READING
お知らせ
「神河チャンピオンシップ」要注目のプレイヤーと出来事
2022年2月28日
「神河チャンピオンシップ」においてどこに注目を置くべきなのかを今一度確認するため、まずは直近のイベントを振り返ってみましょう。
2021年9月:「MPLガントレット」のトップ4に日本人3名が進出。熊谷陸、佐藤レイ、井川良彦はいずれも「ジェスカイ変容」を使用してこの快進撃を見せました。
2021年10月:「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」にてドラフト・ラウンドを0-3で発進し、後がなくなった高橋優太は世界最高峰のプレイヤーたちが揃うこのイベントにおいて構築ラウンド無敗という驚異の猛追を見せ、見事に「第28回世界選手権」出場選手32名のうち最初の1人になりました。高橋の躍進だけではありません。たった16名のみが許された「第27回世界選手権」でしたが、そのうち5名が日本人プレイヤーだったのです。
2021年12月:「イニストラード・チャンピオンシップ」にて高橋が再び世界を驚かせました―そしてそれは彼だけではありませんでした。現世界王者である高橋は直後の本大会にてトップ8に入ると、同じく日本人プレイヤーである赤池庸、斎藤徹、熊谷陸、そして優勝を果たす市川ユウキが後に続いたのです。
日本の精鋭たちが魅せた、まさに独壇場と呼べるパフォーマンスにより、高橋に加え市川、赤池、斎藤、熊谷が「第28回世界選手権」への切符を手にしました。現時点で、日本人以外の出場者は2名のみ。アメリカのザカリー・キューネ/Zachary Kiihneと、サイモン・ゴーツェン/Simon Görtzenも本大会で出場権を獲得しました。
間違うことなかれ。「神河チャンピオンシップ」を迎えるにあたり、注目すべきはやはり日本勢です。2000年代半ば、殿堂顕彰者である津村健志や中村修平が世界を駆け回り、次々にトロフィーを獲得し名声を上げたあの頃のように、日本は競技シーンにおいて勝者を続々と排出しています。
トップ8入賞を果たした面々だけではありません。『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップには合計25名参加した日本人プレイヤーでしたが、去年を通して参加者は増え続け、今回の「神河チャンピオンシップ」では全参加者235名中およそ20%を占める46名が出場権を獲得するという結果となりました。このような現状を見ると、次に日本のスタープレイヤーとなるのは一体誰なのかと予測するのが非常に困難です。候補があまりにも多すぎますから。
上がり調子の日本勢が再び快進撃を見せてくれるのか、その答えはまもなくご覧いただけるでしょう。さて、「神河チャンピオンシップ」で世界選手権への出場権を獲得できるのは6名。どのような面々がこの6つ用意された席を勝ち取ることになるのか確認してみましょう。
これまでと変わらず、マジック・プロリーグ(MPL)およびライバルズ・リーグに所属する、すべてのプレイヤーが「神河チャンピオンシップ」に出場します。「ニューカペナ・チャンピオンシップ」の後、獲得世界選手権予選ポイントが上位の5名が世界選手権へと駒を進めます。(参考:第28回世界選手権招待ポリシー、各種順位表、いずれも英語)
現時点で上位のプレイヤーをご覧ください。
順位 | 氏名 | ポイント |
---|---|---|
1 | Christian Hauck | 43 |
2 | Logan Nettles | 33 |
2 | 八十岡 翔太 | 33 |
2 | Shahar Shenhar | 33 |
2 | Sam Rolph | 33 |
6 | Stan Cifka | 30 |
6 | Piotr Głogowski | 30 |
6 | Marcio Carvalho | 30 |
6 | Luis Scott-Vargas | 30 |
6 | 石村 信太朗 | 30 |
6 | Reid Duke | 30 |
ドイツのクリスティアン・ハウク/Christian Hauckは「イニストラード・チャンピオンシップ」でトップ8入賞を果たし、マッチポイント39点に加え追加で4点を獲得し2位以下に大きく差をつけ首位に立っています。11勝の成績で2位に並ぶのはMagic Onlineにて「Jaberwocki」の名で知られるローガン・ネトルズ/Logan Nettles、2回世界王者に輝いたシャハール・シェンハー/Shahar Shenhar、英国のサム・ロルフ/Sam Rolph、そして日本の殿堂顕彰プレイヤー八十岡翔太です。そして、10勝のスコアで彼らを追いかけるプレイヤーたちの中には、特に人気が高く、才気あふれる2人、アメリカの殿堂顕彰プレイヤー、ルイス・スコット=ヴァ―ガス/Luis Scott-Vargasとリード・デューク/Reid Dukeと、75枚同じリストを共有した2人の名が連なります。
世界選手権出場の座を懸けた戦いは混戦を必至。リーグ全体の順位表はこちらをご覧ください(英語)。
リーグ所属プレイヤー以外にも、4つの勢力が世界選手権出場権を手中に収めんと、「神河チャンピオンシップ」に挑みます。
Magic Online
地理的な弊害がないオンラインという戦場からは、名の知れた強豪たちが再び大舞台へと立つための旅路を歩み始めていました。ルカシュ・デュシェック/Lukáš Dušekは2014 Magic Onlineのチェコ代表を務めたプレイヤー。ナサニエル・ノックス/Nathaniel Knoxは世界がバラバラになってしまう直前のグランプリ・リノ2020にて優勝。グランプリ、ワールド・マジック・カップ、プロツアーにおいても数々の好成績をしたティアゴ・サポリート/Thiago Saporitoは、「Hareruya Latin」の躍進に一役買いました。そして、15年前に世界選手権チーム戦王者に輝いたスイスのニコ・ボーニー/Nico Bohnyも見事な復活劇を遂げたのです。
MTGアリーナ
フランスの殿堂顕彰プレイヤー、アントワン・ルーエル/Antoine Ruelが「マジック・インビテーショナル」を制したのはもう16年前のことですが、例えインターフェースは変わっても、数式や卓越したセンスは変わらないものです。同じ時代の競技シーンで活躍した日本の殿堂顕彰者・中村修平は、2021年11月の予選ウィークエンドで得たチャンスを逃しませんでした。そして、凄腕のデッキビルダーであり素晴らしい理論家のサム・ブラック/Sam Blackも競技シーンへの復帰を果たし、12月の予選ウィークエンドで権利を獲得しました。そして最後に、兄と並び世界選手権へと出場すべく、ドミニク・ゴーツェン/Dominik Görtzenがその座を虎視眈々と狙っていますよ!
これまでの成績
世界選手権予選ポイントを懸けて戦う今シーズンにおいて、第1回戦へとたどり着くだけでも大成と言えるでしょう。デンマークの人気ストリーマー「MrChecklistcard」ことサイモン・ニールセン/Simon Nielsen(ワールド・マジック・カップ優勝経験者)、コンボマスターとして知られ幾度となくグランプリの頂点に立ったマット・ナス/Matt Nass、アルゼンチンの強豪であり2019ミシックチャンピオンシップⅢの王者マティアス・レヴェラット/Matias Leveratto、そして「マジック25周年記念プロツアー」王者であるグレッグ・オレンジ/Greg Orangeらが、栄光に向かって前線を走っています。
プレミア・シリーズ
広範囲に渡り、世界のあちこちで開催される大会で好成績を収めるプレイヤーたちをサポートする中で、特に2名が目に留まりました。ネイサン・ホリデー/Nathan Holidayとイヴァン・エスピノーサ/Ivan Espinosaです。2013年にグランプリを優勝すると、特に複数の構築フォーマットにおいて輝く卓越した技術力を発揮し、その名を世界に知らしめました。エスピノーサも同じく素晴らしい技術力を誇るプレイヤーで、「NRG Series Championship」にてモダン、レガシーという常に難関極める2フォーマットで多くの勝ち星を挙げ、「神河チャンピオンシップ」への出場権を得たのです。
MPL、ライバルズ・リーグのいずれにも所属していないプレイヤーのうち、獲得世界選手権予選ポイントの上位8名が世界選手権への出場を勝ち取ります。現在のスタンディング上位をご覧ください。
順位 | 氏名 | ポイント |
---|---|---|
1 | Futoshi Iwata | 33 |
1 | Tristan Wylde-LaRue | 33 |
1 | Andrey Zhilin | 33 |
4 | Greg Orange | 30 |
4 | Jayson Babin | 30 |
4 | Kazushi Kawamura | 30 |
4 | Simon Nielsen | 30 |
4 | Atsushi Fujita | 30 |
4 | Alexander Rosdahl | 30 |
4 | Yuta Hirosawa | 30 |
4 | Oscar Franco | 30 |
4 | Yuma Koizumi | 30 |
4 | Toru Kono | 30 |
4 | Camillo Lukesch | 30 |
4 | Michael Meier | 30 |
4 | Tim MacSaveny | 30 |
12月のチャンピオンシップで11勝をあげた岩田太(日本)、トリスタン・ワイルドラルー/Tristan Wylde-LaRue(アメリカ)、アンドレイ・ジーリン/Andrey Zhilin(ロシア)、が現在上位につけています。誰もが彼らの席を狙っていること、そして世界選手権に出たいのであれば、「神河チャンピオンシップ」または「ニューカペナ・チャンピオンシップ」でもう一度好成績を収める必要があること、このような現状を彼らも理解しているでしょう。
デジタルならではの2フォーマット
先ほどから話題にあがる世界選手権予選ポイント、一体「神河チャンピオンシップ」ではどのように獲得することになるのでしょうか?
1日目となる金曜日に行われるラウンド数は7。つまり、2日目に進出するには最低でも4勝する必要があります。2日目には8~15回戦が行われ、3日目に進出する上位8名を決定します。そして最終日となる3日目、この日1勝すれば世界選手権への道が確保されます。つまり、トップ8に進んだプレイヤーのうち6名が出場権を得ることになるのです。さらにこの先は、総額450,000ドルのうち最大の分け前を、そして「神河チャンピオンシップ」王者の称号を懸けた戦いになります。
いつも通り、本大会も複数のフォーマットを用います。チャンピオンシップ初採用となるのはアルケミー―この新たなフォーマットについて何もご存知でない方がいれば、ぜひこちらの記事をお読みください。
デジタル専用のフォーマットとくれば、そこにしかない面白さ、滑稽な楽しみ方が非常に多くあるわけです。《街裂きの暴君》は土地を焼き払うことができます。子どもの頃からこれをやりたいと思ったことがない方なんていますか? いませんよね。だと良いんですが、MTGアリーナの、バーチャルな世界での体験として素晴らしいものです。
他人の物を盗むのも非常に楽しいですよね(ちょっと、私何を言っちゃってるんでしょう!?)。そして、盗むのなら《指名手配の殺し屋、ラヒルダ》が良いですよ。しかし、やはり魔法の本以上に「ウィザード」感あふれるものってないですよね。アルケミーではマジックの歴史において最高峰の、そして超ヘビー級の「魔法」がたくさん使えます。もちろん、「マジックの歴史上最高の出来事」だって体験できますよ。他の打ち消し呪文のコストを下げてくれる打ち消し呪文、《エネルギー吸収》です。最高ですね。
これまでに体験したことのない新たな楽しさを提供してくれるアルケミーですが、もちろん戦略性にも富んでいます。マニ・ダヴォーディ/Mani Davoudiが近日中に「神河チャンピオンシップ」に向けたアルケミーの概要を公開するはずですから、詳細はそちらをお楽しみに。
1日目、そして2日目もアルケミーが放送の開幕を飾り、そして3日目のトップ8はすべてアルケミーで対戦を行います。トップ8へと至る道程ではヒストリックの、ド派手で強力な呪文たちが飛び交う様も見ることができるでしょう。果たして「イゼット・フェニックス」はトップメタとして君臨し続けることはできるの? 「ゴルガリ・アグロ」がトップスピードで他を圧倒するのか? それとも《集合した中隊》が勝利という宝を手中に収めるのか?そして、一体どのデッキがメタゲームの隙間をこじ開け頂点へとたどり着くのでしょうか?
これまでと同様、カメラの前から、そして裏側から、カバレージ・チームが対戦の模様を皆さんにお届けしますよ。殿堂顕彰者フランク・カーステン/Frank Karstenはプレイヤーたちが磨き上げたデッキたちがどのような素晴らしい動きを見せるのかを解説し、頼りになるガイドになるでしょう。そして画面の中からはセドリック・フィリップス/Cedric Phillipsとマニ・ダヴォーディが解説として、それぞれ実況のマーシャル・サトクリフ/Marshall Sutcliffe、エイリー・ロニー/Eilidh Lonieとタッグを組み、デスクではマリア・バーソルディ/Maria Bartholdi、コーリー・バウマイスター/Corey Baumeister、ライリー・ナイト/Riley Knightが司会-解説デスク-レポーターのスリ―マンセルを組み、皆さんをお迎えします。
マジックはいつだって、アートであり、科学でした。本イベントに持ち込まれる全てのデッキが考察や観察に基づいた仮説、データ収集、反復練習、ひらめきの最高点に、ひとさじの勇気を加えたものであり、そして避けようのないほど大きく広がる未知の領域に対する憶測の果てにあることでしょう。来週末、アルケミーは「神河チャンピオンシップ」という大舞台で華々しいデビューを飾ります。一体誰が最も優秀な、究極の《実験統合機》であるのか、皆さん激闘の模様をぜひお見逃しなく!
「神河チャンピオンシップ」は3月11日、12日、13日の9時(PT)から、英語特設ページと英語配信twitch.tv/magicにてお送りいたします。お楽しみに!
「神河チャンピオンシップ」 日本語版放送ページ・放送日程
日本語版放送出演者
- 実況:石川朋彦(@katuobusi717)
- 実況:ブルナー実久(@mksnake007)
- 実況:海老江邦敬(@kuroebi_games)
- 解説:黒田正城(@masashiro41236)
- 解説:森山真秀(@SakeIzumo)
- and more...
RANKING ランキング
NEWEST 最新の読み物
-
2024.11.14戦略記事
とことん!スタンダー道!ゴルガリ・ランプと『ファウンデーションズ』の注目カード(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.11.14読み物
第50回:『ファウンデーションズ』統率者ピックアップ|クロタカの統率者図書館
-
2024.11.13戦略記事
墓地を貯めて大ダメージを狙え、ジャンド昂揚(モダン)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.11.12戦略記事
ラクドス・バイパー:好きなカードを使うための構築(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.11.12お知らせ
『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックスの内容|お知らせ
-
2024.11.11戦略記事
残虐爪デッキ、その魅力と新戦力候補(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
CATEGORY 読み物カテゴリー
戦略記事
コラム
読み物
BACK NUMBER 連載終了
- Beyond the Basics -上級者への道-
- Latest Developments -デベロップ最先端-
- ReConstructed -デッキ再構築-
- Daily Deck -今日のデッキ-
- Savor the Flavor
- 射場本正巳の「ブロールのススメ」
- 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
- 浅原晃の「プレミアイベント三大チェックポイント!」
- ガフ提督の「ためになる」今日の1枚
- 射場本正巳の「統率者(2017年版)のススメ」
- かねこの!プロツアー食べ歩き!
- ロン・フォスターの統率者日記
- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
- マアヤのマジックほのぼの日記
- 金子と塚本の「勝てる!マジック」
- 射場本正巳の「統率者(2015年版)のススメ」
- 週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
- なかしゅー世界一周
- 中村修平の「デイリー・デッキ」
- 射場本正巳の「統率者(2014年版)のススメ」
- 中村修平の「ドラフトの定石!」
- 浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
- 鍛冶友浩の「プロツアー観戦ガイド」
- ウィザーズプレイネットワーク通信
- Formal Magic Quiz
- 週刊デッキ構築劇場
- 木曜マジック・バラエティ
- 鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」
- 鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
- 渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
- 「明日から使える!」渡辺リミテッド・コンボ術
- 高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
- 高橋優太の「このデッキを使え!」
- 黒田正城の「エターナルへの招待」
- 三田村リミテッド研究室
- 新セットめった切り!
- シングルカードストラテジー
- プレインズウォーカーレビュー
- メカニズムレビュー
- その他記事