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佐藤レイの「一歩踏み込む!」リミテッドの極意
第6回:もっと勝てる!『フォーゴトン・レルム探訪』ドラフト
皆さんこんにちは。ダンジョン探索していますか?
今回が第6回になりますが、第1回が2020年8月6日なので、この連載が始まってもう1年が過ぎました。歳を重ねるほどに1年があっという間に感じますね。
今回は最新セット『フォーゴトン・レルム探訪』のブースタードラフトについてお話しさせていただきます。基礎的な話は発売直後の行弘賢さんの記事でされていますので、この環境が初めての方はまずはそちらから読んでみてください。
それでは、さっそく行ってみましょう!
もくじ
第1章 赤黒をやれ
ブースタードラフトのピックにおいて最も大切なことは「環境において強い色、戦略を知ること」です。
そして『フォーゴトン・レルム探訪』ドラフトにおいて言えば、赤が最も強い色で、最も強い戦略は「赤黒サクリファイス」です。
基本的には赤と黒がやるべき色で、残りの白・青・緑はやらされる色になります。強いレアを引いてしまったか、強いカードがたくさん流れてくるから仕方なくやるのです。
まずはなぜ赤黒が強力なのか、そしてどういう場合にやるべきなのかを説明していきます。
単純にカードパワーが高い
赤黒がもっとも強力な理由の1つ目が、単純に収録されているカードパワーが高い2色である、という点です。
コモン全カードでもっとも強いのは《ドラゴンの火》で、次が《不気味な報奨》です。その次は諸説ありますが《ホブゴブリンの隊長》というのが最も一般的でしょう。
除去カードがコモントップになることはどのセットにおいてもよくあることですが、クリーチャーの質を見ても他の色に劣ることもありません。
ただそれだけでは赤か黒を優先的にやる理由になっても、その特定の2色の組みあわせを狙う理由にはなりません。それ以外にも赤黒にする理由があります。
環境のチートコード《墓所のグール》+《忠誠の代価》
《墓所のグール》と《忠誠の代価》はこの環境においてもっとも強力なコンボであり、環境のチートコードです。
特筆すべきはこの2枚が他の色の組み合わせで使っても強力なカードではないため、赤黒をやっているプレイヤー以外が優先的に取らないという点です。そのため、卓においてあなただけがこのコンボを狙っている場合、かなり複数枚集めやすいでしょう。
9 《山》 8 《沼》 -土地(17)- 2 《よろめく怪異》 1 《ゴブリンの投槍兵》 4 《墓所のグール》 2 《ホブゴブリンの隊長》 1 《武器庫の古参》 1 《雇われた魔剣士》 1 《財宝荒らし》 1 《武勇の歌い手》 1 《ミルクルの死の僧侶》 1 《溜め込むオーガ》 1 《レッド・ドラゴン》 -クリーチャー(16)- |
5 《忠誠の代価》 1 《不気味な報奨》 1 《決闘のレイピア》 -呪文(7)- |
これは僕がMTGアリーナのプレミア・ドラフトで組んだデッキです。4枚の《墓所のグール》、5枚の《忠誠の代価》が入っていて、簡単に7勝することができました。
他のカードを見てみると、レアは1枚もなく、枚数合わせのような強くないカードも多数入っています。なぜならこのデッキは赤白装備を目指していたところたまたま流れに流れていた《墓所のグール》と《忠誠の代価》だけを取り、途中から無理やり色を変え組んだデッキだからです。初手で取った《無私のパラディン、ナダール》は捨てました。それだけの価値がこのコンボにはあります。
お互い3枚目以降くらいはほぼあらゆるカードより優先していいでしょう。実戦では《マジック・ミサイル》を流して、《墓所のグール》の4枚目を取りました。
もし8手目以降に《墓所のグール》や《忠誠の代価》が何事もないかのように流れていたら、卓にこのコンボを欲している人はいないということでしょう。積極的に(時には早い段階なら色を変えてでも)狙っていきましょう!
いわゆるサクリ台(能動的に生け贄を捧げることができるカードのこと)には、《墓所のグール》以外にも、マナはかかってしまいますが《命取りの論争》や強力なアンコモンの《スカルポートの商人》もあります。
一番タッチがしやすい赤黒
前述のサクリファイス・シナジーに頼らずとも、赤黒では宝物・トークンを上手く使ったデッキを構築することもできます。
一般的なスタンダードセットではタッチといえば緑のお家芸ですが、今回のセットで最も他の色のカードを足しやすいのは宝物を集めることを得意とする赤黒です。むしろ世界観の影響からなのか、この環境の緑はまったく色マナのサポートをしてくれません。
9 《沼》 8 《山》 -土地(17)- 1 《偽りのパラディン》 1 《よろめく怪異》 1 《雇われた魔剣士》 1 《財宝荒らし》 1 《ホブゴブリンの隊長》 1 《スカルポートの商人》 1 《武勇の歌い手》 1 《ユアンティの毒牙刃》 2 《溜め込むオーガ》 1 《混沌の媒介者》 1 《ミルクルの死の僧侶》 1 《ドラコリッチ、エボンデス》 1 《アダルト・ゴールド・ドラゴン》 1 《ゾンビ・オーガ》 -クリーチャー(15)- |
1 《命取りの論争》 1 《ドラゴンの火》 1 《間に合わせの武器》 1 《急な落下》 1 《狩りの戦利品》 1 《不気味な報奨》 1 《群がる骸骨》 1 《死神のタリスマン》 -呪文(8)- |
このデッキでは宝物を使うことによって、沼と山しかデッキに入っていないにも関わらず《アダルト・ゴールド・ドラゴン》、《群がる骸骨》といった白マナや緑マナを要求する強力なレアをタッチしています。
デッキの宝物を生み出せるカード枚数によっては、《モルデンカイネン》、《砂漠滅ぼし、イムリス》などまったく色の合っていないダブルシンボルのカードすら足すこともできるでしょう。
カードの強弱の幅が広く、レアが特に強いこの環境において、引いたあるいは流れてきた強力なレアを使えるということは大きなメリットになります。先ほどのサクリファイスとはまったく毛色の異なる、宝物を中心としたデッキを構築できるところも赤黒の強みの1つです。
また特にタッチをしている場合は、ダンジョン「ファンデルヴァーの失われた鉱山」の「鉱山のトンネル」によって宝物が出せるということを忘れずにいたいですね!
まとめると、赤黒という色の組み合わせは環境の強力なカードが一番多く使え、それ以外の色の組み合わせでは弱めのカード2種を使った最強のコンボがあり、さらに最もタッチもしやすいカラーコンビネーションだということです。
間違いなく最強で、ガードが緩いのであれば積極的に狙っていきたいです。「チートコード」があるので片方の色が被ってしまうくらい問題ありません。
……とはいえ、ドラフトの強さは相対的なものです。全員が最強の色の組み合わせを目指せば当然ながら強さは薄まっていくので、卓のレベルが上がるほど空いている他の色をやったほうがいいケースが増えていきます。ここからは残りの色、白・青・緑についても見ていきましょう。
第2章 やらされる色たち
白
白は「やらされる色」の中で最も優秀な色です。実際はやらされるというよりは「やってもいいけど自分から狙うほどでもないかな」くらいでしょうか。
各マナ域に優秀なクリーチャーがコモンに集まっていて、アグロ環境である『フォーゴトン・レルム探訪』において綺麗なマナ・カーブを描くデッキが構築しやすいです。
「赤白装備」「黒白ダンジョン探索」「緑白ライフゲイン」など、組み合わせる色ごとにコンセプトも決まっていてデッキにまとまりを持たせやすいのもいいですね。青白は強力なデッキになり辛いので基本的にはおすすめしません。
8 《山》 8 《平地》 -土地(16)- 1 《ゴブリンの投槍兵》 1 《レンジャーの鷹》 2 《ホブゴブリンの隊長》 2 《巧妙な鍛冶》 1 《ドワーフホールドの勇者》 1 《無私のパラディン、ナダール》 1 《武勇の歌い手》 1 《混沌の媒介者》 1 《献身のパラディン》 1 《群がるゴブリン》 1 《星山脈の業火》 -クリーチャー(13)- |
1 《ポータブル・ホール》 2 《君は見張り中に物音を聞いた》 1 《ドラゴンの火》 1 《幽閉》 1 《君は二匹のゴブリンを見つけた》 1 《メイス+2》 1 《ブーツ・オヴ・スピード》 1 《決闘のレイピア》 1 《ゴブリンのモーニングスター》 1 《発掘者の松明》 -呪文(11)- |
9 《平地》 8 《森》 -土地(17)- 2 《不動のパラディン》 1 《ノールの狩人》 1 《裕福な亭主》 1 《月の踊り手、トレラッサーラ》 2 《天界のユニコーン》 1 《隠れ潜むローパー》 1 《月恵みのクレリック》 1 《古代の伝承の僧侶》 1 《アルボレーアのペガサス》 1 《古参の迷路探索者》 1 《放浪する吟遊詩人》 1 《ドリッズト・ドゥアーデン》 1 《アウルベア》 1 《群喰らいのヒル・ジャイアント》 -クリーチャー(16)- |
1 《クレリック・クラス》 1 《ポータブル・ホール》 1 《君は道で待ち伏せに遭遇した》 1 《雄牛の筋力》 1 《幽閉》 1 《狩りの戦利品》 1 《ハンターズ・マーク》 -呪文(7)- |
緑
緑と青はまさに「やらされる色」と言うのにふさわしいでしょう。どちらがより弱いかというのは意見が分かれるところかと思いますが、個人的には緑のほうがまだマシな印象です。
色をスタートする一番多いケースは《放浪する吟遊詩人》が4手目くらいに流れてきたときでしょうか。
あとは《レンジャー・クラス》や《銀月街のレンジャー、ヴェイリス》レベルの強力なレアを初手で引いたときです。《アウルベア》を初手で嬉々としてピックしてはいけません。
色の組み合わせとしては前述の緑白が最もおすすめで、次が青緑です。ダダ流れコンビの青緑ですが、逆に一定のデッキパワーは担保しやすいのがウリ。9手目に《グレッチェン・ティッチウィロー》が取れることも珍しくありません。《魂刀のスパイ》と《雄牛の筋力》のコンボもお気に入りです。
8 《森》 8 《島》 1 《ハイドラの巣》 -土地(17)- 1 《秘儀の調査員》 1 《グレッチェン・ティッチウィロー》 1 《裕福な亭主》 2 《隠れ潜むローパー》 2 《魂刀のスパイ》 1 《賢い妖術師》 1 《森の導き手》 2 《放浪する吟遊詩人》 1 《ジンの風予見者》 3 《アウルベア》 1 《マインド・フレイヤー》 -クリーチャー(16)- |
2 《雄牛の筋力》 2 《ドルイド・クラス》 1 《武器を選択せよ》 1 《狩りの戦利品》 1 《ハンド・オヴ・ヴェクナ》 -呪文(7)- |
青
青の弱さはコンセプトの組みづらさ(d20を振るシナジーの弱さ)、そして『フォーゴトン・レルム探訪』がかなり速いアグロ環境であるという点にあります。
もっと違った環境であれば《コンタクト・アザー・プレイン》などは強かったかもしれませんが、この環境ではなかなかプレイする余裕がありません。
おすすめのアーキタイプは先ほどの青緑と青黒です。青黒はこの環境では珍しくコントロールデッキとして振る舞うことができます。
9 《沼》 8 《島》 -土地(17)- 2 《よろめく怪異》 1 《秘儀の調査員》 1 《財宝荒らし》 1 《ワイト》 2 《ユアンティの毒牙刃》 1 《竜亀》 1 《スカルポートの商人》 3 《ジンの風予見者》 2 《ゾンビ・オーガ》 1 《ブルー・ドラゴン》 -クリーチャー(15)- |
1 《パワー・ワード・キル》 1 《魔法の眠り》 1 《急な落下》 1 《君は悪党の住処を見つけた》 2 《不気味な報奨》 1 《コンタクト・アザー・プレイン》 1 《モルデンカイネン》 -呪文(8)- |
第3章 まとめ
第1章では赤黒の強さを、第2章ではそれ以外の色の立ち位置について触れてきました。ただ赤と黒に関しては赤黒というアーキタイプは狙う価値がありますが、それ以外の組み合わせだとまとまりのないデッキになってしまうことが少なくありません。
逆にデッキとしてまとまりやすいのが白で、青白以外の組み合わせはどれもいい感触です。
なので僕のオススメの『フォーゴトン・レルム探訪』ドラフトの戦略は、以下になります。
- 赤黒を狙いつつ、白の流れも気にして赤白・黒白にも移行できるようにしておく。
- 緑と青は基本触れず、特定のシチュエーション(強力なレアを引く、緑や青の流れがあまりにも良くその他が悪いなど)のみでやっていく。
もちろんこれは戦略の一例で、他にも勝ち方はさまざまだと思います! いろいろ試してみてください! もしよければTwitter(@r_0310)などでご意見やご感想をいただけるとありがたいです!
今回の記事は以上となります。それでは、次回の記事でお会いしましょう!
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