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翻訳記事その他
予知覚
2019年1月3日
長い間、語っていません。私が「Latest Developments -デベロップ最先端-」の記事を書くのを止めてから1年ちょっとが経ち、私はそれを時々寂しく思いながらも、『ラヴニカの献身』のようなすごいセットに取り組んだりといった他の仕事に本当に興奮していました。入社するずっと前からラヴニカを愛していた人間として、ラヴニカのセットでリードを務め、他の有能なデザイナーたちと一緒にギルドに命を吹き込むための仕事ができるということはものすごく名誉なことでした。加えて、私がリードした中には全ギルドの中で最も素晴らしいラクドスがあったのです!
しかしこの記事はそれだけではなく、もっと多くのこと、セット全体を組み立てるために取り上げたちょっとした展望や、ギルドのメカニズムとプレイパターンに焦点を当てています。
ギルドのセットを作る
『ラヴニカのギルド』を引き継ぐという作業には多くのデメリットがありましたが、また多くのメリットもありました。この2つのセットはお互いとても緊密な連携をとって製作され、エリック・ラウアー/Erik Lauerが先陣を切って私にこのセットの本当に素晴らしい出発点を与えてくれたことにとても感謝しています。
最大のメリットは『ラヴニカの献身』の構造の多くを『ラヴニカのギルド』が設定した形式から取ることができたことです。最大のデメリットはこのセットの構造の多くを『ラヴニカのギルド』が設定した形式から取らなければならなかったことです。まさしく諸刃の剣です! 幸運にも、『ラヴニカのギルド』のサイクルはよくできていて、その多くは『ラヴニカの献身』でも見かけられます。幸運なことに、それらだけでなく追加のサイクルと個別のカード・デザインのための多くの余地もありました。
ラヴニカのセットでギルドのメカニズムを作ることは、通常のマジックのセットでメカニズムを決定するのとは少し異なっています。その最大の利点は各メカニズムは2色にしか存在せず、また限られた枚数しかないので、すごく深いメカニズムでなくても使うことができることです。通常のセットでメカニズムに8枚しかデザインがなかったとしたら大問題ですが、ギルドのセットでは完璧な数字です。
その一方で、特定の3色デッキとどちらのギルドでの戦略でも使える単色カードを作るため、ギルドのメカニズム間には厳密に管理された重なりが必要になることはかなりのデメリットです。これはしばしば、クールなメカニズムを見つけても、他のギルドとうまく重ならないということになります。
展望デザインと初期のセット・デザインのころに、対戦相手にカウンターを与えて、マナで精算するか、さもなくば毎ターンダメージを受けるかを選ばせるというフレーバー的に素晴らしい働きをした、負債というオルゾフのメカニズムがありました。我々はいくら払うか、そして対戦相手にいくつカウンターを与えるかをさまざまな組み合わせで試しました。
我々が苦労した点は2つありました。最も基本的なものは、ラクドスとアゾリウスの両方に重なって機能する数字を見つけ出すことでした。一般的に、我々がオルゾフのデッキに適したメカニズムを作った場合、片方のギルドでは役に立たず、もう片方のギルドでは強すぎるのが普通でした。このメカニズムはそれ自体にいくつか苦労する点を抱えていましたが、突き詰めると隣のギルドと重ならないという事実によって我々はこれをボツにしました。幸運にも、我々はこれらの要求すべてに適合し我々が探しているゲームプレイの深さが可能になったメカニズムを見つけることができました。
アート:Chris Rallis |
メカニズム的重なり
オルゾフとラクドス
この2つのデッキを重ねる上で良い点は、ラクドスがアグレッシブなクリーチャーの他に生け贄と多くの除去を好む傾向にあることです。オルゾフとはこれらの全く同じ部分を特徴として共有しているので、我々はそれを強調できるメカニズムを必要としました。死後はこの2つの接着剤で、死亡すると回避能力を持った1/1になることができ、ラクドスのデッキが絢爛を達成して1ターンで大きく局面を動かすか、(ゲームの後半で)通常のマナ・コストより重くて追加の効果を得る絢爛コストを払ってカードをプレイできるようになります。
ラクドスとグルール
これら2つは『ラヴニカの献身』で最もアグレッシブなギルドなので、自然とこれらの重なりはアグレッシブなデッキの中にあることが求められました。ラクドスのメカニズムである絢爛は実際に最初はグルールのメカニズムでしたが、カード・デザインを強襲や狂喜の派生のように感じさせないようにすることに苦労しました。
大きな問題のひとつは、緑が現実的に戦闘後に唱えたいような効果を持っていなかったことですが、黒ではそれがとても簡単に見つかりました。そのため我々は色の入れ替えを行い、そうしたことで我々ははるかに楽しいカードが作ることができたと確信しています。
暴動に関する最大の疑問のひとつは、どれぐらいの頻度で+1/+1カウンターを置くことよりも速攻が選ばれるかということでした。赤いデッキにそれを促進する方法のひとつは、暴動を持ったクリーチャー(攻撃誘発を持っていることもあります)をプレイして速攻を選び、戦闘後に絢爛カードをプレイすることにより、予想外に爆発的な動きのターンを得る機会を与えることでした。ドーン!
グルールとシミック
これはおそらく最も明白でメカニズム的な重なりがあるギルドの組み合わせです。 シミックは+1/+1カウンターを取り扱っています。まあ、大量にです。過去2つのメカニズムである移植と進化はそれに関するものでした。つまり、この2つのギルドを重なり合わせる簡単な方法は、グルールのメカニズムと+1/+1カウンターを結びつけることだということです。
我々は+1/+1カウンターに干渉したり扱ったりするカードを簡単に作ることができて、そしてあなたはグルールのクリーチャーに速攻ではなく+1/+1カウンターを置くことを選べばそのボーナスを簡単に得ることができるのです。
シミックが少し遅いギルドであることを考慮すると、その通常のプレイパターンによく合うだけでなく、グルールの大きいクリーチャーがすべてである部分ともよく合います。今回のバージョンのラヴニカでは、この重なりのシミックの部分はゲーム後半に大きくなれる軽いクリーチャーであり、グルールの部分は最大級のファッティを出すことです。
アゾリウス
アゾリウスは我々がこのセットで意味のあるメカニズム的な重なりと適正なメカニズムを見つけるのに最も苦労した部分です。その問題の一部は、楽しい白青のメカニズムはたくさんあっても、クリエイティブ的にアゾリウス議事会の行いに合致してなおかつ楽しめるメカニズムはごくわずかしかないということでした。お役所仕事をトップダウンで表したメカニズムを深く掘り下げているうち、免許更新であった最悪に面倒くさいことをかなり思い出してしまいました。
アゾリウスのメカニズムの究極の目標は、シミックの適応コストを支払うことの多様性と、オルゾフの細かく削っていくゲームプレイとうまくいくことです――そしてカラー・パイの白青の重なりにうまくできて、筋の通ったクリエイティブ的な独自性を持っていることです。
我々が採用したのは、アゾリウスがゲームのプレイのペースを支配しようとするフレーバーを表し、ソーサリー速度でプレイすることでアドバンテージを得ることができ、インスタント速度で唱える選択肢もある附則でした。
我々がデザインできると分かっていた最初のカードのひとつは、構築フォーマットで使える可能性がある強力なドロー呪文でした。つまり、通常はインスタントですが、メイン・フェイズに何かを探しにいく必要があるか、すでに打ち消し呪文を構えておくマナが余っている場合におまけがついてくるというものです。それでは《予知覚》をご紹介します。
このメカニズムのアゾリウス向けの扱い方を掴んだら、次は他のギルドと連携させる方法を考え出す段階です。
オルゾフとアゾリウス
オルゾフの死後は2つの主な技能を持っています。1つは生け贄のための餌を作り出すことですが、もう1つは複数回のブロックを可能にすることです。ここでの重なりのために、我々は、死後を持つクリーチャーのおかげで除去やコンバット・トリックを構える必要なしにブロックして次のターンに生き残ることができ、附則ボーナスを最大限に得ることができるという状況が頻繁にできるという事実を活かそうと考えました。追加のメリットとして、白青は最も飛行クリーチャーが多い色なので、そのクリーチャーですぐにゲームを終わらせることはできませんが、アゾリウスが好むプレイのペースで終わらせることになります。
アゾリウスとシミック
一方でシミックは、附則の多用途さを扱います。『テーロス』の怪物化コストはとても大きなクリーチャーについていたのでとても重い傾向にありました。今回はクリーチャーが最初は小さめなので、我々には軽めや中ぐらいの適応コストの選択肢が多くありました。またこれはゲームのより多くの局面で、対応的な性質の附則カードか誘発型能力を持つ適応クリーチャーを構えることができ、実際にプレイしたいものを見ることができるということになります。数ターン先のゲームプランを考える必要はなく、その場で考えて対戦相手の動きに最善だと思われるプレイで対応することができます。
私はセット・デザイン・チームのメンバーおよびウィザーズ・オブ・ザ・コースト社内のさまざまな人たちが『ラヴニカの献身』を現実のものにするためにした、すべての仕事を本当に誇りに思っていて、そして皆さんが1月19〜20日にプレリリースでこのセットをプレイしたときに同じ気持ちになることを願っています!
それではまた次の機会に。
サム
(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)
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