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『チャレンジャーデッキ2019』
2019年3月18日
『チャレンジャーデッキ2019』は2019年4月12日に発売され、メーカー希望小売価格は3,500円(税別)です。全世界で英語版が発売されますが、日本では日本語版も発売されます。
チャレンジャーデッキは、スタンダードの入門に最適な製品です。カード75枚入りの4種類の製品は、それぞれスタンダードに存在する強力な戦略をもとに作られています。きっとフライデー・ナイト・マジックでスタンダードを楽しむための第一歩となるでしょう。
各チャレンジャーデッキはメインデッキ60枚とサイドボード15枚を備えており、箱から出してそのまま戦うことができます。収録されているカードはすべて、スタンダードで使える範囲のものです。
やあみんな。私はドナルド。今年の『チャレンジャーデッキ』のリード・デザイナーだ。みんなの中には、世界選手権2017で披露した《ずる賢いゴブリン》搭載型赤単の使用者として、あるいはアレン・ウー/Allen Wuとともに昨年の『チャレンジャーデッキ』のデザインを率いた者として、私のことを知っている人がいるかもしれない。
ここでは、今年の『チャレンジャーデッキ』について、私たちがデザインしたデッキの制作秘話などを少しだけ話そう。まずはこの場をお借りして、さまざまな意見をくれてデッキの制作を手伝ってくれたマイケル・メジャース/Michael Majorsとプレイ・デザイン・チームのみんなに感謝を述べておきたい。
さて、昨年の『チャレンジャーデッキ』が成功した最大の理由は、それらが「信頼できるもの」であったことだ。どのデッキリストも当時のプレミア・プレイで上位に入賞したリストをもとに作られており、今回の『チャレンジャーデッキ』でもその信頼性を再現することを目標にした。しかし今回は、『ラヴニカの献身』の存在によって、前回にはなかった難題に直面することになった。今回のデッキをデザインしたのはプロツアー『ラヴニカのギルド』の頃で、『ラヴニカの献身』が環境に与える影響を正確に把握できなかったのだ。たとえスタンダードに導入される『ラヴニカの献身』の強力なカードの数々を考慮に入れないとしても、「ショックランド」(《血の墓所》、《繁殖池》、《神無き祭殿》、《神聖なる泉》、《踏み鳴らされる地》)の存在だけでスタンダードにおける3色デッキの可能性は無限に広がる! 実際には3色の組み合わせは全部で10種類しかないものの、それでも私たちは『ラヴニカのギルド』時点での既存のデッキやギルドに専念することに決めた。『チャレンジャーデッキ』は箱から出してすぐに戦えるものであり、『ラヴニカの献身』によって一線級になるギルドや3色の組み合わせを想定して作るのは、リスクが高すぎた。それは、最適なマナ・カーブを見誤って3マナ域のカードを入れすぎるとデッキが機能しなくなってしまうのと同じくらい明白なことだったのだ。
それでは、各デッキリストを詳しく見てみよう!
21 《平地》
-土地(21)- 4 《不屈の護衛》 4 《癒し手の鷹》 4 《レオニンの先兵》 4 《空渡りの野心家》 1 《追われる証人》 4 《アダントの先兵》 4 《アジャニの群れ仲間》 4 《ベナリアの軍司令》 -クリーチャー(29)- |
2 《軍団の上陸》 3 《征服者の誇り》 2 《ベナリア史》 3 《議事会の裁き》 -呪文(10)- |
3 《善意の騎士》 2 《トカートリの儀仗兵》 1 《悔恨する僧侶》 3 《防御牝馬》 3 《不可解な終焉》 2 《抗戦》 1 《議事会の裁き》 -サイドボード(15)- |
白単色デッキの「連帯する突撃」の制作にあたっては、多種多様な選択肢があった。プロツアー『ラヴニカのギルド』では《短角獣の歩哨》や《レオニンの先兵》、《空渡りの野心家》、《追われる証人》、《不屈の護衛》、《癒し手の鷹》、そして(トラスティ・ラスティこと)《錆色翼の隼》など、さまざまな白の1マナ・クリーチャーたちが大活躍を見せ、注目されていたのだ。そしてプロツアー後にメタゲームが進むにつれて、それらの採用枚数は変化していった。特筆すべきは、《轟音のクラリオン》がコントロール・デッキの主力となり、《ゴブリンの鎖回し》の採用率が減るとともに、《追われる証人》と《短角獣の歩哨》が《錆色翼の隼》を差し置いて広く使われるようになっていった点だ。
私たちは、プロツアー『ラヴニカのギルド』におけるルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasの準優勝デッキをもとに「連帯する突撃」を制作することに決めた。このデッキが発売される時点のメタゲームについて、私たちが推測しなければならない部分が最小限だったからだ。ルイス・スコット=ヴァーガスのデッキには必要なものがすべて含まれていて、非常にまとまりのある白ウィニーに仕上がっており、メタゲームの影響を最小限に留めることができるのだ。
このデッキを強化するなら、『ラヴニカの献身』の《徴税人》と《不敗の陣形》がおすすめだ。コントロール・デッキ相手に素晴らしい力を発揮してくれるだろう! それから、《暴君への敵対者、アジャニ》や《敬慕されるロクソドン》も白ウィニーに人気のカードだ。あとは、1マナ域の構成をいろいろと試してみてほしい。対戦相手に《ゴブリンの鎖回し》をプレイされる頻度に合わせて、《追われる証人》や《短角獣の歩哨》、《錆色翼の隼》の枚数を調整しよう。そして、青や赤を加えてみるのもいいだろう。青を足せば《拘留代理人》や打ち消し呪文を採用でき、干渉手段が得られる。赤を足せば《英雄的援軍》などを採用でき、攻撃の爆発力を高められるだろう。
22 《山》
-土地(22)- 4 《狂信的扇動者》 4 《ギトゥの溶岩走り》 4 《遁走する蒸気族》 4 《ヴィーアシーノの紅蓮術師》 4 《ゴブリンの鎖回し》 1 《再燃するフェニックス》 -クリーチャー(21)- |
4 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 2 《溶岩コイル》 1 《苦悩火》 4 《魔術師の稲妻》 2 《実験の狂乱》 -呪文(17)- |
4 《金剛牝馬》 4 《稲妻牝馬》 4 《火による戦い》 3 《焦熱の連続砲撃》 -サイドボード(15)- |
赤単色の「稲妻の猛攻」は、『ラヴニカのギルド』当時のメタゲームを見る限り「連帯する突撃」よりずっと予測が立てやすく制作しやすいデッキだった。それでも私たちは、強力な「絢爛」カードと追加されるギルドがこのアーキタイプに影響を与えることを意識していた。最適な呪文構成を見誤り(最適な呪文構成についてはいまだに議論が続いているが)、デッキを台無しにしてしまう事態を避けるため、私たちはすでに高い実績を誇っていた《魔術師の稲妻》と《遁走する蒸気族》、そして《実験の狂乱》のセットを変えないことに決めたのだった。
このバーン・デッキで他のカードを試してみたいなら、何よりもまず《舞台照らし》や《批判家刺殺》、《危険因子》をおすすめしよう。それから、緑や黒を加えるのも検討してみてくれ。緑を加えて《燃えがら蔦》や《争闘 // 壮大》のようなカードを使いたいなら、ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019におけるアレックス・マイラトン/Alex Majlatonのデッキが良いスタート地点になるだろう。君が私と同じ「ラクドスのギルド魔道士」なら、《リックス・マーディの歓楽者》や《恐怖の劇場》、《興行 // 叩打》、そして私のお気に入りの同系対策《君主の一噛み》をぜひ試してみてくれ。
8 《森》 6 《沼》 1 《草むした墓》 2 《森林の墓地》 4 《ゴルガリのギルド門》 2 《愚蒙の記念像》 -土地(23)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《マーフォークの枝渡り》 4 《探求者の従者》 4 《野茂み歩き》 2 《管区の案内人》 2 《翡翠光のレインジャー》 1 《疫病造り師》 3 《ゴルガリの拾売人》 3 《貪欲なチュパカブラ》 -クリーチャー(27)- |
4 《喪心》 3 《最古再誕》 2 《採取 // 最終》 1 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -呪文(10)- |
2 《クロールの銛撃ち》 2 《再利用の賢者》 4 《強迫》 2 《アルゲールの断血》 3 《黄金の死》 2 《殺害》 -サイドボード(15)- |
黒緑の「死に到る発見」も、制作に苦戦したデッキだった。各マナ域で最適なカードについては統一された意見がなく、毎週のように変わるほどだった。そこで私たちは、「連帯する突撃」のときと同様に、このデッキが必要とする「探検」パッケージ――《野茂み歩き》とその仲間たち、つまり《マーフォークの枝渡り》や《探求者の従者》、《翡翠光のレインジャー》をしっかり揃えることにした。その他の部分は、このデッキにさまざまな選択肢を持たせられるように仕上げた。
デッキを変化させることにおいては、このデッキが一番多くの可能性に満ちている。《ウルザの後継、カーン》や《ゴルガリの女王、ヴラスカ》、《ビビアン・リード》といったプレインズウォーカーを増量したミッドレンジの形も良いし、《僧帽地帯のドルイド》や《培養ドルイド》などのマナ加速を行うクリーチャーを採用して《殺戮の暴君》や《破滅を囁くもの》の力を最大限に引き出すのも良いだろう。また、このアーキタイプでは《真夜中の死神》の姿もときどき見受けられる。それから、《ハイドロイド混成体》と《人質取り》の存在は多くのプレイヤーが青をタッチする動機になっているし、青を加えればサイドボードに打ち消し呪文を搭載することもできる。また、《腐れ巨人》(《愚蒙の記念像》との相性も最高だ)や《千の目、アイゾーニ》を活かす「宿根型」というのもある。
8 《島》 7 《山》 3 《硫黄の滝》 4 《イゼットのギルド門》 -土地(22)- 4 《ゴブリンの電術師》 4 《弾けるドレイク》 2 《つぶやく神秘家》 1 《弧光のフェニックス》 2 《パルン、ニヴ=ミゼット》 -クリーチャー(13)- |
4 《選択》 4 《ショック》 2 《潜水》 4 《航路の作成》 4 《溶岩コイル》 4 《急進思想》 1 《一瞬》 1 《標の稲妻》 1 《ミラーリ予想》 -呪文(25)- |
2 《シヴの火》 3 《否認》 2 《軽蔑的な一撃》 3 《焦熱の連続砲撃》 1 《標の稲妻》 1 《ミラーリ予想》 3 《幻惑の旋律》 -サイドボード(15)- |
青赤の「秘儀の手数」もまた、メタゲームの進行に伴って多くの変更が行われてきたデッキだ。《ゴブリンの電術師》の枚数は常に変わり、《奇怪なドレイク》と《弾けるドレイク》の枚数は同じだったり片方が多かったりと定まらず、そしてときどき《つぶやく神秘家》や《パルン、ニヴ=ミゼット》、《ミラーリ予想》といったカードの姿も見受けられた。その中で私たちは、チャレンジャーデッキのアーキタイプにも多様性を持たせるため、メインデッキを《パルン、ニヴ=ミゼット》と《つぶやく神秘家》採用のコントロール寄りの形にした。制作に際して大いに参考にさせてもらったのは、プロツアー『ラヴニカのギルド』で9勝1敗という好成績を収めたパスカル・フィーレン/Pascal Vierenの「イゼット・ドレイク」だ。
よりアグレッシブなテンポ戦略を楽しみたいなら、《プテラマンダー》や《奇怪なドレイク》、《呪文貫き》を加えてみよう。デッキをいじる場合は、「StarCityGames.com Invitational」におけるアンドリュー・ジェサップ/Andrew Jessupの優勝デッキ(リンク先は英語)やミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019でトップ8に入賞したルイス・スコット=ヴァーガスのデッキを参考にしてみてくれ。このアーキタイプも自由度が高くて面白いぞ!
今回のチャレンジャーデッキの制作はかなり骨の折れるものだったが、それぞれの仕上がりには満足している。みんなの意見をぜひ聞きたいから、Twitterで(英語で)話しかけてくれ。今回のチャレンジャーデッキはどう? もちろんプレイ・デザインの一員として、スタンダードやリミテッド全般の意見も大歓迎だ!
それでは、楽しんでくれ!
――ドナルド・スミスJr./Donald Smith Jr. (@donaldwsjr)
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