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死の宿敵、ソリン
死の宿敵、ソリン
Luis Scott-Vargas / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa
2016年3月17日
どのセットにおいても、新しいプレインズウォーカー・カードを目にする瞬間にプレビュー期間で最大の盛り上がりがあると言っていいだろう。プレインズウォーカーは様々なデッキや色の組み合わせ、戦略においてその力を振るい、その環境を定義してしまうこともある。《太陽の勇者、エルズペス》は、これが使用できた全期間を通して、スタンダードに影響を与えるカード上位5枚に入り続けた。6マナという重いコストにも関わらず、その偉業を成し遂げたのだ。そして偶然にも(いや必然かな)、本日私から紹介するカードもまた「同じく」6マナであり、かなりのパンチ力を持っている。
それでは早速、《死の宿敵、ソリン》を見てみよう。
6マナというコストは重いものだが、それに見合うだけの力が手に入るだろう。現在のスタンダードで《炎呼び、チャンドラ》が活躍しているところを見ると、プレインズウォーカーが多く使われるマナ域は4マナから6マナになっているのかもしれないね。
では能力をひとつずつ見ていこう。
+1:あなたのライブラリーの一番上のカードを公開し、そのカードをあなたの手札に加える。各対戦相手はそれぞれ、それの点数で見たマナ・コストに等しい点数のライフを失う。
《闇の腹心》で《引き裂かれし永劫、エムラクール》をめくってしまった人にとって(これは実話だ)、ライフを失うのが対戦相手というのは実に朗報だね。この能力の肝は「そのカードをあなたの手札に加える」の部分だが、何のコストもなく相手のライフを失わせることができるのも決して無視できないだろう。加えて、ゲームが長引けば長引くほどライフを失わせる効果の価値は高まり、《死の宿敵、ソリン》で止めを刺すということも十分に期待できる。
毎ターン、カード・アドバンテージを取れる能力がひとつある、というのは大事なことだ。これにより、《死の宿敵、ソリン》は盤面に何もなくとも活躍できる。それから、この能力で公開するために10マナの呪文を採用するようなロマンあふれるデッキも作れるだろう。(《破滅の伝導者》と組み合わせるのはどうかな?) ちょっとロマンに過ぎるか。
-X:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を対象とする。死の宿敵、ソリンはそれにX点のダメージを与え、あなたはX点のライフを得る。
この防御的な能力が鍵となるだろう。自身を守れる能力は大切だ。ソリンは「防御は最大の攻撃」であることを熟知しているようだね。また、《死の宿敵、ソリン》は対戦相手のプレインズウォーカーを倒すこともできる。《死の宿敵、ソリン》をプレイしてクリーチャーかプレインズウォーカーを除去するだけで、いとも簡単に2対1交換を取りライフまで回復できるのだ。初期忠誠度が6もあるため、彼は大抵の相手を一方的に除去できるだろう。強烈な切り札となるはずだ。
一方、《死の宿敵、ソリン》が最も弱い場面は、複数の脅威に盤面を押されているときだ。[-X]能力でも1体しか対処できず、忠誠値が減った状態で対戦相手の攻撃を受けることになる。3/3のクリーチャーが2体いるだけで倒されてしまうし、2/2が2体でもかなりのプレッシャーを受けることだろう。その点においてこのカードは《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》と似ていて、《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》はけっこうな数が採用されている。実際のところ、《死の宿敵、ソリン》は《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》をひと回り大きくして強化したものと言えるだろう。《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》の能力を持ち、それらが少し良いものになっているのだ(カードを手に入れる際のライフ損失がこちらではなく相手に。ライフを回復する手段を持つ。プレインズウォーカーも除去できる)。
-9:すべてのプレイヤーの中で最も多いライフの総量に等しい数の、絆魂を持つ黒の1/1の吸血鬼・騎士・クリーチャー・トークンを戦場に出す。
ほとんどのプレインズウォーカーと同様に、《死の宿敵、ソリン》が持つ力の大半は最初のふたつの能力に集約されている。奥義も起動できれば強烈なのだが、これを起動するころにはすでにかなり有利な状態にあるだろう。1/1絆魂の群れが波のように押し寄せる光景は私も好きだが、そうそうお目にかかれるものではないだろう。
さて、以上の能力を持つ《死の宿敵、ソリン》はどのように使われるだろうか?
新セットの登場にとってどんなデッキが影から現れるのか、正確なところは分からないが、《死の宿敵、ソリン》と組み合わせやすい黒や白のコントロール向けカードは多くある。ゲームを長引かせることを狙うデッキなら相性が良く、特にこのカードが着地する前にクリーチャーを展開できるようなデッキが望ましいだろう。《ゲトの裏切り者、カリタス》はぜひ使いたいし、《永代巡礼者、アイリ》もブロッカーとして悪くない。
それから6マナのカードを採用するなら土地を多く採用し、ドロー手段も欲しいところだ。そこで《苦い真理》の出番だ。マナ基盤については《汚染された三角州》などの「フェッチ・ランド」なしでは安心できないものの、《苦い真理》を活かせるマナ基盤は色々と作れると思う。また《死の宿敵、ソリン》なら《苦い真理》で失ったライフを取り戻すことができるし、カードを引き過ぎて困ることなんてないからね。
新たなスタンダード環境では、ミッドレンジ・デッキの同系戦が多く見られると私は予想している。とりわけ《先祖の結集》が去るため、《死の宿敵、ソリン》のようなカードがミッドレンジに対して有利を取る手段となるのは間違いないだろう。
そして私は、モダンで《死の宿敵、ソリン》から《引き裂かれし永劫、エムラクール》をめくるデッキ(今度は15点喰らうのが対戦相手だ)が登場することにもまだ希望を捨ててはいない。まあ、その可能性はかなり厳しいだろうけれど。とはいえ、《死の宿敵、ソリン》は強力なカードであり、その活躍を目にする機会は十分にあると思う――不安定なコンボの一部としてじゃなくてもね。
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