート(参考記事:英語)を構築するような感じではあったが、どれもまだ存在しないセットからの登場だ。

 それらすべてについて触れることはない。しかし私にとって非常に重要だった3つのことについて言及しておこう。

 1つめは〈Bucket List〉、〈Bombardment〉、〈Pick Your Poison〉、〈Graveyard Dig〉、〈Wizened Arbiter〉、そして〈Zymm, Mesmeric Lord〉について。これらは製作の途中で開催された第3回グレート・デザイナー・サーチに提出されたカードだ。そのときは採用されなかったが、これらのカードが印刷されることは、彼ら一人一人の努力と献身によるものだと大いに納得している。採用おめでとう!

 2つめは〈Xyru Specter〉だ。このカードには何があったのか? ああ、『ドミナリア』の製作中に、リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldが自身でデザインしたさまざまなカードを提出してくれていて、そこから選ばれたものだ。しかし中でも一番魅力的な要素は、それがすべてオールド・スクールの時期に作られたカードのような記述になっているところにある。

 リチャードのデザインしたカードのアイデアはすべて保存されていた。そして私は『Mystery Booster』の製作中に、再びそれを確認することにした。これはさっき言った通り、リチャードが『ドミナリア』のために提出したカードだ。彼が思いついたメカニズムは最終的には使用されなかったが、マジックのクリエイターであればなるほどと思うだろう。

 最後は、〈Barry's Land〉だ。2000年代初期にこの記事(英語)を読んだ覚えがある。これはマジックの伝承の一部になり、何度も参照されることになった。《荒地》が印刷されることでその役目は基本的に終わったと言えるが、有名なプレイテスト・カードであるこれをセットに入れることができてよかったよ。

 私はこれらプレイテスト・カード関連の仕事に多くの時間を費やした。質問や、特にこれらのカードの背景にある物語について興味がある場合は、Twitterなどで(英語で)いつでも聞いてくれ。話したいことはもっとたくさんあるんだ!

押し広げる

 先に述べたように、もともとこれはイベント専用のものだった。そういった要望だった。しかし製品内容が進化するにつれ、これは明らかにそこだけに収まらないものになっていった。このセットは大きかった。数多くのセットからカードが加わっていった。皆が望むカードがそこにあった。そして別の物語があったんだ。

 テーブルトップ・マジックの製作スタジオでディレクターを務める、賢人ケン・トループ/Ken Troopがある日、私にこっそり話しかけてきた。彼は『Mystery Booster』がイベント向けとして素晴らしいものになると考えているなら、ショップでも販売すべきではないかと提案してきたんだ。

 そしてこの企画の影響範囲を考えれば、それはまさに正しかった。これだけの内容を詰め込んだものでカオス・ドラフトを遊べば、イベントでプレイヤーは大変盛り上がるだろうと考えている。であれば、ショップでも間違いなく盛り上がるだろう。プレイヤーがよく行くお店のために、この製品のショップ向けバージョンを作成できるはずだ!

 そこで我々はアーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheら数人と話し合った。組織化プレイはやはりイベント専用という要素を望んでおり、そこでプレイテスト・カードをイベント用の特別なカードにするという考えには良い感触があった。それらは本物のマジックのカードではなく、構築フォーマットのためのテストプレイも行っていない。マジックフェストのようなイベント会場でイベントに参加して入手するならともかく、マジック・プレイヤーが自分のデッキにカードを加えることがあるようなさまざまな場所で販売することは適切ではないと感じた。マジックについて詳しい人ばかりではないからだ。そこで、プレイテスト・カードの代わりに誰もが入手を喜ぶようなものを加えたいと考えたんだ。

 というわけで、私はショップ販売向けに何か盛り上がるものを考えるよう任された。

 我々は、WPN versionも独特で好かれる製品として仕上げたかった。一方が上ではなく、どちらも魅力的だと思えることが重要だ。そこで私は、Convention Editionが行っていないことを探し始めた。そしてはっきりとした答えを得た。フォイルだ!

 コンベンション版にはフォイルが存在しない。これらは印刷工程が複雑なのが1つ。そして過去のカードを完全に再現しそのまま印刷するには、すでにそのカードのフォイルが存在している必要があるのだが、過去の多くのカードにはフォイルが存在していないことが1つだ。しかし、特定のリストを選り分ければ……WPN versionのために特別なフォイル・シートを作成できる!

 それに加えて、プレイテスト・カードがどのように受け止められるかもわからない。「なぜ使えないカードが入っているのか」から「これは面白い!」までさまざまな反応が考えられる。イベント用としてふさわしいとは思うが、WPN versionはここを差し替えることで、マジック・プレイヤーが望むもの、つまりデッキに加えられるカードであることが保証されるわけだ。

 このフォイル・シートに含まれている121枚分のカードは、『Mystery Booster』に非フォイル版が収録されていない――よってConvention Editionを遊んだことがあるとしても、WPN versionのパックから何か新しいものを入手できる。そしてそれらはすべてフォイルなので、プレイヤーがフォイルで使用したいと考える傾向にある統率者戦向けのカードを多めに採用することにした。

 このシートにはレアがいくつも含まれているので、ブースターを開封したときにボーナスとしてフォイル・レアを入手できる可能性はかなり高いだろう。

 余談だが、ほとんどのパックからは3枚のレアが得られるはずだ。通常の箔押しスタンプ付きレア、『基本セット2015』より前の枠のレア、そしてフォイルのレアとなる。それは目をみはるものだ!(とんでもないカオス・ドラフト体験になることも間違いないだろう。)

 それは魅力にあふれている――その体験が近づくにつれ、皆に見てもらうのが楽しみでならないよ。

ミステリーを再び

 というわけで、以上が『Mystery Booster』の背景となった物語だ。それがどのように機能するのか、その詳細にのみ興味があるなら、ここからがそのための項目だ!

 この製品のどちらのバージョンにも、1815種類のカードが含まれている。Convention Editionでは、そのうちの121枚はプレイテスト・カードであり、構築フォーマットで使用することはできない。WPN versionでは、そのうちの121枚はフォイルであり、同じカードの非フォイル版はこのセットに含まれていない。

 パック内のすべてのスロットには、独自の121枚のシートが存在し、そこから1枚が封入される。したがって、すべてのパックは次のように分解される。

  • 2枚:白のコモンかアンコモン
  • 2枚:青のコモンかアンコモン
  • 2枚:黒のコモンかアンコモン
  • 2枚:赤のコモンかアンコモン
  • 2枚:緑のコモンかアンコモン
  • 1枚:多色のコモンかアンコモン
  • 1枚:アーティファクトか土地のコモンかアンコモン
  • 1枚:『基本セット2015』より前のカード
  • 1枚:『基本セット2015』以降のレアか神話レア
  • 1枚:コンベンション版はプレイテスト・カード、ストア版はフォイル・カード

 さて、これらのスロットについて解説しよう。

 各単色のスロット、多色のスロット、そしてアーティファクトと土地のスロットには、そこに含まれる可能性のあるコモンとアンコモンの長いリストが存在する。(ちなみに、ここには将来変更される可能性のあるカードも含まれる――例えば、《悪魔の教示者》は黒のコモン・アンコモンのシートに入っている!)黒でいえば、242種類のコモンとアンコモンがリストに含まれていて、それぞれが個別のシートに登場する。すべてのパックで、各シートから1枚のカードがパックに封入されることになる。これは単純な話だ。

 次は『基本セット2015』(以下「M15」)より前のカードのスロットだ。ここには、M15より前のカードの外枠を持つカードが当時の見た目そのままに印刷されている。そう、最初のマジックのカード枠も含まれているんだ! そのほとんどはレアで、そうではないとしても《水蓮の花びら》などの刺激的で懐かしいカードとなる。

 次はM15以降のレアか神話レアだ。これらはM15以降で用いられているセキュリティ箔押しスタンプ付きのレアだ。とはいえ、それは通常のパックからとは限らない――『統率者』デッキからであったり、『バトルボンド』のカードであったり、ともかく、どこからでもありうる。

 そして最後に、最終スロットだ。ここまでの14枚はすべて、Convention EditionとWPN versionで同一の規格になる。これらの違いについて先ほど触れたが、繰り返しておこう――Convention Editionのブースターではプレイテスト・カードが登場し、WPN versionではここでしか登場しない121種類分のフォイル・シートが利用される。

 これらのカードはすべて、一番最初にカードとして登場したときと全く同じような外見を持っている――その外枠も含めてだ。このセットは、それらのカードを数多く入手する大きな機会となる! それともちろん、唯一の違いとして、左下隅にプレインズウォーカー・シンボルが印刷されている。

 さて、これらのシートの感想はいかに? ああ、カードリストを見ればこのセットのすべてを知ることができる。とはいえ、私はみんなが何を知りたいのかわかっている。手に入るレア、神話レア、M15より前のカードには何があるのか? ああ、まとめておいたよ。

 これが1つのブースターで1枚入手できる、『基本セット2015』以降のすべてのレアと神話レアだ。

 収録される、『基本セット2015』以降のカードの一覧を見る(クリックで表示)

 そしてこれが1つのブースターで1枚入手できる、『基本セット2015』より前のすべてのカードだ。

 収録される、『基本セット2015』より前のカードの一覧を見る(クリックで表示)

謎めいたアート

 触れておきたいことがもう1つある!

 もともと私が考えていたものでは、プレイテスト・カードにアートは用意していなかった。実際のプレイテスト・カードはそうなっている。しかしアーロン・フォーサイスは、アートのないカードを使うという苦難にプレイヤーをさらす必要はない、と意見してくれた。(まじめな話、すごく大変なんだ!)そして彼は、ウィザーズの関係者で楽しくお絵かきをして、プレイテスト・カードが持つ遊び心を表現してはどうかと提案した。カードに特徴を与えるちょっとした落書きをだ。

 これらはとても面白く、それぞれのカードに個性を持たせることができた。

 さまざまなチームと何度も議論を重ねたが、最終的にはそれらのカードのイラストを描いた人物の名前はカードに記載しないことに決まった。その最大の理由の1つとして、マジックのカードに名前が掲載されることは、通常のマジックのイラストを担当しているアーティストにとって大変な名誉であり大事な要素だから、という点がある。2分ぐらいスケッチしただけの人とトッププロであるアーティストを同じように扱ってしまうことで、マジックのアーティストに与えられるアーティスト名の記載の権利を安っぽいものにはしたくなかった。

 とはいえ、それらについて記載はしておきたかった(編訳注:こちらのページで確認することができます:英語)。彼らなしでは完成できなかっただろうし、これによりこのセットはより個性的になった!

ミステリーをたしなむ

 ああ、『Mystery Booster』には魅力が詰まっている。これは私が長年温めていた製品アイデアであり、ようやくみんなと一緒に楽しめることに興奮しているよ。

 これから2020年が終わるまで、世界中のほぼすべてのマジックフェストでこれを体験できる――お届けするのが楽しみだよ! マジックフェスト・リッチモンドでは、ChannelFireballがドラフトの参加費を25ドルとしていた(参考として、同じくChannelFireballの『エルドレインの王権』ドラフトの参加費は20ドルだ)。25ドルでそれらを手に入れて、面白さを体験することができたんだ。

 そのほか多くのコンベンションでも体験できるだろう。12月にはすぐ「PAX Unplugged」というアナログゲームイベントが開催される――もしフィラデルフィアのこのイベントに参加する予定なら、ぜひ遊んでみてくれ! 私も参加するつもりなので、一緒にドラフトできることを願っているよ。

 そういったショウに参加できないとしても、来年3月13日にウィザーズ・プレイ・ネットワーク加盟店限定で販売が予定されているWPN versionを入手する機会がある。

 それまでの間は、これに関する様々な考えをぜひ私に聞かせてほしい。TwitterやInstagram、Tumblrで質問してくれてもいいし、メールを送ってくれてもいいので、いつでも伝えてくれ(編訳注:英語でお願いいたします)。送り先は下にある。

 私が週末のイベント会場で一番よく聞いた人々の会話? 「待ってくれ……これが入ってるのか!? まさか!」かな。あなたも同じ台詞を言う機会があるといいね。

 楽しんでくれ。また会おう!

――ガヴィン

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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