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ギルド門侵犯のアート
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ギルド門侵犯のアート
Jeremy Jarvis / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori
2013年1月23日
残るもう五つのギルドについて。私達には元のラヴニカブロックからだけでなく、構想の推進段階ですぐに使える資産が沢山あった。アレクシー(アレクシー・ブリクロ/Aleksi Briclot)、ウェイン(ウェイン・レイノルズ/ Wayne Reynolds)、ピート(ピート・モーアバッカー/Pete Mohrbacher)、サム(サム・バーレイ/ Sam Burley)、そしてリチャード(リチャード・ウィッターズ/Richard Whitters)は構想を推進する間、ギルド門侵犯に登場するギルドのために多くの偉大なアイデアと最終スケッチに釘付けにされてきた。だがそれらのギルドの優先順位が低いことは明らかだった。私達は十のギルド全てについて可能な限り多くを完成させたかったが、現実には、三週間という時間は多くはなく、そして単純にラヴニカへの回帰のギルドが優先されていた。この記事に掲載しているギルド門侵犯のギルドについての作品には白黒のものが多い、と君達は気が付くかもしれない。何故なら、これらの作品の多くは土壇場で叩き上げられたからだ。リチャードと私がラヴニカへの回帰スタイルガイドへと十のギルド全てを見苦しくないよう入れるためにかきむしりもがく中、最初の五つのギルドだけでなく時計が私達へと迫っていた。
そうは言っても、私はラヴニカへの回帰の時と同じ形式の記事へと飛び込みたい。もしそれを見逃したなら、先にちょっと時間を割いて読むべきだろう。ここで見ることができるよ。
オルゾフ
取り組んでいたもの
オルゾフは間違いなく、堕落した「教会」を思わせる。儀礼と罪という虚構は共に、元のブロックでとてもよく貫かれていた。
推し進めるもの
私にとってオルゾフは風変わりな事例だった。そのギルドの一部は元々とても良く肉付けされていたが、それは戦闘に関する部分だった。兵士、処罰者、そして武装した人間のあらゆる異なった様式。私達は新しいスタイルガイドへとその元の作品を全て、そっくりそのまま変更することなく拾い上げた。僅かであるが奇異だったのは、オルゾフの教会部分だ。私達はその面を、オルゾフが表現しているであろう疑似宗教的階級へと広げる必要があった。同じような太りきった司祭を何度も何度もただ見せつけるよりも。
リチャードはこのブロック全体に見られる、私のお気に入りの新しい悪ふざけをいくつか思いついた......儀礼の数珠をコインに置き換え、身体的服従を強制する衣装的要素を用いるというものだ。
《慈善獣》 アート:Dan Scott |
《聖堂の護衛》 アート:Dan Scott |
《死体焼却》 アート:Cynthia Sheppard |
《カルテルの貴種》 アート:James Ryman |
オルゾフ クレリック・トークン アート:Jason Chan |
《死盟の天使》 アート:Jason Chan |
《贖罪の高僧》 アート:Mark Zug |
《盲従》 アート:Seb McKinnon |
主題ページ
オルゾフの衣装モチーフ |
建築物
もっと絢 爛 豪 華に! 一つの静止した画像の中から、信心と裏取引の両方を伝えるのは君が考えるよりもずっと難しい。私達は建築物を、大袈裟で仰々しい教会という方向へ押し出すことに行き着いた。天井とアーチはどんな実用的な目的よりも全くもって遥かに高く、また壁をステンドグラスで満たした。人間サイズの階段と悪魔サイズの扉というラクドスの建築的悪ふざけとは違い、オルゾフの悪ふざけは人間サイズしかない扉と、不必要なほどに高い天井とアーチだ。こういった巨大な「教会2.0」環境は私達に「信心」部分を、カード部分で繰り広げられるシナリオやアクションは「組織犯罪」の面を出してくれるかもしれない――例えば、建築物そのものに不吉さを吹き込もうと試みるのとは対照的に。
《オルゾフのギルド門》 アート:John Avon |
《神無き祭殿》 アート:Cliff Childs |
アート:Richard Wright |
ディミーア
取り組んでいたもの
オーケー、率直に言おう、ディミーアは挑戦だった。最初のブロックではそれ全体が舞台奥にあり、秘密かつ非公式なギルドとして完璧に機能していた。そのため他のギルドに対してディミーアをいかに視覚的に表現するかは、特別重要ではなかった。結果、この新ラヴニカで多くのアップデート作業を必要とすることになるまあまあ恐ろしい見た目のギルドとなっていた。
推し進めるもの
彼らに必要なのはある程度の「ストリート的な心構え」だった。元のデザインは、衣服の上に骸骨をまとった怪物的な人間や人型種族へと大いに頼っていた。それは私が愛情をこめて「他人の皮をかぶったやつ」と言及していたものだ。もし彼らが地面より上や路地で何かを行っていることを示したいなら、それは視覚的に実に不調和だし、率直に言ってフレイバー面で少々見当違いな屍術的雰囲気がある。
ディミーア家は今や知られた存在で、公衆的な存在感や、ラヴニカのギルドの中である水準の政治的権限さえ持っている。
《破滅小径の仲介人》 アート:Clint Cearley |
彼らの真の目的と活動は、もちろん、今もほとんどが非道なものだ。これを心に留めながら、私達は彼らの怪物らしさを完全に減らし、だが盗賊や暗殺者であるのは変わらないよう導いた。彼らは影に溶け込むよう青と黒の革を多くまとうが、そこには三つのデザイン的見地がある。
このギルドは、構成員がそのギルドシンボルを身につけることは決してない唯一のギルドである。ギルドシンボルが示す原始的な「脚」三対に由来する左右対称の「三本の何か」を通して、ギルドシンボルは彼らの心の中に存在する。
調節可能な沢山の革紐。彼らの服装一式に備え付けの止血帯が満載されているべきだというアイデアがリチャードにはあった......彼らは単純にその仕事で傷を負って止血するだろう。もしくは失血を止めるために、証拠の痕跡を無くすために肢を二か所で固く縛る。
彼らの「やつれた骸骨」という元の衣装的要素をよりとらえがたい形で使用する(主題ページ参照)。
《暗殺者の一撃》 アート:Chase Stone |
《盗賊の道》 アート:Igor Kieryluk |
《精神的蒸気》 アート:Mark Winters |
主題ページ
ディミーアの衣装モチーフ |
建築物
私達はディミーアの建築物は特別な外見を持たないと決め、むしろ彼らが後ろ暗い仕事を行う場所である内部空間をいくつか定義した。
《湿った墓》 アート:Raymond Swanland |
ディミーアの建築物は外からはどのように見えるのだろう? 入り込まないほうがいいと肝に銘じた暗い路地。
《ディミーアのギルド門》 アート:Cliff Childs |
アート:Richard Wright |
グルール
取り組んでいたもの
確実に貫かれている蛮族的、反体制的精神。
推し進めるもの
再び、「ストリート的な心構え」。私達はこれをあまりに大いには求めなかったが、彼らが建築物に覆われた次元に住んでいることに対していくらかのもっともらしさを追加したかった。大部分において私達はグルールのために、都市環境に彼らを住まわせる助けとなるようなものを身に付け、振り回す機会を探した。他のギルドから漁った鎧の一部、建築物の壊れた欠片、等々。腹音鳴らしは盾でできた腕甲を身につけており、つまり既にこれを実践していた。私達は単純に同じアイデアを、ギルド全体へと広げた感覚で進めようと試みた。
《瓦礫帯の略奪者》 アート:Chippy |
《捕食者の関係》 アート:Matt Stewart |
《瘡蓋族の突撃者》 アート:Nils Hamm |
《最上位権限》 アート:Dave Kendall |
《ドムリ・ラーデ》 アート:Tyler Jacobson / クリックで拡大表示 |
主題ページ
グルールの衣装モチーフ |
建築物
《グルールのギルド門》 アート:Randy Gallegos |
《踏み鳴らされる地》 アート:David Palumbo |
アート:Richard Wright |
再利用された、「爆破された」建物。豪奢なホテルの外部装飾を完全に引き裂き、残った構造を蔦や木々で魔法的に補強し、そして空っぽの穴へと移動させる。
ボロス
取り組んでいたもの
私は、最初のラヴニカブロックにて目にしてきた鎧や少々の建築物といった既存のデザインモチーフは強固なものだと感じた。
推し進めるもの
アート:Mike Sass |
《真火の聖騎士》 アート:Michael C. Hayes |
《軍勢の集結》 アート:Eric Deschamps |
《ボロスの精鋭》 アート:William Murai |
《正義の矢》 アート:James Ryman |
私達はボロスに「倍賭け」を必要とした......多様性を加えながら、それでいてもっと落ちついた外見を。基本的に、私はラヴニカ内でボロス軍がとても堅固な「ブランド」となることを求めた。マーケティング的な言い方をすれば、私は彼らへとより明白なメッセージ性とより堅固な存在感を求めた。新たにデザインし直された彼らのギルドシンボルで明瞭に飾られた、より印象的な建築物。全てのギルドの中でも、ボロスは一つの組織として最も誇らしくかつ首尾一貫して自身を誇示する者であろうと私は感じた。
主題ページ
ボロスの衣装モチーフ |
建築物
《ボロスのギルド門》 アート:Noah Bradley |
《聖なる鋳造所》 アート:Sam Burley |
アート:Richard Wright |
私は元のボロスの建築物の現実感を好んだ。そこには共産主義的とも言えるデザイン感受性があった......精密で、堅固で、視覚的に規律正しい。私が「責任の重さを負う」視覚的暗喩として好んでいる(それをバントでも使った)、頭でっかちの不安定さを本気で押し出した。
シミック
取り組んでいたもの
シミックは二つの理由からほとんど完全に再起動となった。(1)モミール・ヴィグは死んだ、(2)細胞質体はもう存在しない。
推し進めるもの
私達はエルフのために(他の人型種族も同様)ヴィグ的でない角度と、細胞質体を含まないクレイジーな生物科学クリーチャーを必要とした。コンセプト推進期間中、シミックはとても幅広く開かれていてターゲットを定めるのは困難だった。あらゆるものを水生生物化するべきか? 爬虫類化? 今マーフォークはいるのか? 全くの魔法的な改造と思われるものに対して、テクノロジーをどれほど組み込むべきだろうか?
シミックは最も手間をかけて、そして率直に言って、考えられる限り苛立たしいやり方で一体となった...一度に一つずつだ。特にウェインとアレクシーは、シミックを相当熱心に担当した。ウェインは素晴らしいシミックエルフを、アレクシーは優れたシミック・クリーチャーを作り出すことができた。誰かがそこを出発点にしてくれるような。私達はそれらのデザインをもたらすために互いに協力して働いた。その作品からより多くのものが跳躍してくれるような。私はここにシミックが仕上がったことがとても嬉しい。だけど君達に言おう、シミックをプレイする者は、ラヴニカの他のどのギルドの最終結果よりも血と汗と涙のこもったアートを手に入れるのだと。
《ザーメクのギルド魔道士》 アート:Chase Stone |
カエル・トカゲトークン アート:Jack Wang |
《シミックの変転魔道士》 アート:Karl Kopinski |
《シミックの干渉者》 アート:Maciej Kuciara |
《予想外の結果》 アート:Mike Bierek |
《シュラバザメ》 アート:Wesley Burt |
主題ページ
シミックの衣装モチーフ |
建築物
アート:Mike Sass |
《繁殖池》 アート:Mike Bierek |
《シミックのギルド門》 アート:Svetlin Velinov |
アート:Richard Wright |
シミックの建築様式についてのスケッチは存在しない。私達には時間がなかった。私は土壇場で、シミックの建築物か非ギルド民の衣装デザインかを選ばなければならなかった、そして非ギルド民についての作品はこのブロック全体においてより重要だと感じていた。そのため私は、我らが素晴らしきカードイラストレーター達へと、カード毎の建築様式を定めるのを手伝ってくれるようにと委託した。マイク・ビーレック、スヴェトリン・ヴェリノフ、リチャード・ライト、マイク・サスの全員がシミック環境の新たな外見を確定する鍵となってくれた。そして他の皆のために、彼らの最初のシミックの作品を先行するセット向けに改造・改訂する仕事を、私とともにファンタスティックにこなしてくれた。
非ギルドのラヴニカ
「門無し」であること、もしくはギルドに加入していないことは何を意味するのか? 最初のラヴニカブロックでは、それは何も意味しなかった......非ギルドのカードは視覚的に言うと孤児だった。スタイルガイドに非ギルド民の内容は扱われておらず、従ってアーティスト達は誰も本当には知らなかった、それを描かなければならなくなった時に何をすればいいのかを。そして私は元のブロックで働いていたアーティストとして、非ギルド民を扱う必要があると強く感じていた。
コンセプト・アーティスト達が社内にいた間、私達はスタイルガイドに「生産設計」の項目を追加するというアイデアについて話し合った。私達はその見通しに興奮したが、その進行状況の終わりになって、十のギルドについてたったの三週間で十分以上の仕事をこなさなければいけないとわかった。私達には単純に、時間がなかった。
そしてジェレミー・ジャーヴィス&リチャード・ウィッターズの土壇場の合宿、週末のコンセプト祭りへと早送りされた。そのどんちゃん騒ぎ作業の準備を進めるため、私はファッション関係のブログを徘徊し、ラヴニカ人衣装の出発点として使うために生地や見本を手に入れてきた。リチャードは親切にも、幾つかの「紙人形」のシルエットを男性と女性の両方描き、それらを多数印刷してくれた。そうして私は人体構造や均整について考えることなく、ただそれらの上に描けばよかった。私を非難しないでくれ。私の利き手はこの時点で本当に役立たずになっていたんだ。
私が自らに課したゴールは、十分なファッションの多様性で終わるというものだった。もしマジックに次元を跨ぐ規模の「今週の怪物/monster of the week」(訳注:主にアメリカのTV番組にて、挿話的なフィクションに登場する一度限りの敵役を意味する)みたいな週一のテレビ番組があったなら、君が夜遅くにチャンネルを合わせて、三人の(非ギルドの)人々がテーブルを囲んで話しているのを見るだけで、このエピソードの舞台がラヴニカであると君にはすぐにわかるだろう。
私達は、ジェイスとリリアナの両名がラヴニカで過ごしてきたと知っている。そこから私は、彼らの最初の衣装をラヴニカ人のファッションの情報源にするというアイデアで遊んだ......もしかしたら彼らはラヴニカ人衣装の「スーパーヒーロー」版を既に着ていたのかもしれない。そのアイデアと私が手に入れてきた参考イメージとを合わせ、私達が完成させたものがこれだ。
革(処理もしくは染色されたもの)と重く、図案のある織物を念頭に。 |
私達はまた、ラヴニカ人兵士のための鎧の例を少々作り出した。
ギルド無所属のラヴニカ人類 |
もしラヴニカへの回帰をプレイしているなら、君達はここにもたらされた多くの成果を既に目にしている。私達の成功はどれほどのものかという君達の考えを把握するために、私はフォーラムを読むことにしよう。
《都市内の急使》 アート:Chase Stone |
《秘密を盗む者》 アート:Michael C. Hayes |
《斧折りの守護者》 アート:Slawomir Maniak |
《新緑の安息所》 アート:Daniel Ljunggren |
《石板通りの悪漢》 アート:Jim Murray |
《聖なるマントル》 アート:Maciej Kuciara |
《正義の突撃》 アート:Svetlin Velinov |
《キヅタ小径の住人》 アート:Winona Nelson |
さて皆、これでラヴニカの新たな光景へのガイドツアーは終了だ。
私達に目を止めてくれてありがとう。
ジェレミー・ジャーヴィス
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