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企画記事
『ダスクモーン:戦慄の館』「ジャパン・ショーケース」アーティストインタビュー:アオガチョウ
English Title: Special Interview with Aogachou Illustrator of “Overlord of the Hauntwoods” from Duskmourn: House of Horror’s Japan Showcase
本記事では、本日発表となった9月27日発売セット『ダスクモーン:戦慄の館』に収録される「ジャパン・ショーケース」のカードアートをご担当いただいた、アオガチョウ 先生へのインタビューを掲載いたします。
※本記事の内容は本日発行の弊社プレスリリースと同一のものです。
※取材日:2024年4月18日
※The English version is available at the bottom.
担当アート《ホーントウッドの大主》(Overlord of the Hauntwoods)について
「《ホーントウッドの大主》(Overlord of the Hauntwoods)」というカードテーマに対する第一印象は?
今回の《ホーントウッドの大主》については、最初にイメージになる元のデザインがありまして、その絵を見たときには、足がいっぱい生えていて不気味なイメージでした。あと仲間を従えていて名前の通りリーダー格の存在という印象でした。
描いていく中で、先生が解釈・補完したポイントがあれば教えてください。
すでに元になるデザインがあったので、同じキャラクターに見えるように、そのデザインに対するリスペクトを持ちつつ、違う印象も与えられたらと思い、今回は手を手前に出すようなイメージで奥行きを出して描きました。
作品の色使いは、どのように決定したのでしょうか。
元のデザインの緑色を活かしつつ、奥行きを出すために後ろの光をつけることで、少し明るい印象にしました。また、《ホーントウッドの大主》をより目立させるために、目に少し赤を足すことや、角についている布の模様をよりはっきりさせました。また背景にドアのある画の指定があったので、それが開いて光が漏れている印象にしました。
今回の作品コンセプト(大切にされた点や特に意識された点等)を教えてください。
これまでカードの画を書く際は、デジタルで描いていたのですが、「マジック:ザ・ギャザリング」の他のアーティストさんの作品原画も絵画のようなアナログで描かれている作品が多いので、今回は、ずっとやってみたいと思っていたアナログで描きたいと思い、初めて挑戦しました。「マジック:ザ・ギャザリング」はずっと長く続いている作品なので、今回の絵も長く誰かに愛してもらえるようになったらいいなという思いを込めて描きました。
個人の作品としては、アナログで書くことも多かったですが、仕事で描く絵は修正も入るので、デジタルで描くことがほとんどで、チャレンジングな仕事になりました。デジタルの時は光らせるような効果や修正はやりやすいですが、アナログの場合は、光らせるところを前もって残すなどいつもと違う書き方になるので、そこは苦労しました。
「マジック:ザ・ギャザリング」の絵を何度か描かせていただいて、ラフで確認いただいたら最後まで書かせていただける印象になったので、そういった信頼関係が築けたからこそできたチャレンジでした。
特に頭を悩ませた・苦労した点があれば教えてください。
今回のイラストでは、特に光の表現に苦労しました。デジタルではないので、光らせたい部分は紙の白を生かすために残して描く必要がありました。顔の後ろや白く光っている部分、目の光やドアの部分の光に苦労しました。またキャラクターの手足が小さく、多数存在する点をチャームポイントとして前面に出すようにしたので、その光のバランスにも気をつけました。そして顔の表現にもこだわり、元の絵よりも顔がはっきり描くようにしました。
今回1番最初に描き始めたのはどこからですか。
描き始めは背景の緑色から始めました。キャラクターとしては、まずは顔が目に入るため、顔を早めに仕上げてから作業を進めました。
製作期間はどのくらいかかりましたか?
制作には、ラフをデジタルで描いてから水彩紙にトレースし、アクリル絵の具で色を塗るというプロセスを取りました。1日2、3時間集中して少しずつ作業を進めて1週間ほどで完成させました。「マジック:ザ・ギャザリング」のイラスト製作でアナログでの作業は今回が初めてだったので、少し時間をかけました。ポーズや小さなモンスターの配置などの構想に時間をかけました。
デジタルラフ
水彩紙にトレース後、下塗り
8割ほど進行したもの
一番見てほしいポイントを教えてください。
光が漏れているドアの部分です。視覚的にまず顔に目が行き、次に手に、そして後ろのドアや窓に見る人の目が移るように設計しています。この流れで作品を見ていただけると、後ろのドアに誘われるような感覚を体験できるようにしました。
「マジック:ザ・ギャザリング」について
「マジック:ザ・ギャザリング」の世界観、カードのイラストの印象について
「マジック:ザ・ギャザリング」は、モンスターやドラゴンといったファンタジーの本格的なイラストに触れるきっかけとなった存在です。カードゲームとして遊ぶというより、好きなイラストを買って帰って絵画やイラスト集を楽しむ感覚で集めていました。実際にプレイすると、スキルや勝負の流れによって、カードのキャラクターの生態・活躍などがさらに想像できます。これはゲームならではの魅力だと思います。
また、フレイバーテキストも好きで、カードの世界観やストーリーを深める要素として重要なのですが、そこから影響を受けて、私がイラストを描くときは一言添えたりすることもあります。
カードのイラストを描くときに意識していることはありますか?
実際のカードは小さいので、視覚的にすぐに理解でき、かつ魅力的に見えるかを意識しています。また、ゲーム内での役割がわかっている場合は、その能力を彷彿とさせるような絵になるよう心掛けたりもします。
お気に入りキャラクターがあれば教えてください。
どのカードも魅力的で一つに絞れないほどですが、《ペガサスの隠れ家》が印象に残っています。空を飛んでいる姿ではなく、ペガサスが暗い壁の中に隠れているという絵としての面白さが好きでした。絵からストーリーを感じさせるところが魅力的だと思います。
「マジック:ザ・ギャザリング」を初めて手掛けたのはいつからですか?
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のミスティカルアーカイブ・カードで《旋風のごとき否定》の日本画バージョンを最初に手掛けました。それまでのイラストレーターとしての仕事は、人物以外を描くことが多かったのですが、この作品は浮世絵や古典的な日本画のテイストを取り入れてキャラクターを描くことが求められたので、私としてもチャレンジでした。ただ、大好きな「マジック:ザ・ギャザリング」の仕事に携われるということで、喜んで描かせていただいたのを覚えています。
「マジック:ザ・ギャザリング」のイラストを手掛ける魅力は?
やはり、絵描きとしての私に多大な影響をくれた世界の一員を描けることが光栄でなりません。SNSなどでプレイヤーの方から「使いやすい」など、カードとして活躍しているのを知れるのもうれしいですね。また、海外からの反響もあるのは、世界的人気のある「マジック:ザ・ギャザリング」ならではで、国際的な影響力の大きさを感じさせます。
最後に「ファンの方へメッセージ」をお願いします。
私の描いたイラストが、カードとして皆さんの手に届いて、それが何か特別な感情を動かすことができたらとても素敵なことだと思っています。イラストの感想も勿論励みになりますし、担当したカードをデッキに入れていただいた際、プレイ中にどんな勝負のドラマがあったかなども教えていただけるとうれしいです。
<アオガチョウ 先生 プロフィール(X:@aogachou)>
大阪府出身。武蔵野美術大学日本画学科卒業。デジタルアートバトル「LIMITS」初代世界チャンピオン。幼少期より幻想世界のモンスターや恐竜、動物などに興味を持つ。一風変わった独自の視点と、物語性を込めた作風が特徴的。ゲーム、書籍、ウィスキーラベルなど多方面へヴィジュアルを提供。
The Creation Process of “Overlord of the Hauntwoods” – From Digital to Analog
When I first saw the character design, I was immediately struck by the eerie impression imparted by the numerous legs. While still respecting the original design, I strove to also emphasized depth by bringing the hand to the forefront. Prior to this piece, I had been creating card illustrations digitally, but I decided to take on the challenge of fulfilling a dream of mine, creating a true analog illustration. I put my heart into this piece, hoping it’s loved for a long time, just like Magic: The Gathering.
In particular, I found expressing light to be challenging without digital tools. I ended up leaving some areas unlit and added backlighting to create depth, resulting in a slightly brighter look. I carefully crafted the background to feature an open door emitting light. I also focused on the face, adding a touch of red to the eyes and refining the cloth pattern on the horns to highlight the aesthetics of the Hauntwoods. I view the door emitting light is the main focus in this illustration. The piece should guide viewers from the face to the hand, and then to the back door and windows, drawing them into the background.
As far as executional process, I transitioned from digital sketches to tracing on watercolor paper and painting with acrylics. Working 2-3 hours daily, I finished the piece in a week. I focused on conceptualizing poses and creature placements, starting with the green background and then the face.
draft the first sketch digitally.
WIP sketch by hand.
WIP sketch almost 80% complete.
The Art of Magic: The Gathering. Bringing Fantasy to Life
Magic: The Gathering introduced me to fantasy art through its art books and collections. Playing the game deepened my appreciation, allowing me to imagine the characters and their actions. My first Magic: The Gathering illustration was 《Whirlwind Denial》 in a Japanese traditional painting style for "Strixhaven: School of Mages." Combining classic Japanese techniques with character art was challenging but rewarding. Being part of the world that significantly influenced my artistic journey is a profound honor. Seeing players appreciate my work on social media and hearing about its use internationally shows the game's global reach.
As for other cards from Magic: The Gathering, it’s hard to pick my favorite card, but 《Pegasus Refuge》 is one of my favorites. I liked the interesting idea of showing Pegasus hidden in a dark wall instead of flying in the sky. The way the picture conveys a story is very appealing to me.
Message for the Fans
I believe it would be wonderful if my illustrations, as cards, could reach people and evoke special emotions. Feedback on my art is always motivating, and I'd love to hear about any memorable moments you experienced while using my card in your deck.
<Profile of Aogachou(X:@aogachou)>
• Born in Osaka, Japan.
• Graduated from Musashino Art University with a degree in Japanese painting.
• First-ever world champion of the digital art battle "LIMITS."
• Longstanding interest in fantasy creatures, dinosaurs, and animals since childhood. Known for a unique perspective and narrative-driven style.
• Provides visual content across various mediums including games, books, and whiskey labels.
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