READING
翻訳記事その他
悪夢の才能
2019年8月8日
墓地は統率者戦において素晴らしいものだ。あなたが選択した伝説のクリーチャーが統率者領域に鎮座する一方で、戦場に出したほかのクリーチャーは攻撃し、ブロックし、そして死んでいく。マジックではいつもの光景だ。そして、それらのクリーチャーの2枚目や3枚目や4枚目を引いて再びプレイできるスタンダードやモダンとは違い、統率者戦では同じカードは1枚しか入れられない。
それゆえに、墓地からクリーチャーを戻せる手段はとてもよく用いられる。
あなたの「最高の」クリーチャーが何もせず墓地でたたずんでいるなら、それを戦場に戻す手段を用意したいのも当然の話だ。最強のクリーチャーを再び戦わせることで最高の働きを見せる統率者すら存在する。
当然ながら、クリーチャーを戦場に戻すいくつかの方法には、より大きなリスクが伴う。クリーチャーを戦場に戻す効果が効率的であったり、簡単に繰り返せるようなら、一般的にはそのマイナス面も大きくなっていく。いくつかの効果は自分のターンが終われば終了するし、戦場に一時的に出すだけの効果もある。それから、《狂気を操る者チェイナー》のようなものも存在する。
チェイナーは『トーメント』のカードで、まさに彼が巻き散らすものはその責め苦/Tormentだ。黒単色の統率者デッキならば{B}{B}{B}の支払いは容易であり、その後に起こすことを考えれば3点のライフは大したものでもない。そして誰かの墓地からクリーチャーを選べるため、自分がデッキに入れたカードと他人がデッキに入れた最高のカードの両方を最大限に活用できるわけだ。
ただ、チェイナーを倒されてしまうと、それらすべてを失ってしまうというちょっとした問題には対処しておく必要がある。
たとえ遅くとも、戻したものを失う効果に比べれば戻したクリーチャーを残せる効果のほうがより好まれているようだ。《掘葬の儀式》は、マナもかかるし他と比べれば遅いとはいえ、2体のクリーチャーを確実に戻せる。《再活性》は誰の墓地からでもクリーチャーを取り出せる上、ずっと戦場に残るようにしてくれるものの、より大きな(より良い)クリーチャーを戻すためにはさらに多いライフの支払いが求められがちだ。
今、チェイナーは彼が学んだことを示す機会を得た。《悪夢の達人、チェイナー》との対面だ。
悪夢の中のマッドネス
《悪夢の達人、チェイナー》はリアニメイト効果の手堅い組み合わせを提供してくれる。自分の墓地に限定されてはいるものの、その効果は永続的で、戻したクリーチャーに速攻をも持たせる。攻撃に参加させるにせよ(《悲哀の化身》のような)タップを含む起動型能力を使うにせよ、すぐにそのクリーチャーを利用できることを保証してくれるのは素晴らしい。
しかしチェイナーの能力を使うためのコストは安くなく、カードを1枚捨てる必要がある。対戦相手が2人、3人、それ以上いるとき、カードを余計に失うのは痛手だ。しかしあらかじめ、それを踏まえた計画を立てておけば問題にはならないだろう。『統率者(2019年版)』で登場する新たな――《悪夢の達人、チェイナー》の入った――黒赤デッキのメインテーマはマッドネスだ。
マッドネスは、呪文を唱えるための代替コストを持っていて、それはあなたが手札を捨てるときに機能する。マッドネスを持つカードを捨てたとき、それは墓地に置かれる代わりに追放領域に置かれ、マッドネス・コストを支払うと唱えることができる能力が誘発する。何かしらカードを捨てたいときにマッドネス・カードがあれば、すこぶる便利だ。
大型クリーチャーを見かけることの多い統率者戦のようなフォーマットにおいては、そういったものを除去できる《大物狙い》のような呪文は常に手札に残しておきたい。《大物狙い》は単体では1/1がついてくる《殺害》程度のものではあるが、これをチェイナーで捨てればたった黒マナ1つで使えるわけで、期待以上の出来と言えよう。今回の新デッキに使えそうなマッドネス呪文はいくつもある。
そのうえ《愚者の知恵の呪い》のような、新しいものもあるのだ。
マッドネスといえばクリーチャーやコンバット・トリックとして使えるものというイメージだが、対戦相手を呪うためのエンチャントとなると全く趣が違う。《愚者の知恵の呪い》は追加のカードを引くプレイヤーに追いつくためのものではない――むしろあなたは《狂気を操る者チェイナー》のようなもので追加のライフを支払うことを望むだろう!――しかし対戦相手が使う《永劫のこだま》や《リスティックの研究》のようなカードの効果に干渉するのだ。
何度か2点のライフを失っても大したことはないが、7枚引けば一気に14点のライフを失うことに気づくだろう!
このようにして狂気はある
マッドネスと《悪夢の達人、チェイナー》の準備は万端、ほかに必要なのは多くのマナと多くのカードだけだ。いったん土地と(《耽溺のタリスマン》、《統率者の宝球》、そして《マナ晶洞石》などの選択肢がある)マナ・アーティファクトを十分確保すれば、追加で引いたカードはいつでもいきなり墓地にある最高のクリーチャーに化ける。
素晴らしいクリーチャーを採用してデッキを組み上げれば、対戦相手に悪夢を見せてあげられることだろう。『統率者(2019年版)』は8月23日発売予定だ。甘い夢を見る準備はいいかな?
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)
RANKING ランキング
-
戦略記事
とことん!スタンダー道!ゴルガリ・ランプと『ファウンデーションズ』の注目カード(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
戦略記事
世話人型白単コントロール、『ファウンデーションズ』の注目カードは?(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
戦略記事
今週のCool Deck:イゼット厄介者で機織りの季節を楽しもう(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
広報室
年末はカジュアルにマジックを楽しもう!11月15日より特別なフレンドリーイベント&キャンペーン3種を開催|こちらマジック広報室!!
-
読み物
第50回:『ファウンデーションズ』統率者ピックアップ|クロタカの統率者図書館
NEWEST 最新の読み物
-
2024.11.21戦略記事
とことん!スタンダー道!難解パズルなカワウソ・コンボ(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.11.20戦略記事
緑単アグロ、原初の王者の帰還!(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.11.19戦略記事
ボロス・バーン:基本セットと火力の関係(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.11.18戦略記事
世話人型白単コントロール、『ファウンデーションズ』の注目カードは?(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.11.15戦略記事
今週のCool Deck:イゼット厄介者で機織りの季節を楽しもう(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.11.15お知らせ
MTGアリーナニュース(2024年11月11日)|お知らせ
CATEGORY 読み物カテゴリー
戦略記事
コラム
読み物
BACK NUMBER 連載終了
- Beyond the Basics -上級者への道-
- Latest Developments -デベロップ最先端-
- ReConstructed -デッキ再構築-
- Daily Deck -今日のデッキ-
- Savor the Flavor
- 射場本正巳の「ブロールのススメ」
- 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
- 浅原晃の「プレミアイベント三大チェックポイント!」
- ガフ提督の「ためになる」今日の1枚
- 射場本正巳の「統率者(2017年版)のススメ」
- かねこの!プロツアー食べ歩き!
- ロン・フォスターの統率者日記
- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
- マアヤのマジックほのぼの日記
- 金子と塚本の「勝てる!マジック」
- 射場本正巳の「統率者(2015年版)のススメ」
- 週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
- なかしゅー世界一周
- 中村修平の「デイリー・デッキ」
- 射場本正巳の「統率者(2014年版)のススメ」
- 中村修平の「ドラフトの定石!」
- 浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
- 鍛冶友浩の「プロツアー観戦ガイド」
- ウィザーズプレイネットワーク通信
- Formal Magic Quiz
- 週刊デッキ構築劇場
- 木曜マジック・バラエティ
- 鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」
- 鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
- 渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
- 「明日から使える!」渡辺リミテッド・コンボ術
- 高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
- 高橋優太の「このデッキを使え!」
- 黒田正城の「エターナルへの招待」
- 三田村リミテッド研究室
- 新セットめった切り!
- シングルカードストラテジー
- プレインズウォーカーレビュー
- メカニズムレビュー
- その他記事