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MAGIC STORY
タルキール龍紀伝
Mファイル『タルキール龍紀伝』編・パート2
Mファイル『タルキール龍紀伝』編・パート2
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2015年3月27日
おかえりなさい! 先週は白、青、そして黒のカードを見てきました。熱心な読者の皆さんは、「マルチバース」がマジックのカードを、すでに印刷されたものも、デザインの初期のものも、その間の全てを記録するために使う社内のデータベースであるとご存知でしょう。デザイナーとデベロッパーの使命のひとつは、時折マルチバースのカードを訪れ、そしてコメントを残していくことです。1年前のファイルを振り返れば、デザインとデベロップの過程についての洞察と、そして少しの笑いを提供してくれます。あなたはこの記事でそのどちらも見ることができるでしょう。
しかし、まずは演者の紹介です。
AF: アーロン・フォーサイス/Aaron Forsythe―マジック開発部の上席ディレクター。
AP: アダム・プロサック/Adam Prosak―マジックのデベロッパー。
BrH:ブライアン・ハーレイ/Bryan Hawley―マジックのデベロッパー。
DE: ダン・エモンズ/Dan Emmons―元マジックのデザイナーで『タルキール龍紀伝』デザイン・チームのメンバー。
DEL: デル・ロージェル/Del Laugel―マジックのエディター・マネージャー。
DH: デイブ・ハンフリー/Dave Humpherys―マジックのデベロップ・マネージャーで、『運命再編』のリード・デベロッパーと『タルキール龍紀伝』の共同リードを担当。
EVL: エリック・ラウアー/Erik Lauer―主席デベロッパーにして『タルキール覇王譚』のリード・デベロッパー。
GSV: ガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verhey―マジックのデザイナー。
ID: イアン・デューク/Ian Duke―マジックのデベロッパー。
KD: ケリー・ディグス/Kelly Digges―マジックのクリエイティブ・デザイナー。
Ken: ケン・ネーグル/Ken Nagle―デザイナーであり『運命再編』のリードデザイナー、そしてファッティをこよなく愛する男。
MAGO: マーク・ゴットリーブ/Mark Gottlieb―デザイン・マネージャーであり、『タルキール龍紀伝』のリード・デザイナー。
MJG: マーク・グローバス/Mark Globus―マジックの原理デザイナー。
MJJ: モンス・ジョンソン/Mons Johnson―デュエル・マスターズのデベロッパーにしてマジックのプレイテスター。
SPS: サム・ストッダート/Sam Stoddard―私です!
TJA: ティム・アーテン/Tim Aten―マジックのエディターであり、『タルキール龍紀伝』のデベロップ・チームのメンバー。
TML: トム・ラピル/Tom LaPille―元デベロッパーにして『タルキール龍紀伝』の共同リード。
赤
《龍詞の咆哮》
TML 4/17/2014: ドラゴンを公開すると強くなるのを試してみよう。
MJG 4/18/14: このカード大好き。
DH 5/23: 条件にドラゴンをコントロールしていることを追加してドラゴンを手札に置いておかなくてもいいようにする。
ID 6/11: 他の火力呪文(UR09, UR12, とか)に似すぎてると感じるようなら、{1}{R}で対象のクリーチャーに3点、強化版ならそのコントローラーに3点にできないかな。
SPS 6/16: コスト軽減としてはこれが一番好みですな。
DH 6/17: 上のIDの提案したとおり、他のアンコモンとより良い区別をつけるために3点・3点のバリエーションに変更。
BrH 7/22: こいつはクールですね。
「ドラゴン関連」のカードは最初は全てコスト軽減でしたが、ドラゴンを持っていないときにとてもイライラすることが分かりました。強化されるこのバージョンはバランス調整が容易で、呪文を唱えるのが不満すぎないところを見つけることが容易でしたが、ドラゴン・デッキにとって「初手にドラゴンがあるかどうか」が肝であるままにできました。
《龍の大嵐》
DH 6/5: 2番目の能力を変更。最初の能力の誘発は種類別のせいか? 全てのドラゴンが《ヴァルカスの災い魔》になる。
DH 6/16: これとMR01と組み合わせると同時に大量のドラゴンが戦場に出るが構わないのか?
SPS 6/16: そうです! ぐわおおおおお。
このカードは最初、対戦相手の飛行を持たないクリーチャーが戦場に出るときにタップ状態にして、自分の飛行クリーチャーに速攻を与えるものでした。これはものすごく強いというわけではありませんでしたが、人々に〈龍の世界/Dragon World〉という名前を納得させました。時間をかけて、我々はよりエキサイティングなものへと調整を施しました。私は《龍の大嵐》と《龍の降下》が将来のスタンダードを壊してしまわないかについては懐疑的ですが、しかしこのコンボが決まったならば相当クールだと思います。
《コラガンの野心家》
TJA 6/16: {1}{R}2/1トランプルはとある理由で私を困らせる。私は『テーロス』のこのカードがとても嫌いなんだ。攻撃したときに先制攻撃を得るか、これがブロックされたときに対象のこれをブロックしているクリーチャーに1点とか、何か他のにできないかな?
DH 7/9: 分かった、《ソンバーワルドの自警団》にしてあげよう。赤はまだこの助けを使うことができる。彼女は斧を投げてるんだろう。文字数が多くなる。明確に《灰口の猟犬》のブロックに対して機能的だ。
DH 7/11: 文字数の関係で疾駆を削除。
DB 8/7/2014: 疾駆がなくなって、これは狂戦士というより戦士っぽい。狂戦士→戦士に。
赤の2マナ生物は大変です。これの問題は{1}{R}2/1がとても強いというわけではなく、かといって{1}{R}2/2にはできないということです......少なくとも今はまだ。赤がそれをできるべきかどうかという議論が開発部内部で進行中の間、我々は依然としてコモンのアグレッシブな赤いクリーチャーを作らなければなりませんでした。我々はリミテッドで満足行くカードを得るために、このテキストを決定しました。
《コラガンの先陣》
TML 3/12/2014: 疾駆を追加。
GSV 4/10/2014: これは今赤なの? 白にしたと思うんだが。「[カード名]が攻撃したとき、これはあなたがコントロールする攻撃クリーチャー1体につき+1/+0の修正を受ける」なら攻めてるときだけ機能するから納得いくけど。あと、この色で疾駆がついてるのは変な感じだけど、まあ疾駆のやつらを唱えにくくしたいっていうのは分かるよ。
DH 4/21: こいつは+n/+nじゃなくて+n/+0だから赤なのは納得いくが、この議論が厳密にどうなったかは自信がない。
これは微妙な違いですが、デイブの*/*は白で、*/3は赤というのには同意します。
《双雷弾》
TML 3/12: 〈Grill〉だったが《火》そのものになった。
KD 5/19: 射手がイラストに描かれているので、これを「ファイア!」って呼べるな。
これは以前話題に上がった議題です――分割カードの半分を印刷するとき、我々は同じ名前をつけられるのでしょうか? 私の見解ではそれを本質的に禁止するルールはありませんが、我々は混乱を避けるためにそうすることを避けています。しかしながらケリーの提案には笑わされました。
《鐘突きのズルゴ》
時間表現:クロスオーバー――これは、古い時間線ではマルドゥのカンであったズルゴだ。龍王コラガンの下では彼の地位は政治的にも肩書き上でも大きく低下した。
MJG 4/18/14: 私は粗石文がここにあるのが、特に伝説のクリーチャーの背景のためのやつが好きだ。
KD 4/29: 私は彼の相対的なシンプルさが実際に彼の物語を引き立てていると思う。彼の変化した時間線の対比はマルドゥのカンだった元の時間線から新たなタルキールでただのおっさんになったことだ。
DH 5/2: 赤いオークへの先祖返りのテキストを追加。
TJA 5/5: これ好き。
TML 5/12/2014: バニラのほうが好きだけど、こいつはかわいいね。
DH 7/23: 疾駆を{2}{R}→{1}{R}に。
ズルゴの数字は、『タルキール龍紀伝』にふさわしいズルゴを作り出す方法を考え出そうとするクリエイティブによる午後5時の会議でもたらされました。ある時期には、私は彼が{R}2/2で完結していなければならないと提案しました。この変化した時間線の中では、ズルゴはただのおっさんです。タフですが、特別ではありません。
我々は最終的にコラガン氏族らしさのために疾駆と、スタンダードのバランスとカラー・パイのためにデメリットの文章を加えました。
緑
《コロッソドンの一年仔》
時間表現:先史時代の巨大アルマジロに似た大型の獣。これは『タルキール覇王譚』のコロッソドンの幼体である。
TML 2/9/2014: タフネス民向けの新しいおちゃらけ野郎だ。
TML 3/7/2014: タフネス関連はコモンからなくなったが、これはまだ欲しいと思う。
GSV 4/10/2014: 私はこの単純な呼び戻しを楽しんでるよ。
私が《コロッソドンの一年仔》が逆《高山の灰色熊》だということに長い間気づかなかったことは事実です。
《塩路補給部隊》
(以前のカード名は〈武器業者/Weapons Traders〉)
GSV 4/10/2014: これの+1/+1カウンターを全部渡してしまうと0/0になって死亡してしまうのはフレーバー的に変だと気づいた。基本が1/1か0/1で、2つカウンターが乗っているのがいいな。
DH 6/9: 上のコメントを反映したものに変更。
SPS 6/16: 火曜日にサーベルを喜んで買いますぞ。
『テンペスト』の「スパイク」が、より良いもののために自身を生け贄に捧げるというのは道理にかなっています。人々は一般的にそこまでのことは進んで行おうとしません。結果的に、我々はこれらの最後のカウンターを取り除けるようにはしない傾向にあります。
《鱗衛兵の歩哨》
時間表現:このイラストは『タルキール覇王譚』の《族樹の管理人》を思い起こさせるように意図されたもの。龍王が聖なる樹と置き換えられている。
SPS 6/16: これは変化した時間線での勝ち組の1人ですな。
誰かでなければいけなかった、よろしいですかな?
多色
《龍王アタルカ》
時間表現:龍のリーダー。
DH 4/30: 前のはサルカンに踏みつけられすぎると見なされた。また新しい能力に。コストとサイズを上げて戦場に出たときに《神々の憤怒》。
Mago 5/22: まるで赤単色のようだ。緑の部分はどこだ?
ID 5/30: 『運命再編』のアタルカも7マナだ。6マナにできるバージョンはあるかな? 5/5?
KEN 5/30/2014: 6/6→8/8。
TJA 6/2: 赤緑で《飛び回る玻璃凧》能力を正当化する方法はあるかな? そういうのをこれにつけたい。
SPS 6/16: もうちょっとだけ強くしたいですな。ティムのアイデアは好きなのですが、多分あの赤のドラゴンに似すぎてしまいますぞ。
DH 7/24: ダメージを割り振って与えられるように調整。ダメージの点数には自信がない。うーむ、《ボガーダンのヘルカイト》を忘れていた、これは多分正しいデザインではないな。
DH 7/25: プレインズウォーカーにもダメージを与えられるように変更。助けになるかな?
MJJ 7/25: これだけしかクリーチャーがいないときに気まずい感じがする......
DH 7/25: 文法の話だとするなら「他の」だ。
DH 7/30: 実際これには「対戦相手のコントロールする」をつける必要があると思う。
DB 8/7/2014: ドラゴン→エルダー・ドラゴン。
『運命再編』と『タルキール龍紀伝』の龍たちをそれぞれ異なるようにするには、少し手間がかかりました。
《龍王オジュタイ》
時間表現:龍のリーダー。
TML 12/19/2013: 私は再びフロスト・アーマーするだけだ。ちぇっ。
TML 1/10/2013: タップ状態でない限り呪禁を持つことが受け入れられますように。
TML 4/16/2014: 4/6→4/5に。
DH 6/5: 5/5→5/4。 FFLより。
DH 7/29: 今は3枚見る《衝動》だ。
TJA 7/30: 奇妙なことに《孤独な亡霊》にそっくりだ。
DB 8/7/2014: ドラゴン→エルダー・ドラゴン。
呪禁は、使うことを止めたりはしないまでも、クリーチャーにつけることをとても注意しているものです。「アンタップ状態限定の呪禁」のような能力を試すことは、《不可視の忍び寄り》の問題を持たない、我々が呪禁に求めているものへ向かう方法の1つです。
《龍王シルムガル》
DH 6/18: これが死亡した場合の誘発型能力のテキストを削除。濫用が必要なでかい《誘惑蒔き》になった。6マナに下げる。
DH 6/18: 濫用部分を削除。プレインズウォーカーのコントロールも奪えるように。サイズを小さくした。
TJA 7/15: アタルカみたいにこれも『運命再編』バージョンとマナ・コストが一緒だ。
BrH 7/17: ドラゴン以外のクリーチャーにするべきじゃないですか? 他の龍の使用人を奪うのはフレーバー的で、ミラーマッチのときに相手のシルムガルを奪ってレジェンド・ルールで墓地に送るのは変な感じです。
DB 8/7/2014: ドラゴン→エルダー・ドラゴン。
我々は『運命再編』と『タルキール龍紀伝』の龍が同じ点数で見たマナ・コストを持つことを避けようと試みました。しかし、可能なバリエーションは限られており、よっていくつか被ってしまいます。それぞれのバージョンは、人々がお互いを間違わないぐらいに十分な違いがあると、私は考えています。
《オジュタイの命令》
TML 9/24/2013: これが金色のレアの呪文のサイクルであることはそんなに重要なの? 単色でもっといいデザインの余地があると思う。
Mago 10/1: 命令は単色でやってきて、誰もそれらをよく考えたことがなかった。金色で派手なレアの命令サイクルがあることはかなり重要だと思う。
TML 11/5/2013: これらは金色の命令になるだろうね。
TML 11/5/2013: 新しいのに。
Tabak 12/3: 真ん中の能力2つの順番を入れ替えたので、打ち消したクリーチャー・カードを追放するようになりました。構いませんね、TML?
TML 12/4/2013: もちろん!
TML 1/24/2014: 対象を取らない新しい書式に。
TJA 2/25: 「各クリーチャー・呪文を打ち消す」は、複数のクリーチャー・呪文がスタックにあることがどれだけあり得なさそうか考えると変に思える。確かに1つしかない対象が不適正になると呪文が丸ごと打ち消されるけど、別の打ち消し呪文でクリーチャー・呪文が打ち消される以外に対象が不適正になる可能性ってある?
ID 2/26: これが《嵐雲のカラス》を効果的に打ち消せるのは好きだな。
我々が『ローウィン』の命令サイクルで気に入らないことの1つは、モードによって対象を取ったり取らなかったりすることです。つまり、《謎めいた命令》で対戦相手のクリーチャーをタップしてパーマネント1つをバウンスしようとするとき、そのパーマネントが戦場を離れた場合、タップする効果は機能しないのです。このことは新しいプレイヤーには直感的でないので、我々はこれが起きないようにしたいと思いました。最終的には少し離れてしまいましたが、我々はこれら命令サイクルが最初のものよりも立ち消えになりにくいようにしようとしました。
《揺るぎないサルカン》
TML 4/28/2014: +2は今《投げ飛ばし》だ。もっと確固たるジャンドらしさのあるものにするべきだね。
DH 5/1: DBはティムールの色の可能性を探っている。
DH 5/2: クリエイティブは赤青緑を承認した。デザインにやってくれ。
DH 5/2: 能力で時間を使っている。数字が正しいのかどうか分からない。
SPS 6/16: 私はこの数字で大満足ですぞ。
《揺るぎないサルカン》は最初ジャンドでしたが、それには大きな問題が1つありました――リミテッドはもちろん、スタンダードでも唱えられないに等しかったのです。我々は彼を「誰もプレイしない最高のプレインズウォーカー」と呼ぶようになってしまいました。最終的に我々はクリエイティブのところにこの懸念を持って行き、そして彼らはこのカードの色をもっと唱えられる色に変えることを認めてくれました。
アーティファクト
『タルキール覇王譚』のMファイルでの私のコメントを覚えていらっしゃるかもしれません......
《鮮明のレンズ》
ID 3/27/14: 未来のトムは過去のトムを失望させた。
ええ、私はこれの直前のコメントを削っていたのです。
TML 11/19/2013: これが『タルキール龍紀伝』にもあると分かったときの反応が待ちきれないよ。 :)
ええ、これは実際うまくいきませんでした――そして《鮮明のレンズ》をまた入れる代わりに、我々は最終的にこれにしました。
《水晶の番人》
ID 2/26: これが時間旅行をしてオリジナルと違った存在になるのは楽しみだね。プレイヤーは駄目なカードがもう1回入ってたら満足しないと思うよ。
TML 3/12/2014: 完全な余白ではなく2マナ1/3にする。
DH 4/21: 私が求めたものよりも強いな。3マナ1/4か、他の選択肢のほうが好みだ。
DH 4/29: この変更を試してみよう。
DH 4/30: 実際に新しい3マナのコモンがあるから、《聖所の猫》を試してみよう。
今回のMファイルは以上です。数週間後には『モダンマスターズ 2015年版』のデベロップのときに何が起きていたかについてのより良い理解のためにまた戻ってくるでしょう。
しかし来週はFFLと現実世界のいくつかの違いについてと、内部のテストプレイに存在して現実世界には登場しないカードの大部分がどんなものかについてお話しします。
それではまた来週お会いしましょう。
サムより (@samstod)
DragonsofTarkir タルキール龍紀伝
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