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行弘賢のよくわかるスタンダード!2013年8月版 グランプリ・北九州直前特集
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2013.08.16
行弘賢のよくわかるスタンダード!2013年8月版 グランプリ・北九州直前特集
Text by 行弘 賢
いやー暑い!暑すぎる!こんな暑い日は家でクーラーの効いた部屋で涼みながらMTGの記事でも...と、そんなあなたに今回紹介するのは、グランプリ・北九州直前「ここだけは押さえておけ!環境四天王スタンダード特集!」
ということで、今回は現環境のトップメタである4つのデッキを解説していきたいと思います。
おまけとして、記事の最後に今回のグランプリの開催地である北九州(福岡)を紹介いたしますので、そちらの方もよろしくお願いいたします。
環境に君臨する四天王
四天王とはずばり、
の4つのアーキタイプです。これらが会場の5割を占めると言っても過言ではない今回のグランプリ・北九州。早速デッキを解説していきましょう。
トリコロールフラッシュ
1 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 4 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 4 《聖なる鋳造所》 3 《断崖の避難所》 2 《ムーアランドの憑依地》 -土地(26)- 3 《ボーラスの占い師》 3 《瞬唱の魔道士》 4 《修復の天使》 -クリーチャー(10)- |
3 《火柱》 4 《熟慮》 3 《アゾリウスの魔除け》 1 《イゼットの魔除け》 2 《雲散霧消》 2 《至高の評決》 2 《戦導者のらせん》 1 《変化 // 点火》 3 《中略》 3 《スフィンクスの啓示》 -呪文(24)- |
2 《イゼットの静電術師》 3 《雷口のヘルカイト》 1 《払拭》 3 《否認》 2 《天界のほとばしり》 1 《漸増爆弾》 2 《拘留の宝球》 1 《変化 // 点火》 -サイドボード(15)- |
トリコロールフラッシュとは?
皆さんの記憶にも新しいと思われる、世界選手権にて見事優勝したシャハール・シェンハー/Shahar Shenharが使用したデッキです。
トリコロールフラッシュは軽い除去、カウンターにより相手を妨害しつつ、隙を見て《修復の天使》や《瞬唱の魔道士》といった「瞬速(フラッシュ)」を持つクロックを用意して、殴りきるデッキです。
そしてなんといっても《スフィンクスの啓示》というオーバーパワーカードを使えるのも強みですね。
以前の解説もご覧ください。
行弘賢のよくわかるスタンダード!2013年6月版 第2週・コントロール編
他のデッキとの相性
軽い除去が多く、序盤を捌く能力に長けているのでビートダウンに強く、大振りなアクションが多いデッキにはカウンター呪文が強く、苦手なデッキが少ないため、割とどんなデッキにも「丸く」戦えるデッキです。
ただし最近は四天王の一角グルールミッドレンジの台頭により《ドムリ・ラーデ》を相手にすることが多くなっており、トリコロールフラッシュは軽いプレインズウォーカーを対処するのが難しいので、グルール系のビートダウンには以前ほどの優位性は無くなっています。
そのかわりと言ってはなんですが、トリコロールフラッシュの天敵とも言えるジャンクリアニメイトが《漁る軟泥》の存在により環境から激減しているので、相対的には苦手なデッキが減ったと言えると思います。
何にでも丸く戦えるため、大きく負け越すことが少ないデッキなので、世界選手権でも使用者が多かったことからもうかがえるように、人気のアーキタイプです。
ジャンドコントロール
1 《沼》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 4 《血の墓所》 1 《竜髑髏の山頂》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 1 《魂の洞窟》 2 《ケッシグの狼の地》 -土地(25)- 3 《漁る軟泥》 4 《高原の狩りの達人》 3 《オリヴィア・ヴォルダーレン》 4 《スラーグ牙》 -クリーチャー(14)- |
2 《悲劇的な過ち》 4 《遥か見》 2 《破滅の刃》 1 《戦慄掘り》 2 《化膿》 2 《ラクドスの復活》 3 《忌むべき者のかがり火》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《情け知らずのガラク》 2 《原初の狩人、ガラク》 -呪文(21)- |
2 《吸血鬼の夜鷲》 2 《解放の樹》 1 《雷口のヘルカイト》 3 《火柱》 2 《強迫》 2 《殺戮遊戯》 1 《ラクドスの復活》 1 《忌むべき者のかがり火》 1 《ヴェールのリリアナ》 -サイドボード(15)- |
ジャンドコントロールとは?
除去、《遥か見》で序盤を飛ばした後は、ひたすら高カロリーなパワーカードを叩き付けます。
《高原の狩りの達人》、《スラーグ牙》と対処した後もトークンが残るカードと、《オリヴィア・ヴォルダーレン》というそもそも対処しなければそのまま負けに直結するカードがふんだんに採用されているため、ジャンドコントロールの土俵で戦ってしまうと、自然と盤面に大きな差が生まれてしまう展開になるでしょう。
《ヴェールのリリアナ》、《原初の狩人、ガラク》というアドバンテージを取れるプレインズウォーカーや、《ラクドスの復活》という一撃必殺のアドバンテージソースもあるので、ボードアドバンテージだけではなくハンドアドバンテージも取りやすくなっています。
他のデッキとの相性
これらの「除去とハンデス(手札破壊)」という戦略に対して耐性がある「ジャンクリアニメイト」を苦手としており、前環境ではそれほど大きな結果を残すことはできませんでしたが、『基本セット2014』で《漁る軟泥》が加入したことでジャンクリアニメイトが激減したため、ジャンドコントロール自体が以前より根強い人気があったことも相まって、一気にトップメタになりました。
《漁る軟泥》は墓地対策というだけでなく、グルールビートのようなデッキに対してもライフゲインとサイズアップの能力が効果的に働きます。トリコロールフラッシュには《瞬唱の魔道士》への抑止力になる上に、《ムーアランドの憑依地》の燃料をなくすこともできます。
《漁る軟泥》により死角を無くしたジャンドコントロールは、四天王の中でも一、ニを争う人気アーキタイプであるのは間違いないでしょう。
グルールミッドレンジ
9 《森》 6 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 1 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《東屋のエルフ》 2 《エルフの神秘家》 4 《火打ち蹄の猪》 4 《絡み根の霊》 3 《漁る軟泥》 4 《ゴーア族の暴行者》 4 《地獄乗り》 4 《雷口のヘルカイト》 -クリーチャー(29)- |
3 《ミジウムの迫撃砲》 4 《ドムリ・ラーデ》 -呪文(7)- |
2 《濃霧》 2 《火柱》 3 《火山の力》 4 《燃え立つ大地》 2 《忌むべき者のかがり火》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
グルールミッドレンジとは?
このグルールミッドレンジは世界選手権でブライアン・キブラー/Brian Kiblerが使用し、スタンダードラウンドを全勝したことから一気に人気が爆発したアーキタイプです。キブラーが作成したデッキなので、「キブラーグルール」とも呼ばれていますね。
普通のグルールビートダウンと大きく違うのはマナクリーチャーが6枚採用されていることです。そこから《ドムリ・ラーデ》を2ターン目にプレイして、序盤から圧倒的プレッシャーをかけることが可能になっています。
《火打ち蹄の猪》も速攻付与するならば合計で3マナ必要ですので、マナクリーチャーからの展開でマナが余って困ることはそんなにありません。さらに言えば《地獄乗り》や《雷口のヘルカイト》に繋げるだけで簡単に勝てるゲームも多いです。特に《地獄乗り》は余ったマナクリーチャーがそのまま火力になるので、相性が良いですね。
序盤、中盤、終盤と常に速攻持ちのクリーチャーや《ドムリ・ラーデ》が対戦相手にプレッシャーをかけることができるので、対応するのが難しいデッキですね。
他のデッキとの相性
サイドボード後には《燃え立つ大地》を4枚採用しており、どちらかと言えば苦手な多色コントロールに対しても有利をつけることができるでしょう。コントロールを使用したいプレイヤーの皆さんは《燃え立つ大地》への対策を意識した方が良さそうですね。
メイン、サイドともに対処するのが難しいカードを叩きつけていくグルールミッドレンジ、高価なカードが少ないことも相まって、グランプリ・北九州では台風の目になりそうです。
呪禁バント
4 《寺院の庭》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《繁殖池》 4 《内陸の湾港》 4 《神聖なる泉》 2 《氷河の城砦》 -土地(22)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 4 《林間隠れの斥候》 4 《不可視の忍び寄り》 4 《聖トラフトの霊》 2 《鬼斬の聖騎士》 1 《銀刃の聖騎士》 -クリーチャー(19)- |
4 《天上の鎧》 4 《怨恨》 4 《幽体の飛行》 1 《セレズニアの魔除け》 1 《シミックの魔除け》 4 《ひるまぬ勇気》 1 《高まる残虐性》 -呪文(19)- |
4 《復活の声》 2 《濃霧》 2 《繕いの接触》 3 《呪文裂き》 4 《ワームの到来》 -サイドボード(15)- |
呪禁バントとは?
最後に紹介するのは、呪禁バントです。呪禁を持つクリーチャーに強化エンチャントである《天上の鎧》等をエンチャントし、爆発的にクロックを増やすデッキです。
『基本セット2014』発売で《林間隠れの斥候》、《鬼斬の聖騎士》が加入したことで、以前にも増して使用者が増えたデッキですね。
以前の構成ですと《ロクソドンの強打者》が追加のアタッカーとして採用されていたのですが、その部分が《鬼斬の聖騎士》に代わったことで、より除去に対して耐性を持ったデッキになりました。待望の1マナの呪禁クリーチャーである《林間隠れの斥候》の加入も大きく、よりぶんまわりする可能性が高まりました。
このレシピでは《復活の声》がサイドに採用されていますが、メインで採用されているレシピもあります。ジャンドコントロールに対して《ヴェールのリリアナ》への対策になったり、コントロールに対してカウンターや《至高の評決》への対策になったりと活躍する部分は多いのですが、今回のデッキリストでは呪禁クリーチャーや《鬼斬の聖騎士》の枚数を優先した結果採用されなかったみたいですね。
以前の解説もご覧ください。
行弘賢のよくわかるスタンダード!2013年6月版 第3週・コンボ+その他編
他のデッキとの相性
呪禁持ちのクリーチャーが多いことから、単体除去を多く採用しているデッキには相性が良く、勝負するターンが中盤以降のミッドレンジ系のデッキにも相性が良いでしょう。
反面《至高の評決》や《ヴェールのリリアナ》には脆い特徴も持っていますので、有利不利がはっきりするデッキですね。
圧倒的破壊力と《鬼斬の聖騎士》と《ひるまぬ勇気》による大量ライフを兼ね備えた攻防一体の呪禁バント。グランプリ・北九州では要注意ですね。
北九州(福岡)について。
まず飛行機で福岡空港に到着した方は、そのまま小倉駅へと向かい、会場入りするのもよいですが、前日に到着したならば博多や中洲を観光しても良いでしょう。
キャナルシティ / 写真提供:福岡市 |
中洲はキャナルシティ博多という複合商業施設があり、その中にある「ラーメンスタジアム2」はラーメン好きの方には一見の価値があると思います。
夜になれば福岡の名物とも言える大量の屋台を巡るのもよいですし、中洲の綺麗なネオンを「福博であい橋」から一望することもできます。
福博であい橋 / 写真提供:福岡市 |
博多は博多駅の周りにたくさんの飲食店があります。博多ラーメンで有名な博多一風堂、一蘭なんかも周辺にありますね。博多のおみやげも駅の中で買うのがよいと思います。僕がちょうど和歌山へ行った時期にできたので僕自身行ったことは無いのですが、博多駅の駅ビルである「JR博多シティ」は良い評判をよく聞きますので行ってみるのもよいと思います。
さて、肝心の北九州ですが、開催地である小倉は海が近く、観光地である小倉城なんかも近いです。工業地帯としても有名ですね。
小倉城 / 写真提供:北九州市 |
名産として小倉牛も有名です。夕食には贅沢に焼肉やステーキ!などもよいかもしれませんね。他にもロールケーキなどのお菓子も有名です。
小倉牛 / 写真提供:北九州市 |
北九州(福岡)は海と山に恵まれ、田舎のような自然多き地である反面、発達した都市部は政令指定都市の名に恥じぬ発展した利便性の高いものになっています。
小倉駅 / 写真提供:北九州市 |
自然と利便性を兼ね揃えた福岡県はとても住み心地の良い場所だと思いますし、ラーメンだけではなく他の食事のレパートリーも多く、きっと皆さんのご期待に応えるものだと思います。
門司港の焼きカレー / 写真提供:北九州市 |
来週に迎えるグランプリ・北九州、是非とも思い出に残るものになるように、ラスト1週間、スタンダードのデッキと北九州の旅程をしっかり練って臨んでくださいね!
会場でお会いできるのを楽しみに待っています!
夏の終わりはグランプリ・北九州へ行こう!(企画記事)
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