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爪をくらえ
爪をくらえ
Jacob Van Lunen / Tr. Masashi Koyama / TSV Yusuke Yoshikawa
2014年9月4日
DailyMTGのMagic Online特集記事「Perilous Research」へようこそ。『タルキール覇王譚』のプレリリースが早くも迫ってきた。ここでは、いよいよその中から新たなカードを垣間見る機会を手に入れた。今回は、『タルキール覇王譚』のエキサイティングなプレビューカードについて検討してみよう。
《火の玉》はこれまでに印刷されたマジックのカードの中でも最も象徴的なもののひとつだ。20年以上もマジックプレイヤーたちは赤いデッキを使う対戦相手の土地を数え、そこから1を引いて、その結果チャンプブロックを行ってきた。ソーサリーのX点火力はこのゲームの歴史上、構築においても、そしてリミテッドでは話にならないほど圧倒的に成功を収めてきたツールであった。
残念ながら、構築戦のクリーチャーたちが巨大化してきている世界においてX点ダメージ呪文は以前ほど効果的ではなくなってきている。今では、対戦相手の3マナクリーチャーを殺すために、X点火力はしばしば5マナを必要とするのだ。出し抜けに対戦相手を殺すことができる可能性、というのは魅力的ではあるが、ゲームの最後のターンまでぼんやりと手札に居座っているようなカードを構築デッキに入れることは厳しいものだ。
それでもなおX点ダメージ呪文の魅力というのは抗いがたいものがある。対戦相手の残りライフより多くの土地を戦場に置きながら負ける、というゲームは数え切れないほどある。こういったことが起こるたびに、巨大なX点火力を発射して勝利を手に入れられたら、と夢見ることになる。
さらに最近では、いくつかの大きなメリットを持ったX点ダメージ呪文を目にすることがあった。《小悪魔の遊び》は構築でそれなりに成功を収めた。だが、《スフィンクスの啓示》が印刷されるやいなや、取るに足らないものとなってしまった。今、《スフィンクスの啓示》がローテーションによりスタンダードから退場することで、最大級の火力呪文はもう一度検討材料になるだろう。
我々は{X}{R}によるX点ダメージ以上のものを欲している。我々は強力なメリットを欲している。
幸いにも、《火口の爪》は期待を裏切らない。
《火口の爪》はこれまでに印刷されたX点火力の中で最良の部類に入る。来たる数ヶ月の間に、出し抜けにゲームを終わらせる膨大なダメージの《火口の爪》が発射され、予想していたよりずっと早く終わりを迎えるゲームを数多く目にすることだろう。伝統的な《火の玉》算はもはや機能しない。《火口の爪》が加わることで、プレイヤーたちは土地を数え、そこに1を足して、その結果チャンプブロックを行うことになるだろう。
《火口の爪》の最も優れているところは、対戦相手がタップアウトしているところへ巨大なクリーチャーをプレイして、ソーサリーの《ショック》や《稲妻の一撃》として使うことができるということだ。これは《火口の爪》のレベル1だ。《世界を喰らう者、ポルクラノス》を唱え、それから余った1マナを《火口の爪》に使って、テーブルの反対側にいる脅威を排除するのだ。これは対戦相手がマナをオープンにしていて手札があるならば危険なプレイだが、対戦相手が手札に何を持っているか分かっていたり、タップアウトさせるか手札を無くした場合、この種のプレイはベストになるだろう。マナを支払いながら対戦相手に1対2交換を与えるのは、通常ゲームを失うのに十分なほど面倒なことである。我々がすべきはこのカードの力を最大限引き出すことで、対戦相手がゲームへ復帰する機会を与えるために使うことではないのだ。
《火口の爪》 アート:Noah Bradley |
《火口の爪》は特に緑のカードと組み合わせることで上手く作用する。緑のカードはマナを加速することができるので、ゲームの序盤で《火口の爪》がより強烈なものになる。加えて、緑のカードは最高級の巨大クリーチャーを提供し、このX点呪文にボーナスを追加してくれる。
スタンダードで《火口の爪》と最も強烈な組み合わせとなるのは、間違いなく《世界を目覚めさせる者、ニッサ》だ。『基本セット2015』の最も強力なカードはただ4/4を供給してくれるだけではなく、土地を4枚アンタップしてくれるのだ。4枚の《森》をコントロールしていると仮定すれば、土地が止まってしまったとしても、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》でアンタップすれば10点の《火口の爪》を唱えられるのだ。《スフィンクスの啓示》や《群れネズミ》のようなカードがローテーションで退場した後は、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》は疑いなくスタンダードのベストカードの1枚になるだろう。《世界を目覚めさせる者、ニッサ》と強烈に作用するカードを知ることは、ほぼ間違いなく、新しいスタンダードの醸成過程が描く曲線のはるか先へと連れて行ってくれることだろう。
《猛火》と《火口の爪》の違いがどれほど大きいものかについては考えるのもばかばかしいほどだ。マナコストを増やさずに追加の2点ダメージというのは極めて大きなバージョンアップだ。言わば、《火花のしぶき》と《稲妻》の違いなのだ。
ここDailyMTGでの、今後の『タルキール覇王譚』のプレビューカードを決して見逃さないようにしよう。マジックの最新セットは、我々がスタンダードについて知っていると思っているもの全て変えてしまうことになる。《火口の爪》は新たなスタンダードフォーマットにおいて一流選手になることはできるのだろうか? 私はそうなると確かに思っているし、期待を裏切るようなカードには見えないのだ。
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