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開発秘話

Play Design -プレイ・デザイン-

Mファイル『ドミナリア』編・白青黒

Dan Musser
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2018年5月4日


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 「Mファイル」ドミナリア編へようこそ! さて、君は「一体全体Mファイルってなんだよ?」と疑問に思うかも知れない。正直なところ、私が初めてメリッサ・デトラ/Melissa DeToraが書いたこの記事のシリーズを初めて読んだとき、このMは単に彼女のイニシャルだと思っていた。彼女が記事に自分の名前をつけたとは実際思わなかったが、その名前がどこから来ているのかははっきりしなかった。

 そして我々が現在、未来、そして過去のマジック:ザ・ギャザリングのカードの神秘的なデータ全てを記憶しておくために使っているプログラムがマルチバースと呼ばれていたことが判明した。この記事が始まって以降、我々はドレイクと呼ばれる別のプログラムに切り替えを行った。もしこの記事の名前も変えなければいけないならどうなるだろうか? Dファイル。うーむ、DとMはどちらも私のイニシャルだ。どうなるだろう……

 ああそうだ、私はここではかなりの新顔なので簡単な自己紹介がいるかもしれない。私はダン・マッサー/Dan Musser、この素晴らしいゲームを世界中を旅してプレイした後に2017年にこのプレイ・デザイン・チームに加入した。私はオハイオ出身で、マジックを初めたのは『ストロングホールド』からだ。好きなフォーマットはモダンで、好きなカードは《難題の予見者》、好きな色は緑だ。あと猫は最高だ!

 しかし私に関してはもう十分だ。では1年前の『ドミナリア』のカード・ファイルの一部に寄せられたデザインとデベロップのコメントを見ていこう。

 簡略化のために、名前は頭文字で表示されている。ここをクリックするとコメンテーターが表示される。


もの悲しい詩人

DGH: 《もの悲しい詩人》は名前と英雄譚とのフレーバーやドミナリアのセット出身であることなどからとても良い再録であるように見える。
DGH: 『ウルザズ・レガシー』の再録だ。
EEF: この再録は素敵です。
KD: とてもフレーバー豊かで魅力的だ。
AF: 「おお、ニコル・ボーラスの復活について教えてくれ!」「ふむ……分かった。(死亡)」
KD: 彼女は最高傑作を書くために過労死してしまった。悲劇!
Bryan: このセットの英雄譚と合わせると本当にクールな再録だ。

 

 完璧な再録についての話をしよう! 元々はドミナリアのセット出身であるだろうか? そうだ。セットの主要なメカニズムとの相互作用はあるか? ある。彼女が戻ってきてその最高傑作がどのように受け入れられたかを見られるように《最古再誕》を戻してきて欲しいね。


叙爵

DGH: イーサンからの新作だ。
DGH: インスタントからオーラに変更。
KEN: {1}{W}? :)
Eli: クリーチャー1体に叙爵するためのコストは何? 騎士「にしろ」、だ。
Bryan: 超絶的に芳潤だ。大好きだ。
DGH: 「ダブ」という名前が使われなくなるのは寂しい。
Alli: 私も寂しい。これは優雅で、シンプルで、他のところで使われそうにない。この名前がまさにトップダウンであるかも知れないことが感じられる。
Eli: 私も「ダブ」が大好きだ。
Tabak: このマナ・コストでですか?「にしろ」には賛成です。

 

 さて、ここでは開発部内での略称が使われているのでそれを解説していこう。我々がカードのマナ・コストについて言うとき、不特定マナの部分の数字の後に色マナの部分の文字をつける。「W」の文字はちょっと言うのに長いので、これをさらに省略して単に「ダブ」とだけ言うようになった。プレイテスト名は普通は可愛らしくてその意味がわかるようなものがついている。しかしながら、それらはしばしばよりクリエイティブで芳潤なものに変更される。

 《叙爵》の{2}{W}というコストはとんちとフレーバーと単純な優雅さの完璧なバランスをしていたので、元々のデザインを壊す必要がなく印刷までこぎつけられたというわけだ。


封じ込め

DGH: パワー4までを意識した《未達への旅》のバリエーションだ。
DGH: パワー4までなのはカラー・パイの要求による。
MDT: ここまでのFFLでこれが弱いことが判明しました。
DGH: これが戦場にある限りタップ状態の/攻撃しているクリーチャーを追放するように変更したいかも知れない。
EEF: FFL会議:{1}{W}、瞬速、(カード名)が戦場を離れるまで、対戦相手がコントロールしていてタップ状態のクリーチャー1体を追放する?
GJ: 変更した。

 

 プロツアー『破滅の刻』は《封じ込め》がFFLで進行中だったのと同じ時期に開催されていた。《熱烈の神ハゾレト》はそのプロツアーのオールスターで、そしてその役割を果たす除去を我々は持っていなかった。

 これらの要素が組み合わさり、プレイ・デザインの過程に新たな要素の追加が行われた。我々は他のカードや戦略を食い止めるために、後になってからそれらを狙ったカードを追加できるようになった。


ベナリアの軍司令

DGH: スタンダードのミニチームからの新カード。
ABro: 栄光の。

 

 新しい過程のもう1つの例だ。プレイ・デザイン・チームが年々拡大するのに伴い、我々は集中的な「ミニチーム」の運用が可能になった。これは開発部の一部が小さなグループに分けられて、それぞれが特定の目標を持っているときだ。

 ここでは、ブレインストーミングを行いスタンダード・レベルのカードをたくさんデザインするために1つのチームが結成された。これはセット・デザインの負担を軽減し、プレイ・デザインのクリエイティブ的な手腕を実際に柔軟にすることを可能とした。あと、アンドリュー・ブラウンはこのダジャレと一緒に入ってくる。


治癒の恩寵

DGH: 効果的に両方を選ぶように変更。
DougB: 正しいかはともかくとして、私はこれのようなダメージ軽減とライフ獲得の組み合わせが大好きだ。軽減効果に「手を置く」アートの芳潤さは、実際にはダメージが回復していないのに変にマッチしている。
GJ: デイブへ>これはプレインズウォーカーも守れるようにするべきじゃない?
DGH: きれいな書式ができなければ駄目だ。
Tabak: 「クリーチャーかプレインズウォーカーかプレイヤー」はかなりきれいだと思います。そうでないなら、火力呪文について残念なお知らせがあります。:)
GJ: この書式はタバックのものと全く同じなので、やるのは簡単だと思う。単に自動的に更新されるカードの規定範囲内になかっただけだ。
DGH: 分かった、その書式に変更した。
ABro: 強いカードにできたことに関してプレイ・デザインに感謝。『アルファ版』からのパワークリープ、どういたしまして。

 

 《治癒の軟膏》のパワークリープについて話をしよう! 面白いことに、《治癒の恩寵》はプレインズウォーカーへのダメージ移し変えのルールの撤廃し、ダメージ呪文が直接プレインズウォーカーを対象に取るように決定されたのと同時期にデベロップされていたんだ。さらに《治癒の軟膏》のパワークリープを進めるため、グレンはプレインズウォーカーへのダメージも軽減できるようにしようとした。表現は誰が想像していたものよりも単純なものになった……。ごめんよ《治癒の軟膏》(#ごめんとは言っていない)。


トレイリアの学者

DGH: 3マナに引き下げ。
JDR: 攻撃とブロックしかしないウィザードってすごく変だと思う。リミテッドの都合を想像してしまう。
DGH: 合点がいった。このカードをリミテッドでプレイアブルにしているものが、時々バニラでやる「これはウィザードとして扱う」という隠れたテキストを持っていることだという難しい局面にある。

 

 マジックの用語では「バニラ」クリーチャーとはフレーバー・テキスト以外テキスト欄に何も書いていないもののことだ。《トレイリアの学者》はバニラ・クリーチャーのように見えるが、リミテッドのテーマの1つが「ウィザード関連」なので、この学者は見えている以上の存在ということになる。こういうバニラをどう呼べばいいのだろう?


秘儀での飛行

DGH: シンプルなものにしよう。
EEF: シンプルで魅力的です。
DGH: バニラのレジェンドとコンボだ。
ABro: 1の1で《アーボーグの暴食、ヤーグル》、1の2でこれだあああああああああああああ。

 

 これよりもっとシンプルにはできない。ごめんな《飛行》、君は秘儀のいとこの後ろに座らなければならない。大好きな家の猫に光る翼をエンチャントして、自由に空を飛ばせるほど素晴らしいことはない。あと、《アーボーグの暴食、ヤーグル》にこれをつけることは大問題だ! 10点本体。


ボーラスの手中

DGH: テーマの中で面白そうな新デザインだ。
DGH: リリアナを出したくなる感じだ、そのほうがうまく機能する。
DGH: 伝説のを追加。
ABro: これが歴史的を誘発するのはすごいな。

 

 私はいつもボーラスは多くのものを操ることができると考えている。歴史的は伝説とアーティファクトと英雄譚のことを表している。ここで我々は英雄譚以外の歴史的なエンチャントを得た。アートにリリアナを加えたことで物語の本当にすごい瞬間を垣間見ることができた……ニコル・ボーラスにとっての。


反復の学部長、ナバン

DGH: アンドリューからの新作だ。セットの方向性とかなりうまく適応していて、ウィザードの多くはETB(戦場に出たときの)能力を持っている。何だか変なカードだ。《瞬唱の魔道士》と組み合わせて人々は興奮するだろう。
DGH: このカードについての意見をいくつか欲しい。狭すぎるか? ETB能力を持つウィザードが十分いればこれはクールだろうか? 《パンハモニコン》があと6か月残っていることを考えるとこれはおかしいだろうか?
Eli: これはデッキの軸にするためにクールなETBを持つウィザードを見つけようという気にさせてくれる。これはかなり狭いが、私が新人プレイヤーだった頃にデッキを構築する新しい方法を見つけた時の気持ちを思い出させるようにする方法の狭さだ。
Eli: クリーチャーを全部ウィザードにできる『イクサラン』の《秘儀での順応》で壊れたりしないだろうか?
ID: すでに《パンハモニコン》で壊れてるものはないよ。

 

 いい出来だ、アンドリュー! ウィザードハモニコンだな。十分な数のウィザードを一緒に入れることができたら、時々魔法が……起こってしまう。ウィザーズは他のウィザードのためにカードを開発する。これをウィザード受容体にできるかな?


ランプのジン、ザヒード

EEF: イーサン・フライシャーの新カード。
EVL: いいですね!
Eli: 一部のランプのジンは機体から出てくる。いい暮らしをしてるね。
YS: すごい!
DGH: このカードはセットにランプを入れて欲しいのだろうか?
MJG: クールなコンセプトだ、しかしランプならもっとクールにやれるというのには賛成する。
DGH: 伝説のを追加。
DGH: クリーチャーでないアーティファクトにするべきだろうか?
Eli: コストがクリーチャー1体をタップとアーティファクト1つと{2}{U}ということ? そのクリーチャーはそのアーティファクトをこすらないといけないな。
DGH: イーライの案でいこう。
ID: 宝物を出す海賊と使うと強力だ。FFLは{3}{U}で5/6が良いとも思っている。
KD: 5/6は《マハモティ・ジン》を思い出させていいね。
DGH: まだ決まってないなら{3}{U}で5/6にしよう。
DGH: コストとしてクリーチャーをタップしてはいけない(再掲)。

 

 《ランプのジン、ザヒード》のフレーバーは格別だ。これを起動するためのコストでクリーチャーをタップしなければいけないという部分が削除されたのを初めて見たとき私は悲しかった。クリーチャーがジンを呼び出すためにアーティファクトをこするというのはピッタリだと思ったからだ。

 これが取り除かれた理由は2つあった。ゲームプレイの視点からは、これは十分な強さではない。そして、実際にランプをこするためにクリーチャーが必要なのかどうかということもある。君はプレインズウォーカーだ! 君が{3}{U}を支払いランプをこする……《マハモティ・ジン》が機嫌を損ねすぎなければいいが。


ウィンドグレイスの見習い

ABro: 飛んでる猫・戦士? クリーチャー・タイプはあってる/可能なのか?
Eli: コンセプトを調べたら、これは猫が恐竜に乗っていた。
ABro: OK、何も知らなかったよ。
DMus: 君はABroなのASnoなの?

 

 アンドリューを擁護すると、猫も戦士も普通は空を飛ぶ描写はなされない。もちろんそれらが《秘儀での飛行》をエンチャントされていなければだが。彼の質問は馬鹿馬鹿しく思えるかも知れないが、我々は多くの世界を訪れ、その中には飛べる猫もいるかもしれない。ここでは、恐竜に乗っている猫がいるだけなのは明らかだ。


菌類感染

EEF: このカード本当に好きです。
GJ: 魅力的だね。
Alli: 私の中で好きになっていくのに時間はかからなかった。大ファンだ。
KEN: 《死胞子のサリッド》の《水膨れ虫》への最高の印象。
MJJ: これは赤単にかなり効きそうだ。

 

 シンプル。強力。魅力的。君もすぐに好きになるだろう。プレイ・デザインは強力なカードに対する対策を得ることが大好きで、そしてこれは1ターン目《ラノワールのエルフ》に対する最も明確な回答の1つだ。


最後の別れ

DGH: 新デザイン。《Demonic Tutor》と《生き埋め》を彷彿とさせる。クリーチャー以外も持ってこられる《ジャラドの命令》だ。
KD: マジでクールだ。
EEF: とてもクールなデザインですね。
DGH: リリアナと釣ってくる的を持ってこられる。我々の想像以上強いかもしれない。
DGH: これ自信を追放する必要はあるだろうか?
NKM: 《ヨーグモスの意志》と《苦悶の触手》を持ってこよう。(強いけど大丈夫だと思う)

 

 ナットは我々の中のヴィンテージ愛好家であり、彼のような人物が開発部内にいることはあらゆるタイプの人に向けてマジックのカードを作る過程にとって有益だ。前回《暗黒の儀式》と《Demonic Tutor》をくっつけたとき、それはエターナル・フォーマットに大きな影響をもたらした。《最後の別れ》は同じ影響を与えられるだろうか?


リッチの騎士、ジョス・ヴェス

YS: これ大好き!
MJG: クールだが、12マナは多い。
Alli: こいつを何回も違うアーキタイプでテストしたけど、1回もキッカーできそうにならなかった。MJGの12は多いというのに同意する。
YS: 全部で10マナになってもこれが好きだ。
DGH: 今のところ11マナに下げる予定だ。
DGH: キッカーを1マナ軽くする。
DGH: レア投票を受けてトークンにゾンビのタイプを追加。
MJJ: これがテキスト欄だ。
DougB: 素晴らしい。
DGH: 4/4→4/5。
ABro: 栄光をもたらすことはできない。ごめんな《栄光をもたらすもの》。

 

 ここでのジョスは、現実世界の競技マジックで起こったことに基いて我々が行う変更のもう1つの例だ。《栄光をもたらすもの》が多くプレイされるのに伴い、我々はジョスを対戦相手のドラゴンのカーブに綺麗に噛み合わせて気分を悪くさせないようにしたいと考えた。タフネスを1増やすことはこれをドラゴンに変えるよりもフレーバーに合っている。これをキッカーして20点分のパワーのクリーチャーを出す夢に生きてみないか?


アーボーグの暴食、ヤーグル

DGH: 伝説のバニラ。
KEN: 秘密のゲーム・テキスト「これは統率者ダメージを与える」
Alli: パワー/タフネスの表にチェックを入れるもう1つのやつ!
GJ: で、人間・昆虫・カエル・スピリット?

 

 ケンの指摘どおりもう1つの実はバニラじゃないクリーチャーの例だ。ヤーグルはこのパワーとタフネスの組み合わせを持った初めてのクリーチャーだ。ちっぽけなカエルがどのようにしてレジェンドに、そして『ドミナリア』全体のマスコットになったかについての物語は壮大な物語だ。


 今日はここまでだ。来週は赤、緑、多色、アーティファクト、土地を見ていこう!

 それでは。

ダン・マッサー (@daniis7)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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