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プレインズウォーカーのための新たなるファイレクシア案内 その2
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プレインズウォーカーのための新たなるファイレクシア案内 その2
Magic Creative Team / Translated by Mayuko Wakatsuki
2011年4月13日
この項目では黒のマナに列する派閥、7人の鋼の族長達について記す。
「劣る者どもから力を奪う熱意に取りつかれた者こそが、ファイレクシアを掌握するにふさわしい」
--囁く者、シェオルドレッド
その始まりの時、ファイレクシアは悪臭を放つ沼地と陰気なよどみから興った。それはある意味ファイレクシアの独自性を決定づけるものであった。だが「新たなるファイレクシア」の勃興とともに、その体制は有用なものへと適合させられた。山地の険しい岩山から空僻地を覆う剃刀草の広がりに至るまで、多種多様とも言えるあらゆる地勢へと。この次元の沼地に生きるファイレクシア人達はそれをほとんど凶兆とは思っていない。彼らが持つ過去の記憶はひどく曖昧なものでしかない。遠い昔のぼんやりとした記憶は彼らの内に、ぎらつく油の中にかすかに流れている。
《黒の太陽の頂点》 イラストレーション:Daniel Ljunggren |
新たなるファイレクシアの勃興はメフィドロスの中心、イシュ・サーより始まった。ことによるとメムナークがこの次元を支配していた頃から、メフィドロスに生息する多くのクリーチャーは既にファイレクシア人となっていたのかもしれない。さらに離れた地域では、屍賊とモリオックの人々がファイレクシアの堕落の足がかりとなっていた。
「私がどうやって逃げ出してきたのかは記憶にありません。おそらく奴らは私を行かせたのでしょうが、信じがたいことです。奴らの数はあまりに多く、数え切れないほどで、イシュ・サーより吐き出されていました。私は不幸なロクソドンの外皮をかぶって、戦争へと向かうファイレクシア人の大群で混雑した大空洞を抜け出しました。自分の胆汁にむせながら。奴らの指導者達は狡猾で邪で、戦士達は残酷で心を持っていません。逆転の見込みはありません」
--レオニンの斥候、メイファによる偵察の報告
7人の鋼の族長達
7人の族長達は疑いようもなく、黒のマナに列するファイレクシアの派閥の中で最も影響力のある者達である。ミラディン人達との戦争の間に奪ってきた力をもって、族長達はメフィドロスの境界を押し広げて領土を開拓した。またある者は地下深く、新たなるファイレクシアの核での急速な成長を支えた。メフィドロスの中心には只一人、ゲスが頑固に残っているだけである。彼は門番として、地上の影と内部の闇との間にある大空洞の地下道で日和見をしている。
「肉体を持つ者どもの弱々しい抵抗はもはや終わった。ファイレクシアはその影を全ての上に広げる。ファイレクシアではファイレクシア人のみが生き残る。ファイレクシア人のみが全ての祖、機械の始祖となる。だが今玉座には簒奪者、カーンが座っている。族長達にとってこの物言わぬ銀の男は真の機械の始祖ではない。機械の始祖となるためにはその核で生まれ、多くの者の死を生き延びなければならぬ。指導者への道には敗者の背中や骨が敷かれている。生存競争はファイレクシアのやり方であり、王冠を奪おうという挑戦を生き延びなければ、カーンは決して王冠を頂くことなどできないであろう」
7人の族長達は皆この真実を知っており、にもかかわらず他人に漏らすことはしない。そのような考えを囁けば目的遂行への機会を弱めることに繋がると彼らは考えている。真実は常に敵の手に握られた武器である。族長達は友も敵も持たない、族長達へと反逆する武器を持つまでの間にだけ忠誠を負うような者達は。
イラストレーション:Chris Rahn |
族長達は皆、継承権争いを密かに遂行しており、自身こそが真の機械の始祖であるという絶対的な確信を抱いている。何よりも重要なのは最終的に頂点へと昇ることである。策略が練られ、同盟が組まれ、交渉は仲介され、そして軍隊が編成される。権力を手に入れる輝かしき栄光の道は、全ての指導権を握ることによって恐ろしい不実を神聖なる教義へと変えてしまうであろう。族長達は今まだ早まった行動を起こす時ではないとしている。微笑みは歯の用途を隠す。その時が来たなら、礼儀正しい公式謁見と同盟の時は終わるであろう。
「ゲス、あの卑しい野良犬はその媚びた囁きで愚か者どもを誘い、その酸の舌で奴らの足を舐める。私はあのお喋りなモリオックの頭を大皿に載せて切り裂き、食いつくすつもりだ。だが今はまだ奴の無思慮な野心には利用価値がある」
--囁く者、シェオルドレッド
囁く者、シェオルドレッド
「知ることは統べることだ」
シェオルドレッド、目下のところ法務官の地位をかろうじて握っている族長は、スパイ、斥候、恐喝者、情報屋といった巨大なネットワークの中心に鎮座しながら、多層からなる彼女の組織の幾つもの異なった面を率いている。それらは買収、監視、事実歪曲、強奪、妨害、そして伝搬だ。
イラストレーション:Jana Schirmer & Johannes Voss |
シェオルドレッドにとって情報とは力である。無知の者は真の理由を知らず失敗する。だが十分な知識があれば失敗することはない。目的に向かって前進しないという結果を受け入れることはできないから。疑いようもなく、シェオルドレッドはこの次元において最も聡明で知性的なファイレクシア人の一人である。
次元の核内、隠された座席から、シェオルドレッドはファイレクシア全てを手中におさめる陰謀を巡らせている。彼女は忍耐強くまた注意深く、何層にも重なった繊細な手段を講じている。その知識をもって敵を助けまた妨害しながら、シェオルドレッドは彼らを常に疑わせている。彼女は友であるのか、それとも敵であるのかと。
大霊堂の王、ゲス
「あらゆる者が何かを負っているのだ」
モリオックのアンデッドの王であったゲスは、世界の地下にファイレクシア人の脅威が存在するという秘密を守っており、侵略の共犯となる報酬として新たな身体を得た。それ以来彼は囁きの大霊堂にて不動の地位を維持し続け、力や知恵、そして陰謀といったものによる様々な挑戦を退けてきた。ゲスの最も強力な武器は、自身は勿論、他勢力の取引や同盟を仲介することによる影響力である。大いなる契約を使用し、彼は他者へと条件に従うか奴隷となるかを迫っている。
《大霊堂の王、ゲス》 イラストレーション:Whit Brachna |
ゲスが抱く主たる不満は、彼の地表での地位によってメフィロドスの中心に閉じ込められていることであり、またそれによって彼は野心を持つ他の族長達全員に四方を囲まれているという事である。
悪魔の長、アザックス=アザグ
「あらゆる者の内なる怖れを鼓舞せよ」
族長アザックス=アザグは恐ろしい身体的能力と凶悪で堕落しきった知性を持つデーモンである。族長達の中でも、彼はとりわけ残酷さと恐怖をもって権力を維持している。その残酷な力と彼を恐れる手下達によって、アザックス=アザグは拡大したメフィドロスからオキシダ山脈の多くの範囲まで領土を切り開いている。アザグの子分達は、山地に駐留するウラブラスクが率いるファイレクシア化した怪物達と絶えず戦い続けており、しばしば彼らを強制的にアザグの軍隊に引き入れるか、主人のために戦わせるべく隷属させている。
イラストレーション:Stephen Martiniere |
アザックス=アザグは、恐れこそが世界におけるただ一つの真の力であると知っている。より強い敵も恐れによって弱まり、単純に敗北と死を受け入れる。弱い戦士も自身より勇敢な敵を切り裂くかもしれない、彼らよりも自身の指導者を恐れていたなら。アザグの領域は一歩ごとに恐れを引き起こさせる。アザックス=アザグは常に彼自身をより恐れさせるよう行動する。彼が放つ恐怖があらゆる者のあらゆる思考を圧倒した時、彼は自身こそが真の機械の始祖であると証明し、ファイレクシアを統べるであろう。
「我を仰ぎ見よ、そして絶望するがよい。我が翼は貴様に破滅をもたらす。貴様の屍を味わい、貴様の骨からイシュ・サーと肩を並べる程の壮大な玉座を作り出そうではないか。我こそが機械の始祖となってファイレクシアの大いなる業をこの金属の世界に施行し、逆らう者全てを圧伏させる。奈落の奥深くを見よ、それこそが我が魂。そして何が真かを知るがよい」
--悪魔の長、アザックス=アザグ
ロキシス、腐敗の族長
「機械よ純粋であれ」
腐敗の族長はあらゆる肉体を憎んでいる。肉体はファイレクシアを汚染する病であり、またファイレクシアが地表からかき集めてきたぞっとするクリーチャーを破壊したり、完成させる根本的理由である。ロキシスは自身の肉や骨を取り除いて管や金属組織に取り替え、残った身体を大きなゴーレムの胸部にまるで磔にされているように取り付けた。このゴーレムはまるでそれ自身の思考を持つかのように、ロキシスの金切り声に服従している。そして絶えず腐肉あさりのインプの一群が彼に付き従っている。彼がファイレクシア人から切り取った肉にあずかれることを期待して。
イラストレーション:Stephen Martiniere |
ロキシスはファイレクシアの純粋性を、そして肉体は純粋性の敵を象徴するものと信じている。彼の願望は、それら汚らわしい要素がファイレクシアから完全に排除されることである。その時ロキシスはありがたくも玉座に、その正当なる地位に就くことができるであろう。世界の堕落した部位は腐り落ち、族長ロキシスは自分こそが指導者であると全ての者に認めさせる。腐れの王、病の大公、嘔吐の総督。胸くその悪い臓物を抱える者ではなく、ロキシスこそが機械の始祖となるであろう。
深淵の族長、クレイノックス
「かつての姿を再建せよ」
クレイノックス、大柄で多くの肢を持った油まみれのファイレクシア人は、ミラディン人との戦争の表面に決して現れない。その代わりに彼は世界の内でその力を確立しようと努めており、完成した焼炉層と世界の核の間、マイコシンスの柱の間に新たな層を織り上げるという壮大な計画を実行し始めた。彼は今や、傘のようにミラディンの核と焼炉との間にゆっくりと広がり塞がってゆく蜘蛛の巣状の骨組みとぶら下がった構造物の主である。クレイノックスの領域は油が沁み込んだ影の世界である。水門と生きた器が建造物の間まで黒い液体を上昇させ、網状構造の水道橋とパイプがそれを必要とする場所まで運んでゆく。必然的に油は地面の水たまりや沼地へと滴り落ちるので、収集者達がそれを回収し再利用している。
イラストレーション:Lars Grant-West |
「奴らには権力を争わせておけ。そして機械の始祖の座への道を切り開かせておけ。私は奴らを監視しながら、奴らの強欲と野望が忍耐と意思を圧倒するのを笑って見ておるわ。奴らは一人また一人と失敗するであろう。そしてその時こそ私は立ち上がる。我が根は油に深くはびこり、私はそこから多くを学んできているのだ」
--深淵の族長、クレイノックス
血の族長、ヴラーン
「全ての敵に死を」
族長ヴラーンは完成された吸血鬼としてミラディン人との戦争を生き延びた。核で生まれた真のファイレクシア人ではないにもかかわらず、彼は暗殺者として、また暗殺者達のリーダーとして極めて有能であるとファイレクシア人達に証明してきた。かつて冷たき集いの吸血鬼のリーダーであったヴラーンは、新たなファイレクシアの秩序の中で傭兵組織を何とか運営している。彼はまた、統制を得たファイレクシア人へ自身の従者達を死刑執行人として提供する取引を申し出た。今や冷たき集いの公的構成員と秘密の構成員達は世界のあらゆる場所で見られ、暗殺者や死刑執行人として多くのファイレクシア人指導者のために働いている。
ヴラーンは、機械の始祖へと至る道は敵の遺骸で乱雑に散らかっているものとみなしている。スパイや暗殺者達を通じて、そして彼の工作員達による犠牲によって力を弱めることで、ヴラーンは自身に敵対するのに十分な力を少しずつ排除してゆくことを望んでいる。
碑銘の族長、スリシック
「全て破壊し、再建せよ」
ファイレクシアは拡散し支配するために存在している。しかし奪うものがもはや何も残されていなかったら? スリシックはその答えを知っている、行わなければならないのは「破壊者」を生み出すことであると。破壊者はファイレクシアの支配を得て、そして新たな破壊者を生み出すに違いない。そのサイクルは続いてゆく。何故ならファイレクシアは常に改良され増強されてゆくのだから。自身の灰から再誕する度に、ファイレクシアは以前よりも強くなる。スリシックは破壊者を探し求めながら、機械の始祖の座を望んでいる。何故ならば彼は破壊者が現れた時、自分こそが破壊者を破壊者であると認識できると信じているから。彼は自分こそが破壊者、ファイレクシアに再誕をもたらす存在であることを願っている。どちらにせよ、新たな破壊者が結局は立ち上がるであろうが。
イラストレーション:Terese Nielsen |
不道徳な封建制度
族長の下に属するクリーチャー達は大まかに二つの社会的階層の中に存在している。低位の階層を成すのは野蛮な屍賊、獣的なクリーチャー、完成させられたミラディン人、そして傭兵のアンデッド達である。知性を持つ純粋なファイレクシア人と最も有用な完成したファイレクシア人達はより高い階級制度を成す。
その関係はいくつかの封建社会の構造に似たもので、低位の者達は農奴や軍隊の徴集兵であり、高位の者達は宮廷の貴族階級であったり、族長の軍隊において騎士や将校といった地位に就いている。だがその構造はファイレクシア独自のものとなっている。
イラストレーション:Steve Argyle |
例として、ある族長は他の族長の使者を迎えるにあたって、一風変わった礼儀正しさを見せるかもしれない。使者の護衛達が生きたまま皮をはがれる間に、使いの者に誠意をもって言葉を交わす。ある有力なファイレクシア人君主の伝令は、主人の到着を自分自身の皮に刻みこんで知らせるかもしれない。こういった誇示行動は封建的ファイレクシア人の習慣ではない。その代わりに、各族長や下級の将軍は彼ら自身の礼儀体系の中で行動している。その見せかけの恭しさがもはや有用とならなくなるまで。
「わしが今笑ったと? おお、考えてもみるがよい。わしはこの大きく輝く魅力的な手で看破しようとしたのだよ、お前のその小さな小さな頭脳に何を溜め込んでいるのかを。そして堪えきれなかった。お前は感じたのであろう、わしがお前の境遇の重大さを理解していないと。だがわしは至極本気ですべき事をすると保証しようではないか」
--大霊堂の王、ゲス
ファイレクシア生まれの者達
抹消者
これら大型のホラー達は《ファイレクシアの抹殺者》の後継機である。完成への飽くなき追求により、ファイレクシアの接続者と縫合者達はこの最新の、極めて危険な傑作を作り出した。
イラストレーション:Todd Lockwood |
引き裂きスカラベ
これら、刃と金属製の子供じみた顔をもつ甲虫に似たクリーチャーの群れは族長ロキシスの領域を走り回っている。多くはロキシスもしくはその手下達について戦場へと旅し、死者(もしくは弱った者達)の肉を削り落して小型の顎で細かく切り刻む。その後引き裂きスカラベ達は赤くどろどろした排出物を吐き出す。
大霊堂のスカージ
これらは生きた肉や体液をイシュ・サーへと持ち帰り、ファイレクシアの怪物を作るためにゲスや彼の部下によって作られた。獲物に飛びかかって力強い鉤爪でしがみつき、肉に噛みつくか犠牲者の血を吸い取って主人の下へと物資を運びに飛んでゆく。
イラストレーション:Brad Rigney |
破滅のインプ
飛び回りはね回るこれらファイレクシアのインプ達の顔には、恐怖を引き起こす仮面がねじ留めされている。彼らは大抵アザックス=アザグの下僕であり、彼らの出現は常に何か恐ろしい、もしくは不愉快な出来事の知らせである。彼らはただ頭上を叫び立てながら通り過ぎるか、足元で支離滅裂なことをわめくだけで恐怖を引き起こす。
総督
彼らはシェオルドレッド軍の精鋭で、死者を有用なものへと作り変えることに献身している。彼らはまた情報を探し求め、そして全ての証拠や情報源を破壊するという責任を負っている。その情報をシェオルドレッドその人のみが知るということを確実にするために。
胆液の蠕虫
これら巨大な蠕虫は海蛇のように、ぎらつく砂丘の固化部や闇滑りの水を滑り移動する。
完成したミラディン人
屍賊
屍賊はかつての屍賊ではない。彼らはより強力なファイレクシアの指導者達のもとで戦っており、そうでない時は流浪の殺し屋として行動している。族長達や他のファイレクシア人達はしばしば彼らの目的に沿うよう屍賊を改造し、腕を刃へと、脚をより長いものへと取り替えたりしている。
イラストレーション:Karl Kopinski |
モリオック
生き残ったモリオックは献身的な死刑執行人として完成させられた。彼らの目は無用のものとされ盲目にされた。今や彼らは周囲の動きや物体を永続的な幽体離脱によって感じ取り、自身の行動を操りながら夢の中であるように自身を見ている。
「我々は機械の始祖が到着する遥か以前より、この次元の捕食者であった。私は世界とそこに走り回る下級民達を、ギタクシアスと奴の弱々しい下僕以上によく知っている。そして玉座を頂くのはこの私であるということも。私には闇を見通す目があり、私の手は始祖の玉座からノーンの気取った聖堂にまで届く。すぐに、私は奴ら全ての命と力を飲み尽くす。ファイレクシアは新たな機械の始祖を知るであろう」
--血の族長、ヴラーン
アーティファクト、道具、重要な場所
ゲスの契約書
ゲスが作り出した契約書は署名者を言葉ではなく意思によって束縛する。ゲスの契約を破った者は完全に彼の力に屈する。これは互いに疑いを持つ勢力間の危険な契約を一般的なものにした。族長ゲスは契約の証である巨大な金属の銘板を用心深く守られた随行員の行進とともに世界中に送り、署名者の機密を確実なものにしている。
イラストレーション:James Ryman |
クレイノックスの宇宙儀
この物体は、ファイレクシアがどのような外見をしているかというクレイノックスの理論を最も詳細に表現している。九層からなる半球がそれぞれ入れ子となって中央の軸の周りを自転し、各々には各色の大空洞を意味する穴が開いている。半球の周囲には新たなるファイレクシアの5つの太陽が公転している。クレイノックスは未来を予知するためにこの宇宙儀を使用すると言われている。彼が「過去」であると記憶している幻視のように。
形見の墓所
ヴラーンと彼の下僕達はしばしば、犠牲者の首を死の証明や戦利品として要求する。だがそれらの多くは実際のところ、隠された形見の墓所で終わりを迎える。そこで首は幽霊の図書館の棚に乗せられる。ヴラーン本人が、もしくは彼が完成したモリオックの精霊語りが吸管を使用して犠牲者の魂を彼らの首から吸い取り、器に入れる。犠牲者は紐で繋がれ、情報を得るためにさいなまれる。
泣き叫ぶケルン
アザックス=アザグの領域の至る所に、そして彼が征服した地にはどこにでも、彼は泣き叫ぶケルンを手下達に作らせる。これら背の高い尖塔は犠牲者の頭蓋骨で作られている。それらは水銀の涙を流しながら耳障りな囁き、甲高い笑い声、金切り声、そしてうめき声の混ざりあったものを吐き出している。
イラストレーション:Jason Felix |
星辰の貴重品箱
この不等辺多面体にはシェオルドレッドの思考が包含されている。それを開けるには複数の異なる秘密の合言葉をそれぞれの面に、正しい順番にそれぞれ適切な方向に回しながら囁かなければいけない。星辰の貴重品箱が正しく開けられたなら、開けた者は星型の空間へと転送され、その者のみがそこでシェオルドレッドの思考を聞くことができる。正しく開けられなければ嘘を告げられるか、星型の空間内でシェオルドレッドの思考ではない何かと遭遇する。星辰の貴重品箱を正しく開けられなかった者の末路の多くは、単に二度と戻らないというものである。
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