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Play Design -プレイ・デザイン-
Mファイル『イクサランの相克』編・白青黒
2018年2月2日
Mファイルへの回帰の時間がまたまたやってきました! 1年後にデザイン・ファイルを振り返って、そのセットを作っている展望、セット、プレイ・デザイナーの開発中のカードについてのコメントを見ることはいつでも楽しく洞察に満ちたものなので、わたしたちは「Latest Developments -デベロップ最先端-」からの人気ある伝統のコーナーを続けることにしました。
以前はマルチバースと呼ばれていたドレイクは、マジックのカードを、すでに印刷されたものも、デザインの初期のものも、その間のものもすべて記録するために使う、社内のデータベースです。わたしたちは時折セット・デザイン中のカードに触れて、そのセット・リードのためにコメントを残します。皆さんが見るコメントだけがわたしたちがそのカードについて議論しているすべてではありません。これらはわたしたちがそのセット・リードとコミュニケーションを取って意見を伝える多くの手段の1つにすぎないのです。
各登場人物の顔をご覧になりたいなら、こちらをクリックするとコメンテーターの一覧が表示されます。
《不可解な終焉》
BH: ほとんど《濃霧》だったが、フューチャー・フューチャー・リーグのもっと相互作用のあるカードが欲しいという要求に応じて〈恐竜への旅〉を再追加することに置き換えられた。
SPS: なぜ? 〈恐竜への旅〉はクールすぎただけですかな?
NKM: これはクリーチャーを追放された対戦相手と違う人に恐竜をあげることができる。あってる?
TABAK: 私はそうしないと駄目だと思いますね。さもなければ、戦場から離れたときの能力が先に解決されると、その能力は未定義の能力を参照することになります。そして《ラクァタスのチャンピオン》っていうのがいるんですよ。
プレイ・デザイン・チームの仕事の1つは環境の穴を見つけ、そしてそれを埋めるカードを作ることです。『イクサランの相克』では、プレイ・デザイン・チームはまだ移行期間であり実際にチーム全員が揃っていませんでしたが、一部のメンバーは社内にいて積極的にFFLでプレイテストを行っていました。《不可解な終焉》は白が3ターン目より前に唱えることができる、相手に干渉する呪文を失っていることが分かった後に、FFLが環境に追加することをに求めたカードでした。《不可解な終焉》、もしくはプレイテスト中「恐竜への旅」という名前だったこれはその穴を埋めるために作られました。
《贖罪の聖騎士》
MDT: 『アモンケット』の《マナの合流点》と使うと強いですね。
ID: (訳注:このカードの能力を誘発させるために)自分自身にダメージを与えたい場合、残りの自分のターンを終わらせた後に第2メイン・フェイズに止めなければならないという終了ステップのバグがある。相手にダメージを与えたい場合、相手の終了ステップにそれができる。アップキープにその前のターンを参照したほうがもっと簡単になるかもしれない。分からないが。
MAGO: イアンの懸念に対処するために「各終了ステップの開始時に、あなたがこのターンにライフを失っていたなら、[カード名]の上に+1/+1カウンターを1個置く」にすることも可能だ。利点は誘発に対応して終了ステップにライフを失うことができること。欠点はライフを失っていようがいまいが誘発することだ(Magic Onlineでよりうっとおしくなる)。
NKM: 最初の返事のタイプのテンプレートで行きます。
『イクサランの相克』がセット・デザインに入り、しかしFFLのプレイテストに入る前のとき、スタンダードのローテーションは6か月ごとに起こっていました。わたしたちがスタンダードのローテションを年1回に戻すことに決めたとき、『アモンケット』のカードの一部が大変なことになりました。《マナの合流点》はそういったカードの1枚です。『アモンケット』が『戦乱のゼンディカー』と同じスタンダード環境に存在するようになった今、アグレッシブなマナ基盤は強すぎ、このカードはファイルから外されました。
《マナの合流点》は《贖罪の聖騎士》と組み合わせて強力になっていたのですが、『破滅の刻』のアンコモンの砂漠も同じく強力で、わたしたちがかなりの数のテストを行った相互作用です。楽しく直感的なプレイパターンはわたしたちがプレイテストするときに探しているものであり、特にこのカードでは適切なタイミングで誘発するようにして、プレイヤーがこれがあるとき・ないときで違うことをするようにはしたくない考えました。《贖罪の聖騎士》が終了ステップに誘発する場合、プレイヤーが相手の終了ステップではなく戦闘後メイン・フェイズに砂漠を使って唱える事態が起こってしまいます。この相互作用は誰にとっても直感的ではなく、そして書いてあるようにこのカードはアップキープの開始時に誘発するように変更されました。
《飢えた聖騎士》
GSV: うまいデザインだね。
SPS: これは本当にクールですな。何かと合わせて無限になりますかな? 例えば「{T}:1点のライフを得る」をつけるオーラとか。この誘発には厳密に気をつけないといけませんな。
ELI: 2枚コンボは存在しない――《エファラの輝き》が一番近いが弱い。これをピンガーにして絆魂をつければ3枚コンボだ。
ID: こういうカードにはプレイ・デザインのリソースがたくさんかかることに注意。
プレイ・デザイン・チームが行う検査の1つに、独特な効果やループや無限コンボを引き起こす効果を持つカードを探すための頻繁なファイルの評価があります。そういったカードが確認されると、わたしたちはその相互作用をプレイテストするだけでなく、どのカードが将来のデザイン空間に制限をかけるかにも注意します。わたしたちはその後、それらのカードがどう問題があるかに基いて変更を行います。
わたしたちは対処が難しく、準備が簡単で、必要なカードが多くないコンボを避けようとします。わたしたちのコンボに対する理念についてもっと詳しく知りたいなら、こちらの記事を参照してください。
《飢えた聖騎士》はカードとメカニズムの将来のデザインに制限をかける可能性があるカードの一例です。「{T}:1点のライフを得る」を与えるオーラはタップアウトした対戦相手に簡単に決められる無限ライフコンボです。このコンボはモダンには存在していますが、それに対する対処が簡単なので達成は困難です(そのコンボを知っていればさらにボーナスポイントがつきます)。しかしながらスタンダードでは対策の効率は悪くなり、わたしたちはこのようなカードに注意しなければいけません。とはいえ、無限コンボがあることは構わないのです――しかし対処が容易で、複数のカードを必要とし、モダンの無限コンボほど安定性のないものであるべきです。
《強者鏖殺》
BH: 新カード。壊れてるかも?
ELI: このデザインは大好きだが《弱者の報復》も好きだ。
BH: 複数人がレア投票で誤読して「合計」の文字を見落とした。それを注視して、今のところ変更はない。
BRYAN: 本当にアグレッシブに見えるな。
SPS: 私にはディフェンシブに見えますぞ。
ROSEJ: 《スキフサングの詠唱》とコンボだ! しかし真面目な話、この相互作用はいいのだろうか?
わたしたちはあまり頻繁にコストが4マナ以下の全体除去を作らず、そうしたときにはそれらは狭い役割を埋めるためのものか、何らかの制限がついているかのどちらかです。《強者鏖殺》はその強さを最大限に活かせる特定の方法のデッキ構築をするよう促します。またこれは恐竜ミッドレンジや《選定された行進》トークンのような特定のデッキが強すぎた場合の対策としても優秀です。それと、《包囲の搭、ドラン》が本当にこのカードが好きなこともにも気づいてほしいです。
《海底の神託者》
BH: 強襲っぽくないように変更。
MAGO: 青い部族の報酬のほとんどが「カードを1枚引く」だ(これ、魚の排撃、《銀エラの達人》、海賊の忍び寄り)
GJ: 素晴らしいカードだ、多分モダンのマーフォークにも一大事だ。
BRYAN: かなり素敵だね。これは自分自身も含むの?
JDR: 私向きのロードだ!
NKM: ベンは「してもよい」を落とした。カードを引くのは強制になる。強制に!
『イクサランの相克』は『イクサラン』とは少し違った部族の報酬への取り組みをしました。『イクサラン』では、部族の恩恵の多くは閾値に基づいていて、特定の数、大抵は1体のその部族をコントロールするように求められ、報酬は小さなものでした。『イクサランの相克』では、可能な限り多くのその部族をコントロールすることが推奨され、その恩恵ははるかに強力です。
マーフォークの部族の報酬は《マーフォークの霧縛り》《深根の精鋭》《海底の神託者》などです。これらのカード全ては可能な限り多くのマーフォークをプレイするよう求めていて、多ければ多いほどその報酬は大きくなります。《海底の神託者》は適切なデッキに入れれば狂った数のカードを引くことが可能になります。
わたしがここで気に入っているコメントは『イクサランの相克』のカードの過去のプレイテスト名に言及しているものです。《銀エラの達人》は再録なので変更されていませんが、他のカードが何かわかりますか?
《狡猾な巾着切り》
NKM: 多分これはヴィンテージの《僧院の導師》ミラーで見ることになるだろう。うまいデザインだ!
MJJ: 私はここのファンの一員ではない。こういうすごく狭いけど強いカードはフライデーナイト・マジックのレベルで不意に出てきたとき楽しくないゲームになることがある。
MDT: モンスと同感です。わたしたちは(《スフィンクスの啓示》への《概念泥棒》のように)特定の物事を対策するつもりはありません。このカードはある種の統率者デッキを完封してしまうかもしれなくて、それは基本的に楽しくないことです。
DEL: トークンを盗むのはターン終了時までになりました。元は「トークンが対戦相手のコントロール下で生成されるなら、代わりにそれはあなたのコントロール下で生成される」
《狡猾な巾着切り》は開発部の多くの人の間で好まれたカードでしたが、すべてのトークンを永遠に盗むプレイパターンはとても楽しいものではなく、多数のデッキを使う気にならないものにしました。このカードの根底にある、もともとのアイデアは対戦相手の宝物を盗むことでしたが、実際にはそれと全く違うことをこのカードはしていました。
わたしたちは宝物だけを盗むバージョンも考えましたが、最終的にはより多用途なトークン対策カードにしました。永遠デッキがスタンダードに現れて、これが適正なメタゲームのサイドボードの選択肢として考慮されたとしても私は驚きません。
《時間流の航海士》
JDR: 構築レベルの繰り返し使える《Time Walk》があることに不安はない。
GSV: 解き明かすのが楽しそうなパズルだ。都市の承認を得て、自分のデッキを削って、これを準備すればいいんだね? クールだ。
MJJ: サヒーリ・コンボ・デッキにピッタリ収まってもっと強くするだろうか?
これはわたしがプレイするのが好きなカードの1枚で、そしてわたしとピート・イングラム/Pete Ingramはこれを壊そうとかなりの時間を費やしました。多くの《Time Walk》がループを避けるために唱えられた後に自分自身を追放しますが、セット・デザイン・チームはプレイヤーに追いかけるべき夢を与えるためにこのカードは自分を追放するべきではないと強く感じました。これは達成するためには手順を踏まなければならないコンボ・カードのもう1つの例ですが、うまくできたときの報酬は素晴らしいものです。
《粉砕する潮流》
BH: 元は《分散》だった。このセットをより部族らしくするための大きなボーナスを試してみよう。間違いかもしれないが。
VEEN: マーフォーク・デッキの《排撃》としてとても強そうな感じがする。それでもこれは半分より下のカードなの?
DEL: 外野から――インスタント→ソーサリー。《送還》→カードを1枚引く。条件付きキャントリップ→条件付き瞬速。
わたしたちが『イクサランの相克』リミテッドで避けたいと考えたことのひとつが、特に干渉する呪文において、その部族以外だとアンプレイアブルなカードを多くしすぎることでした。《粉砕する潮流》は青の特別なコモンのバウンス呪文として意図されていましたが、マーフォーク・デッキ以外では弱すぎました。
それを解決するため、わたしたちはマーフォークをコントロールしていればキャントリップ(カードを1枚引くこと)のインスタントから、常にキャントリップがついていてマーフォークをコントロールしていると瞬速がつくソーサリーに変更しました。この変更によりこのカードはほとんどの青いデッキで強力で、しかしマーフォークに寄っていると素敵なボーナスを得られるようになりました。
《原初の死、テジマク》
MJJ: うっとうしいイリュージョン・デッキ対策そのもの。
JDR: このカードは公開するのをソーサリー速度にしたら迫りくる災厄らしくなってもっと楽しくなると思う。これでは、出てくる直前にたくさんのカウンターを吐き出すだけになることが多いだろう。
ABRO: 1番目の能力はソーサリーのほうが好きだ。両方のプレイヤーがこれの到来を予期できて両方が楽しくなると思う。
BH: 起動コストを{1}{B}から{B}にして自分のターンだけに変更。接死を追加。
ラス
ラスとは全てのクリーチャーを破壊するカードのこと。『アルファ版』の《神の怒り》の英名が由来。ラス効果は時々特定のものにだけ影響を及ぼす――例えば対戦相手のクリーチャーだけや特定のタイプのクリーチャーだけなど――が、この用語は基本的に全てのクリーチャーを無条件に破壊することを想定している。
《原初の死、テジマク》はフレーバーと楽しさの点でプレイ・デザインのお気に入りでした。マイケル・メジャースがわたしたちと一緒に働き始めたとき、これは彼が喜んでデッキの軸にした最初のカードでした。そしてもちろん、わたしたちの多くが《Infernal Spawn of Evil》のジョークをプレイテストのときに言いました。
このチームが基本的に楽しくないと発見したプレイパターンの1つは、ターン終了時に相手のクリーチャーにカウンターを置いて、アンタップして、これを唱えて、相手の軍勢を殺すパターンでした。このプレイパターンは起こることを予想していなかったプレイヤーにとって不愉快な瞬間であり、それに対処してプレイすることは不可能でした。このカードは自分のターンに6/6が出るインスタント速度のラスとしてプレイされました。ソーサリー速度の起動は、これが依然として強力であることを証明し、対戦相手にもう少し準備する時間を与えました。
《首謀者の収得》
BH: 《不滅の太陽》がイクサランを離れた物語の瞬間用にYSとゴットリーブが提案したカードだ。これをここで使うかどうかに関わらず、私はこのデザインが大好きで適切なら使ってみたいと思う。
AP: 《魔性の教示者》をインフレさせてもいいのか? これは素敵なカードだが、{3}{B}{B}はこの効果に適切なコストだとは思わない。
BRYAN: 5マナの《Demonic Tutor》は人々を満足させるには弱すぎると証明済みだと思う。
ROSEJ: 《魔性の教示者》はここ10年で10回印刷されている。私はバリエーションが出ても興奮しないし、5マナならなおさらだ。
このカードはもともと5マナで、すでに4マナである《魔性の教示者》よりも強いのでそう設定されました。しかしながら《魔性の教示者》は《陰謀団の貴重品室》の時以来スタンダードで使われておらず、FFLのチームは《首謀者の収得》の効果が《魔性の教示者》の上位互換であるにも関わらず4マナが適正だと感じました。スタンダードに願いがあるのは久しぶりで、ましてやどのカードでも持ってこれる願いはもっと久しぶりです。
《黄昏の預言者》
BRYAN: 都市の主張がない場合何とかこのカードをどけることはできないかな? でなければ引いたカードを全部公開するだけになって楽しくない。
EEF: カラー・パイを侵害しているように思えます。黒は他の人に引いたカードのコストを払わせることはしません。
GSV: これは歪んでるけど壊れてるとは思わないな。いくつか前例はあるし(《死の宿敵、ソリン》)、誰かが血でその代価を支払うなら黒は満足すると私は思うよ。
デザイン・チームにはカラー・パイを歪めているのか破っているのか頻繁にセットを検査する色の協議会があります。《黄昏の預言者》は破っている可能性があるカードの1枚でした。このカードは「逆ボブ」(ボブは《闇の腹心》のニックネームです)で、通常黒がカードを引けるのはライフを失ったりパーマネントを生け贄に捧げたりして何かを手放したときだけです。《黄昏の預言者》はあなたにカードを引かせてライフをドレインするのですが、色の協議会における黒の代理人であるガヴィンは誰かがそのカードの代償を支払っているので構わないと気づきました。
《無慈悲な略奪者》
AP: 私の《マイコシンスの格子》《大霊堂の信奉者》デッキはとっっても満足だ。
MDT: これは《機械の行進》と組み合わせると無限に誘発します。《大霊堂の信奉者》や似たようなカードが場になければ、ゲームが引き分けになるだけです。モダンのトップメタになるようには見えませんが、推奨したくなるものでもありません。
NKM: 誘発条件をトークン以外にもできる。
BH: 私はこの相互作用を気にしない。そのままにしよう。
私はリミテッドでこういうカードを楽しんでいます。これは(通常ランプできない色でランプするような)クールな動きを可能にし、追加の色をタッチしたり《巧射艦隊の略取者》や《無情な無頼漢》のようなこのフォーマットにいる宝物の恩恵を受けるものとうまく機能させることができます。
独特な効果のカードをより多く印刷するに際し、わたしたちは古いマジックのカードとの危険な相互作用を気にする必要があり、このカードはモダンで問題がありそうなカードの1枚でした。このコンボは特に強力というわけではありませんが、《機械の行進》と組み合わせてゲームを引き分けにできることは本当に望ましくないことでした。
しかしながら、モダンでできる強力な動きは数多くあり、無限ループを作る相互作用も数多くあります。これは4マナのカードが2枚必要で、そのうち1枚はクリーチャーであり、そしてどちらもそれ単体ではものすごく弱いカードです。わたしたちは《大霊堂の信奉者》と組み合わせるとモダンやよりカジュアルな統率者のようなフォーマットで楽しく見えると判断しました。《大霊堂の信奉者》がいないと引き分けになってしまいますが、これは多くのプレイヤーにとって楽しい勝ち手段です。
Mファイル『イクサランの相克』パート1は以上です。来週は赤、緑、金色、アーティファクト、土地をお送りします。
ではまた次回。
メリッサ・デトラ (@MelissaDeTora)
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