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Play Design -プレイ・デザイン-
巨人の肩の上で
巨人の肩の上で
Dan Burdick / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年6月16日
1999年金曜日の午前2時、シカゴにて
吹雪が吹き荒れる中、4人の若い男達が高級ホテルの地下でテーブルを囲んでいた。その雰囲気は彼らのデッキがプレイテストによって何度も叩き潰されるのを見て暗くなっていった。
特に無残な敗北を喫した後の重苦しい瞬間、男達の1人、ブライアンは突然沈黙を破った。
「お前ら気づいてるかもしれないが」 彼はこうもらした。「このデッキの《冬の宝珠》はヤバくないか?」
「ああ、そうだ、お前の言うとおりだ!」 他の男が言った。「俺はこれをプレイするのが我慢できん。このデッキは鉄の巨人を素出ししてハマらないようにしたいんだ!」
そこからの5時間、彼らはサイドボードも含めてデッキを丸々解体して最初から作り直した。悲惨で、素晴らしく、そして眠らぬ一夜を過ごした後、彼らは一緒に作り上げたものを見下ろした。
「完璧だ」 誰かが言った。
「いじるところがない」
これでこの話は終わりですが、これからするのはその直後に行われたプロツアーに関する話じゃありません。このデッキはよくできてたけど、トーナメントで優勝することは(トップ8入りさえも)なかったんです。彼らのうち3人はその日に会ったばかりでした。4人のうち1人だけが予選を抜けました!
それでも、彼らはみんなこの体験を人生で最も素晴らしい夜だと言っています。
当時はオンラインの情報も少なく、グランプリはコモン的なものでは――アンコモン的なものでさえも――なかったんです。レア的とさえ言えるかもしれません。別の都市に旅行して《Mana Drain》が強いことに同意しないプレイヤーを見つけるかもしれません。1人のプレイヤーやグループの人たちが世界の他のすべてが知らないような事柄を見つける可能性がずっと高かったんです。
マジックは変化しました。そのほとんどは良い変化でした。1ゲームを見つけるのも簡単になりましたし、その文化全体もより繋がりがあって活気づいたものになりました。
それでも、世界中を倒してやろうとしているプレイヤーのグループはまだ存在しているんです。
マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterが「変身2.0」で言ったように、今年は開発部内にある大きな進展がありました。彼はもうすぐやってくるたくさんの素晴らしい事柄について詳しく説明してくれましたが、私が皆に伝えるべきことを1つ残してくれました。プレイ・デザイン・チームの構成です。
で、プレイ・デザインって何?
素晴らしい質問で、そしてついに答えることができて我々は興奮しています! プレイ・デザインはダン・バーディックが率いるマジック開発部の新しい部署です。
「誰?」とあなたは尋ねるかもしれませんね。
それは私のことで、最初の話の奴らの1人です!
今、多分あなたはこの絵の賞品の大当たりを目にして、私がこのスキーボールが本当にうまいのかと疑っているでしょう。私はこれには絶対に完全に正直でないといけません。私はすごいです。しかしもっと今回の話題に関係のあることを挙げるなら、私はマジック:ザ・ギャザリングというゲームでもかなりいいところまで行っていました。主にローグ・デッキのビルダーとして知られていて、プロツアー・マインツ1997のチャンピオンのマット・プレイスの片親違いの兄弟で、すべてではありませんがプロツアーの一番最初のころから、時にはプレイヤーとして参加し、多くは友達をサポートして他のファンたちとその業前を観戦し、旅行して育ちました。
人生の紆余曲折はゲーム・デザインのキャリアにつながり、それは私の始まりの場所――一日中マジックのことを考えるところへと再びつながりました。
プレイ・デザインでの私の主な役割は進行役です。このチームのための完全な利用できるリソースであり、他の部署への最初の連絡先、そして我々のチームの成果に対する最終的な責任者です。
真面目な話、プレイ・デザインって何?
プレイ・デザインはデザイン過程とマジックのあらゆるスキル・レベルのプレイ経験との隔たりを埋める責任をもっています。一連の物語の計画の最初からセットがスタンダードで使える期間の終わりまで、作られたその環境でどんなプレイがされるかという観点から、プレイ・デザインは助言の提供、デザインのインプット、プレイテストにおいてだんだん活発になっていきます。いずれは、我々は座って新しいセットのカードを引く人みんなのためのゲーム・プレイを形作る助けになるでしょう。とても大変です!
技術的な詳細を抜きにして、我々が達成しようとしているものと、そうするために我々が計画している方法を例示します。
- 楽しくなくてもバランスはとれますが、バランスが取れないと楽しむことはできません。そのどちらも提供するのが我々の仕事です。
- 我々のプレイテストの主な焦点はスタンダードとリミテッドにありますが、最高の競技レベルからお茶の間のテーブルまで、全体的な範囲のプレイを提供する最も良い方法を学ぶことに全力で取り組みます。実際、カジュアル・プレイへのより深い理解は、楽しめる物事を全体的にどのようにするかについての貴重な指標を提供してくれます。メタゲームの細かいところを全然気にしていない人たちが楽しめない場合、我々はマジックの中心的な強み――楽しくて基本的に直感的なやり取りが詰まった幅広いツールボックスを提供すること――がない製品を販売しているという危険な領域にいます。
- カードの相互作用の可能性は、あり得なさそうなものを除いたとしても......たくさんあります。我々は進化する我々の哲学、課程、プレイテストの計画を持ってこの任務の極悪さにぶつかっていきます。
- 現実世界がたくさんある経路のどこから始まるのか、どのイベントがそのフォーマットの次なる進化を引き起こすのかを予知することができないので、まだプレイされていないメタゲームというのは「解決できる」ものではありません。現実世界でプレイされるたくさんのゲームは雪崩のようにいくつかの避けられない結末に向かっていきますが、注目すべき方法で山の反対側に土砂崩れを起こしてトーナメントに勝利する人はたった1人だけです。
- 我々がしようとしていることは、広大なように感じられるけども適切な対策もたくさんある範囲の可能性を作ることです。これらの対策に含まれることが望まれる機能は、全ての判断を誤ったカードとその無限の組み合わせの激しさに対して耐えることができる見えない境界線として働くことです。我々は未知のマジックのフォーマットに我々自身の物理エンジンを適用した理想的な結果に「有限の宇宙」という名前をつけています。
マジックを原子レベルから構築できるものとしてプレイする経験を考えることは超ステキですが、そこに至るまでにはものすごい量の作業をこなさないといけません。我々はマジックのデザイナーとそれを現実のものとしてきた無数のプレイヤーたちの四半世紀近くに渡る共同作業という巨人の肩上に立っていて、そしてこの遺産の守護者となることをとても重く受け止めています。
チーム紹介
我々の決断と彼らの最終結果のより良いつながりを引き出すために、我々は情報収集と分析の努力の強化を素の数字と観察、そしてプレイヤーとの交流の両方の面で行っています。あなたは我々の多くを今後大小多くのイベントで見かけることになるでしょう。我々がカバレージをしていないときは、あなたから学ぶために来ています。声をかけてください! 我々は現実世界から隔離されてはデザインできませんし、もっと直接関わり合うことを望んでいます。
あなたのお気に入りのカードはなんですか? お気に入りのデッキは? オンラインやイベントでプレイしていないあなたの友達のお気に入りのデッキはなんですか? あなたが経験したスタンダードをプレイしようとするときに一番つらいところはなんですか? あなたが個人的にもっと見たいものはなんですか? 結局のところ、我々はみんな、我々が愛するこのゲームのために最も楽しく繁栄している世界を作るという同じ目標を持っています。
我々は高い目標を達成するために必要なリソースを分析し続けていますが、私はもうこのチームを結成したことに感激しています。説明はこれぐらいにして、ここからはプレイ・デザイン・チームの就任式です!
イアン・デューク/Ian Duke
膨大な技術的専門知識を持った優れたリードのイアンは、多くの役割を持ちその全てをこなします。
アダム・プロサック/Adam Prosak
ものすごいデッキビルダーであり指導者であるアダムの幅広い経験と他の人への教育への意欲(彼は開発部に入る前は教師でした)は、私自身も含めてこのチーム新人のメンバーに大きな恩恵を与えてくれました。
ブライアン・ホーレー/Bryan Hawley
ブライアンが取り組んでいる分析方法と問題解決のタスクのスピードと洞察を超えるものは1つだけ、ウィザーズ全体が彼の助けを求める頻度だけです。彼は間違いなく頼りになるやつです。
アンドリュー・ブラウン/Andrew Brown
2回のプロツアートップ8と早期退職をしたばかりの、アンドリューの熟達したプレイ・スキルと学習能力はどちらもものすごい高さです。それに加えて、彼のマジックの大使になることへの責任感は感動的です。
メリッサ・デトラ/Melissa DeTora
プロツアートップ8経験者のメリッサはプレイテストやカードの評価に大きく貢献してくれるもう1人の強豪プレイヤーです。彼女の思慮深さとプレイ・デザインへの情熱は、彼女をプロツアー・サンデーの舞台に導いたことや開発部での仕事への専念を物語っています。
アンドリュー・ヴィーン/Andrew Veen
アンドリューは「デュエル・マスターズ」から出向してきました。超博識、神速、そして雄弁な彼は素晴らしい人材です。
ポール・チェオン/Paul Cheon
7月中旬、皆に愛されるマジックの象徴、ポール・チェオンがこのチームに加わります! ポールは13歳で大学に行き、LSVと同室になり、その後は御存知の通りです。狂ってるように聞こえるかもしれませんが、私はポールの学習能力がまだ真の意味で試されていないことに賭けていて、そして我々は皆、彼の参加に興奮しています。
ダン・バーディック
私は当時本当に強いデッキだった「ネクロ・ドネイト」を共同デザインしましたが、雇われたのは人員管理スキルのためです。
マジックは我々の生活の中でものすごく濃い部分を占めていて、そして我々はそれを前進を支える新しいチャンスとしてプレイ・デザインに興奮しています。我々はその進む先にとても大きな任務を抱えていますが、皆そこに110%(数学的に不可能でない限り。無理な場合は我々が出せる真の最大値)を与えるつもりです。
次回はメリッサが正式にこの記事を引き継いで、その後プレイ・デザイン・チームや開発部の他のメンバーもゲストで登場します。
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