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Making Magic -マジック開発秘話-

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変身2.0

Mark Rosewater

2017年6月12日

原文はこちら

 マジックを作ることは、反復工程である。何かを作り、それをプレイテストし、それの反響を集め、その反響を用いてさらに新しいものを作ったりすでに作ったものを改造したりする。そしてこの反復の繰り返しはセットだけに適用されるものではなく、マジックそのものにも適用されるものなのだ。3年前、私は「変身」というタイトルの記事で、マジックがまさに遂げようとしていた大変化のことを説明した。今回の記事の「変身2.0」というタイトルを見て、内容について想像できた諸君もいるのではなかろうか。

 2ブロック・モデル(年に2ブロックで、各ブロックは大型セット1つと小型セット1つ)には成功した点がいくつかあり、いくつかの課題が生まれた。今回の記事では、次の反復の繰り返しを始めるために、我々が学んだことを検証し、そしてこれまでやってきたことについて議論しようと思う。

 「変身」で言ったとおり、今回の議論においてセットが発売される時期についての話をするが、その日付は毎年同じではなく月で書くと不正確になるので、北半球の季節を使うことにする。南半球の諸君は申し訳ないが季節を読み替えて読んでもらいたい。

 それではまず、2ブロック・モデルの成功について検証していこう。

成功#1:年ごとの世界が増えた

 マジックの歴史上のほとんどの期間、1年に1つの世界を舞台にしていた。秋に大波を起こし、その世界を9か月かけて描いていたのだ。ラヴニカなどのいくつかの世界では、それがうまくいっていた。テーロスなどの多くの世界では、うまくいっていなかった。ほとんどの世界には9か月分に値するだけの内容がなかったのだ。6か月を超えてプレイしたプレイヤーはその世界に飽き始める傾向にあったので、我々はそれを変更した。

 今は、1年に2つの世界を舞台としており、これについての反応は圧倒的に好意的だ。1つ目に、これによってものごとが変化する時期が早くなった。新しい世界を舞台にするにせよ懐かしい世界を再訪するにせよ、新しいエキスパンションを見ることがプレゼントを開けるようなものになった。エキサイティングで楽しいことだ。これについてはもっと頻度を上げていくことができるようになった。

 2つ目に、すべての世界がすべてのプレイヤーに受け入れられるわけではない。我々は常に振り子を揺らす方向を変え続けており、メカニズム的あるいはフレイバー的に、気に入らないプレイヤーがいることもある。年に2つの世界を舞台とすることで、そういったプレイヤーが新しいものが訪れるのを待たなければならない時間は短くなるのだ。

 3つ目に、より多くのことを試すことができるようになった。現在、平均では年に1つの新しい世界に行く。同じく平均で年に1つ、これまでの世界を再訪する。新しいことを実験することも人気のある過去のものを再録することもできる。メカニズムもフレイバーも多い。誰もが幸せになったのだ。

成功#2:大型セット単体のドラフト環境が増えた

 我々はさまざまな市場調査をしている。我々が尋ねることの1つが、ドラフト環境である。ドラフトをするプレイヤーは何を一番楽しんでいるのか。その答えは、圧倒的な差で、単一の大型セットのブースターだけで行われるドラフトだった。今はその頻度は上がっている。

 10年ほど昔、マジックでは年に1つしか大型セットは存在しなかった。その後、2008年に我々は『ローウィン』『シャドウムーア』で、秋以外に大型セットを初めて導入するという実験を行なった。その後、2年に一度は大型セットを2つにするという新しいパターンが成立し、平均して年に1.5個の大型セットが存在するようになった。2ブロック・モデルによってこの平均は2つに引き上げられた。調査によると、ドラフト・プレイヤーはこれに非常に満足しているようである。

成功#3:ストーリー展開の迅速化

 年に1つしか世界を使わないことのもう1つの大きな問題点は、ストーリーの展開が非常に遅いことだった。1ブロックで準備したものを終えるには数年かかることが多かったのだ。2ブロック・モデルに変わったことで、ストーリー展開の速さは文字通り倍になった。

 これと、現在の集約されたストーリー展開と、短いストーリーを(小説として刊行するのではなく)ウェブで公開するという新しいモデル、さらにカードへのストーリーの統合が相まって、ストーリーに関心を持つプレイヤーが爆発的に増えた。ウェブサイト上で一番興味を惹かないものの1つだった短いストーリーが、最も読まれる記事になったのだ。今や、ストーリーはかつて我々が夢見ていたような形でソーシャルメディアで愛されるようになっている。

成功#4:プレインズウォーカーデッキ

 2ブロック・モデルへの変更の中で、新規プレイヤーを招き入れるための新しい道筋が作られた。その鍵となる要素が、プレインズウォーカーデッキという新しい商品であった。プレインズウォーカーデッキは、プレインズウォーカーを軸とした構築済みデッキである。スタンダードで使用可能なカードで構築されており、表題のプレインズウォーカー・カードを含む新カードが数枚含まれていて、初心者レベルの良いプレイ経験になるように作られている。(プレインズウォーカーデッキについて詳しくは、私の記事「試供品の次は」を読んでくれたまえ。)プレインズウォーカーデッキは非常に人気が高い。プレインズウォーカーと構築済みデッキは有力な組み合わせなのだ。


《死の使い手、リリアナ》 アート:Clint Cearley

 ここからは、2ブロック・モデルによって生じた課題について見ていこう。

課題#1:2年のローテーション

 2ブロック・モデルの導入によって、スタンダードの扱い方を変えることができた。セットを2年間使うのではなく、18か月使うようにして、年に2回、6か月に1回ローテーションが起こるようにするのだ。これによって、環境の変化をより早くすることができる、と感じたのだ。

 これは上手く行かなかった。プレイヤーはカードの寿命が6か月短くなることを嫌い、デッキが使えなくなる頻度が高くなることを楽しいとは思わなかったのだ。この反響は非常に強いものだったので、我々は不人気を示すデータを受けてすぐに以前のローテーションに戻したのだった。

 これをここで取り上げるのは、解決されたものではあっても2ブロック・モデルからの教訓だからである。

課題#2:小型セット

 長年に渡り、大型セット1つと小型セット2つの3セット・ブロックだった(後年は、大型セット2つと小型セット1つのこともあった)。その当時、我々は第3セットに苦労していたのだ。プレイヤーをその世界に飽きさせないだけの多様性を持たせながら、同時に第1、第2セットと上手く組み合わせられる要素を作るにはどうすればいいか。2ブロック・モデルを導入したことで、小型の第3セットがなくなり、この問題は解決されたのだった。

 2ブロック・モデルについてもっとも意外だったことの1つが、第3セットのせいだと思っていた問題のいくつかが、実際は小型セットのせいだったということである。小型セットに独自性を与え、同時に大型セットとうまく組み合わせられるようにするということに問題があるのだ。変化が大きすぎれば、セットの関連性が感じられなくなる。変化が不充分なら、新セットはエキサイティングなものではなくなる。第3セットは、第2セットを比較的良いものに見せることでこの問題を隠していたのだ。第3セットをなくしたことで、第2セットに焦点が集まるようになった。

 我々は第2セットを助けるためにさまざまな手法を実験した。『ゲートウォッチの誓い』では、メカニズム的に大きな変化を加えた(この2つのセットはメカニズム的に通常よりも大きくかけ離れていた)。『異界月』では、雰囲気を大きく変えた。ブロックがミステリーからコズミック・ホラーに変化したのだ。『霊気紛争』ではセット間で通常よりも多くのものをそのままにして、引き算ではなく足し算にした。プレイヤーは好きなメカニズムがセット間で失われると不満を覚えるが、新しいメカニズムを充分掘り下げなければそれにも不満を覚えるのだ。例えば、『異界月』には調査がなく、しかも合体カードも不充分だった。

 さらに加えて、ドラフトの問題があった。大型セットのパックだけでドラフトする際の一貫性は、小型セットでは再現できない。小型セットには単体でドラフトするだけの大きさはないが、小型セットを大型セットと組み合わせてスムーズにドラフトできるようにするのも難しいのだ。ここでも、その2つのセットを組み合わせて上手く働くようにするためにテーマを継続させたいが、同時に小型セットに独自性を与えるために何か違うことをしたいという問題があったのだ。

 我々はこの問題を解決するためにいくつもの変更を行なった。新セットを先にドラフトするようにした。新セットのパック数を増やした。『ゲートウォッチの誓い』からは、ドラフトがうまくいくようにするための道具を増やせるよう、小型セットのサイズを少し増やしまでした。さまざまなことを改善しても、上述の通り、2セットでのドラフトを1セットでのドラフトほど好評にすることはできなかったのだ。

 最終的に、我々は第3セットへの不満のいくつかは「ブロック最終セット」への不満であると発見した。どのブロックにも疲労はやってくるものだ。9か月が長過ぎるということはわかっていた。世界によっては、6か月でも長過ぎるのだ。

課題#3:基本セットの不存在

 何かがなくなるまでその評価はできないものだ。基本セットがなくなったことによって、基本セットがいくつかの重要な役割を果たしていたということがわかってきた。1つ目に、スタンダードに必要なカードをなんでも再録できた。通常のセットにも再録カードを入れることはできると思っていたが、実際は想像したよりも難しいことだった。再録カードはそのカード名や、クリーチャーであればクリーチャー・タイプを維持せねばならない。カード名のフレイバーが世界観にそぐわないこともあれば、そのクリーチャー・タイプがその世界に存在しないこともあるのだ。

 また、場合によっては、その世界の要素がメカニズム的定義に合わないこともある。エルドラージの呪文全てが無色の世界で、《コジレックの審問》は黒だったので使えなかった。皮肉なことに、《幽霊火》はその逆で、全ての無色呪文がエルドラージの呪文である世界で無色の呪文であるという問題があったのだ。

 そして、焦点の問題がある。新セットはプレイヤーが探索して発見するようなものにしたいのだ。強力な再録カードを入れると、その発見は少なくなり、新セットを新しいものではなく古いもののようにしてしまうことになるのだ。

 2つ目に、基本セットでは、必要なカードをそのカードが存在できる世界以外で作ることができる。前年の舞台だったゴブリンの世界を元にした、ゴブリンがテーマのデッキを助けるためにゴブリンのロードが必要になったらどうするか。基本セットなら問題ない。テーマ的に緩いおかげで、スタンダードに必要なカードそのものを作る柔軟性があるのだ。

 3つ目に、私の記事「試供品の次は」で言ったとおり、我々は新規プレイヤーがマジックにスムーズに参入できるようにするため、商品の並びを作ることを目標としている。マジックに慣れ親しんでいないプレイヤー向けのブースター商品がないことで、その並びに大きな隙間ができてしまっていることがわかったのだ。

 4つ目に、基本セットはエキスパンションの疲労対策になる。以前のシステムでは、エキスパンションが3つと基本セットが1つだけ存在していた。多くのプレイヤーは基本セットでプレイして楽しんでいたが、それは望むなら体験できるというものだった。プレイヤーが3つのエキスパンションで満足しているなら、基本セットは気にする必要がなかったのだ。

課題#4:ゲートウォッチに注目しすぎ

 2ブロック・モデルへの変更の中で、ストーリー展開に大きく焦点が集まるようになり、同じ登場人物による長い物語が語られるようになった。これに関してかなりの成功を収めてはいるが、ある不満が存在することに気がついた。特にメカニズムに関して、その比率を上げすぎたのだ。

 プレイヤーは、ゲートウォッチをプレインズウォーカー・カードで見るのが好きだったが、これほど多ければ話は別になる。2ブロック・モデルに移行したばかりのとき、我々は主な5人のゲートウォッチのメンバーが常にスタンダードにいるようにしようとしていた。これは大きな間違いだったし、2年のスタンダードに戻したことで状況は悪化した。

 また、我々は意図的にストーリー関連のカードをトーナメント・レベルにするようにした。この結果、フレイバーに富んではいても楽しいトーナメント環境を作るとは限らないものが発生した。(『異界月』の《約束された終末、エムラクール》はその好例である。)

 最後に、ゲートウォッチを確立させるため、我々はその全員を全てのストーリーに絡ませるという決定をした。このため、多くのプレイヤーがゲートウォッチが出すぎだと感じるようになってしまったのだ。

課題#5:Masterpiece Series

 マジックのデザインにおいて、私が「利益漸減のサイクル」と呼んでいるものが存在する。それはこういうものだ。カードをデザインする。素晴らしい出来だ。本当に素晴らしく、同じデザインで複数枚のカードを作ることができると確信するほどだ。サイクルにするのもよさそうだ。そこで2枚目のカードを作った。とてもいい出来だ。1枚目ほどではないがとてもいい。さらに3枚目。2枚目ほどではないが、それらと比べなければ充分なデザインだ。そして4枚目。問題はない。成立している。5枚目。印刷に耐えるかどうか微妙なところだ。これを印刷していいと言える最大の根拠は、サイクルの一部だからだ。これらのカードのうち1枚は素晴らしいもので、他の4枚は良いものもあれば無難なものもある、ということになる。

 これと同じことが、Masterpiece Seriesでも起こっていると思う。『Zendikar Expeditions』は素晴らしいものだった。2色土地はマジックの根幹で、土地という概念はゼンディカーの世界に欠かせないものだった。素晴らしいシナジーだったのだ。『Zendikar Expeditions』の評判がよかったので、それに触発されて我々はさらに作ることにした。『Kaladesh Inventions』もとてもクールだったが、『Amonkhet Invocations』には「土地」や「アーティファクト」といった明瞭で単純なテーマがなかった。我々は「インスタントとソーサリー」を使おうと考えて始めたが、すぐにこのテーマはアモンケットの世界と十分関連しているとはいえないことに気がついた。我々は神々を軸にしたフレイバー基軸のテーマに切り替えたが、そこには説明が必要で、ユーザーの反応も好意的ではなかったのだ。

 これからの変化はここまで述べてきた問題に対処するためのものなので、先に成功と課題について語ってきた。


《造反者の解放》 アート: Bastien L. Deharme

問題解決2.0

 プレイヤーは変化が増えてほしい。プレイヤーはもっと大型セットが欲しい。プレイヤーは小型セットを大型セットほどは楽しんでいない。このことから、直截で大胆な答えがある。それなら、小型セットをやめればいいのだ。

 年に大型セット4つというのは、新カードの枚数的にも作る手間を考えても多すぎる。それなら、3つならどうか。それなら、夏に穴が空くことを除いては問題はない。では、その穴をどうするか。惜しまれながらなくなった商品はどうだろう。その枠を、基本セットで埋めるのだ。

 基本セットには解決しなければならない問題がいくつかあったので、基本セットそのままではない。しかし、基本セットに似た新商品ならどうだろうか。そうすればカードの枚数も適正になり、うまく構築すれば他の問題もいくつか解決できることになる。

 次の問題は、クリエイティブ・チームから見て3つの大型セットというのはどういうことか、である。それぞれが別の世界になるのだろうか。年に2つの世界をデザインすることができるチームはいるが、3つは可能だろうか。そして、そもそも3つの異なる世界にすべきなのかどうか。2つ以上のセットで舞台としたいような世界は存在しないのか。

 我々はこれら全てについて検討し、新しいモデルに行き着いた。私が「3+1モデル」と呼んでいるものである。

3+1モデル

 この新モデルについて説明する前に、この新システムは2018年春の『Soup』から始まる、ということを強調しておきたい。『アモンケット』『イクサラン』の両ブロックは、大型セットと小型セットからなる現在のモデルに従う。この内容を今日書いている理由は、今週にこの新しいシステムに属するセットの情報が公開されるからである。(『Soup』にはまもなく正式名称が与えられるのだ。)

変化#1:秋、冬、春のセットはすべて単独でドラフトする大型セットである

 小型セットは(エキスパンションとしては)存在しなくなる(『コンスピラシー』のようなサプリメント・セットは今後も比較的小さい)。スタンダードで使えるエキスパンションは全てが大型となり、それぞれが単独でドラフトされるようになる。デザイン上の観点からは、お互いに少し重なる可能性はあるが、それぞれがメカニズム的な独自性を持つ。

 この理由は、クリエイティブ的観点から、ストーリー上必要がある限り何セットも同一の世界を舞台とし続けられるようにするためである。世界によって、セット1つのときもあれば2つや3つのときもある。複数のセットが同じ世界を舞台にする場合には、その世界の根幹であるものをセット間を通じて描写することができる。場合によっては、同一の世界を舞台とするセット間でメカニズム的な持ち越しがあることもありうる。例えば、この新モデルのもとで、2セットの間カラデシュを舞台にするとしたら、両セットでエネルギーを使うことにするかもしれない(おそらく異なるデザイン空間を使うことになるだろう)。しかし、それ以外のメカニズムはそれぞれのセットで異なるものになるだろう。同じ世界を舞台にしていても、メカニズムに重なりがあるとは限らない。

 これは同時にブロックという考え方を廃するということである。複数のセットが同じ世界を舞台にすることもあるが、一定数のエキスパンションを組み合わせてプレイするという規定の構造はもう存在しない。

変化#2:夏セットは改訂版基本セットである

 基本セットはある意味復活する。基本セットをなくしたときに言ったとおり、基本セットにはずっと個性の問題があった。新規プレイヤー向けか、それとも熟練プレイヤー向けか。我々はこれを新規プレイヤーの側に振り切ることにした。だからといって熟練プレイヤーのためのものが入っていないということではない(構築用の新カードや再録カードが入っている)。ただ、この商品について何か選ぶべきものがあったら、最高の入門用ブースター商品を作るためにふさわしい方を選ぶということである。

 これにはいくつもの副産物がある。まず、我々は全てのカードを「新規プレイヤーにとって問題になるようなものかどうか」という観点から見ることになる。これまで、我々はさまざまなタイプのプレイヤーにとっての価値を加えるために、新規プレイヤーを混乱させるようなものを入れていた。我々は入門レベルの商品であるという展望を犠牲にすることなく、他の需要に応えられるように尽力している。つまり、例えば普通よりも早く熟達することができるドラフト環境が生まれることになる(熟練プレイヤーにとって楽しいものであるべきだが、通常より少ない回数楽しめるものでいいということである)。基本セットはサンプルデッキやプレインズウォーカーデッキ、デッキビルダーセットと結び付きが強いものになり、それらの商品の間での導入が簡単なようになる。

 このセットはおよそ半分が新カードで、半分が再録カードとなり、全てがスタンダードで使用できる。新カードは共鳴(新規プレイヤーがポップカルチャーのファンタジーで馴染んでいて認識しているもの)寄りになる。このセットにもストーリーは存在するが、「現在のストーリー」よりも「重要人物の過去についての情報を埋める」ことに重点を置いたものになる。

 新たな基本セットに関する最大の変更は、我々の基本セットについての理念にあるかもしれない。これまでは、我々は基本セットを他のエキスパンションと同列に置くことにこだわっていた。しかし、今回の復活をもって別物として扱うようになる。目的が異なり、優先するものが異なり、デザインする手法も異なるのだ。そのため、我々はこれを3つのエキスパンションと同じようには扱わない。

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変化#3:ゲートウォッチの新しい扱い

 『破滅の刻』から、3つの修正を加えている。

  1. ゲートウォッチのプレインズウォーカー・カードとしての登場頻度を大きく引き下げる。ストーリー上必要であれば登場するが、その頻度は大きく下がる。例えば、2017年と2018年全体を通して、プレインズウォーカー・カードの中でゲートウォッチはごく一部である。プレインズウォーカーデッキのものも含まれ、こちらの方がいくらか多い。
  2. 今後もフレイバーに富んだストーリー・カードをデザインし続けるが、それを構築レベルに強化するのはプレイテストを通してそれがより良い構築環境を作ることになると確信したときだけにする。
  3. ゲートウォッチは今後も主人公であり続けるが、全員が全ブロックで登場するわけではない。ゲートウォッチの誰も登場しないブロックもありうるが、その場合もそれらのブロックは大きなストーリーの一部である。
変化#4:『Masterpiece Series』の含まれるセットが少なくなる

 『Masterpiece Series』を作れば作るほど、毎セット作っていくと最終的に全体の質が水準よりも低くなるということがわかってきた。そこで我々はこれに大きな変更を加えることにした。素晴らしいことができるときにだけ作ることにしたのだ。つまり、頻繁に作るものではないが、作ったときには記憶に残るようなものになるということである。『破滅の刻』には『Amonkhet Invocations』が存在するが、例えば『イクサラン』ブロックには『Masterpiece Series』は存在しないだろう。

変化#5:舞台裏のことも変更する

 今回の記事はこれについてが主眼ではないが、これも2ブロック・モデルの適応の中で、マジックの作り方に反復工程が必要だと認識したものだったので取り上げたい。舞台裏では様々な変更がなされてきているが、これらについて書くのはその新工程の影響下で商品が出来上がったときにしよう(『イクサラン』の小型エキスパンションの『Eggs』がその最初の商品であり、それに関する記事は年内に書くことになるだろう)。

 それでも、今日は開発部でのある変更について簡単に話したいと思う。スタンダードがまずい年になっているので、我々はこれを繰り返さないようにするためにどう変更すればいいか考えていた。そのために、我々は開発部内にプレイ・デザインという新しいグループを立ち上げ、この新チームを管理するためにダン・バーディック/Dan Burdickという人物を雇った。開発部内の何人かをプレイ・デザイン・チームに割り振った。この際に、契約社員2人をフルタイム従業員に切り替えた(ようこそ、メリッサ・デトラ/Melissa DeTora、アンドリュー・ブラウン/Andrew Brown)。また、外部からもこのチームに加えるメンバーを探した。

 プレイ・デザインの考え方は、プレイ環境(主にスタンダード、ドラフト、シールドデッキ)に集中する人々の中心グループを作るというものである。ただのプレイテストではなく、一番最初から一番最後まで、全ての工程でトーナメントを意識して判断できるようにするためのチームなのだ。このチームは環境の作り方や開発部の工程において環境を監視するあり方を、最近スタンダードで起こったようなことを最小限にするために完全に改めるものである。このチームを紹介する記事を、ダンが今週後半に公開することになっている。


《進化する未開地》 アート:Andreas Rocha

変わりゆく光景2.0

 マジックは本質的に変化のゲームである。カードの組み合わせは常に変わり続け、環境に栄枯盛衰を生み出す。しかし、この変化というのは単にカードだけにとどまるものではなく、マジックそのものも変化していくのだ。今のマジックは、20年前のマジックと同じではないし、10年前のマジックとも同じではないし、5年前のマジックとも同じではないし、今日の記事で語ったとおり、去年のマジックとも同じではない。

 マジックを作り続けておよそ22年が経っているが、向上させ続ける方法を常に探し続けることはエキサイティングなものだ。今日の記事で告知した新たな変化が、私や開発部のメンバーを興奮させたのと同じように諸君を興奮させてくれれば幸いである。この後諸君の目の前には多くのクールなものが現れる(その中には、今日これから耳にするものも含まれる)。この変更についてどう感じたにせよ、その感想を聞かせてほしい。この変更が気に入った、気に入らない、どちらとも言えない。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。反復の繰り返しにおいて重要なのは反響を受け取ることである。マジックを良くしていくため、ぜひ協力してくれたまえ。

 それではまた次回、『破滅の刻』のプレビューが始まる日にお会いしよう。

 その日まで、マジックが進化するとともにあなたとの繋がりも進化しますように。

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