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『ファウンデーションズ』更新速報(総合ルール更新)

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Jess Dunks、Eric Levine

2024年11月14日

 

 こんにちは、皆さん!

 『ファウンデーションズ』では、ルールおよびカードテキストについていくらか整理を行いました。カードのテンプレートに機能変化を伴わない更新をしたり、ブロック・クリーチャー指定ステップからいわゆる「ダメージ割り振り順」と呼ばれるものを削除したりしています。

 それでは、変更の流れに潜って、詳細を見に行きましょう!

『ファウンデーションズ』総合ルール更新

 これは、『ファウンデーションズ』の発売に伴い計画されているルールの変更の概要です。公式ルールはルールページにあります。この概要と公式ルールとの間に齟齬がある場合、公式ルールが優先されます。

新ルール、更新されたルール
ダメージ割り振り順
509.2-3、全体を通しての様々な言及

 「戦闘ダメージの割り振り順」として知られる複雑な概念を、このゲームから削除することにしました。つまり今後、攻撃クリーチャーのコントローラーは、戦闘ダメージ・ステップ中に、攻撃クリーチャーの戦闘ダメージを、ブロック・クリーチャーへ好きなように割り振ることができるようになります。例えば、3/3の攻撃クリーチャーが2体のクリーチャーにブロックされている場合、3/3のコントローラーは3ダメージを全て片方のブロッカーだけに割り振ることもできますし、1体に2点・もう1体に1点のように割り振ることもできます。ブロック・クリーチャーのタフネスがいくつであろうと、致死ダメージ未満の量しか割り振っていなかろうと、関係ありません。(トランプルがどのように機能するかは変わらないことに注意。今でも、クリーチャーを踏み越えてプレイヤーへ届くためには、全てのブロッカーに致死ダメージを割り振る必要があります。)より直感的に理解しやすくなったでしょうし、よほど特殊な状況を除けば、これまでとあまり変わらない感覚で戦闘ダメージを扱っていけるでしょう。

どう違うのか?
 ここでは、このルール変更の成り立ちについてお話しします。マジックを始めたばかりのあなたや、もう適用されないルールには関心が無いあなたは、次の「なぜ変更したのか?」のセクションまで読み飛ばすことをお勧めします。

 戦闘ダメージの割り振りは元々、複数の段階に分けられたかなり複雑なプロセスによって決められていました。かつて、攻撃クリーチャー1体に対しブロック・クリーチャーが1体以上割り当てられていた場合、攻撃クリーチャーのコントローラーはブロック・クリーチャーのダメージ割り振り順を宣言していました。これが行われていたのはブロック・クリーチャー指定ステップ中、つまり実際に戦闘ダメージが与えられるよりもはるか前のタイミングでした。そして戦闘ダメージ・ステップでは、攻撃クリーチャーは先に決めた割り振り順に従ってダメージを与えなくてはなりませんでした――1体目のクリーチャーに致死ダメージを割り振らなければ、2体目のクリーチャーにダメージを割り振ることはできませんでしたし、3体目以降も同様でした。さらに言えば、稀ではありますが複数の攻撃クリーチャーを1体のクリーチャーでブロックしているようなときは、防御プレイヤーが同じ手順(先に攻撃クリーチャーのダメージ割り振り順を宣言し、あとでそれに従って戦闘ダメージを与える)を踏む必要がありました。他にも、例えば《オレスコスの王、ブリマーズ》の3つ目の能力によって生成されたトークンのダメージ割り振り順はどうなるのかなど、へんてこなケースをカバーするルールもいくつかありました。

 新ルールでは、戦闘ダメージの割り振りに関することでブロック・クリーチャー指定ステップ中に決定することは何もなくなりました。その代わり、戦闘ダメージ・ステップが始まったら、各攻撃クリーチャーはそれぞれをブロックしているすべてのクリーチャーに戦闘ダメージを割り振ります。戦闘ダメージの割り振り方に致死ダメージの概念が影響することはありません。(トランプルは唯一の例外です。攻撃クリーチャーは依然としてすべてのブロック・クリーチャーに致死ダメージを割り振ってから、プレイヤーに向かって踏み越えていくことができます。)

なぜ変更したのか?
 戦闘ダメージの割り振り順という概念は、厳密にはブロックが行われた戦闘すべてに適用されるものでしたが、実際にその影響を受ける戦闘はごくごくわずかなものでした。その上、そのわずかなケースにおいてすら、防御側プレイヤーがコンバットトリック絡みの判断でベストを尽くすために順番を知る必要があるような状況くらいでしか、プレイヤーの口の端に上ることはありませんでした。つまり、プレイヤーが戦闘ダメージの割り振り順のことを知る機会といえばゲーム中にそれが関係するようなことが起こったときくらいのもので、しかも大抵それは自分の知らないルールを対戦相手が知っていたためにボロ負けする瞬間だったのです。さらに悪いことに、対戦相手に割り振り順を訊かれることは、何か明確な正解があることを示唆してしまうものでした。プレイヤーの皆さんには、複雑なルールの相互作用を理解することでやりがいを感じてもらいたいですが、原則であるゲームの進行方法に知らない仕組みがあるせいでワナに嵌るような経験はしてほしくありません。もちろん、この変更によって、ダブルブロックの状況における優位性が防御側から攻撃側にややシフトすることは把握しています。とはいえ、私たちはこの新ルールについてかなり長い間に渡ってプレイテストを行った末、この変更は双方のプレイヤーに豊富な戦略的選択肢をもたらし、マジック体験が総合的により良いものとなると結論づけました。

それ以外のルール変更
508.4a-b

 上記の変更のために戦闘に関するルールを精査していたところ、508.4aがわずかに不完全であることに気づきました。この項は、ある効果が現在攻撃できないプレイヤーやパーマネント(ゲームを離れたプレイヤーなど)を攻撃しているクリーチャーを戦場に出そうとした場合にどうなるかを示すものです。効果が、防御プレイヤーがもはやコントロールしていないプレインズウォーカーやバトルを攻撃しているクリーチャーを戦場に出そうとしている場合について、明確にカバーしていなかったのです。というわけで、カバーしました。他の場合と同様に、そのクリーチャーは依然として戦場に出ますが、攻撃クリーチャーとはみなされません。508.4bは、既に戦場に出ているクリーチャーを特定のプレイヤーやパーマネントを攻撃するようにする効果に関するものであり、同様の更新が行われました。

611.2b

 これは 「~し続けるかぎり」"for as long as ... "という持続期間を持つ効果をどのように扱うかを示すルールです。ほとんどの状況においてシンプルに扱うことができるもので、持続期間が開始されなかったり、効果が適用される前に持続期間が終了したりした場合、効果は適用されないという内容です。例えば、あなたが《誘惑蒔き》を唱え、それが誘発型能力の解決前に破壊された場合、その能力を解決してもあなたが対象のクリーチャーのコントロールを得ることはない、といった具合です。今回の変更は、継続的効果の持続期間がその効果を生み出した呪文や能力の解決中に開始されるという稀な状況を明示的に扱うようになった、ということだけです。例として《微笑む水害、ゾラトヤク》を挙げましょう。ゾラトヤクの1つ目の能力を、既に洪水カウンターが置かれている土地を対象としてスタックに置きましたが、その解決前に他の効果によって既存の洪水カウンターが取り除かれてしまいました。以前の611.2bの文章は、ゾラトヤクの能力自体が解決時に洪水カウンターを置いていたとしても、その土地を島にはしないという意味にも読めるものでした。そこで表現を変え、その土地は確かに島となり、プレイヤーの期待通りにこうした能力が機能することをより明確に示しました。

700.9

 これは「改善」の意味を定義するルールです。このメカニズムが導入された当時は、クリーチャーだけが改善されうるものであり、このルールもそれを反映していました。しかし、これはすべてのカードのデザイン意図を完全にカバーしていたわけではありませんでした。モダンホライゾン3の《皇国の相談役、真珠耳》は「改善されているパーマネント」を参照しており、このルールの機能について誤解を招いてしまうものでした。私たちは、真珠耳が意図通りに機能するよう、思い切ってこのルールを“改善する”ことにしました(うまいでしょ?)。どんなパーマネントも、その上にカウンターが置かれていたり、装備品を装備していたり、同じコントローラーを持つオーラによってエンチャントされていたりすれば、改善されているとみなされるようになりました。クリーチャーが改善されていることを参照する『神河:輝ける世界』のカードについては、機能に変更はありませんがコーナーケースをより直感的に取り扱えるようになりました。《大蛇の統合守り》がクリーチャーでなくなったとしても、改善されている状態になれるということです。

『ファウンデーションズ』オラクル変更

 もうご覧になったかもしれませんが『ファウンデーションズ』のカードでは、分かりやすさに重点を置いたカードのテンプレート変更を行っています。ルール・テキスト内でのカード名の使用を減らし、「このクリーチャー」「この装備品」「このカード」といった表現に置き換えています。とはいえ例外は設けました。代表的なものは、伝説のパーマネントです。その名前を読み上げるの、めっちゃ楽しいですよね! 過去に発売されたカードのオラクル・テキストには、まだこの変更が適用されていません。『霊気走破』の発売とともにお目見えする予定です。

 それでは、実際の変更点を見ていきましょう!

分かりやすく更新:トップあるいはボトム

 カードをライブラリーの一番上か一番下に置くように指示する効果について、どちらに置くかを選択するのがいったい誰なのか、混乱を招きかねませんでした。いくつかのカードのテンプレートを更新し、誰がこれらの選択肢を選ぶのかをより分かりやすくしました。この更新による機能的な変更はありません。『エルドレインの森』の《紛らわしい光塵》が好例でしょう。

旧テキスト:
Target creature's owner puts it on the top or bottom of their library.

新テキスト:
Target creature's owner puts it on their choice of the top or bottom of their library.

日本語訳:
クリーチャー1体を対象とする。それのオーナーはそれを自分のライブラリーの一番上か一番下か選んで置く。

分かりやすく更新:生け贄に捧げる

 同じような話として、プレイヤーにパーマネントを生け贄に捧げるよう指示する効果は、何を生け贄に捧げるかを選ぶのがいったい誰なのか、混乱を生むことがありました。この混乱をなくすため、いくつかのカードのテンプレートを更新しました。この更新による機能的な変更はありません。例えば『オデッセイ』までさかのぼり、《無垢の血》を見てみてください。お気に入りのカードなんです。

旧テキスト:
Each player sacrifices a creature.

新テキスト:
Each player sacrifices a creature of their choice.

日本語訳:
各プレイヤーはそれぞれ、自分が選んだクリーチャー1体を生け贄に捧げる。

無慈悲な魂、ミンタラ

 ミンタラの1つ目の能力は少し書き方を整理する必要がありました。彼女は護法{X}を持ち、Xは彼女のコントローラーが持つ経験カウンターの数で定義されています。しかし、護法は能力を誘発させた対戦相手に何かをさせることも多い(「カードを1枚捨てる」など)ため、ここでの「あなた」という言葉は分かりやすくありませんでした。護法を払うプレイヤーの経験カウンターの数を参照する、という意味にも取れてしまうのです。無慈悲なミンタラはこの曖昧な表現に憤慨しているようだ、ということも考慮し、誰の経験カウンターを参照するのかをより明確に示しました。

旧テキスト:
Ward {X}, where X is the number of experience counters you have.
At the beginning of your end step, if a permanent you controlled left the battlefield this turn, you get an experience counter.
Creatures you control get +1/+0 for each experience counter you have.

新テキスト:
Minthara has ward {X}, where X is the number of experience counters you have.
At the beginning of your end step, if a permanent you controlled left the battlefield this turn, you get an experience counter.
Creatures you control get +1/+0 for each experience counter you have.

日本語訳:
これは護法{X}を持つ。Xは、あなたが持っている経験カウンターの個数に等しい。
あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは、あなたが持っている経験カウンター1個につき+1/+0の修整を受ける。

ロック・ジョッキーと仲間たち

 えっ、あなたは『スカージ』の《岩乗り》を覚えていないのですか? まあ確かに、他の人はあのプレリリースで《岩乗り》を2枚入れるという記憶に残る体験を味わったわけではないですからね。(《岩乗り》作戦はうまくいきませんでした。)それはともかく、《岩乗り》の1つ目の能力のような…あー、《セラの報復者》の方が通りがいいだろって注意されてしまいましたよ。セラの報復者の1つ目の能力は、それを唱えるタイミングを制限するもので、そのテキストに「この呪文」と書かれています。話し言葉的なセンスでの違和感はありませんが、厳密なルールの観点をもち読解すれば、この記述は少しおかしいのです。最初の3ターンの間セラの報復者はスタックに置かれないので、「この呪文」は正しい示し方とは言えないのです。「このカード」という言い方も相応しくありません。コピーを唱える手段などいくらでもありますからね。というわけで、このような能力のテキストでは、そのカードの名前を書くという方法に立ち返ることにしました。この更新による機能的な変更はありません。適用されるカードは4枚です。《セラの報復者》、《再覚醒したジェイス》、《暴動の長、ラクドス》、そしてもちろん《岩乗り》。仕方がないので、ここではどうやら《岩乗り》より多くの人が覚えているらしい《セラの報復者》を例として置いておくことにしますよ(悔しくなんかないもんね)。

旧テキスト:
You can't cast this spell during your first, second, or third turns of the game.
Flying, vigilance

新テキスト:
You can't cast Serra Avenger during your first, second, or third turns of the game.
Flying, vigilance

日本語訳:
あなたはセラの報復者を、このゲームのあなたの第一、第二、第三のターンに唱えられない。

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