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中村修平の「ドラフトの定石!」
中村修平の「ドラフトの定石!」 第4回
中村修平の「ドラフトの定石!」 第4回
第2回から話しているものの中に3つの視点というものがありました。「自分からの視点」、「8人からの視点」、「デッキからの視点」の3つです。
まず初手では自分からの視点でカードを決めるべきで、続く1パック目の2手目以降からは8人からの視点に重点を置く。終盤に近づくにつれてデッキからの視点へと比重が変わり、ある一点を超えると、ほぼデッキからの視点でしかカード判断をせざるをえなくせざるを得なくなる。これが第3回までの内容です。
第4回では再び自分からの視点へと優先度が戻ります。なにせカードプールは既にでき上がってしまっているのです。そしてドラフトデッキを作るために必要な心構えは、「弱いカードを排除して、強いカード、強い組み合わせで固めてしまえ」のみです。
そう、ドラフトしたカードプールから、ただベストの構築をすれば良いのです。
- 第1回
- ドラフト前
- イントロダクション
- 定石
- デッキの組み方 前篇
- 第2回
- ドラフト中 前半
- 取るカードの優先順位
- なぜ2色なのか
- 3つの視点
- ドラフト前半
- 第3回
- ドラフト中 後半
- 取ったカードを見て考えること
- 2マナ域がないドラフトは失敗ドラフトだ
- 2パック目
- 3パック目
- ヘイトドラフト
- 第4回
- ドラフト後
- デッキの組み方 後篇
- メインデッキ
- サイドボード
- サイドボード/メインデッキ
- 先手/後手
- 第1回
- ドラフト前
- イントロダクション
- 定石
- デッキの組み方 前篇
- 第2回
- ドラフト中 前半
- 取るカードの優先順位
- なぜ2色なのか
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- 第3回
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- 取ったカードを見て考えること
- 2マナ域がないドラフトは失敗ドラフトだ
- 2パック目
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- 第4回
- ドラフト後
- デッキの組み方 後篇
- メインデッキ
- サイドボード
- サイドボード/メインデッキ
- 先手/後手
デッキの組み方 後篇
と、前文からずいぶん簡単そうに言ってしまいましたが、ここで取り上げるのはそれが簡単にできなかった時の話。第1回の予告にあったとおり、「デッキの組み方 後篇」の時間です。
もし、あなたが23枚のメインデッキに入る完璧なカードと、若干数のサイドボードカード、ついでに適切な数のカットまでできているというなら。あるいは、そこまではなくとも、デッキ構築時間を全く必要とせずに、土地を入れればそのまま第1回戦に向かえてしまうようであればこの章は必要ありません。
ここで取り扱うのは理想通りにはいかない現実です。例えば23枚のカードに届いていなかったり、あるいは逆に23枚に収まりきらなかったり、もっと悲惨な状況でそもそも3色以上にしなくては23枚を確保できず、しかも3色候補が複数あるといったことすらあるでしょう。また、サイドボードについてもこれまでに触れていなかった分野ですね。
いずれにせよ、ドラフトが終わったからといって「その後はプレイスキルと運のみ」というにはまだ少し早く、状況によってはデッキ構築が勝負を分けることもあるのです。
メインデッキ
そもそもデッキに入るカードとはどういうカードのことでしょう? これまでの回からの条件を照らしあわせていくと、あなたが取ったカードプールの中から、
- 色が合っている
- カードとして強い
- デッキのコンセプトに合っている
という条件を満たしているカード、といったところでしょうか。
とはいえ前述した通り、それらを全て備えているカードが24枚以上あるというのは、かなりのレアケースと言えるでしょう。第3回で述べた通り、そういう時こそヘイトドラフトしましょう。
実際にドラフトをしてみると、ほとんどの場合は、メインデッキ候補の全てのカードに満点を付けることはできないでしょう。どんなに理想的なデッキであれ、最後の2~3枚は他のカードよりやや劣るカードの中から選ぶことになるでしょうし、平均的なドラフトデッキだと、最後の2~3枚については「どれだろうと強い」というよりは、「この候補の中からよりマシであるどれかにしなくてはならない」といった選び方をすることが多くなっていきます。
これをかなり大雑把にランク付けすると、
1~10枚目 | 比較してただただ強い。どんなことがあってもデッキに入れる。 |
11~15枚目 | 強いとは言えないかもしれないが、マナ域など諸々の事情でまずデッキには入る。 |
16~20枚目 | 自分が取ったカードの中でも弱いカード、それほど積極的に入れたいわけでもない。 |
21、22、23枚目 | リストラ目前。 |
24枚目 | リストラされて使われなかったカード。 |
となるのが普通のドラフトデッキ構築の風景。上のランクのカードが増えていくのはとても幸せなことなのです。そしてデッキに入るカードで悩むというのは、このランク付けでいう16枚目以降のカード、その処遇をどうするかです。
色については合っていることが前提としてのこの順位なのですし、そもそも強力なカードならば、コンセプトなどに関係なくだいたい1~10枚以内に食い込みます。必然的に16枚目以降に来るのは、「ドラフト」という弱いカードを使わないといけないフォーマットの中でも、さらに弱いと認定されているカード。その中で、「上位のカードと比較すれば弱いがデッキに入るレベル」というカードと、そこにすら入れたくない、入らないレベルのカードが混在する領域となります。この弱いカードからどれをデッキに採用するのか、それが頭痛の種となります。
採用を検討するにあたり重要になってくるのが、「デッキのコンセプトに合っているかどうか」という点ですね。
そのカードはあなたが組もうとしているデッキにおいて、どのような役割を持っているのか、ということです。「ただのビートダウンデッキに理由もなく入る壁」、「除去コントロールに入っている《巨大化》系呪文」。こういったミスマッチはカードに額面通りの働きをさせません。逆に一見して大きく見劣りするカードでも、デッキのコンセプトに合っていれば額面以上の働きをします。
もう1つの選択基準は、クリーチャーカードの枚数です。現代のドラフトでは、「基本的に呪文よりクリーチャーの方が強い」というのは第1回で説明した通り。弱い呪文を入れるよりは弱いクリーチャーを入れた場合の方が、ずっと効率的であることが多いのです。
私が良くやる調整法として、実際に基本土地も含めてデッキを作ってしまい、1人回しをして感触を確かめるというのがあります。迷っているカードを引いたとき、どれが一番有用か、有用になりえるのか考えるのです。感覚的にはなってしまいますが、なにしろこれから実際にゲームをするわけですから、「机上ではこのはずである」という納得より、「自分で使ってみて実際にどう感じたか」で判断を下した方が納得できるでしょう。
また、同時に気をつけなければいけないのは、「成功体験に引きずられないようにする」ということですね。
「前のゲームの時にこのカードのお陰で勝ったから、このカードは入れたい!」というのでは精々及第点止まり。なぜこのカードが他の候補を押しのけてデッキの中に入っているか?というのは、「過去に○○のお陰で勝ったから」という曖昧なものではなく、「○○と××では、これこれという状況においては○○の方が明確に優位だから。」といったくらいには理由付けをして選びたいものです。
いずれにせよ、上のランクで21枚目から下のカードというのは、基本的にはデッキで引きたくない部分。「まだこちらの方が役に立つ」というくらいの感覚で選ばざるを得ないことが多いでしょう。その中から、何を選ぶのが適切なのか、それを考えるのがデッキ構築なのです。
サイドボード
「サイドボード」とは?
ドラフトにおけるルールから言ってしまえば、メインデッキに入らないカードの全てです。ドラフトで選択した42枚から、デッキに使う分を差し引いたカードと基本土地となります。
しかしここではもう少し範囲を狭めて、「2本目以降でメインデッキと取り換えの可能性があるカード」について取り扱っていきます。これでも充分に広い範囲のカードを取り扱うことになるのです。
例えば、「特定の色に対してだけ効く、色対策カード」や、「特定のコンボを封じ込めるカード」。これらは、通常は典型的なサイドボード用のカードとして語られます。何故なら、特定の色や特定のコンボデッキを使う相手にしか効果が見込めないからです。先ほどの1~10枚目、という区分で言うと、特定の相手にだけは1~10枚目と変わらない動きをするが、ほとんどの対戦相手に対して24枚目以下の働きしかしないので、メインデッキに入れるには値しないということになるのです。
エンチャントやアーティファクト破壊呪文については少し事情が変わります。というのも、エンチャントやアーティファクトというのは、特定の色や特定のコンボよりもかなりの頻度で使われるものだからです。とは言っても基本的にはサイドボード寄りのカードであることは間違いありません。「アーティファクト・クリーチャー」や「オーラ」といったものは、ほとんどの場合は戦闘やクリーチャー除去で対応が可能だからです。そしてもちろん、対戦相手のデッキによっては破壊する対象がなかったり、極端に少なくて無駄カードになったりするリスクを孕むことになります。あったらあったで強いこともが多いが、無いなら無いでなんとなることも多いので、結論として「サイドボードでよい」とされることが多いのがこの「エンチャントやアーティファクト破壊呪文」です。
この2種類に関しては構築のサイドボードにもよく顔を出してくる類型であり、ドラフトをあまりやったことがなくても想像できると思います。ですがドラフトにおいては、下記のタイプのカードもまたサイドボード要員として機能します。
対戦相手のデッキの構成によって追加するカード
「ビートダウンデッキに対する追加の壁」や、逆に「コントロールに対する追加のより重いカード」、「怪獣デッキが召喚してくるマナクリーチャーを除去するための1点火力」などなどが該当します。これらのカードについては、「本来なら24枚目以降とされるカードが、対戦相手のデッキによっては優先順位が変動し、上位にランク付けされる」とも言えます。
カットなどで手に入れている、自分の色とは合わない強力なカード
これもサイドボードになりうるものです。
デッキを大幅に歪めることになろうとも、そのサイドインするカードさえ唱えることができればゲームに勝てるのであれば、充分に検討の余地はあるのです。特にシングルマナシンボルのものは「タッチカラー」、薄く色を付け加える戦略と相性が良く、場合によってはメインデッキからそれを行ったほうが良い場合すらあります。
基本土地
見落とされがちですが、支給される基本土地カードも重要なサイドボードです。
「サイドボード後の色バランスの変化による土地の移動」から、「デッキ再編成による高マナ、低マナ化に対応するための土地枚数そのものの増減」、「3色目以降の付け足しによる土地バランスの見直し」などなど、サイドボードを行う際にはこの工程も不可欠です。
サイドボードは対戦相手の目の前で行うため、メインデッキ構築のようにマナ構成を自分に解りやすく並べることができないので難度は高いですが、意識できるようになればその分大きく上達が見込める部分でもあります。何せマジックにおける対戦は通常2本先取、ゲーム数でいうとサイドボード後の方が少なくなることは無いのですから。
それと、極々稀に「ライブラリーアウトを狙ってくるデッキに対してただ基本土地を追加する」というサイドボードもありますね。
サイドボードについて見落とされがちな注意点がもう1つあります。それは、「サイドボードがカードを入れ替えるということを前提とする」、つまりメインデッキから抜くことになる1枚と一緒に考えなければならないということです。
ただ単にデッキで一番弱いであろう23枚目のカードを入れ替えるというのももちろん間違いではありませんが、状況によってはマナ域を重視しての入れ替えや、用途別での入れ替えを優先させた方が良い場合は当然あります。
極端に言ってしまうと、デッキの23枚目カードが《帰化》だからと言って、「《帰化》を抜いて《帰化》を入れる」というのが明らかにおかしいのは誰だってわかります。
これはいささかやりすぎな例ですが、そのサイドボーディングは果たして同じ用途のカードを入れ替えていないでしょうか?
サイドボード/メインデッキ
ここまではメインデッキとサイドボードの一般的な関係について説明しました。言わば定石的な、本来あるべきとされている両者のあり方です。そしてここからはその定石の全く逆を行く考え方です。
状況によっては本来サイドボードにあるべきカードがメインデッキに置かれるという事態もありうるのです。ここから、その例について説明していきましょう。
環境補正
これに関しては、本当はドラフト前に取り上げるべきであったかもしれません。
ドラフトをするにあたってカードの強さの基準を大きく変動させる要因として、環境そのものが挙げられます。
マジックでは常に新しいセットが発売されていきます。当然そのセットにはそれぞれ特色があり、それぞれに全く別のドラフト環境があります。○○というセットと××というセットで同じ効果の呪文があったとしても、そのカードの価値は常に同じとは限らないのです。
とあるセットで弱いカードの中で比較して優れていたカードが、違うセットでは比較して劣っているというのは可能性として存分にあり得るでしょう。それに加えて、各環境には必ずその環境を特徴付けるフレイバーやキーワード能力が用意されています。
このキーワード能力によっても特定のカードの価値が増大することや減少したりします。そしてそれらのカードが「強い」ではなく「使える」レベルのカードであったなら?なんとなくデッキに入れてしまう前に考慮する時間が必要でしょう。
例えば、環境の呪文がアーティファクトだらけだったため、《粉砕》がメインデッキに入るのは当たり前どころか、初手に取ることさえもあった環境がありました。
タッチ3色
どうしても16枚目以降のカードが弱すぎて気に食わない、そして色マナというリスクを承知するのなら、もう少しデッキを強くする方法もあります。それが3色目を数枚だけ入れる=タッチ3色です。
ここでいう3色目というのは、あなたがドラフトでカットしたものや、取ったは良いが最終的に使えなくなったカードなどだけでなく、中にはそれほど明確ではなく、ドラフトの中盤以降で自分の色で取るものがなくて保険として取ったというものなども含まれます。
色をタッチすると言った時は、ほとんどの場合3色目のカードであり、色マナの要求がシングルマナシンボルのものを足すことを指します。16枚目以降のカードに期待が持てないのであればそれもまた1つの選択肢として考えるべきであり、ドラフトの状況によってはそれを予めオプションとして用意できるかどうかでドラフトの柔軟性において大きく差をつけることができるのです。もし2色での構築が難しいようであるとドラフト中に感じたのなら、その時点でタッチについて考えるという癖を付けるのは決して悪いことではありません。
そしてこれが、第3回での「宿題」の答えでもあります。
2パック目の中盤あたり、例えばあなたがメイン色を8枚、2色目候補をそれぞれ3枚ずつ取っていたという状況があったとします。その場合に、2色目候補のそこそこ程度なカードを取ってどちらかに固めず、色サポートを取って2色目候補の両方ともを使うことに舵を切ることで潜在的な現時点でのデッキに入るカード数を増やすことができるのです。
と、わりと肯定的にも思えることを書いていますが、それでもタッチ3色というのは、窮余の策であるというのが私の考えです。
理由は土地バランスの悪さです。
多色土地が自由に使える構築フォーマットと違い、ドラフト戦ではほぼ基本土地のみでデッキを組まなければなりません。例えば《平地》7枚・《島》7枚・《沼》3枚という基本土地バランスで{W}{W}、{U}{U}、{B}を賄わないといけないのです。もちろんそうはならないようにドラフト中に色サポートをするもの、例えば多色土地であるとかマナ生成アーティファクトやクリーチャーを取ったり、デッキ構築の段階で1色目や2色目のマナシンボル要求を少なくなるようにしたりすることで負担は低減できます。ですがそれに必要なカードをドラフトするのにも、やはり手数を使っているという事実に変わりはありません。
安定的なタッチ3色デッキを構築するにはどのくらいの色サポートが必要なのか、どのあたりのレベルのカードより優先させて色サポートを取るべきなのか。
ドラフト中に3色へとスイッチするのは、言うなれば劇薬です。状況によっては絶大な効果が望めますが、副作用も計り知れないもの。本来ならば勝負に行くために使えるドラフト中の手数を、3色目が使いたいからという理由で消費しているという事実もまた変わらないのです。
対戦相手
前述した色の追加がデッキ視点からのデッキ補強方法だったのに対して、こちらは8人視点からのデッキ補強方法です。
再三になりますが、なぜこのように面倒なあれこれをドラフトについて考えるかというと、少しでも対戦相手のデッキを上回るためです。デッキを少しでも強くしようとするのは、その方が対戦相手に勝てるからなのです。
どんなに構築レベルの強力なデッキを作ったところで、対戦相手にそれ以上の構築デッキを作られてしまうと努力は水泡に帰してしまう。そしてそうならないようにと、余力があるなら対戦相手のデッキを弱くする努力なんてものまで意地悪く考えているのだから、デッキ構築の際にも考えないわけがありません。
例えば対戦相手の色やデッキタイプがあらかじめ解っているなら、それに合わせてデッキ構築をメインデッキから変更することができないものか?
通常のドラフトであれば超能力かイカサマの領域と言わざるをえませんね。ですがこう言い換えた場合だとどう感じられるでしょう?
ドラフト中に、唱えられると致命的なエンチャント、アーティファクトを複数枚見た。
だから、《帰化》系のカードをデッキに入れよう。
通常のドラフトでエンチャント、アーティファクト破壊がメインデッキに入るかどうかという議論は置いておくとして、これはドラフト中の情報をもとに対戦相手のデッキを想定しその対策カードの優先順位を変動させている典型例です。
これを少し発展させて、対戦するであろう相手の半数以上が特定の色、例えば黒を使ってくる可能性が高い場合なら?
「色の限界点」の時に、卓内で4人が同色というのが普通にあり得るということは説明しました。この環境では黒が非常に優勢、かつあなたが黒以外をやっていて、しかもドラフト中に黒いカードが枯渇しているのなら、それらの情報から黒に対する対策カードをメインデッキに昇格させるのは決して超能力ではありませんし、結果的に失敗したとしても合理的な選択と言えます。もちろん色を外した時に備えて、手札から捨てて活用するディスカード手段などの保険を予め用意しておくことをお勧めはしますが。
この部分をもう少し掘り下げていくと、以下のような場合にはドラフトの流れから対戦相手という要因でデッキ内容を変更することがあります。
■デッキ的には満足なのだが、現状のままでは厳しい相手に対して対抗するため
卓内に存在するであろう強力な1人のデッキには太刀打ちできないと考えて、敢えてデッキを変形させる。
■デッキ的には満足なのだが、特定のカードに対しての対抗手段が欲しいため
先ほどの《帰化》の例です。卓内で存在する強力なカードに対して敢えてデッキを変形させる。
この2つの類型は自分のデッキに対してある程度の自信、「1枚の無駄カードを入れても他のデッキに対して勝てる」と考えるのであれば非常に有効です。
先ほど「保険」と言った要素である「ディスカード手段」、リソースとして手札を捨てることで何かしらのボーナスを得る能力があるカードは入れるべしという定石。これは本来無駄になった後半の土地の使い先を確保するべきというのが本義ですが、これにもマッチします。
一方で、こういった事情からのデッキ変形もありえます。
■デッキ的には不満足なので、特定のデッキに対して太刀打ちできるようにデッキを変形させる。
本来は「全方位的にどんな相手に対しても正しく勝てる」というのが理想ではありますが、もしあなたのデッキがひたすらに弱いものだとしたら? 諦めて自然のままに3連敗というのも、次回への戒めとしては良いかもしれませんが、足掻く方法として特定の対戦相手にだけ強いデッキ、「遅すぎて通常の廻りだと間に合わないような怪獣デッキ」や、「サイズが小さすぎて本当に都合よく回らないと勝てないようなビートダウン」という極端な構成にするというのも選択肢です。
同じ対戦相手という視点からのデッキ変形ですが、前者が消極的なデッキ変形、後者が積極的なデッキ変形といえます。そして、両者は明確に別物であるという意識は常に持つ必要があります。前者は正攻法のデッキから特定の何かに対して対策を施すことで薄く広く勝とうするものに対して、後者は特定の誰かのみに、つまり狭く細く勝とうとするものです。
これらの方法はあくまで脇道的なもの、習得してもその労力の割に得るものは少ないです。本当にデッキの強さに自信があるならば、むしろこのような方法でのデッキの強化は考えない方がよいでしょう。強いカードをそのまま強いように使う正攻法が、長期的な視点で見れば最も強力な戦略なのですから。やや余裕がある時や、逆に全く余裕がない時の一策、自分の中の引き出しの1つとして覚えておくくらいがちょうどよいでしょうね。
先手デッキ/後手デッキ
あなたが構築するデッキは先手後手どちらの方が良いのか? 例えば先手の方が明らかに良いビートダウンデッキ、後手の方が望ましいコントロールデッキなどなど。
あらかじめ先手、後手のどちらの方がデッキに合っているかを考え、それに沿った構築をするというのはデッキ構築の上で当たり前とも言えることですが、サイドボード後となる2ゲーム目以降はより顕著になります。なぜならあなたがゲームに敗北していた場合は先手後手を選べるのはあなたですし、そうでないとしても一般的にはプレイヤーが後手を選択してくる場合は限られているからです。結果、どちらに転んでもかなりの精度で、ゲーム前からあなたがどちらの手番になるかは判明しているのです。この情報をデッキに活かさない手はありません。
ビートダウン同士の対決で先手を取れるのであれば、多少大振りでもゲームに決定力があるカードを投入してもそれを唱える時間的余裕が作りやすい。逆に後手を引かされるのであれば、短期戦にそれほど影響を与えない重いカードを抜いて、本来は入れたくない壁を入れる、という選択肢も充分にあるでしょう。
ドラフトは構築デッキ同士の対決と違って、お互いに弱いカードのぶつけ合いなのです。同じデッキとの対戦でも先手ならば、あるいは後手ならばで構成を変えた結果が期待できますし、23枚目前後のカードが余っているなら、それを活かしてそういうサイドボーディングを心がけてやるべきです。
またあなたに選択権がある状態で、かつ対戦相手がそういうサイドボーディング、1ゲーム毎に頻繁にカードを抜き差しするようであれば、敢えてプレイヤーが考えている逆、つまり先手が必要なデッキ同士との対決で敢えて後手を選択するというのも一つの選択であることを認識しておきましょう。
もちろん、所詮はデッキをそういう仕様に変更した上でのいたちごっこですが、対戦相手の項でも触れたように「その選択を持っている」ことを認識しておくのが重要なのです。
まとめ
- ドラフトをするにあたって
- どういうデッキを組むかイメージ作りが必要。
- デッキは土地17枚、クリーチャー16枚、その他呪文が7枚が基本
- それにマナカーブを意識してデッキを組む
- →早い、ビートダウン型
- →遅い、コントロール型
- →別軸、コンボ型
- ドラフト中に考えること
- カードの選択基準は代替性をメインに考える
- 爆弾>除去>クリーチャー>その他
- ドラフトのデッキ構築は2色が基本
- ドラフト中は3つの視点で考える必要がある
- 自分視点
- 8人視点
- デッキ視点
- 初手だけを考えるならただ一番強いカードか一番使いたいカードを取ればこと足りる
- ドラフトには手を狭めると広げるという2通りの考え方がある
- 9手目は追加の卓内情報を得られるチャンス
- ドラフトデッキとは23枚近辺の呪文で構成された、2色が基本の、マナカーブを意識においたカードの集合物である
- 1〜2パック目までは8人視点、2パック目以降は徐々にデッキ視点での考え方にドラフトは支配されていく
- デッキという目的のためには、協調ドラフトはした方が良いのではなく、せざるを得ない
- その中でどのタイミングでわがままに振る舞うか、または被害を少なくわがままに振る舞えるかがドラフトというゲームである
- ドラフト後に考えること
- デッキ構築は自分視点へと立ち戻る、強いカードだけでデッキを構成できるのであればそれが理想である
- だがほとんどのデッキにはどうしても弱いカードが入ってしまう、どういう基準でカードを選別するかその指針は持っておく必要がある
- サイドボードと言ってもその種類によって役割が違ってくる。そして入れ替えの際にはどのカードと入れ替えるか、また土地のバランスは不適切になっていないかというのをチェックした方がよい
- 状況によっては弱いカードをメインデッキに入れるのが良しとされることがある。ただし、多用するものではない
- 自分が先手か後手のどちらになるかというのは重要な情報、それだけでデッキの構成を変える価値がある
- ドラフトをするにあたって
- どういうデッキを組むかイメージ作りが必要。
- デッキは土地17枚、クリーチャー16枚、その他呪文が7枚が基本
- それにマナカーブを意識してデッキを組む
- →早い、ビートダウン型
- →遅い、コントロール型
- →別軸、コンボ型
- ドラフト中に考えること
- カードの選択基準は代替性をメインに考える
- 爆弾>除去>クリーチャー>その他
- ドラフトのデッキ構築は2色が基本
- ドラフト中は3つの視点で考える必要がある
- 自分視点
- 8人視点
- デッキ視点
- 初手だけを考えるならただ一番強いカードか一番使いたいカードを取ればこと足りる
- ドラフトには手を狭めると広げるという2通りの考え方がある
- 9手目は追加の卓内情報を得られるチャンス
- ドラフトデッキとは23枚近辺の呪文で構成された、2色が基本の、マナカーブを意識においたカードの集合物である
- 1〜2パック目までは8人視点、2パック目以降は徐々にデッキ視点での考え方にドラフトは支配されていく
- デッキという目的のためには、協調ドラフトはした方が良いのではなく、せざるを得ない
- その中でどのタイミングでわがままに振る舞うか、または被害を少なくわがままに振る舞えるかがドラフトというゲームである
- ドラフト後に考えること
- デッキ構築は自分視点へと立ち戻る、強いカードだけでデッキを構成できるのであればそれが理想である
- だがほとんどのデッキにはどうしても弱いカードが入ってしまう、どういう基準でカードを選別するかその指針は持っておく必要がある
- サイドボードと言ってもその種類によって役割が違ってくる。そして入れ替えの際にはどのカードと入れ替えるか、また土地のバランスは不適切になっていないかというのをチェックした方がよい
- 状況によっては弱いカードをメインデッキに入れるのが良しとされることがある。ただし、多用するものではない
- 自分が先手か後手のどちらになるかというのは重要な情報、それだけでデッキの構成を変える価値がある
終わりに
幾分以上にトーナメント志向のものでしたが、これでドラフト終了までの筋道は終わり。ここからはプレイング、また違ったマジックの分野があるのですが、それはこの記事では取り扱いません。それはまたいずれ機会があれば、どのような形であるかはわかりませんが書いていけたらなと考えています。
この記事まで取り扱っているほとんどは、私が自分の経験から論理的に説明可能なものを抽出しているもので、「まず論理が先、こういう理論があるからこの状況ではこれが絶対的に正しい。」というものではありません。
正解への辿り着き方は1つではなく、また同じ方向である必要すらないのです。ドラフトにおいて、「プロプレイヤーと言われている人種が考えている平均的な思考法」といった感じの1つの読み物として読んでもらえると幸いです。
実際にプロはこれを基礎にしているのか?
はい、ほとんどのプロプレイヤーは、多かれ少なかれ、これくらいのことを考えながらドラフトをしています。
ですが最低でももう1段、これにプラスしてのなんらかの積み増しをしています。例えば今回の記事ではあまり取り上げられなかった「環境による補正」は確実に習熟していますし、人によっては「感性」や「直感」として、私が取り扱うことを避けたところにまで踏み込んでドラフト中での判断をしてきます。
「なんとなくこちらの方が良さそうだった」という言語化がより難しい考えにより、ここで語られているより更に1手早く判断をしてくることもあるのです。
ですが、そうであってもここで紹介したような考え方が基礎となっていることには変わりません。そして多くのプロたちが、なぜこのドラフトをここまで突き詰めてやっているかというと、やはりそれは単純にドラフトが楽しいからです。
......これを論理的に伝えるのは、私には荷が大きすぎるようです。
好きだから勝ちたい。勝ちたいから努力する。努力するならより効率よく行こう。そんな時にこの記事が一助になれば幸いです。
それでは、あなたが良いドラフトをできますよう。
中村修平
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