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スカルガンのヘルカイト

Michael Majors
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2019年1月3日

 

 スタンダードがローテーションしたことで、短い期間ではあるけれど、今は《栄光をもたらすもの》のような打撃力のある速攻持ちドラゴンがいない状態だ。『ラヴニカのギルド』に含まれるギルドではそれをお届けできなかったけれど、『ラヴニカの献身』のグルールなら、十分その期待に応えられるよ。

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 《スカルガンのヘルカイト》は確かに元から速攻能力を持っているわけではないけれど、グルールの新しいキーワード能力である「暴動/Riot」は、このドラゴンを基本的に4/4の飛行・速攻持ちクリーチャーにできる。これはさっき挙げた《栄光をもたらすもの》や《嵐の息吹のドラゴン》のような、過去のスタンダードで脚光を浴びたクリーチャーたちに見られたステータスと同等だ。

 暴動は、一見すると比較的単純なメカニズムだ。速攻を持たせて今すぐ大きなダメージを稼ぎたいのか、それとも+1/+1カウンターを置いてのちのち戦場に大きな影響を及ぼすことを望むのか?

 とはいえ、マジックにおいては、その判断が一筋縄ではいかないことはご存知の通りだ。そして、こういった一見シンプルなカードでも、考えることがたくさんあるという状況が起こりうるんだ。

 《スカルガンのヘルカイト》に速攻を持たせない場合、ダメージを与えられるようになるまで1ターン遅れてしまう。しかしそうしたなら、まずサイズが大きくなるし、マナをつぎ込む先として、戦場の小型クリーチャーを威圧する強力な能力も得られる。

 この《チャンドラの螺旋炎》能力は、ブロックで時間を稼ごうとしてくる小型クリーチャーを排除しつつ強力な神話レア(というかプレインズウォーカー)にダメージを通せるため、素晴らしいと言える。

 ヘルカイトの起動型能力はまた、戦闘において興味深い数学的判断を要求する。速攻を持たせて3ターン攻撃すれば、無防備な相手に12点のダメージを与えることが可能だ。しかし+1/+1カウンターを置いて、攻撃と能力起動を2ターン行うと、合計のダメージは14点になる。

 つまるところ、《スカルガンのヘルカイト》は1枚のカードに柔軟性とパワーの両方を詰め込んだものだ。相手が土地をすべてタップしている間に対戦相手のプレインズウォーカーを暗殺してしまいたいのか、それともここから先の対戦相手の展開を封じ込めたいのか? 今すぐにダメージを与える代わりに、戦場により大きなクリーチャーを送り込むことは可能だが、対戦相手に除去呪文を使われてしまう危険性を受け入れられるのか?

 次のターンの展望は? 他の強力な暴動クリーチャーを脅威として展開し続けるつもりなのか、それとも我がドラゴンにマナを投資していく予定だろうか?

 これまでに活躍してきたドラゴンは、多くの場合、戦場に出せたときはすぐさま成果が得られるようにデザインされていた。しかし《スカルガンのヘルカイト》は、将来の可能性に対して即時的な価値がいかほどかを判断するように促すんだ。

 《スカルガンのヘルカイト》はどんなデッキに入るだろうか?

 さまざまなデッキで役目が持てるだろう。

 速攻を持つ大型ドラゴンは、アグレッシブ・デッキのマナ・カーブの頂点に置くにふさわしいカードとして、そしてミッドレンジ戦略の最も重要な位置を占める存在として、これまでに何度もその素晴らしさを証明してきた。《スカルガンのヘルカイト》はどちらの戦略であっても、マナの引きすぎに対する優れた予防線になる。

 そのうえ、《スカルガンのヘルカイト》の能力は、ランプ戦略の中核となる可能性もあるんだ。

 《スカルガンのヘルカイト》はあらゆるプレイヤーにきっと何かをもたらしてくれる。

 単に速攻持ちの巨大な飛行クリーチャーで対戦相手を叩きのめしたいだけ?

 戦場を支配できる大型モンスターが欲しい?

 複雑な戦略性とそれにかかる選択の決断に興味がある?

 《スカルガンのヘルカイト》は、あなたのための新しいドラゴンだ。

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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