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『統率者(2018年版)』カードプレビュー:蜘蛛パニック!

金子 真実

 マジック・プレイヤーのみなさん、こんにちは!突然ですが、みなさんにとって「ロマン」って何ですか?

 もちろんですが人によって答えは違うと思います。「ロマン」なんて曖昧な言葉、それぞれ思い起こすものがありますよね。

 さて、そんな「ロマン」ですが、私は3つの言葉が浮かびます。そう、「サメ」「恐竜」そして「蜘蛛」です。

 いやいやいや、何言ってるんだと突っ込まれそうですが、しょうがない。最初にも書いた通り、ロマンってのは人それぞれですから。誰がなんと言おうと、私にとってのロマンとはすなわちこの3種類の生物なのです。

 サメについては……まあ、もう今さら語るまでもないですよね。パニック映画界の王様です。あの美しいフォルム。不気味で意志が感じられない瞳。並んだ牙。恐怖感を感じさせる素晴らしき造形美ですね。数々の作品で取り扱われた題材であり、業界随一の作品数を誇ります。たまに頭が複数になったり、竜巻に乗っていたり、足がタコになったりしますが、大丈夫です。何が大丈夫なのかはわかりませんが、サメなら大丈夫です。全て許容できる。

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マジックでもだいじょうぶ(?)でした

 秋にはなんだか予算かけた感じの新作が出たりするみたいなので楽しみですね。

 

 恐竜については……いいでしょう。すでに『イクサラン』ブロックで語りましたし、記事も書いちゃったりしました。つい2週間前にそんな映画が公開された気もしますし、世は恐竜飽和時代です。いや、もちろん本当はもっと語りたいことがいっぱいあるのですが、もっともっといーっぱいあるのですが、それはここでは割愛します。一度どこかで恐竜についてひたすら語る記事や生放送みたいなのしてみたいですね。

 

 さて、業界トップ2が「恐竜」「サメ」であることは自明の理、識者にとっては当たり前の事実かもしれませんが、三番手となると意見が分かれるのではないでしょうか。あ、あらかじめ言っておきますがゾンビは別ジャンルです。いろいろな意見があるかもしれませんが、私が思う三番手。それが「蜘蛛」なのです。

蜘蛛という生物

 いや、この項目あんまり掘り下げていいの? このページマジック公式じゃなかったっけ? という気はしますがしかしそれはそれ。興味が無ければ飛ばしてください。

 皆さんは蜘蛛のことを「気持ち悪い」と思いますか?それとも「かっこいい」と思いますか?

 確かに不気味なフォルムだとは思いますが、しかしながら私はとてもカッコいいとも思います。その8本の足と複数の目。さらには噛み付くための顎。およそ生物から出てきそうにもない糸。大型の種はネズミやカエル、時には鳥までも捕食し、小型の種はいつの間にか部屋の中に居たりする。その生態には驚きとともに感嘆を禁じえません。

 さらにかなりの種類の蜘蛛が飛ぶ……というよりは糸を出して空を漂うことができ、あっという間に生息範囲を広げることができます。「飛ぶ」というイメージはないかもしれませんが、かなりの蜘蛛が空を漂っている。そう考えるとなんだか面白くなってきませんか?

 大きくなったり、宇宙から来たり、なぜか溶岩パワーで火を噴いたりしますが、ともあれその「怪物」という感じの恐怖感を煽るフォルムと気持ち悪さから、多くの作品で活躍しています。

マジック的「蜘蛛」

 マジックの世界にも蜘蛛はいます。ゲーム上でも現実の蜘蛛よろしく、飛行に対抗する力を持っていることがほとんどであり、基本的にクリーチャー・タイプ:蜘蛛のクリーチャーは「到達」を持っています。

もちろん例外もいます

 最初に印刷された蜘蛛は《大蜘蛛》。このカードはその後何度も基本セットを始めとしたセットに収録され、多くのプレイヤーの空の攻防を支えてきました。その後、多くの蜘蛛が地上より空を支配するべく登場しましたが、原則としてこの「硬い(タフネスが高い)」「到達持ち」というカードの効果が徹底されています。それほどまでに、マジックの世界の「蜘蛛」とははっきり役割がある存在なのです。

 蜘蛛なんてリミテッドでこそ活躍するものの、構築ではお呼びじゃない? いやいや、侮るなかれ。その昔、プロツアー・コロンバス1996を制したオーレ・ラーデ選手が使用したデッキには2種類の蜘蛛が採用されていました。

プロツアーを制したデッキのエースクリーチャーたち

 他にも《絹鎖の蜘蛛》は多くのドラゴンや天使、そしてなぜか飛んでくるワームや犬をその糸の力で屠りましたし、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》は多くのプレイヤーのライフを吸い尽くしました。《ジャングルの織り手》もたくさんサイクリングされました。

 そう、蜘蛛は決してマイナーな種族ではないのです!

 そんなマジックの世界の蜘蛛の仲間に、『統率者(2018年版)』で新たな一体が加わります。《戦争織り、タンティス》をご覧あれ!

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戦争織り、タンティス

 そう、ジャンド(黒赤緑)カラーの新たな伝説の蜘蛛が登場です! これで統率者戦での蜘蛛デッキにさらに幅が広がったのではないでしょうか。

 今まで伝説の蜘蛛は《墓後家蜘蛛、イシュカナ》のみであり、蜘蛛デッキを組むと必然的に黒緑の2色でまとめなくてはいけませんでしたが、《戦争織り、タンティス》の登場で状況は一変しました。ジャンドカラーの蜘蛛デッキが構築できるのです!

 能力もかなり統率者戦に向いていますね。全てのクリーチャーは攻撃しなくてはいけませんが、《戦争織り、タンティス》をコントロールしているプレイヤーは攻撃したくない。必然的に、他のプレイヤー同士の殴り合いが発生します。争え……もっと争え……。そんな声が聴こえてきそうな能力です。

こんな危険な庭の手入れなんてやってられるか! 私は失礼する!

 しかしマジックの世界の蜘蛛、ちょっと冷静に怖すぎやしませんか? もともと蜘蛛というのは非常に獰猛かつ狩りがうまい生物とされています。しかしながらマジックの世界の蜘蛛のほとんどが人を襲えるであろうサイズ。この世界における熊が2/2なのに、ほとんどの蜘蛛が熊よりも大きいときました。

 蜘蛛という生物は私たちの家の庭や、それこそ家の中でも見ることがあるくらいには身近な存在ですが、マジックの世界では出会ってしまったら命がけ。それこそ気軽に庭の整備もできないわけです。

 でももちろん、頼りになる庭師も居ます。そう、例えば格闘技術のある庭師なんてどうでしょう?というわけで『統率者(2018年版)』に再録された君、ちょっと庭の手入れ頼んだよ。

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 ふぅ、庭の手入れは屈強な《武道家の庭師》に頼みました。これで安心です。良かった良かった。私は安全な場所から状況を見守れます。

……あれ? 「強そうな部下に仕事を頼んで、自分は安全なところに居る。」
これって確か、死亡フラグだったような気が……!

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