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Play Design -プレイ・デザイン-
第一印象『ドミナリア』フューチャー・フューチャー・リーグ
2018年4月20日
「第一印象」へようこそ! これは(Mファイルのように)年4回セットが発売されたときに、「Play Design -プレイ・デザイン-」でデッキリストと最近のセットのフューチャー・フューチャー・リーグ(FFL)の集中期間でのそれらの思考過程を紹介する、定期的に掲載する予定の記事だ。セット・デザイン中の3か月間を「FFLの集中期間」と呼び、その期間に我々はカード・ファイルに競技的なバランスの微調整のほとんどを行う。
基準線の設定
『ドミナリア』は基柱カードが満載されたセットだ。結果として、できるだけ多くの可能性の形を探索するために、大量の新しいデッキを構築する必要があった。プロツアーのために私が「外部で」テストしていたとき、初期に練り上げたデッキ対他の証明されていないデッキのテストは誤解を招く結果を導き出すことがよくあった。
これらの教訓を活かし、私は『ドミナリア』の最新戦略のための適切な叩き台を作るためにマジックの大まかな各アーキタイプ――アグロ、ミッドレンジ、コントロール――の基準線となるデッキを組むところから始めることにした。
4 《森》 1 《島》 1 《沼》 4 《植物の聖域》 3 《内陸の湾港》 4 《花盛りの湿地》 3 《森林の墓地》 4 《異臭の池》 1 《水没した地下墓地》 -土地(25)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《導路の召使い》 3 《媒介者の修練者》 4 《機知の勇者》 4 《翡翠光のレインジャー》 4 《人質取り》 1 《貪欲なチュパカブラ》 2 《スカラベの神》 2 《墓場波、ムルドローサ》 -クリーチャー(28)- |
3 《ヴラスカの侮辱》 2 《死の権威、リリアナ》 2 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -呪文(7)- |
《ラノワールのエルフ》はあらゆる緑のデッキの出発点として素晴らしいとても強力なカードだ。その強さは1マナであることと、1ターン目にエルフのためのアンタップ状態の緑マナ源を出せることによるものなので、私は自然と《花盛りの湿地》と《植物の聖域》を使うためにスゥルタイ(黒緑青)に惹かれていった。私の目的は、《翡翠光のレインジャー》や《人質取り》のようなシナジーがなくても普通に強力なカードでデッキを埋めて、3色ミッドレンジ・デッキにおける《ラノワールのエルフ》の影響のストレス・テストをすることだった。
《機知の勇者》はこのリストでの私のお気に入りのひとつだ。《墓場波、ムルドローサ》、《死の権威、リリアナ》、《スカラベの神》のような墓地中心のカードとのシナジーに加えて、マナ・クリーチャーの賞味期限が過ぎればそれをろ過することができる。
8 《山》 6 《沼》 4 《竜髑髏の山頂》 2 《泥濘の峡谷》 3 《イフニルの死界》 1 《屍肉あさりの地》 -土地(24)- 4 《ボーマットの急使》 4 《戦慄の放浪者》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《歩行バリスタ》 2 《ピア・ナラー》 3 《熱烈の神ハゾレト》 2 《再燃するフェニックス》 -クリーチャー(23)- |
2 《削剥》 2 《街の鍵》 4 《無許可の分解》 3 《ファイレクシア教典》 2 《霊気圏の収集艇》 -呪文(13)- |
アグレッシブなデッキを組むことに目を向けると、自然に《熱烈の神ハゾレト》に惹かれるのだが、問題は他の色の強力なカードを追求して赤単のマナ基盤を弱めるかどうかということだ。
『ドミナリア』の《ファイレクシア教典》は超強力な《無許可の分解》がすでに使える環境で2色デッキをやる気にさせるには十分すぎるほどだ! このデッキで私が好きな相互作用はシンプルだが効果的だ――他に対象となる非アーティファクト・クリーチャーがいない場合に《ファイレクシア教典》で《歩行バリスタ》にカウンターを置くのは大満足だ。何にせよ、アグレッシブなデッキにとっては全てが有利だ!
2 《島》 2 《沼》 2 《山》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 4 《硫黄の滝》 3 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 1 《愚蒙の記念像》 1 《進化する未開地》 -土地(27)- 1 《スカラベの神》 4 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(5)- |
2 《マグマのしぶき》 3 《削剥》 3 《アズカンタの探索》 2 《喪心》 2 《本質の散乱》 2 《渇望の時》 1 《不許可》 4 《天才の片鱗》 3 《ヴラスカの侮辱》 2 《破滅の刻》 2 《中略》 1 《明日からの引き寄せ》 1 《死の権威、リリアナ》 -呪文(28)- |
私はコントロールを組むのも使うのも両方好きだ。《アズカンタの探索》と《奔流の機械巨人》は青いコントロールの自然な出発点だが、《喪心》と《中略》は効果的な序盤の動きとして『ドミナリア』で追加された素晴らしいカードだ。FFLでコントロール・デッキを組む場合、私は新しい戦略がどれだけ相手の動きを対処できるかを強調するために、勝ち手段を絞って打ち消し呪文と除去に激しく頼ることを好んでいる。
これまでの3つのデッキにそれほど『ドミナリア』のカードが入っていないという事実を疑問に思った人がいるかもしれない。FFLが最新のカードの環境内でのパワー・レベルを測定しようとする場合、前環境の最強のデッキと戦わせるのは効果的なデータ収集の方法だ。叩き台のデッキを効果的なリトマス試験として使うことは、今のところは集中期間にテストをしているカードに最も適切な変更を加えることを可能にしている。
基柱カード対効率カードのテスト
「効率カード」とは、我々が一般的に強力なマジックのカードを分類するために使う用語だ――これらは同じマナ・コストで使える他のものよりも強い。多くの支援やシナジーがなくても、これらはゲームに強い影響を与える。デッキのマナ・カーブの穴を埋めることだけを考えればいい場合が多いので、当然ながら効率カードのテストは基柱カードのテストよりも簡単だ。
これらのパワー・レベルを理解することは、しばしば「A対B」の比較のように単純化できることもある。言い換えると、《巻きつき蛇》デッキで《ピーマの改革派、リシュカー》と《翡翠光のレインジャー》はどちらがいいか?ということだ。
基柱カードはFFLでのテストと正しいパワーレベルにすることが最も難しいカードであることが多い。何もないところから、楽しく競技的だが対抗手段と意味のあるゲームプレイの機会を提示する新しい戦略を作らなければいけないということは、バランスをとる要素が数多くあるということだ。『ドミナリア』のクールな基柱カードの一例が《飢饉の具現、トルガール》だ。
8 《沼》 2 《山》 4 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 2 《イフニルの死界》 2 《愚蒙の記念像》 2 《廃墟の地》 -土地(24)- 4 《戦慄の放浪者》 4 《凶兆艦隊の貯め込み屋》 4 《薄暮軍団の盲信者》 4 《武器作り狂》 1 《不死身、スクイー》 4 《飢饉の具現、トルガール》 -クリーチャー(21)- |
3 《致命的な一押し》 2 《菌類感染》 1 《ヴォーナの飢え》 2 《ベルゼンロック典礼》 3 《最後の別れ》 2 《木端 // 微塵》 2 《立身 // 出世》 -呪文(15)- |
マイケルの黒赤生け贄デッキは、『ドミナリア』のテストをしていた時に使っても相手にしても最も楽しかったデッキの1つだ。このデッキの構成は使い捨てのクリーチャーを生け贄にするために《飢饉の具現、トルガール》をプレイする黒赤のトークン・デッキだ。
この戦略は低めのマナ・カーブを持ち序盤から対戦相手に圧力を掛けることができ、もしくは《飢饉の具現、トルガール》を加速して出して対戦相手に大量のダメージを与えるか、自分自身を対象にしてライフを10まで巻き戻しダメージレースをまくることができる。
このデッキの最もクールなところは《最後の別れ》と複数の相互作用があるところだ。このデッキには手札と墓地の両方で機能する、「教示者」してくるための1枚挿しのカードがたくさん入っている。《最後の別れ》を唱えて主に行うことは、《飢饉の具現、トルガール》を手札に入れて《立身 // 出世》を墓地に送る動きだ。その後《飢饉の具現、トルガール》をプレイして《出世》で速攻を与え、この切れ目のない動きは最大で19点(ぐらい)のダメージを叩き出す!
引きの強さ
私がプロツアーでテストしていたことから開発部に持ってきた最も強力な教訓の1つは、両プレイヤーの引きの強さを小さなサンプルの規模で見誤ってしまう落とし穴であり、そしてそれがどれほどデータを歪めてしまうかということだ。自分の引きが芳しくなかったり、相手の引きがいくつかのゲームで立て続けに強力なカーブを描くと不満が溜まりやすい。これは危険なことで、間違った結論を導き出してしまうことがある。
例えば、私のプロツアー『イニストラードを覆う影』のテスト・チームは、スティーブ・ルービン/Steve Rubinが優勝した「緑白トークン」と56~60枚ぐらいまで同じデッキを作っていたが、お粗末なテスト期間のせいですぐにその戦略を完全に見捨ててしまった。
今、私がこれについて気に入っている方法は、両プレイヤーを3つに分類する方法だ。1つのマッチが決着した後、自分と相手の引きが強いか平均的か弱いかを判断する。それからカードの相互作用とこの情報の両方から学んだことに基いて決定を下す。これによってスタンダード向けのカードを作るときにより正確になることができる。この課程によって真にテストが行われたデッキの1つが、マイケルの《ヨーグモスの不義提案》デッキだ。
7 《島》 1 《沼》 1 《山》 1 《平地》 2 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 4 《氷河の城砦》 -土地(20)- 4 《遵法長、バラル》 2 《ギックスの信奉者、ローナ》 -クリーチャー(6)- |
3 《モックス・アンバー》 4 《改革派の地図》 4 《ウェザーライトへの乗艦》 4 《航路の作成》 4 《巧みな軍略》 3 《アズカンタの探索》 2 《否認》 4 《ヨーグモスの不義提案》 2 《ウルザの殲滅破》 4 《王神、ニコル・ボーラス》 -呪文(34)- |
カードや相互作用の強さを議論するとき、明瞭で簡潔な言葉が鍵となるため、私は自分の意見を伝えるときに派手な形容詞を使ったり誇張したりしないようにしている。またこれは私がこのようなことを言うときにその意味をより深いものにしている。「やばい、このデッキはおかしいぐらい強い開幕の動きができるぞ!」
このデッキは『ドミナリア』で最も強力な相互作用のいくつかをストレス・テストするために組まれていて、このようなドローの可能性を最大限にするためにクリーチャー除去と打ち消し呪文が少なくなっている――2ターン目に《遵法長、バラル》と《モックス・アンバー》を出して《王神、ニコル・ボーラス》を捨てるためにドロー呪文(か《否認》!)を唱える。その後3ターン目に《ヨーグモスの不義提案》でこの多元宇宙の暴君をリアニメイトする。
その一方で、このデッキは伝説のソーサリーを唱えるためのレジェンドを引けなかったり、強力な見返りがあるカードを引くことに失敗したりして「自滅」してしまうこともある。3ターン目の《王神、ニコル・ボーラス》のような派手なプレイがあることはクールだが、これらのデッキに安定性がなく多くの対抗手段があることは健全なことだ。
私が『ドミナリア』FFLで得た最大の教訓――バラルは焼いとけ。
今週紹介できるFFLのデッキはこれで全部だが、うまく行けば『ドミナリア』のもたらす凄いカードでの君のやり込みに何らかのインスピレーションをもたらしてくれるだろう。『基本セット2019』が近づいてきたら、私はその『基本セット2019』FFL集中期間での私のお気に入りのFFLデッキを紹介するために戻ってくる。その間にも、私はほとんどのプロツアーと、ほぼすべての西海岸で行われるグランプリに行くので、来て声をかけてほしい!
—Abro (@Murk_lurker)
(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)
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