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包囲戦下のデベロップ
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包囲戦下のデベロップ
Tom LaPille
2011年1月21日
ミラディン包囲戦・プレビュー第1週にようこそ。まず、デベロップ・チームを紹介します。
エリック・ラウアー
二週間前(リンク先は英語)にもマスターズ・エディション4のデザイン・リーダーとして紹介したとおり、最近、エリックについて語る機会がたくさんありました。エリックはマスターズ・エディションだけでなく紙のセットのデベロップにも多大な時間を費やしている、忙しい男です。エリックはミラディン包囲戦のデベロップ・リーダーであり、彼は11連続でセットのデベロップに参加したことになります。これは驚くべきことで、マジックの知識を莫大に蓄えていることを表しています。彼はその知識をこのセットにも活かしました。
エリックは、セットがウィザーズを離れて実社会に出たときのスタンダード環境を先取りして試すフューチャー・フューチャー・リーグの責任者になっています。私は彼のスタンダードに関するビジョンを楽しんできましたし、これからあなた方もミラディン包囲戦発売後の彼のビジョンを共有することになるでしょう。
トム・ラピル
トムのマジックにおける貢献は既に何回か目にしているはずです。彼は基本セット2010、ワールドウェイク、基本セット2011でデベロップ・チームに所属していて、マスターズ・エディション3、アーチエネミー、マスターズ・エディション4のデベロップ・リーダーでした。彼はミラディン包囲戦と「Action」の両方でデベロップ・チームの一員であり、基本セット2012ではデベロップのリーダーを務めることになるでしょうから、今後も彼の貢献を近いうちに目にすることでしょう。彼はまた非常にハンサムで......それに、このコラムの筆者でもありますから、これ以上自画自賛で恥をかく前に切り上げますね。
マイク・チュリアン
プロツアー殿堂者マイク・チュリアンはこれまでに、未来予知、モーニングタイド、コンフラックス、ミラディンの傷跡、の4つのセットでリーダーを務めてきました。私たちはマジックの各チームに、リーダー以外に経験を積んだデベロッパーを含めることにしています。経験豊富で一歩引いたところからセットを見ることで、リーダーの気づかないことに気づけるからです。アーチエネミーと基本セット2012でリーダーを務めた私の経験から言うと、マイクはその任務をすばらしく果たしてくれます。マジックに関する彼の大局観は他のデベロッパーのものとは大きく異なり、経験と彼がもたらしてくれるアイデアの多様性はかけがえのないものです。
マイクは開発部から組織化プレイに異動しましたが、開発部にいたときと同じように何年もの間マジックをプレイしてきた経験を活かしてくれることでしょう。
ライアン・デュース
ライアンはマジック・オンラインのソフトウェア設計者で、マジック・オンラインに関する様々な仕事をしてきました。また、彼はプロツアーに参加したことのない熱心なドラフト・プレイヤーで、だからこそこのデベロップ・チームに招かれました。ミラディン包囲戦のチームは彼が初めて所属したチームで、彼はデベロップ期間中もマジック・オンラインにかなりの時間を取られていましたが、彼のリミテッド愛から得られたものは大きいものでした。
ジョー・ヒューバー
ジョー・ヒューバーはデジタル・ゲームのデザイナーです。当時は彼は請負業者でしたが、今はデジタル・プロダクトや新しいビジネスのためにフルタイムで働いています。このデベロップの最初の2?3週間は私たちと働きましたが、やがて時間が取れなくなり、彼はミラディン包囲戦のチームから離れました。代わりにチームに入ったのが――
ザック・ヒル
2週間前に、ザックが初めてデベロップ・チームに入ったのは「Action」だと言いましたが、間違いでした。ザックはプロツアー・ホノルル2009でトップ8の成績を収めた直後にウィザーズの一員となってからほどなくこのチームの一員となりました。それ以来、ザックはフューチャー・フューチャー・リーグなどでデベロッパーとしてめざましい成長を遂げています。おそらく、そう遠くない将来に、彼がリーダーを務めるマジックのセットに関する案内をお目に掛けることが出来るでしょう。
ミラディン包囲戦について
ミラディンの傷跡・ブロックはアーティファクト・ブロックです。当然、ミラディン包囲戦にも大量のアーティファクトがあります。その中には非常に強いものもあります。
デベロッパーとして、強力な無色カードを大量に印刷すると、私は神経質になります。マジックのバランスを取る上での重要な方法の一つに、色の要求があります。少し想像の翼を伸ばしてみましょう。今から一月後、黒を基本とした感染デッキがスタンダードで非常に強力になっているとします。《墨蛾の生息地》、《ファイレクシアの十字軍》、《ファイレクシアの槽母》(どれもビジュアル・スポイラーで公開されています)、他にも新しい選択肢は色々とありますが、仮にこの12枚(上記の3種類各4枚です)がデッキに入っているとしましょう。このデッキはかなり濃い黒ですから、他の色をいくつも入れるのには工夫が必要です。《水没した地下墓地》、《闇滑りの岸》、《忍び寄るタール坑》などを使えば青を入れることはできるでしょうが、白を入れようと思ってもスタンダードには《湿地の干潟》しかなく、なかなか困難になります。一方でこのデッキは黒が濃くなるので、黒マナ2つを必要とする序盤用カードは唱えることができるでしょう。
このデッキが強ければ、優秀な黒対策カードを詰め込むということがこのデッキへの対策になります。例えば《ミラディンの十字軍》は、メインのゲームプランに全く関係ない赤の火力でも散らしていなければ、このデッキでは処理しにくいカードです。あるいは、感染デッキへの対策カードを入れることもできます。感染持ちのクリーチャーはそうでないクリーチャーに比べてコストの割にパワーが低い傾向にあると判断し、プレインズウォーカーを大量に入れることで感染デッキへの対策にするかも知れません。黒の感染戦略には、効果的にプレインズウォーカーを排除するカードはありませんので、その作戦はある程度通用するでしょう。
さて、それではここで、《ファイレクシアの十字軍》や《ファイレクシアの槽母》がアーティファクトだとしましょう。そうなると、これらを入れたデッキの色拘束が弱くなり、メタゲーム問題に対処するために必要などの色にでものばせることになります。これは問題です。このデッキが強力すぎれば、まるでモノリスのように他の全ての上に立ち、対処不能になってしまうからです。
すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、ミラディン包囲戦はスタンダードに強力なアーティファクトをさらに追加しています。《刻まれた勇者》《メムナイト》《信号の邪魔者》《ファイレクシアの破棄者》《鋼の監視者》《オパールのモックス》《鍛えられた鋼》などで、アーティファクトを出しまくるデッキが成立するかも知れません。ミラディン包囲戦までは、競技スタンダードには「アーティファクト・デッキ」は存在しませんでした。《オパールのモックス》《メムナイト》《鋼の監視者》が入ったデッキがなかったというわけではありません。少なくとも昨年の世界選手権では、ジョナサン・スミザーズはエクステンデッドでこのデッキを使い、印象的な結果を残しました。
4 《闇滑りの岸》 1 《悪臭の荒野》 4 《湿地の干潟》 3 《平地》 4 《金属海の沿岸》 1 《沼》 -土地(17)- 4 《宮廷のホムンクルス》 2 《刻まれた勇者》 4 《エーテリウムの達人》 4 《メムナイト》 2 《羽ばたき飛行機械》 3 《イーオスのレインジャー》 4 《鋼の監視者》 4 《潮の虚ろの漕ぎ手》 -クリーチャー(27)- |
3 《オパールのモックス》 3 《バネ葉の太鼓》 4 《鍛えられた鋼》 2 《飛行機械の鋳造所》 4 《思考囲い》 -呪文(16)- |
2 《ブレンタンの炉の世話人》 3 《天界の粛清》 2 《見栄え損ない》 1 《強迫》 3 《エーテル宣誓会の法学者》 3 《レオニンの裁き人》 1 《イーオスのレインジャー》 -サイドボード(15)- |
ミラディン包囲戦と「Action」からさらに大量のアーティファクトがスタンダードに入ってくると、この種のデッキはスタンダードでもどんどん見られるようになるでしょう。そうなった時、対策が必要です。「ツイッターストーム その2:ツイッターストームの傷跡(リンク先は英語)」の中で、私はこの種の対応策の必要について語っていますが、そこではまだ公開できない、アーティファクトを大量に出せる時間があってもいいと言いました。
時間は過ぎ、対応策を開示する時が来たのです。
このカードについて、特別なデベロップ物語はありません。アーティファクト全体除去が必要だとわかった時、これは赤ではなく緑にしようと決めました。なぜなら、ミラディンのアーティファクトを破壊するのはファイレクシア軍であるべきで、赤のミラディン人が自ら破壊するべきではないからです。Multiverseに登録するとき、エリックのつけるプレイテスト名はストレートなことで知られています。このカードの場合、「Crush」でした。不幸にして、この名前はミラディン包囲戦の他のカードで使われていましたが、フューチャー・フューチャー・リーグのミーティングの際に開発部では問題にはなりませんでした。どちらの「Crush」を指しているのかがわからなくてもです。どちらのカードも、同じような目的のカードだったのですから!
次に進む前に、このカードの希少度について触れておきます。《忍び寄る腐食》は、これがアンコモンだと世界が困るのでレアです。《紅蓮地獄》や《炎渦竜巻》といった条件付きの全体除去はアンコモンであり得ますが、リミテッドのプレイヤーに突然一掃される恐怖に怯えて欲しくはありません。アーティファクト・セットにおいて、《忍び寄る腐食》は《紅蓮地獄》や《炎渦竜巻》よりも《審判の日》に近い性質を持ちますから、レアでなければならないのです。
今週末はミラディン包囲戦のプレリリースです。今回、新しいことを試しています。他の場所で読んでいないかもしれないので説明しますと、まず、各プレイヤーはイベントの開始時に「ミラディン軍」か「ファイレクシア軍」かを選びます。そのプレイヤーが手にするミラディン包囲戦のカードは、その陣営のものだけです。これにはいくつかの、目に見えない効果があります。まず、手にしたカードのうちでデッキに入れられるカードが増えるので、プレリリースで使うデッキのレベルが旧来のプレリリースよりもいくらか挙がります。他にもいくつかの影響がありますが、それはご自分でお探しください。これは面白い実験になると思いますし、みなさんにとってどのようなことをもたらすかを知りたいと思っています。
先週の投票
昨年のドラフトのうち、どの形式がよかったですか?
エルドラージ覚醒×3 | 2192 | 34.5% |
基本セット2011×3 | 1544 | 24.3% |
ゼンディカー×2+ワールドウェイク | 981 | 15.5% |
特になし | 950 | 15.0% |
ゼンディカー×3 | 679 | 10.7% |
合計 | 6346 | 100.0% |
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