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俺たちが羊飼いだ

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俺たちが羊飼いだ

Adam Styborski

2011年1月25日

 彼らは戦場を正面から離れた。何が待ち受けているのか、全く判らなかった。

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 彼らは今、爪を構えた6人のファイレクシア人を睨み付けている。不意打ちだった。

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 数秒の間、激しい戦闘があった。

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 生きるための闘いがあったのだ。

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 爪が――6本の爪のある、1体のファイレクシア人!?

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 すこし考えさせてもらえないか?


 ミラディン包囲戦のプレビュー第2週、最終週にようこそ! 明日、宝箱が投げ開けられ、俺たちはミラディンへの帰還の最新章の栄光に浴することになるが、新しいマジックをふらふらさまよい歩くのは今日じゃない。

 今日は、推測の日だ。

 今日は、暗き審判の日だ。

 今日は、ミラディンでの本格的な戦争の始まる日だ。ファイレクシア軍は捕虜なんて取りはしない。永遠に徴兵し続けるだけだ。

 さて。ファイレクシア人は忍耐強く、粘り強い。自分たちを状況から取り除いたりはしない。ただ頑なに追求し続け、そしてやはり粘り強い。もし完全に「変える」ことができないとなれば、奴らにはより確実な手法――「死」が存在する。

 ファイレクシアでは、死は生と同じように一時的なもので、どちらにもはっきりした意味はない。奴らはその存在を拡大するために存在する。ファイレクシア人にとっては、明らかに、ただ一つの存在だ。

 奴らは終わりのない行進を続け、俺たちの知るような生命を挽き潰していく。小さな走り回る生き物や、這い回る朽ちた獣が猛攻撃をしかけてくる間も、ファイレクシアはそれ以外のことを仕掛けてくる。ドミナリアでかつてあったように、ファイレクシアは最大最悪の戦力を投入してくるんだ。

 先週と同じように、容赦なくゆっくり絶望させてやる。得られるものが絶望なら、慈悲なんてものはありはしない。

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 見てみろ、これだ。カード名に「虐殺」なんて入っているんだから強力に決まってる。《虐殺》ってカードもあるぐらいだ。

 初めてこのカードを見たのは(そしてそれから何度も目にしたのは)、白ウィニーを使っているときだった。この魔性のカードを見せてくる瞬間、相手はまるでクロウヴァクスのように不気味な笑みを浮かべていた。

 ドンっ! アゴ(と、俺の軍団全部)にクリーンヒットだ。コストなしで一掃されるなんて、想像したこともない体験だった。人工呼吸器に膿漿をぶちまけるようなもんだ。......じゃあ、今日のデカブツはどうだろう?

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 ああ、デカい。《ヘルドーザー》や《悲哀の化身》とタメをはる攻撃寄りの大型クリーチャーで、殴れば痛いのは判った。だが、ただデカくて強いだけではファイレクシアっぽくない。「虐殺」の名を冠するだけの理由があるはずだ。

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 盤面全体を殴りつける、かつての《虐殺》にも増して強力な効果だ。だが、これだけじゃファイレクシアっぽいとは言えない。よく見ると、「対戦相手」とか書かれてるんだ。

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 これは気まぐれや誤植じゃない。実際、対戦相手を叩きのめすのにはわけがある。

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 ウルザのヒゲにかけて! ケリー・ディグスの言葉を借りれば、こいつは、紳士淑女諸君、誘発の地獄だ。実際、「地獄」は起こりうるファイレクシアの機械化を充分に示しているとは言えないが、それでも入り口ではある。

おお汝闇の王よ

 ここで一休みして、カードの全貌を見て、ルール情報を確認してみよう。

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  • あなたがオーナーであるクリーチャーを対戦相手がコントロールしている場合、そのクリーチャーが戦場からあなたの墓地に置かれた時にライフを失うのは対戦相手である。
  • 対戦相手がコントロールしているクリーチャーが《虐殺のワーム》と同時に戦場から墓地に置かれた場合、《虐殺のワーム》の最後の能力は誘発する。

 そう、ちょうど同盟者が同時に戦場に出た時と同じように働くんだ。同時に死ぬ奴を全部見て、敵のために埋葬してやるのさ。

 じゃあ、この凶悪なファイレクシアの死使いは何をできるだろう?

So We Shall Flow a River Forth to Thee[MO] [ARENA]
9 《
4 《ラノワールの荒原
4 《草むした墓
1 《
4 《黄昏のぬかるみ
4 《新緑の地下墓地

-土地(26)-


4 《深き闇のエルフ
3 《永遠の証人
4 《ラノワールの死者
4 《ラノワールのエルフ
4 《虐殺のワーム

-クリーチャー(19)-
4 《獣使いの昇天
4 《起源の波
1 《Living Plane
4 《自然の反乱
2 《原基の印章

-呪文(15)-

 クリーチャーを隠せ。土地を隠せ。ライフを隠せ。奴らは存在しているもの全てを殺してくる。

 俺はこの種のデッキが出てくることを予期していたし、ファイレクシアの力を示すことはもっとも相応しいと思う。間違うな、このデッキは卑劣なもので、普通に使えば友好的にはならない(ファイレクシアだし)。

 計画は3段階になる。まず、マナを手早く出す。次の段階で判ることだが、パーマネント、特にクリーチャーを使って黒や緑のマナを出すのだ。エルフのマナ・クリーチャー3種(《ラノワールのエルフ》《ラノワールの死者》《深き闇のエルフ》)は有用だが、フレイバーに置き換えてもいい。

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 次は《起源の波》を使えるだけ使って、理想を言えば《Living Plane》/《自然の反乱》、《獣使いの昇天》、《虐殺のワーム》(必要なら素出しでも構わない)の組み合わせを出したいところ。《虐殺のワーム》と土地をクリーチャーにするエンチャントを同時にテーブルに叩きつけてやれば、動揺して眉を引きつらせることだろう。

 そして、当然最後は《獣使いの昇天》を(できれば)素早く使って生き残っている全てで総攻撃だ。土地やマナ・クリーチャーも攻撃に参加すれば、《獣使いの昇天》の条件を満たすのは簡単で、脆弱なマナ・ソースも強靱な攻撃クリーチャーに早変わり。

 《原基の印章》や《永遠の証人》があれば、《プロパガンダ》や《水晶球》といった厄介なことへの対抗策を作れるし、必要なら使ってしまった《起源の波》をもう一度使うことだってできる。

 もし友人がミラディン陣営だというのなら、間違った側に付いて参戦する連中を待ち受ける完璧な破滅を見せてやるといい。マナ・ソース全ての破滅が全員にとっておいしい話ではないので、命を賭けて戦ってくることが予想できる。

ところで:魔王戦はこの種のデッキを持ち出すのにいい環境かも知れない。

 この、ファイレクシアの支配に微妙に応用して、他の方法も考えられる。こんな感じだ:

The Vengeful Striking Hammer[MO] [ARENA]
4 《血の墓所
4 《竜髑髏の山頂
4 《禁忌の果樹園
4 《偶像の石塚
3 《
6 《

-土地(25)-


3 《血の求道者
2 《ドロスの収穫者
2 《ゴブリンの名手
3 《風切るイグアナール
3 《狩り立てられたドラゴン
4 《虐殺のワーム
4 《Varchild's War-Riders

-クリーチャー(21)-
1 《Demonic Tutor
4 《湿地での被災
2 《モグの横行
3 《墓所王の探索
4 《ラクドスの印鑑

-呪文(14)-

 《Varchild's War-Riders》デッキは以前にもあったが、現代のファイレクシアと組み合わせて復権、いやそれ以上に進化した。《狩り立てられたドラゴン》や《禁忌の果樹園》といった他の「対戦相手のためにトークンを生成する」カードと組み合わせるのは馬鹿げて見えるが、実際は其の正反対で、個人用爆薬を撒いているようなものだ。

 《ドロスの収穫者》は、《ゴブリンの名手》や《血の求道者》、《風切るイグアナール》なんかがダメージを飛ばすときについでにライフを増やしてくれる。《墓所王の探索》はどのクリーチャーがどう死んだかは関係なく、ただ死んだということだけを見てくれる。

 《虐殺のワーム》だろうが《モグの横行》だろうが、《湿地での被災》でクリーチャーを一掃して軍勢がはしゃいでる時だろうが時だろうが構わないんだ。

一息ごとに(あるいは一息がないごとに)奴らを狩り倒す

 《虐殺のワーム》を中心にしたデッキを組むこともできるが、このファイレクシアの友人の、セクシーさには欠けるもののやはり強烈な性質に、様々なデッキで便利に使えるということが上げられる。対戦相手のクリーチャーを墓地に送りたいデッキなら何でも、このワームを入れることができるのだ。

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 俺の好きなデッキに、《贖われし者、ライズ》の統率者デッキがある。トークンを出して、トークンを出して、トークンを出して、それからまたトークンを出すんだ。別に特に独創的なわけじゃない。トークンを作るデッキは、統率者戦ではありふれたものだ。

 各種の全体除去――《審判の日》《神の怒り》《次元の浄化》などなど―は奇妙な提案になる。俺(や、他のトークン使い)と対戦する機会があれば、《虐殺のワーム》を入れるのは有力な選択になるだろう。

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 吸血鬼は今流行のクリーチャー・タイプだ。吸血鬼のサブタイプを持つ奴らがたくさんいて、サイズも効果も様々で、スタンダードの競技レベルのデッキにも吸血鬼を入れてあることが多い。

 もし吸血鬼を使おうと思っているのなら、《虐殺のワーム》はもってこいだ。

  • 対戦相手のクリーチャーだけを除去することができる
  • 除去呪文やクリーチャーを、さらなる火力に交換できる
  • 小型飛行クリーチャーの海に「大型兵器」を入れて欠点を補える

 《マラキールの解体者》や《ニルカーナの亡霊》も同じようなことができる。選択するのは自分だ!

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 プレインチェイスの利点(欠点? その辺は見る人の判断だ!)の一つに、クリーチャーが出たり消えたりする頻度がある。ゴールドメドウは全員に数体のヤギ・トークンを残すことになる面白い場所だし、セラの聖域は望むと望まざるとに関わらずいつでも来る可能性があるものだ。

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 《虐殺のワーム》は次元がくるくる変わる混沌の世界に相応しい。多元宇宙の散歩道を駆けるなら、このファイレクシアのカケラは望むとおりのものになるだろう!

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 先にアーチエネミーで使うためのデッキを示したけれど、それぞれにそれぞれの作戦があることだろうし、それでいい。《虐殺のワーム》は様々なデッキに暴力的な変化をもたらすだろう(大枠では俺の好きなようなデッキになるに違いない)し、極悪人への道の上にあるのも間違いないところだ。

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 虐殺を使い物にするための計略カードを入れるとなお良い。

ところで:《虐殺のワーム》だけがアーチエネミーの選択肢ではない。先週のプレビュー・カードも同様にファイレクシア陣営で、同様に相手が増えれば馬鹿なことになる奴だ。

我が足は汝を運ぶであろう

 もう待ちかねていることだろうが、今週末はミラディン包囲戦のプレリリースだ。俺ももちろん参加するぞ。

 ミラディンの傷跡から先週までのどこかで俺も油に汚染されてしまったらしいが、そうでない奴はどうやってファイレクシアの終わりなき猛攻撃に耐えるのかね?

 もし勝ち組(少なくとも俺はそう思ってる)に付くなら、付いてこい! 予定通りミラディン陣営の奴らを叩きのめす日がやってきた! 叩きのめすのだ! 叩きのめすのだ!

 俺はマジソンのカレッジ・パークで一日中ミラディン人共と戦う。それぞれ、最寄りのプレリリースに自分の戦場を見つけるんだ!

 俺はどっちにつくかはもう決めた。そっちはどうだい?

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