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プレインズウォーカーのための新たなるファイレクシア案内 その5
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プレインズウォーカーのための新たなるファイレクシア案内 その5
Magic Creative Team / Translated by Mayuko Wakatsuki
2011年5月4日
この項目では赤のマナに列する派閥、「静かなる焼炉」について記す。
「我々の目的? 鍛え直す。それだけだ」
―隠れしウラブラスク
《山》 イラストレーション:Tomasz Jedruszek |
赤に列するファイレクシア人の大多数が、ミラディンの地表と内核との間に位置する「焼炉層」と呼ばれる比較的新しく造られた隙間に居住している。この層はミラディンを新ファイレクシアへと変性させる最初の一歩として、ぎらつく油の中に埋もれていた古の記憶から造られた。
赤の太陽からの影響
元々の形態においては、ファイレクシアは黒のマナ以外を利用することができなかった。ファイレクシアの中核となる黒のマナ、それを超えて取り巻く概念には例えば階級制度や激情といったものがある。これらの概念の背後にある活力に満ちた赤のマナに触れることはなかったので、ファイレクシアの中核となる精神は単一化され確固たるものであった。マナに満ちたミラディンの5つに太陽に触れることは、ファイレクシアに多様化と不和をもたらし、目的の統一性が損なわれることになった。ミラディンのあらゆるマナの力はファイレクシアの精神に取り入れられた。赤の太陽からのマナはファイレクシアにとって最も挑戦的なものであった。その力は個人主義、憐れみ、激情、自由といった概念の背後に横たわっていたために。
《ウラブラスクの僧侶》 イラストレーション:Kev Walker |
赤の太陽からのマナは、他の生命形態への関心をわずかながらに持っていたファイレクシア人を勢いづかせることになった。憐れみというほど完全に発達したものではなく、躊躇いを引き越すに十分な共感であったが、それはファイレクシアとは多かれ少なかれ相容れない事象であった。様々な段階の知能を持つ者達がこの衝動にそれぞれ異なった形で反応した。知能を持たないクリーチャーにとっては、この原始的な共感はごく単純に行動の前の一瞬の狼狽となった。だが十分な知能を持つファイレクシア人達は深い葛藤を抱えた自身に気付き、それどころか他人への感情を恥ずかしいものと感じた。誤解してはいけない、ファイレクシアは赤の太陽に影響を受けてもなお残忍で恐ろしい体制である。焼炉層のほとんどの住人は彼らが創造された目的を果たしている。溶解した金屑を扱い、ミラディンの鉄屑を新ファイレクシアの地獄的な風景へと変える仕事である。だが赤のマナの影響は新ファイレクシアのこの部分にも影響をもたらしていた。他の派閥のように融通の効かないやり方へと陥らないように。
《金屑の悪鬼》 イラストレーション:Mike Bierek |
「その悪鬼は俺をその手で掴み、俺は焼炉の熱を感じた。俺は自分の死を受け入れたが、その時何か奇妙なことが起こった。そいつは一瞬とまどうと、指を開いて俺を解放したんだ。俺は地面に落ちたが、疲れと傷のせいで走ることもできなかった。そいつは俺をしばらくじっと見て、とはいっても俺達の世界でよく見るような顔つきじゃなかったが、まるで途方に暮れているように俺は感じた。そいつは背を向け、俺を残して去って行った。どうしてなのか、全くわからん」
―槍族のカーデム
産業という安全策
扱いに困る衝動や躊躇に直面して、焼炉層のファイレクシア人達は彼らの職分に固執した。焼炉の炎を保ち、死体や有機体の失敗作を焼却し、かつてミラディン人であった金属を再処理し、そして得た金属を新たなファイレクシア人やこの次元の入れ子状に重なる新たな層の原料とする。労働へのこの執着は精神的葛藤を抱えたファイレクシア人へと、個人の存在を無視する一般的ファイレクシア人と衝突した際の決断への判断基準を与えた。
わずかな知性を持つ者達の間では、他人への無関心が規範となった。知性ある者達のほとんどにとっては、産業こそ自分達がファイレクシアの一部であること、正しく職務を果たしていること、密かに抱く疑いにもかかわらず利用価値のある存在であることを他のファイレクシア人に証明する手段となった。
そしてミラディン人がやって来た。
二次的侵略
ミラディン地表への侵略に協力した焼炉の住人達は、要求される限りにおいて正確に役目を務めた。地表のミラディン人達は自分達が数でも実力でも劣ることに気付いたとき、僅かな者は生き残るためにできる唯一の行動に出た。彼らは大空洞へと避難したのだった。特にカルドーサとタージ=ナールを貫くその中へと、そしてルーメングリッドとアラニーズの供犠台にも。イシュ・サーだけはミラディン人に対して完全に封鎖されていた。
《軍団の結集》 イラストレーション:Steve Belledin |
「奴らの軍勢は得体が知れない。屍気の沼地から現れるモリオックも屍賊も、我々は理解している。だが峡谷から吐き出されるこれらの怪物達は武器や戦略、魔法を使ってくる。それは我々の最も頼りになる将軍や経験豊かな戦士にとってさえ異質に思えるものだ。我々の軍は散り散りになってしまった。隠れ潜み、生き残る以外に選択肢はない」
―覇者、ジョー・カディーン
大空洞へとミラディン人が到来しはじめた最初の数日間、焼炉のファイレクシア人は彼らを殺害し焼却した。しかし時が経つにつれてより多くの避難民が現れると、ファイレクシア人達の躊躇は増大した。知性を持つ者達は彼らの法務官、ウラブラスクへと指導を求めた。ウラブラスクは返答に数日を要した。そして彼が姿を現すと、そのごく短い布告は他の者達を唖然とさせた。「成すがままにさせよ」。だが彼の決定にあえて異議を唱える者は誰もおらず、ほとんどの者は黙って従った。実のところ、彼らの従属の性質ゆえにその決定へと声を上げることができなかったのだが。
隠れしウラブラスク
ウラブラスクは他のファイレクシア人指導者やカーンにさえ接見を求めないゆえに「隠れしもの」と呼ばれている。彼は出席を要請されるか必要とされた時には協力するだろうが、可能な限り沈黙を保っている。焼炉層の運営についての問題に対する彼の返答は詳細で徹底しているが、彼自身は決して詳述も思索もしない。ウラブラスクは非常に怒りっぽく、彼のその力と気性ゆえに誰もが彼を刺激することを避けている。
《隠れしウラブラスク》 イラストレーション:Brad Rigney |
シェオルドレッドや黒の派閥の族長たちだけでなく、ヴォリンクレックスでさえも、ウラブラスクや焼炉層については概してそれほど多くの意見を持ってはいない。エリシュ・ノーンと機械正典の者たちはウラブラスクを栄光ある工場の長、大いなる業へとその労働と炎で奉仕する者としかみなしていない。ジン=ギタクシアス配下の数人の主要研究者たちだけが、ウラブラスクには焼炉の管理をする以上の何か他の計画があるのではと推測しているが、この疑惑は漠然としたもので、未だどんな行動も起こすには至っていない。
ウラブラスク自身には壮大な計画などない。洞察は彼の得意とするところではない。今のところ彼は焼炉の軍勢に、彼らの間にやって来たミラディン人たちについては見て見ぬふりをせよと命じている。だがより多くのミラディン人避難者たちが毎日やって来る中、彼の状態はファイレクシアへの怠慢から裏切りへと少しずつ動きつつある。時間を少々稼ぐため、ウラブラスクはただ一つの事をファイレクシアの他の派閥に対して明確に示した。焼炉層に誰も近寄るべからず。金属に不純物が混ざらぬように、大いなる業がかき乱されぬように、主要な装置が妨害されぬように。今のところファイレクシアの他派閥は彼の領域を尊重し、彼の命令を心に留めている。
「破滅を浄化せよ。焼炉を清めよ。言葉は歪む、だが炎は歪まぬ」
―隠れしウラブラスク
ミラディン人の聖域
地表でミラディン人は選択を迫られた。彼らの文明の中心から逃げ出して大空洞へと降りてゆくか、恐怖と苦痛の叫びを上げて死ぬか。大空洞に入っていった最初の者たちは完全に死を予期したが、その代わりに、足元に広がっていた恐ろしい光景に畏怖した。多くの者が鋳造の脅威とみなされてファイレクシア人に殺され、不純物として火葬された。初めの数日のうちは、焼炉層に入ろうとしたミラディン人の多くが殺された。
《ヴァルショクの難民》 イラストレーション:Wayne Reynolds |
だがウラブラスクの布告の後、事態は急変した。ミラディン人の視点からすればファイレクシア人の態度の突然の変化は途方にくれる不可解なものであった。焼炉の残滓たちはミラディン人の横を、まるで彼らがそこにいないかのようにただ通り過ぎていった。そびえ立つバイロンはミラディン人や彼らの当座の避難小屋を避けるために通り道を変えはしなかったが、彼らを押し潰そうと通り道を変えることもしなかった。それはまるで焼炉層において突然ミラディン人が目に見えぬ存在になったかのようであった。
最初はゆっくりと、ミラディン人達は焼炉の中でファイレクシア人達の間に仮小屋を設立していった。それから彼らはより多くの難民を加えていった。試行錯誤を経て彼らは大空洞から近すぎず遠すぎない距離に、そして最大の焼炉からは離れて居住することを学んだ。彼らはまた仮小屋を小型に留めておくことも学んだ。ファイレクシア人が無視できぬほど大きなものは破壊された。
「私達は岩肌の裂け目へとやみくもに逃げ込み、負傷者を引きずって真暗な山の内部を遥か遠くへと進んで行きました。どこを進んでいるのかは気にしていませんでした、ただ恐ろしい死と仲間の叫び声のこだまから逃れることだけを考えていました。長い月日にも思える行軍の後、私達はここに辿りつきました。炎の湖が広がるこの巨大な空洞。ここは故郷ではありません、故郷はもうないのです。ですが今、私達は安全です」
―レオニンの太陽槍、サカシャ
焼炉層のファイレクシア人の役割
焼炉層においては産業こそが最優先とされているために、そこに存在するファイレクシア人たちは基本の姿からより専門化した機能へと自分たちを適合させていった。
オーガの使用人は完成させられたオーガであり、鉄屑や鉱石を地表と核の両方から集め、焼炉へと運ぶという新たな目的を与えられた者達である。彼らは愚かで暴力的で危険な存在である。ウラブラスクは彼らを好んでいる。何故なら彼らは極端に口数が少なく、命令に疑問を挟むこともなく、そして彼らの仕事の邪魔をする存在は何であろうと破壊することを厭わないからである。
《オーガの使用人》 イラストレーション:David Rapoza |
焼炉の残滓は恒常的に半溶融状態にある人型生物であり、鉄屑や鉱石、その他の素材をオーガの使用人から受け取り、様々な焼炉や精錬所へと送り込む責任を負っている。彼らは緊急時には侵入者から原材料を守っている。最後のあがきとして焼炉の残滓は自身を爆発させ、少々指向性を持つ融けた金属の飛沫を浴びせかけることもある。
金切り声の火夫は完成させられたゴブリンの一種であり、カルドーサと焼炉層の両方で焼炉の炎へと大喜びで燃料をくべる役割を負っている。彼らは半狂乱で走り回り、とげだらけの珍妙な機械を建造して炎へと空気を送る。彼らは時折焼炉へと燃料をくべる事に少々熱中しすぎて、時折互いを、もしくはたまたま周囲にあるものや走り回るものを焼炉へと投げ込む。もし努力が及ばない時は彼らは自身を焼炉へと投げ込み、炎に燃料をくべるという目的と、主の手による苦痛に満ちた罰を回避するという目的の両方を達成する。
《石弾化》 イラストレーション:Johann Bodin |
鋳塊の奴隷は皮をまとってフードを目深にかぶった、大抵は際立った特徴のない、ファイレクシア生まれの人型生物である。彼らは焼炉から金属を鋳造し、成型する任務に就いている。彼らの大きさや形は多少異なるが、喉を引っかくような声で、そして鋳塊の奴隷同士だけが理解できる言語で最小限の会話をする。鋳塊の奴隷は近頃ミラディンの人型生物達、とりわけヴァルショクに好奇心を抱いており、仕事中にも可能な時はこそこそと観察している。
金屑の収穫者は再処理の過程から死体を拾い集める巨大で愚鈍なクリーチャーである。彼らは焼炉の残滓へと渡されるものの大部分を食べることによって、製錬の工程を開始する。肉は消化され、金属は内臓の底に残る。後にその金属は焼炉の残滓へと吐き戻されて焼炉へと運ばれる。金屑の収穫者達はまた焼炉層全体へと最も巨大な生きた焼炉を護送し、金属を汚染しかねない破片を清掃する。彼らはまたオーガの使用人ほど気が短くはないが、戦闘においても極めて有能である。
バイロン、焼炉層をさまよい歩くこの高くそびえる細長いクリーチャーは、彼らと最初に遭遇したミラディン人の心を絶望的な恐怖で打ちひしいだ。ところが実際には何階層にも及ぶ高さにもかかわらず、彼らはファイレクシア化された山脈の中でとても恐ろしい存在の一つですらない。バイロンの最も危険な側面は足に踏みつけられることと、彼らの上半身周辺に集まる傾向のあるマナの嵐である。これらクリーチャーの目的は焼炉層の床と天井をマナで満たし続けることであり、そのために彼らは自身の周辺に「マナの微気象」の類を作り出している。彼らの身体へと発射されたこれらの疑似放電は、充填されて階層を構成する金属を通って上へ下へと流れる。
《炎生まれのバイロン》 イラストレーション:Svetlin Velinov |
カルドーサ
ミラディン地表の大焼炉は今や完全にファイレクシア化された。それはウラブラスク配下のファイレクシア人のために地表への主要な出入り口と、地表から地下の焼炉層へと溶解した鉄を送る主要な導管との両方の役割を務めている。予想される通り、そこでは金切り声の火夫が荒れ狂って走り回り、全構造は常に気化した油と煙で満たされている。
カルドーサは構造そのものが生物的な特性を示し始めるという予期せぬ発展を遂げた。まるでマイコシンスの胞子が金属へと結びついて溶け込んだ結果であるかのように。それは既に一種の消化システムを備え、また時が経つにつれて機嫌や気性さえも持つに至ったように思えた。不純物が多すぎれば不機嫌になり、豊富で純粋な鉱石と金属を安定して与えられている時には静かになる。この半生命状態がどのように進化していくのかについては誰にも推測できない。
《溶鉄鋼のドラゴン》 イラストレーション:James Ryman |
オキシダ山脈のファイレクシア人
焼炉層の住人たちはその目的に特化されているとはいえ、彼らがこの次元の山に居住する唯一のファイレクシア人たちというわけではない。ウラブラスクは捕食者の多種多様な展開と、それらが縄張りを築いてオキシダ山脈を徘徊することを奨励している。これらのクリーチャーたちは焼炉内のファイレクシア人とは形態学的に異なっており、彼らはかつて地表を支配していたミラディン人の生命形態を漠然と模倣している。オキシダ周辺でのこういった奇怪な、獣の姿をした創造物の展開はウラブラスクの愚かさを示すものではない。彼らは侵入者を見境なく殺すが、互いに殺し合うことはない。言い換えるならば彼らは不法侵入に対する番人を務めている。彼らはカルドーサを他の派閥のファイレクシア人から守り、それによって焼炉の住人たちは地表と焼炉層との間を自由に行き来することができる。ヴォリンクレックスはそれら自由にさまよい歩くクリーチャーたちを、独自の方法論による適合の結果であると認めた。
《切りつける豹》 イラストレーション:Matt Stewart |
ミラディン人の抵抗勢力
焼炉層にかろうじて存在している生存者の数は少なく、ファイレクシアの堕落の影響を受けずにいる者の数は更に少ない。それら感染の末期段階にある者たちはいずれ死亡するだろうが、より症状が軽い者達によってしばらくの間は看護されている。感染の初期段階にある者は、手遅れとなる前に清廉なる者の仲間に加わるという希望を抱き続けている。
《覇者、ジョー・カディーン》 イラストレーション:Austin Hsu |
清廉なる者
ミラディンにとっての最後の希望は、ファイレクシア病への免疫を持つに至った個人の小集団である。この集団の一部はオーリオックとヴァルショクの者たちによって構成されている。残りはレオニンやゴブリン、そしてミラディンのその他多岐にわたる人型種族、エルフやシルヴォク、ニューロック、ヴィダルケン、ロクソドン、数人のモリオックさえ含まれている。他に選択肢などなく、彼ら避難民は抵抗勢力の戦士となった。彼らは食糧と追加の生存者を捜索すべく地表へ出て襲撃を行うため、大空洞近くの(だが近すぎない)小さな宿営地でかろうじて生き延びている。彼らの免疫力はある女性に由来するものである。癒し手メリーラ、ミラディンの未来は彼女の存在にかかっているかもしれない。
「どうして私が皆と異なっているのかはわからない。だけどもし私の力で油による堕落からただ一人でも救うことができるなら、喜んでそうするわ。私の生命はミラディンの皆とともにあるのだから」
―メリーラ
抵抗勢力の宿営地
《無情な侵略》 イラストレーション:Svetlin Velinov |
岩滓の大口
これは抵抗軍最大の駐屯地であり、大焼炉の近くに位置している。ここは他の大空洞(ファイレクシア人が定期的に通過する)から最も離れており、最も安全と考えられていた。このために駐屯地を設置することを切望されていた場所だった。そのぞっとするような名は、この駐屯地がかつて「生きた焼炉」であった巨大なクリーチャーの死体、ファイレクシア人が有効に再処理しなかった殻の内部に位置していることに由来する。周囲の環境からしっかりと保護されているため、この駐屯地は他のどれよりも設備が充実し、また守られている。
「我々がミラディンに生きている限り、希望の一片は残されている。いつの日か我々の世界がその正当な持ち主の手に帰る時が来る。腐った暴君どもは一人また一人と疲れ、互いを食らい始めるかもしれない。そのような希望は馬鹿げたものかもしれないが、今我々はどんなものにでもすがり、進み続ける。そして若者達に心の準備をさせねばならぬ、彼らが立ち向かう未来に向けて」
―覇者、ジョー・カディーン
ひそめた光
生き残ったレオニンの高僧によって命名されたこの宿営地は、かつて神聖不可侵であった光の洞窟の極めて近くにあえて設置された。宿営地はゆらめく泡のように取り巻く一群の魔法によって、焼けつくような熱から保護されている。内部は鉄屑や皮、地操術によって持ち上げられた金属の屋根からなる単純な差しかけ小屋である。宿営地は時折、燃やす物を探しにやって来る金切り声の火夫達によって取り囲まれるが、住人たちは報復を受けないよう、望むままにさせる以外に選択肢はない。そして彼らは失ったものの代わりを調達するため密かに地表を旅する。
苗木
シルヴォクのメリーラはスラーンがかつて彼女を「空へと伸びる若木」と評したように、それを評した。彼女はそれを「苗木」と呼び、この駐屯地はその構想から名づけられた。それはミラディン人にとっては異質な、だが新たな始まりと新たな自然の世界を表すものである。ラディックスであった地の近くに据えられたこの駐屯地は、危険なほどに鋳塊の奴隷たちの群れに接近している。焼炉層内で成長するためにもがきながら、生命への好奇心を持つそれらの者たちに。
・機械正典
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