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プレインズウォーカーのためのアヴァシンの帰還案内 その2
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プレインズウォーカーのためのアヴァシンの帰還案内 その2
The Magic Creative Team / Translated by Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori
2012年4月18日
聖戦士の専門職
聖戦士はアヴァシン教会の兵士達である。彼らはスレイベン大聖堂の神学校で教育を受け、そこでは宗教的原理と格闘技戦について学ぶ。聖戦士達は聖職に就いた後、特化すべき専門分野を選択しなければならない。彼らはスレイベン大聖堂か、ネファリア州のエルゴード訓練場のどちらかで更なる訓練を受ける。そこから、彼らはイニストラード全州へと活動義務を割り当てられる。
全体として、聖戦士達はアヴァシンの失踪に、護法の衰えに、そして闇の隆盛の期間にひどく影響された。専門職のいくつかは必要から、いくつかは政治的理由から変化した。それぞれの専門職には指揮官がおり、アヴァシン不在の中、指揮官の存在はその命令下にある聖戦士達の行動を左右した。彼らの州を守るというプレッシャーの下、階級や序列に細かく分けられた天使の飛行隊と団結した聖戦士達もいた。指揮官達はあらゆる方法で、彼らの聖戦士達を強化する措置を取ることを余儀なくされた。天使達は彼らを援助しようとしたが、護法は衰え、怪物達は猛り狂っていた。聖戦士達は彼ら自身が最終防衛線であることを知った。
アート:Volkan Baga |
ガヴォニーの乗り手
この乗り手達はイニストラードの精鋭の騎兵である。彼らは馬術、騎乗での剣術に加えて槍のような第二の武器の訓練を広範囲にわたって受けている。彼らのほとんどはガヴォニーの荒れ野、マーワルド丘陵の村近く、乗り手の門として知られる壁に囲まれた居留地に駐屯している。広大な荘園を含むその居留地にはエイノルフ・ブラント隊長がその妻や家族とともに暮らしている。ブラントは義理堅く有能な指導者であり、優秀な馬術家でもある。ゾンビ達がマーワルド丘陵の村を襲撃した際、彼は乗り手達を送り込んで全ての住民を避難させ、その脅威が拭い去られるまで居留地に彼らを保護していた。
アート:Chris Rahn |
荒れ野の従軍牧師
この専門職の聖戦士達は治癒と防護の魔法を操る従軍牧師である。彼らは通常、戦闘に突入する際には武装するが前線には行かない。戦闘中、彼らの最優先事項は怪我人の間を動き、治癒を提供することである。しばしば一つの連隊には、協力して大規模な防護魔法を唱えることのできる、数人の従軍牧師が付き添う。従軍牧師達は指揮官ナディラ・マースの命令の下、スレイベン郊外に本部を設けている。彼女は指揮官としての十分な経験を積んではおらず、アヴァシン不在の間、彼女の兵士達の間には大きな不平不満が存在した。
霊廟の護り手
これはどのような特殊化された魔法も必要とはしないため、最大規模の専門職となっている。とはいえ彼らは霊廟以外の場所も護衛しており、それは彼らの最もありふれた職務である。何人かはまたスレイベンの城壁や大聖堂、法廷、貿易会社といった重要地点を護衛する。この専門職の長はルーエンハートという名の厳格かつ賢い男である。彼はスカースダグ教団の存在を最初に感づいた者の一人であり、そのデーモンカルトの調査はあやうく彼の命を対価とする所だった。
薄青の番人
この専門職の聖戦士達は薄青の番人として、もしくは単に薄青として知られている。彼らは祝福されし眠りと幽霊を取り巻く物事を専門に扱っている。この専門職は全員がスレイベン大聖堂構内に居住するが、薄青の者達は何ヶ月も、時には何年もの間、長く孤独な巡礼の旅に出る。彼らは最も秘密主義的な専門職であり、その秘術の儀式と隠匿主義的な性質は他の聖戦士達の間で疑惑の源となっている。
アート:James Ryman |
月鍛冶
祝福を受けた武器はアヴァシン教の魔法において重要な要素であり、これらの聖戦士達は武器製作技術の訓練を受けている。特定の敵に対して魔法的効力を持つ武器を製作するには、鋳造過程において正確な祝福を正確な回数だけ唱える必要がある。銀鍛冶たちは銀に強力な魔法、特に獣人に対する魔法を吹き込むその難しさから非常に敬われている。この専門職はスレイベンとエルゴード両方に配備されている。指揮官フリマーはネファリアの商人達と強い繋がりを持っており、ほとんどの時間をエルゴードで過ごしている。アヴァシン不在の間、彼は獄庫の銀が違法に取引されていることを知った。彼は盗まれた銀から製造されたあらゆる物を調査し取り戻すための選抜部隊を設立した。
アート:David Palumbo |
審問官
歴史的に、この専門職は世俗的と超自然的との両方で、犯罪を調査する捜査官となってきた。彼らは説明不可能な殺人に悩む人里離れた教区へも赴く。より最近、彼らは普通の人間として生きようとする狼男を発見する任務を課せられていた。アヴァシン不在の間、ケッシグ州とガヴォニーの荒れ野で起こった一連の審問の際に、彼らの役割はより暗いものとなった。彼らは狼男であると証明されていない者達を処刑しただけでなく、教会の法を「強要」し始め、天使の証人が不在の中で公式には許可されていない方法で異端者を罰した。
アート:Steven Belledin |
悪魔主義者
アヴァシン不在の間、小悪魔達の発生は激的に増加し、彼らの悪ふざけもますます破壊的かつ残酷になった。はぐれ決闘者の一団が彼らの指導者との関係を断ち、小悪魔達を狩り立てるべく出発した。この一団の先導者は小悪魔の「いたずら」で家族を失い、村を焼きつくされたロリクスという名の男であり、かつては荒れ野の従軍牧師であった。
黄昏の決闘者
決闘者達はネファリア州の港町の街路を、特に夜間、犯罪者と違法な死体取引を発見すべく見回りをしている。彼らはまた港町内部で吸血鬼や狼男の襲撃があった際には最初に対応する。剣術の達人として決闘者達は躊躇なく吸血鬼と交戦し、また吸血鬼に決闘を申し込まれた者へと、正式な決闘の作法を使用してしばしば介入する。セルホフのミナは最も有名な決闘者の一人である。多くの勝利で名を上げた熟達の戦士である彼女は、名声から有頂天になり、今やネファリアの街へと観光にやって来るまでになった。彼女の職務怠慢は仲間の聖戦士達の間で不評判となっている、とりわけ彼女の技能は引き手あまただからだ。
アート:Igor Kieryluk |
ケッシグの矢筒
教区の刃は教区に駐留し、街道を護衛する役目を担う。そしてケッシグの矢筒は教区の刃の比較的新しい派生で、弓の技と長距離の防衛に特化している。いくつかの防壁や教会、もしくは空からの攻撃に対抗する防御を必要とするあらゆる場所へ彼らは任務につく。アヴァシン不在の間、指揮官ラフ・ギエルは彼の聖戦士達の多くを白鷺飛行隊とともにガツタフの岩屋へと移動させた。今や彼らは天使達のための斥候であり突撃隊として機能している。彼らはスレイベン大聖堂と教会そのものの支配から事実上独立している。
ガツタフと呪い黙らせ
ガツタフの村は深い谷の縁に位置し、裂け目と洞窟が点在する岩がちの小麦畑に囲まれている。ガツタフは刺が多いが豊かな穀物、炭鉱、腕のいい革職人でよく知られている。その町は様々な道筋でケッシグ州を通過する巡礼者達の立ち寄り地点となっており、地下の自然の泉とアヴァシンへの祭壇があることで有名な場所である。ガツタフの住人達は敬虔だが好戦的であり、彼らは街の長老コルマンに率いられ、暴徒となって、狼男をかくまっていると思われる家やその住人を攻撃することで知られてきた。ガツタフはまた近隣の宗教的ランドマークで知られている。一本の交差路がガツタフの村から下り、山峡の下を貫いてガツタフの岩屋へと続いている。そこには有名な自然の泉とアヴァシン教の祭壇が鎮座している。
アート:Ryan Pancoast |
コルマンは彼の教区から狼男を撲滅すると誓った、厳しく冷酷な男である。彼に近しい人々の中には、彼自身が狼男であり、人目を引く敵意で自身の不名誉を隠しているのかもしれないと推測している者もいる。多くのはぐれ狼男がケッシグ人の中で密かに生活しており、正体を明かすことの応報をとても怖れているが、愛する家族の存在と、ケッシグに根を下ろし過ぎていることから立ち去れずにいる。疑いと憶測がケッシグの民衆の間にはびこり、怯えた誇張表現と間違って伝わった逸話によって焚きつけられている。ケッシグ人達は狼男をいかにして見つけ出し、狩るか、もしくは癒すか、どれほど多くが存在するのか、何が彼らを押し留めているのか、そして人類にとってそれら全ては何を意味するのか、相争う考え方を抱いている。
アヴァシンが失踪した後、ガツタフの人々と狼男との関係はより危険で無鉄砲なものとなった。街の長老コルマンは幸運にも狼男疑惑のある何人かをかくまう少数の家族を暴露した。大勢の群衆の目前で、彼は狼男であると思われた4人を処刑した。それは彼らが人間の姿をとっている間に行われたので、彼らの呪いを確認するのは不可能だったが、証拠は堅固なものに思えた。人々の多くはその罰に喝采を上げたが、処刑されたうちの1人は呪いを受けていなかったと後に判明した。ガツタフ住人の中には、自分達が怖れる怪物と同じような蛮行に及んだのではないかと感じる者もいる。
アート:Steve Prescott |
獄庫が開かれた時、コルマンは狼男達の大粛清を始めた。彼はケッシグ中で、アヴァシンの帰還によってその信仰からもたらされる力を取り戻した審問官と聖戦士を率いた。その指揮下、彼らは大いなる審問の中で多くの狼男達を狩り、殺した。大きな吠え群れのいくつかは数日のうちにその5分の1を失った。それでも他の狼男は、特に彼らの野生の本能に喜ぶ者達は、残忍で騒々しい攻撃で反撃した。より悪名高い、そして破壊的な狼男達のほとんどは狩られ、捕えられ、聖なる炎によって死へと送られた。
アヴァシンがイニストラードへと帰還し、狼男狩りがより安全になった後でも、ガツタフの人々の気持ちは不確かだった。狼男の吠え群れは街を標的とし、犠牲者を盗み出し、数人に呪いを与えさえした。だが審問の恐怖が大衆の心に忍び寄った。そしてコルマンはガツタフ周辺の荒野において最終的攻撃態勢を発令した。その地域の全ての聖戦士と司祭が呼び寄せられ、これを最後に森を一掃して吠え群れを根絶すべく、新たに生まれた怒りの波の中、殺戮者は暴徒を形成した。コルマンはそれをガツタフの狩りと称し、狼男を追い、殺すべく集まった者全員を称賛した。
活力を得た人々の魔法に先導され、狩人達は彼らの獲物を速やかに発見し、二つの勢力は身構えた。人類と狼男。強く鮮明な月の下にいてさえ、狼男の多くはその人間形態に戻り始めた。聖堂を通って再流する、また祝福を受けた武器の内にあるアヴァシンの魔法が濃縮され、それが多くの狼男に彼らの狼としての本能を制御させ、変身に打ち勝たせてくれた。一人また一人と狼男達は人間の姿へと戻り、集結した殺戮者の中には、怪物達の間に愛する者の姿を見る者もいた。
《雲隠れ》 アート:Howard Lyon |
ガツタフの狩りはただの殺戮ではないものをもたらした。その戦いは再会と巡礼となった。殺戮者と獣人達は共に森を抜けてガツタフの岩屋、アヴァシン教の古の聖堂へと向かった。彼らは自然の泉で沐浴をし、祭壇の神聖なる力を浴びた。
そして共に、夜明けの直前、彼らはアヴァシンへと獣性の呪いを解く助けを求めた。そしてガツタフの岩屋、まさに彼らの前にアヴァシンが姿を現した。
アヴァシンの贈り物
アヴァシンの言葉は短く簡素なものだった。獣性の呪いを解くことはできない、そう彼女は言った。その呪いは人間の魂が野生の魂と混じり合うもので、野生の魂は狼男の人間性をも破壊しない限り、破壊することはできないのだと。つまり、呪いに苦しむ者達はそれを永遠に持ち続けることになる。しかしながら、アヴァシンはガツタフの狼男達へと、彼女の側の特別な居場所を提供した。もし人類の護り手として働くことを約束するならば、彼らの呪いを変化させ、二つの相争う側面を融合させて一つの高貴なるクリーチャーとし、彼女の祝福の光の中に住まうことを許すと。岩屋の獣人達は喜びの涙とともに彼女の申し出を受け、そしてアヴァシンは彼らを変身させてウルフィーとした。呪い黙らせとして知られるようになった呪文の力強い波の中で、アヴァシンの魔法は次元中へと拡散し、多くの狼男を変化させるだけでなく、世界の汚れた呪いの多くをも変化させた。ウルフィーはアヴァシン教会の本質に身を捧げた偉大なる狼クリーチャーという新たな種族として現れた。
《ウルフィーの銀心》 アート:Raymond Swanland |
イニストラードに狼男が未だ生息しているかどうかは定かではないが、恐らくは幾らか、もしかしたら多くが殺戮者による駆除から逃れ、アヴァシンによるウルフィーへの超自然的な変身を拒否したかもしれない。大海を越えた他の大陸では未知の獣人種が隠れているのではと想定されており、既知の世界の狼男も何体かがそれら彼方の地域へと逃れた可能性があると推測されている。
《野生の抵抗》 アート:Slawomir Maniak |
リリアナ・ヴェスと野生語りのガラク
呪い黙らせはその次元の訪問者、野生語りのガラクへと偶然にも強い影響をもたらした。呪い黙らせが世界を駆け巡ったその時、ガラクは沼の汚物に膝までつかりながら、リリアナの召喚したグール達の切断された四肢に囲まれていた。
野生語りのガラクはリリアナを追ってイニストラードへとやって来た。二人の最初の遭遇において、リリアナは鎖のヴェールの呪いをガラクへと与えた。暗黒の呪いは彼の魔法に影響を及ぼし、それは日を追うごとに悪化していくように思えた。ガラクは呪いを解かせるべく、さもなくば復讐として彼女を殺すために多数の次元を渡ってリリアナを狩り立てた。リリアナ、鎖のヴェールによってその暗黒の魔術を大いに増幅した彼女は、不老と力の恩義を受けている4体のデーモンのうち1体を狩り立て、殺すためにイニストラードへとやって来た。鎖のヴェールを手に入れる前、リリアナはデーモンの主達の命令を受け入れることを余儀なくされていた。今や彼女は代わりにそのデーモン達を殺すことにより、魂の債権から逃れることができると信じている。
リリアナがヴェールを使用した時、彼女の本質はそのアーティファクトへと転移し、彼女は緩やかにデーモンの僕ではなく、ヴェールの僕となっていった。イニストラードで彼女が探し求めていたデーモンであるグリセルブランド、彼はアヴァシンに策を弄して自身とともに獄庫へと放り込んだ。リリアナは獲物を探し、州から州へと旅をした。その間ガラクはケッシグからリリアナを追跡し、ついに彼女をぬかるんだ沼地で捕えた。二人は戦い、リリアナがどのような戦いでも鎖のヴェールを使用することを躊躇していたために、ガラクは束の間優位に立った。
《獰猛さの勝利》 アート:James Ryman |
だがガラクの力は鎖のヴェールの呪いによって弱まっていた。緑に列する彼の魔法は弱体化しており、発生し始めた黒に列する魔法に取って替わられていた。彼はリリアナ有利の場所で戦うほど強くはなかったことから宿敵に打ち倒され、リリアナはグール達を召喚して彼を包囲させて放置し、自身はデーモン狩りの探究を続けた。
《残虐の勝利》 アート:Izzy |
死へと近づき、傷と激怒に苛まれ、ガラクはグール達を速やかに始末したが、彼の意識はもはや定かではなかった。彼は盲目的にあたりを徘徊し、カラスや脳裏に描いた怪物へと叫んだ。それが偉大なハンターの最期となっていたかもしれないが、ガツタフでの出来事が事態を動かした。
アヴァシンの魔法が彼に届き、ガラクは意識を取り戻した。彼は自身の両手に、黒い筋が皮膚から薄らいでいくのを見、そして痛みと病が突然消えうせた喜びに圧倒された。だがそれは偽りだった。すぐにその筋が再び出現し、彼の血はタールのように濁ったように思え、背中には呪いの重荷が覆いかぶさった。
呪い黙らせは彼を狂気と死から連れ出したが、彼を癒すには十分ではなかった。
重い足取りで沼地を脱出した後、彼はケッシグとスレイベンを繋ぐ通行量の多い道、天使の街道へと出た。彼はあの魔女がスレイベンへと向かっていたことを知っており、根気強い追跡を続けることができた。あるいは、別の道を進むこともできる。これほどまで強く感じる魔法の源へと向かうことだ。この次元には、呪いを解くことのできる力が存在する。もしかしたら邪悪な重荷を取り除く別の方法があるかもしれない――あの魔女に関わらない方法が。
《平地》 アート:Adam Paquette |
時に、獣を捕えるにはまっすぐな道が最適ではないこともある。そして時に、殺しへの最速の道筋は森を通り抜ける最長の道であることもある。そうだ、この日彼は自身の感覚に導かれるままにした。ガラクは知っている、リリアナ狩りはまだ終わりには程遠いのだと。だが今は、彼はスレイベンに背を向け、昇る朝日を目指した。
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