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上上下下左右左右BAシャッフル!

Adam Styborski / Translated by YONEMURA "Pao" Kaoru with T.Masuyama

2011年10月18日


 あなたは、歯や爪やその他の不愉快な肉を引きちぎる器具を露出させた騒がしい小動物の群れを凝視している。左を見ると、さらなる恐怖と這い寄るものが、右を見ると、より多くのものが夜の衝突に向かっていた。あなたの後ろには露に濡れて冷たく湿った石があり、あなたの腕は折れ、もはや武器を持つこともおぼつかない。あなたの頭上には満月が曇り空を照らし、あなたの身体から溢れる血はまもなく池になってしまうだろう。

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 そこでストップ。これはゲームだ。陰謀や人知の及ばぬ暴力の踊るダーク・ファンタジーではない。イニストラードの恐怖の人形遣い達は、正にクレバーな想像力による架空の集団だ。

 飛び回るスピリット、純然たる狂気の捕食者、噛み付く高貴なる者に囲まれていれば、パーティに遅れて現れるような、よろめく不死の体のことはすぐに忘れてしまうだろう。

 アンデッド特集では彼らを差し置くことは出来ない。つまり、たとえあなたがドアの鍵をかけて明かりを消したとしても、もう手遅れだ。


忌むべき者の軍団》 イラスト Ryan Pancoast

 さらに悪いことに、奴らはとりわけ注文の多い客だ。

「肉!肉!もっと脳を!」

 (明らかに人肉を求めている!)単純な欲求に突き動かされた奴らのしわがれたうめき声を耳にすれば、その苛立ちも分かろうというものだ。

 それではいよいよ始めよう、腐ったゾンビ向けのマジックがある。

残機30、取るか取られるか

 新しいものを始めよう。 元マジック開発部インターンのPeter Knudson/ピーター・ナトソンは、協力してやるおもしろいやり方を教えてくれた。スター戦や魔王戦といった多人数戦変種ルールにも協力の要素はあるけれど、少なくとも1人のプレイヤーが「敵」役を務めなければならず、その「敵」を倒すのがゲームの目的だった。今回紹介するのは、前代未聞の、プレイヤー全てが同一のチームに属し、勝利を目指して戦うという形式なのだ。

 あなたは友人と協力し、襲い来るゾンビの津波から生き延びることができるか? 大群マジックの世界にようこそ!

大群マジック

簡単に言うと

 大群マジックは多人数戦変種ルールで、全てのプレイヤーは自動的なセミランダムの「大群」デッキを相手に生き残り、打ち勝たなければならない。

ルールの概要

 大群マジックでは多くのことが起こる。ここで、ゲームプレイと、プレイヤー、そして大群ルールに分けて詳細を記すことにしよう。

ゲームプレイ・ルール

・目標はチームを組んで生き残り、大群の脅威を排除することである。

・プレイヤー達の勝利条件は、大群デッキのライブラリーと手札と戦場のクリーチャーをなくすことである。

・プレイヤー達は通常通りライフが0になれば敗北する。

・もしチームが攻撃やその他のダメージを大群「プレイヤー」に与えた場合、その点数と同じ数のカードを大群デッキのライブラリーの上から墓地に置く。

プレイヤーのルール

・プレイヤーは合計4人までで、それぞれ自分のデッキを用意する。

・全てのプレイヤーは双頭巨人戦のようにターンとライフを共有する。そして一人につき20点のライフを開始時の合計に加える(1人のプレイヤーなら20点、4人なら80点)

・チームはゲームの最初の3ターンを得る。次に大群デッキに交代する。

大群ルール

・大群デッキをプレイするプレイヤーはいない。それは自動的にプレイされる。

・大群デッキは100枚で構成され、4人を下回る一人につき25枚をランダムに取り除く。(3人なら75枚、2人なら50枚。)

・大群デッキにおいては、トークン・カードを通常のマジックのカードと同じように扱う。

・大群のターンの開始時にライブラリーの一番上を公開する。それがクリーチャー・トークンならそれを脇によけて、その過程をトークンでないカードが公開されるまで繰り返す。

 それから、全てのクリーチャー・トークンを唱える。(それらのコストは{0}である。)続いて公開された呪文を唱える。

・大群が呪文を唱えられるのはターンごとに一つだけである。《ブーメラン》などの呪文でクリーチャーが除去された場合、それらは次のターンに公開された呪文が唱えられた後で再び唱えられる。

・大群デッキは必要なマナは保っているものとして扱い、いくらでも追加コストに必要なマナを払える。(たとえば《抵抗の宝球》や《プロパガンダ》など)

・大群のコントロールするクリーチャーは速攻を持ち、可能なら攻撃しなければならない。

・例えばプレイヤーが《嘘か真か》を唱えた場合やプレインズウォーカーをコントロールしていてホードのクリーチャーが攻撃できる場合などで大群が選択する場合、その選択は可能な限りランダムに選ぶ。

長所:大群マジックは完全な協力型ゲームです。FPSやそのほかのゲームの経験が利用できます。この形式は本来、ゾンビの大群と統率者のプレイヤーたちを意図してデザインされていますが、大群をどうするかはあなたのグループで決めることが出来ます(リスの大群?ヤギの大群!?いいとも)。そして、任意の種類のデッキを使うことが出来ます。

短所:平均的なプレイヤーは50以上もトークンをその辺に置いていないんだ。それと、プレイヤーでない「対戦相手」を相手にした協力型ゲームでは、選択肢は少なくなり、マジックをおもしろいものにしている「スマートな」ものを失わせてしまうよ。

 あなたはクリエイターの思考を彼の記事を読んでもっと深く知ることが出来る。しかし大事なのは心無き大軍があなたを襲ってくるのを感じることだ。次に示すのはゾンビの大群デッキである。奴らはあなたのなけなしの武器を奪い取ってくることだろう。

Zombies!
大群マジック[MO] [ARENA]
1 《盲目の忍び寄るもの
4 《大笑いの悪鬼
1 《屍肉ワーム
1 《死の男爵
1 《肉袋の匪賊
1 《墓所のタイタン
2 《感染性の宿主
3 《蛆たかり
2 《入れ子のグール
2 《腐敗した沼蛇
2 《切り刻まれた軍勢
1 《卑屈な騎士
2 《魂無き者
1 《息せぬ群れ
1 《アンデッドの戦長
2 《復讐に燃えた死者
1 《歩く死骸
1 《イクスリッドの看守
5 ゾンビ・巨人・トークン
55 ゾンビ・トークン

-クリーチャー(89)-
1 《忌むべき者の軍団
2 《不吉の月
1 《墓への呼び声
1 《滅び
2 《狂乱病のもつれ
1 《終わり無き死者の列
1 《絶望の荒野
1 《疫病風
1 《黄昏の呼び声

-呪文(11)-

 ピーター曰く、「これは最新の大群デッキだ。キューブのようなもので、生きており、呼吸している。パワー・レベルにあわせて調整してもいいし、新しいカードを追加してもいい。たとえば、《忌むべき者の軍団》や《終わり無き死者の列》を入れてもいい。俺は入れようと思っているけれど、ゾンビ13体はさすがにやりすぎかもしれないな」

 もちろん、あなたとあなたの仲間達がこんなの簡単だと思うなら、《グレイブディガー》や《グール起こし》《グール呼びの詠唱》などを追加するといいだろう。ゾンビ大群と戦うために統率者デッキを組むのもいいかもしれない。大群マジックに関するあなたたちの意見を聞いてみたいと私は思っているし、ピーターもそうだろう。

 ライフ1点で頓死するのはつまらないと思うなら、刺激的な遊び方をお知らせしよう!

再挑戦マジック

簡単に言うと

 再挑戦マジックは多人数プレイの変形で、全てのプレイヤーは敗北したあとでもプレイを続けられる。望むならゲームを繰り返し続けることもできる。

ルールの概要

 望むなら何人ででもプレイできる。飛び入り自由の多人数戦で、プレイヤーが敗北したときの追加のルールが存在する。

・そのプレイヤーはゲームに再び参加するかどうかを選ぶ。参加しない場合、楽しみが減る以外の罰則は存在しない。

・プレイヤーはゲームに再び参加するときに同じデッキか新しいデッキを選ぶ。

・そのプレイヤーは直ちに3ターンを続けて得る。この3ターンは仲間内では(死んだあとの)『半透明』といわれている。その時間中は(卓内の取り決めによる)不利な効果を受けず、(そのプレイヤーが先に攻撃しないかぎり)攻撃されない。これはそのプレイヤーがゲームの速度に乗るための入り口として用意されている。

 あなたのグループが望む限り、ただゲームを楽しむこともできるが、さらにスコアをつけることが出来る(これは元々マジックのライター仲間エイブ・サージェント/Abe Sargentによって示唆された)。

・プレイヤーが対戦相手に止めを刺すごとに(ライフを失わせる、他どんな手段でも)1ポイントを得る。プレイヤーは敗北するごとに1ポイントを失う。

・もしプレイヤーがゲームを離れる場合(「みんな、僕は行かなければならない......ごめん」)そのプレイヤーは1ポイントを失う。そのプレイヤーに最後にダメージを与えた(あるいは毒カウンターを与えた、ライフを失わせた)プレイヤーが1ポイントを得る。

・セッションの最後(プレイヤーみんなが満足するまで)の時点で最高得点を持っていたプレイヤーが勝ちとなる。

長所:ゲームを中断させずに再度そのゲームに復帰できるというのはそれだけでもすごいことです。瞬殺されたとしても、ほんの少しの巻き戻しだけでまたすぐに復帰できるのです。

短所:点数は必要ないとは言っても、点数がなければゲームを続けようという気にはならないだろう。早くゲームを終わらせたいとか、いろいろな形式をやってみたいとか、そういう場合はこれはやめといたほうがいい。

 ケリー・ディグス/Kelly Diggesは、このゲームを活かす方法についてすばらしい記事(リンク先は英語)を書いている。これを読めば、再挑戦マジックをより楽しめるようにする手がかりを沢山手にできるだろう。このゲームは、大群マジックのピーター・ナトソンがインターンをしている間に作られたものだ。一度始めるとやみつきになることは間違いない!


瀬戸際からの帰還》 イラスト Anthony Palumbo

 再挑戦マジックがルールを弄る他の変種ルールと違うところは、多人数戦で他の様々な変種ルールと組み合わせてカスタマイズすることができるということだ。

・統率者戦が流行っているなら、好きなデッキに3?4種類の統率者を準備しておくといい。同じ統率者で再挑戦するのではなく、統率者を変えて再挑戦するんだ。これこそ真の統率者祭りってわけさ!

・リミテッドが流行っているなら、シールド戦はどうだろう。大量のブースター・パックがあるなら、新しいデッキを作って再挑戦してもいい。デッキを作り直すのは時間がかかるけれど、デッキ構築が終わるまでの間もゲームは続けていくことが出来る。他の参加者が飽きるまでならいつだって、ゲームに再挑戦できるんだ。

・何十ものデッキを持っている、いわゆるミスター・スーツケースでも、普通は一晩には1つか2つのデッキしか使えない。でもここで、みんなでそのデッキを使ったらどうだろう? その強烈なデッキビルダーの信じられないデッキをみんなが楽しめるだけでなく、せっかくのデッキが注目を浴びるチャンスでもある! 誰かがデッキを忘れたとか、デッキを持ってないとか、そういうときにも使える方法だ。

・半透明時間が3ターンじゃ短すぎると思ったなら、復活できるまで時間を延ばしてもいい。なんなら、元以上に強化できるような半透明時間を取って、一旦負けるのが悪いことじゃないというようにしてしまってもいいんだ。

 新作の大群マジックや、昔から親しまれている再挑戦マジックだけでも充分な楽しみは約束されているけれど、ここでもう一つの形式を紹介しよう。プレイヤーがアンデッドになるという変わり種だ。

ゾンビ・マジック

簡単に言うと

 ゾンビ・マジックは参加者が1回倒されてもプレイを続けるという多人数戦変種ルールである。

ルールの概要

 ゾンビ・マジックにはいくつかの亜種があるが、ここでは私が教わったルールを紹介しよう。好きな人数のプレイヤーが集まり、大乱闘戦変種ルールを用いた多人数戦を行なう。ただし、プレイヤーが敗北したときの処理に以下の追加ルールが用いられる。

・いずれかのプレイヤーが敗北したとき、そのプレイヤーはライフ総量を10点にしてゲームを続ける。このプレイヤーは「ゾンビ」となる。毒カウンターで死んだ場合にはそれらのカウンターは全て取り除かれる。他の理由(ライブラリーアウトや《空虚への扉》など)で死んだ場合には(さすがに)負けになる。残念。

・そのプレイヤーは局面をそのままにプレイを続ける。手札のカードもそのままだ。

・プレイヤーにとどめを刺したプレイヤーは、そのゾンビの支配者となる。ソンビは、攻撃したり対象を選んだりするときに支配者の承認が必要である。非公開情報(ライブラリー、手札のカード)は非公開のままであるが、可能な限り支配者の指示に従わなければならない(「あのクリーチャーを破壊しろ!」「あのプレイヤーを攻撃しろ!」「この攻撃をブロックするな!」)。

・あるプレイヤーが2回目に敗北したときにも、上のルールが適用され、支配者は新しく定まる。ライフ総量は5点となる。3回目に敗北したプレイヤーは、もはや原形をとどめていないので復活できない。

・ゾンビの支配者が1人だけになったか、あるいは他のプレイヤーが誰も復活できなくなったら、その生き残ったプレイヤーの勝利である。

 ゾンビの支配者は常時ゾンビ・プレイヤーに《精神隷属器》の効果をかけているようなものと思われるかもしれないが、そうだとしたら他のプレイヤーはなにもプレイできなくなってしまう。ゾンビ状態のプレイヤーは、イニストラードにいるような脳みそまで腐った奴らではなく、(オンスロート・ブロックの舞台である)オタリアにいたような知恵を持ったゾンビである。命令をどう解釈するかは、そのゾンビ次第なのだ!

 利点:再挑戦マジックのように長く遊べますが、一晩中続ける必要はなく、このゲームにはちゃんと終わりが存在します。それに、おまけとして素敵なフレイバーもついてきます。敗れ去った敵を蘇らせて配下にするというのはいかにも魅力的だとは思いませんか?

 欠点:自分の意思でゲームが出来ないというのは楽しいものじゃない。《精神隷属器》よりも緩いにしても、命令されることを楽しめるとは言えないね。適当に集まって始めたとしたら、デッキパワーの差がそのまま持てる者とと持たざる者に格付けしてしまうだろうよ。デッキが弱いからって他人の支配下に置かれなきゃ行けないのはつらいだろうね。

 およそ3年前、私の行っていた店のカジュアル仲間は2ヶ月間、毎週ゾンビ・マジックをやっていた。私は当時新人だったけれど、これはおもしろい形式だと思ったね。固い結束を誇った同盟が一瞬の偶然から瓦解し敵対し合う、というテーブル上の政治はとても新鮮だった。


墓地を刈り取るもの》 イラスト Dave Allsop

 3週目だったかの終わりに、ゾンビ・マジック専用に作られたデッキが登場した。そのデッキには、(ライフを得るとかダメージを軽減するとかの)生き延びる方法と、(《幽体の照明灯》や《企業秘密》などの)ゾンビ軍団を支える方法が詰め込まれていたんだ。

 おもしろかっ です。

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