2022年3月3日

 

（編訳注：文中の日付・時刻は特記のない限り、3月13日午前2時までは太平洋冬時間(日本時間より17時間遅れ)、それ以降は太平洋夏時間(日本時間より16時間遅れ)基準です。）

　その場にすっかり溶け込んでいるのに、すぐに目につく女だった。ブラウンヘアに鋭い目つき、自信と目的を感じさせる歩み――「気づかれずに尾行しろ」と言われた女はあいつに違いない。

　向かいに見えた女の姿はくつろいでいる様子で、シダの葉に隠れていた。部屋の隅に背を預け誰よりも広い視野を確保している彼女を、出し抜けるやつはいないだろう。

　そのあまりにスマートな振る舞いに、疑問が湧いた。

――一緒にいたのは誰だ？ 誰かと会っていたのか？ いつそこを離れた？ 次はどこへ？

　誰もがこれらの疑問を覚えたはずだ。そしてしばらく経ってからようやく、さらに重大な疑問が脳裏に焼き付けられた――そもそもあの女は誰だ？ なぜここに？

「厨房からのサービスです」

　女から目を離すと、給仕が目の前で豪華なオードブルを盛り付けていた。笑顔で頷きナプキンを整え、お礼を口にするが、給仕の目はこちらを向いておらず、遠くを見つめていた。

　給仕もまた同じものを見ているに違いない。

――ベチャッ

　給仕の持つトレイが傾き食べ物がこぼれ、膝の上に落ちた。汚れを拭き取り、立ち上がる。

「大変申し訳ございません」 給仕は大いに慌て、テーブルクロスを慎重にずらすと銀食器を交換し、新しいナプキンを用意した。

　そこで気づいた――これは偶然じゃない。こちらの注意をそらすためだったのだ。再び振り返ると、ブラウンヘアの女は入り口を出るところだった。全力で走れば見失わずに済むかもしれないが、周りに人が多く、騒ぎ立てるわけにはいかなかった。

　こちらも見られていたのだ。

　代金に十分足りる金をテーブルに置き外に出ると、女がオープンカーで颯爽と走り去り角に消えるのが見えた。

――なぜ追わなかった？

　世の中には答えを必要とする疑問もあるが、この疑問は翌日を迎えるまでもなく消え去っていった。目を多く持つ者こそ、見えていないのかもしれない。ニューカペナの街角では、時折こういうことが起こるのだ。

『ニューカペナの街角』の重要な日程

 

• 『ニューカペナの街角』ストーリー記事公開：3月28日～4月5日
• 『ニューカペナの街角』ストーリー動画公開：3月31日
• お披露目動画公開とプレビュー開始 ：4月7日
• カードイメージギャラリーにて全カード公開：4月15日
• 統率者デッキのプレビュー：4月18～19日
• 統率者デッキ収録のカードイメージギャラリーにて全カード公開：4月20日
• プレリリースおよび先行リリースキャンペーン開始：4月22日
• MTGアリーナおよびMagic Online実装：4月28日（太平洋夏時間）
• 『ニューカペナの街角』トレーラー映像公開：4月28日
• 公式発売日：4月29日
• 発売記念コマンダー・パーティー：4月29日～5月1日
• ゲームデー：5月7～15日
• ストアチャンピオンシップ：7月9～17日

プレビュー前のストーリー公開を継続

　ニューカペナの路地や大通りで生き残るためには、気をつけるべきものを知っておかなければならない。3月28日より、皆さんはこの街を牛耳る５つの「一家」と出会い、この街が皆さんの想像するより多くのキャラクターにとって重要である理由や、過去から現在、そして未来に至るまで危機に瀕している理由を知ることになるだろう。

　また3月31日には「Command Zone」(英語ポッドキャスト)にて『ニューカペナの街角』の物語が取り挙げられ、その舞台裏や登場キャラクター、一家、そしてこの街に巣食う危険について詳しく語られる。

角を曲がってプレビューへ

　『ニューカペナの街角』では、権力に満ちた街の華麗さと権力がもたらす腐敗を味わえる。

　大きくそびえるニューカペナの都市には、権力と豪奢さが感じられる。ここで出会うことになる５つの「一家」がそうさせているのだ。

 

 

 

 

 

　これらの「一家」については近日中に詳しくご紹介するが、その影響力は街の隅々まで届いている。先ほどご覧いただいたフルアート版「大都市」基本土地は、ドラフト/セット/コレクター・ブースターで手に入る。（『神河：輝ける世界』のブースター製品から出現した「浮世絵」土地と同様のものだ：参考記事）

　ニューカペナで権力（と利益）を争う５つの一家それぞれが司るのは、１色や２色では済まない。この街では一家の務めを果たすことが肝要で、さらに仲介人や後ろ盾を持っているかどうかで、他の４家が君を追い出そうとするときに全く違う結果になるだろう。

　富と権力には、贅沢がつきものだ。ニューカペナの一家は、彼らの務め（合法違法問わず）の本拠となる美しい場所でその３つを表現している。これらのボーダーレス版や「摩天楼」仕様は、このセットで味わえる美麗さやスタイリッシュさのほんの一例に過ぎない。

　一家の恩恵を受けるには、一家とともにあらねばならない。どの一家も頂点に立つための独自の計画を持っている。例えば、斡旋屋一家がもたらすものを１つだけご紹介しよう。

　権力を求めて一家との契約を結ぶなら、「黄金時代」版のカードを見せて新たな人脈をアピールしよう。

　これらを含めたさまざまなカードが手に入る『ニューカペナの街角』の製品ラインアップは、以下の通りだ。

• 『ニューカペナの街角』ドラフト/セット/コレクター・ブースター。また、日本限定でコンパクトな新製品「セット・ブースター 10パック」も発売される。
• 『ニューカペナの街角』Bundle。別イラスト版のプロモカードや限定のスピンダウン・ライフカウンターも同梱される。
• 『ニューカペナの街角』プレリリース・パック。今回は「一家」ごとに用意され、それぞれのスピンダウン・ライフカウンターやその一家のカードが詰まった「イベント用ファミリー・ブースター」も同梱されている。
• 『ニューカペナの街角』統率者デッキ。今回は「一家」ごとに１つの全５種類が発売される。

 

 

 

 

 

『ニューカペナの街角』統率者デッキを使う店舗イベント

　『ニューカペナの街角』統率者デッキにはセット・ブースター限定のカードやコレクター・ブースター限定の拡張アート版カードも収録され、さらに今回はそれぞれの「一家」をテーマにした５つのデッキが登場する。

• 「常夜会一家の活動」（白青黒）
• 「貴顕廊一家の殺戮」（青黒赤）
• 「土建組一家の猛威」（黒赤緑）
• 「舞台座一家の喧騒」（赤緑白）
• 「壮麗な斡旋屋一家」（緑白青）

　各『ニューカペナの街角』統率者デッキには、「コレクター・ブースター・サンプルパック」も同梱される。このパックには『ニューカペナの街角』コレクター・ブースターから出現するカードが２枚封入されており、きっとデッキに組み入れたくなる美しい新カードが手に入るだろう。

　4月29日～5月1日は「発売記念コマンダー・パーティー」が開催されるので、統率者デッキを使って、君が選んだ一家の務めを披露しよう。この街を歩き回るのにぴったりな《速足のブーツ》のプロモカードも手に入るぞ。

　「発売記念コマンダー・パーティー」（やその他のイベント）では、マジック初心者の方は友人と同じ卓に参加することもできる。また、友人をイベントへ連れて行けば《精神石》のプロモカードも手に入る。

アート：Caroline Gariba

　さあ、足元に気をつけながら街を散策してみよう。『ニューカペナの街角』の物語は3月28日に始まり、続けて4月7日からプレビューが始まる。この提案は断れまい。