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混交の話
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混交の話
Mark Rosewater
2011年6月13日
新たなるファイレクシアのファイレクシア・マナを最初にプレビューしてからというもの、「なぜ開発部は特定の能力を持たない色にその能力を混ぜ入れることにしたのか」というメールがたくさん届いている。今回は「その日まで」お預けにしていた、なぜ、どのように、開発部はマジックにおける色を混交させているのかについて語る日だ。興味があるなら、読み進めてくれたまえ。そうでないなら、プロツアー・名古屋のカバレージをどうぞ。また来週!
「ああ、カラーパイ」
なぜ能力を混ぜるのかを説明する前に、カラーパイについて説明しなければなるまい。多くのプレイヤーは、開発部が考えているのとは違うようにカラーパイを受け取っていると思われる(公正を期すために言うと、私が考えている内容と開発部のメンバーの多くが考えているだろう内容とはやはり違うと思われる)。今回のコラムでの目的は、諸君の考えているカラーパイのとらえ方を少しばかり改めて貰うことだ。そのためには多くの言葉といくつものグラフが必要になる。これによってカラーパイを見る視野がより広くなることと思われるので、是非最後まで着いてきてくれたまえ。
次元の混乱が世に出たとき、私は「核」「マントル」「地殻」という3つの概念について語った(リンク先は英語)。この概念の背後にあるのは、カラーパイには3つの領域が存在し、その領域ごとに役割が違うという考え方だ。この概念についての説明がまずかった(画像担当への連絡も不十分だったので、できた画像もひどかった。2つめの画像で言いたかったのは、一般人は一番内側の円だけをカラーパイだと思っている、ということを言いたかったのだ)のだと思うので、今回、もう一度この説明に挑戦させて貰おうと思う。
まずこの3重の円から始めよう。
前回の失敗は、この輪をその内部の部分と区別しなかったことにあると思う。核、マントル、地殻、はそれぞれの間の部分(核についてはその内側の部分)を示している。この絵の円そのものではない。今回は各円の示すものが何なのかを説明し、その空間が表すものが何なのかを理解できるようにしよう。ではまず、一番外側の円から。
一番外側の円は、色の哲学を示している。この部分の説明のために今まで多大な時間を費やしてきた。カラーパイについて書いたコラムだけ並べてみても(リンク先は英語)、その数は20以上にものぼる。ここで語ってきたのが「色の哲学」だ。色の哲学は不変である。今日の黒が意味するものは、このゲームが18年前に誕生したときの黒が意味したものと同じである。(公正を期すために言うなら、我々はアルファ版ができたときからずっとその哲学をよりよく理解しようとし続けてきている)。カラーパイの示す哲学が不変であるというのは、各色はそれぞれの意味を持ち、その哲学は変わらないということを意味している。つまり、この最大の円はその位置を変えることがない、ということだ。
一番内側の円は、現在のメカニズム的実装である。多くの人々がカラーパイという場合、これを指していると思われる。これが、現在選択されているものである。この色がやっていいことは何か? この円の内側を見たまえ。ある効果が所属する色は何か? この円の内側を見たまえ。 この能力の第1色は何で第2色は何で第3色は何か? この円の内側を見たまえ。
かつて、カラーパイに関する文書を開発部が作る、あるいは写真で図を示すという話があった。これは、その時のこの円を示している。一番内側の円について理解しなければならない、もっとも重要なことがここにある。この円は、大きい円の内側で動く、ということだ。「現在のメカニズム的実装」は、現在この瞬間のものにすぎないのだ。
諸君らの多くは、カラーパイの変化は開発部が究極の最終的な定点を求めて活動している結果に過ぎないと思っているに違いない。その考えは開発部自身の言葉から来ている。何年もの長きにわたって、我々(そう、私も「我々」の一員である)は各色が何をすべきかに一つだけの正解があるかのように語ってきた。15年経って、この地球上の人類でもっとも色の哲学のメカニズム的波及問題に時間を費やしてきた人間として、私はここで強調しておきたい。カラーパイの核の部分に究極の正解など存在しない(なぜなら、核は最小の円の内側をなすものであってそれ以外ではなく、それを囲む円とイコールである領域そのものにすぎないからだ)。
最小の円と最大の円の定義が終わったところで、その中間の円とは何だろうか? これは説明するのが少しばかりややこしいものだ。最大の円だけが存在するところをまず想像してくれたまえ。そして、その中のどこかに小さい円を置く。大きい円が色の哲学なので、小さい円は大きい円の内側ならどこにでも配置できる。
ただし、一旦小さい円を置いたなら、その円からあまりに離れたところには円を置くことはできない。小さな円の歴史によって、最初に置かれた場所からある程度地殻に限定されるのだ。ここで重要なのは、最小の円は最大の円の中ならどこにでも行き得たということである。
どこに最小の円を置いたにせよ、次の命題は真である。小さな円の外側にある部分の一部はその小さな円と関連して感じられるし、また別の一部は関連しなく感じられる。これを表す最善の方法は、どんな選択を仮定しても、その選択の外側にあるものとよく似た部分が見つけられるということだ。カラー・ホイール(実際の色を実際に円形に並べたもので、アーティストが使うような奴だ)の中の一部を選んだなら、それとよく似た部分は存在する。感覚的に、オレンジと赤は、青と赤よりも近い。このエリアを最小の円の周りに広げていくと、近いとか関連しているとか感じられなくなる場所が存在する。そこが中間の円なのだ。
中間の円は、色の哲学内に存在する、人間の感覚的に関連していると思えるほど近い場所を意味している。デザインにおいてプレイヤーが「いいと思う」感覚の重要性についてはしばしば語ってきた。中間の円は感覚を通しての限界なのだ。核を特定の部分集合と定義すると、その周りには充分それに近いと感じられるようなものが存在する。その部分を混ぜるなら、プレイヤーは受け入れてくれるだろう。
こうして、中間の円は内側の円のより大きい部分集合として定義される。3つの円のグラフを見ただけだと、どうしても混乱してしまうだろう。それは、ここで話している領域の問題は3つの円のように単純に関連しているわけではないからだ。それぞれの円は他のものの内側に存在する。外側の円は中間の円よりも必ず大きく、中間の円は内側の円よりもかならず大きいのだ。
それでは、それぞれの領域について見てみよう。
核は、プレイヤーにとって自然だと思える領域である。これはゲームのすることだ。時間の上でどの瞬間をとっても、これはその色がメカニズム的に可能なことを示す。マントルはその周りに存在する領域で、感覚的に受け入れられるようなものを含む。特定のテーマを強調するために色を混ぜる場合、この領域を使うことが多い。通常、墓地の色と言えば黒や緑(それから一段置いて白)である。しかし、墓地がテーマのセットにおいては、青や赤の受け入れられる領域に混ぜ入れていく。
地殻は、色の哲学の中ではあるものの違和感なく受け入れられる標準からははるかに離れている領域である。地殻部分のデザイン領域を強調したセットは過去に1つ、次元の混乱しか存在しない。このセットは、内側の円が外側の円の中の全く違う場所に置かれたらどうなるか、ということをテーマにしている。バウンス(カードをオーナーの手札に戻す)は赤の「短期的に得て長期的には失う」という性質を反映して用いられ得たが、用いられなかった。
次元の混乱では、内側の円を他の場所に動かす(セット全体が「もし」のセットだったので、別の現実というテーマを強化したのだ)ということで地殻領域のカードを大量に入れた。哲学的には理解できるが、違和感があるようなものだ。次元の混乱の背後にある考え方は、ここで言って来たことの照明である。つまり、マジックはどれだけ色の哲学を守りながら(外側の円の中に存在しながら)違和感を与えることができるか、という話である。当時この説明ができればよかったのだが。
一言で言うと、時のらせんブロックは私の「アートシアター・ブロック」である。ヘッド・デザイナーとして、私はマジックのセットがどこまでできるかの境界を押し広げた。私はこの3つのセットは「手にした」プレイヤーにとって非常に面白かっただろうと思うが、大多数の人にとってはそうではなく、楽しいマジックのブロックであるという第1の役割を果たすことができなかった。私が時のらせんブロックについて否定的な発言するたび、多くの人々が怒りの声をあげる。ここで説明させて貰いたい。私は時のらせんブロックで我々のなした仕事について、非常に誇りに思っている。過去全ての中でもっとも好きなブロックの一つでもある。未来予知はデザイン・リーダーとしてもっともデザインに苦労したセットであり、そのことを誇りに思っている。しかし、例えを続けるなら、我々は大ヒット作を作るのが仕事であり、アートシアターの小品を作るのが仕事ではない。時のらせんブロックはオスカー受賞の可能性があるようなものだったが、街の映画館で上映を延長して貰えるようなものではなかったのだ。これが私の言う失敗なのだ。
核、マントル、地殻について説明してきたので、いよいよ色の混ぜ入れについて語ろう。ポイントはここだ。
#1) カラーパイはマジックにとって非常に重要である
私は個人的に、カラーパイはマジックの基礎中の基礎だと信じている。マジックのメカニズムなど全ての部分が、その上に組み上げられているのだ。2003年に私はカラーパイの重要性について、あらゆる大きな問題を積み上げたコラム「パイの価値(リンク先は英語)」を書いた。まだ読んでいないなら一読の価値はあるだろう。カラーパイに基づくデザインの制約について話すたび、カラーパイの存在が間違いであるという主張を投げつけられる。面白いことが起きないようになっているというのだ。
私は、そのプレイヤーたちはカラーパイの重要性を理解していないのだと感じている。コラムで言った通り、それなしで世界がどうなるかを見回してみればそのものがマジックにもたらす価値を認識できるものである。カラーパイは嗜好品ではない。カラーパイは、マジックをマジックたらしめているキーとなる道具なのだ。なぜそれほど深入りするのか? 開発部はカラーパイの重要性を理解しているので、軽視するなどということはないと強調しておきたい。
踏み越えるべきでない線というものは存在するが、その線は外側の円であって内側の円ではないと信じている。
#2) カラーパイは不変ではない
これについては上でも触れたが、大事なことなので二回言っておこう。核(つまり一番小さな円)は不変ではない。マジックは色々な意味で生きている。鮫と同じように、ゲームは立ち止まることはできず、常に動いているのだ。なぜなら、マジックの魅力の重要な部分は、同じゲームが二度と発生しないというところにあるからである。マジックの環境が不変であれば、諸君はその同じ環境で好きなだけゲームをすることができる。そして、ゲームをやりつくした時には人はそのゲームに飽きてしまうのだ。マジックは変わり続けることによってこの問題を解決した(私はこれを「クリスピー・ハッシュ・ブラウン効果」と名付けている。これについては以前のコラム(リンク先は英語)で書いているので、興味のある向きは読んでみると良い)。
これの理由は非常に重要であり、カラーパイの混交は場合によってはそれ以上の一歩への試金石であったりするのだ。開発部が変更すべきだと思ったとき、我々はそれを相応しい(言い換えると混交が意味を持つ)セットで最初に試し、その感触を確かめることにしている。
#3) 我々は目的を持って混交しており、ただ驚かせるためではない
私の大学時代、私はよくスタンダップ・コメディを演じていた。最初期にスタンダップ・コメディに関して学んだことの一つに、インパクト勝負の危険性であった。不適当なことをすれば笑いを取ることはできる。それは人間の生まれ持った性質だからだ。そしてこの技法の問題点は、芸とも言えないような方法で観客を笑わせたとしても、笑いを取ったとは言えないということだ。インパクト勝負のユーモアには、喜劇上の価値はない。安い笑いを拾っているだけだ。この問題の理由は、どの時点かでインパクトは薄れるということだ。ただ繰り返しているだけでは、インパクトを与えることはできなくなる。そうなったとき、観客を笑わせる方法がなくなってしまうのだ。
インパクト勝負のデザインも本質的には同じだ。異常なことをすることでデザインに注目を集めることはできる。だが、その注目は長続きしない。長い目で見たら、そんなことをすると良いデザインを作ることは難しくなる。なぜなら基礎の基礎を破壊することから始めているので、自分のデザインの立脚点が失われているのだ。
例を挙げよう。アン-セット(アングルードとアンヒンジド)についてだ。アン・カードが陥りがちな罠は、一回見た時には面白いがゲーム上の価値がないものをデザインしてしまうことだ。しばしば、デザイナーたちがそういうカードを作ろうとするたびに私はそれを却下してきた。アン・セット(やその他のセット)を作る鍵は、プレイヤーが帰ってきて欲しいと思うようなカードを作ることだと知っているからである。「1回で終わり」となるカードはそのセットを使い捨ての消耗品にしてしまうものだ。
色の混交も同じようなものだ。正しく使えば非常に重要な道具になり、普通は2?3色だけが独占しているテーマをスムーズに広げることができる。また、その環境で何が普通を踏み外しているのかを示す手助けにもなる。特定のキャラクターに性格付けをすることもできる。私が色の混交を起こしているカードを見たときに常にする質問は、「なぜこれがこのセットに含まれるのか?」だ。大抵の場合、その答えは2つのどちらかになる。1つめは「ほにゃららをするために必要だからです」。2つめは「そうした方がこのカードはクールになるから」というものだ。私は常にこの1つめの答えを聞くことになるが、しばしばそのカードを取り除くことを求めることになる。2つめの答えに対しても答えは同じだ。「それが意味を持つセットまで、とっておこうじゃないか」と。単にルールを破るためだけにルールを破るのは、インパクト勝負のコメディアンが人目を引こうとしているのと全く同じに思えるのだ。短期的には役立つだろうが、長期的にそのものの健全さを考えれば問題である。
#4) 色ができないことのほうがより重要である
カラーホイールがリチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldによって導入された大きな理由の一つは、弱点を作ることであった。プレイヤーに複数色を使わせるにはどうしたらいいか? 各色に弱点があり、それを他の色がカバーできるようになっていれば良いのだ。マジックの初期の問題点に、元々青には他の色に比べて充分な弱点がなかったということがある。従って、初期のマジックは青によって定義されていた(そう、さらに青には最強のカード群があったのだ)。
色の混交によって起こりうることの中で私がもっとも危険だと考えているのは、色の弱点を克服してしまうことだ。もちろん、エンチャントに対処できるようになれば赤は強くなるだろう、だが、欠点の存在はマジックの特徴である。ここでの問題は、プレイヤーが色を混ぜたいと思うのはまさにその部分だということだ。プレイヤーが弱点を乗り越える方法を見つけたいと思う理由なのだ。ただ、マジック全体の健全性を考えるのはプレイヤーの仕事ではない。諸君がすべきことは、楽しもうとすること、また問題を解決しようとすること。それこそがマジックなのだ。
そして我々の仕事は、諸君が問題を完全に解決できないようにすることである。諸君の目の前に障害物を投げ出すことこそが、ゲームデザインそのものである。この惑星上にある他のあらゆるデザインとは違い、ゲームデザイン(やパズルのデザイン)は一般ユーザーが物事を簡単にできるようにすることではない。諸君がゲームをするのは、心理的な挑戦を求めているからだ。自分自身を試したいと思っているのである。諸君は魚を与えられたいのではなく、魚を釣りたいのだ。
だからこそ、この衝動を埋めてしまわないことが大切である。色は弱点を保たなければならない。つまり混交はその弱点を埋めてしまわないように慎重に行なわなければならん。歴史上最大の混交の失敗は、普段はできるようになっていないことを色にやらせてしまったときに生じるものだとわかるだろう。
#5) マジックには最初から色の混交が含まれている
色の混交について議論するときに浮上してくる重要なことに、マジックには各セットで色が混交しているという核の構造が存在するということがある。それはアーティファクトである。マジックにおけるアーティファクトの役割を議論せずに色の混交について語ることはできない。
その前に、色の混交には本質的に2種類あるということを説明しておく必要がある。1種類目の色の混交は、その色で普通はしないことをするカードが作られた時。そして2種類目の色の混交は、特定の色のできないことをする色マナを必要としないカードが作られた時に怒るのだ。2種類目のものにアーティファクト(やある種の土地)が含まれるのは明白である。
これを取り上げたのは、色の混交によって生じる2つの問題があるからである。1つは色の定義、その色ができることは何なのかということ。もう1つが実際の適用、単色デッキが手にできる道具は何なのか、である。アーティファクトは特定の色を持たないので、1つめのカテゴリーは関係しない。カラーパイ上で緑ができることは、緑のカードに存在する内容によって定義される。一方、2つめのカテゴリーは、アーティファクト(や、その他色マナを使わずに唱えることができるカード)が卓上にもたらす効果に強く関与するのだ。
アーティファクトの色の混交問題は、2つの方法で解決される。1つは、アーティファクトに上の4つめの規則を破らせないようにすること。アーティファクト1つの除去をアーティファクトに置くのはどれほどむずかしいことか解るだろうか? そうすることで赤の欠点を補うことはできるが、だからこそアーティファクトにこの能力を与えないように我々は細心の注意を払っている。2つめに、パワー・レベルを確認しているということ(これはもちろんデベロップの仕事である)。もしある特定の色が何かを強く行なうということを望まない場合、我々はその行動を色つきのものより弱く行なうアーティファクトを作ることになる。
ファイレクシア・マナを挙げてみよう。フレイバー的には、ファイレクシア・マナは、肉体と金属の交わるところである。言い換えると、色つき呪文とアーティファクト呪文の中間的なものだとも言える。これが、例えばファイレクシア・マナを持つパーマネント全てがアーティファクトである理由である。そのイメージのために、色の混交に関してアーティファクトと同じように扱うことができた。普通のアーティファクトとの違いは、これらのカードは色つきであるということで、これは両方の混交にインパクトを与える。これによって色が普段の色と違うことをしているという違和感をもたらしている。
我々は我々の望むファイレクシアらしさを作るためのこの違和感を気に入った。これらのカードをアーティファクトの標準に保つことで、色の1種類目の混交を行なっても2種類目の混交に注意するようにできるという考えがあった。ファイレクシア・マナのカードを、ルール上アーティファクトになり得ないインスタントやソーサリーも含めてアーティファクトだとして評価すると、色の混交はそれほど激しくないのがわかるだろう。
この制約の下でも境界線を押し広げているカードが存在することは認めるが、ほんの一握りである。それらのカードは内部でも論争の的になった。印刷すべきでなかったファイレクシア・マナのカードはあるか? 私がそう思うものはあるが、マジックのデザインやデベロップのグループの流動性はマジックというゲームに非常によい影響をもたらしており、私が気に入らないことを通過させるというのは、言わば大事の前の小事だと言えるだろう。
#6) 全体のフレイバー的感触
混交を見た時に最後に考えるべきことは、一歩引いてカードの全体像を見ることである。ここでの例示には《ドラゴン変化》[9ED]を挙げておこう。
個別に見ていくと、これの持つ能力はどれも赤っぽいものではない。だが、一歩引いてカード全体を見れば、プレインズウォーカーであるプレイヤーがドラゴンに変身する、というもので、いかにも赤というフレイバーを感じることができるだろう。
マジックのデザインはどんどん魅力的になっていくので、このことは意識に止めておくべき重要なことである。
混交の歌
今日の問題は非常に複雑である。開発部がマジックの変化し続けるゲームを作るために、マジックには色の混交が必要である。一部は目的があってそうなっているし、また一部はより大きな問題の副産物である。開発部にとっての色の混交をするときの鍵は、より大きな図を意識しているか、そしてマジックの根幹となるものを壊すような種類の色の混交でないかである。喩えて言うなら、いつでも壁をぶちこわすことはできる、ただし、それが家の構造材になっている壁でないかどうかは確認しろ、ということだ。
大きな図においては、こんなことを意識している。開発部が核を弄らなければならない場合、マントルに思慮深く触れなければならない。そして地殻に触れるようなことがあっても、決して大きな円の外側に広がるものでめちゃくちゃにしてはならないのだ。
これをもって、このコラムの結論としよう。このコラムがこの問題を終わりにするとは思っていないので、諸君の反響を楽しみにしている。
それではまた次回、統率者でお会いしよう。
その日まで、あなたの傷が止血帯でなく絆創膏ですむようなものでありますように。
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