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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

『基盤』を整えて その2

Mark Rosewater
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2024年11月4日

 

 先週、『ファウンデーションズ』の制作について語り始めた。セット・デザイン・チームを紹介し、プレビュー・カードを2枚公開し、初心者にマジックを教えることに焦点を当てた製品の歴史を解説し、そして『ファウンデーションズ』のデザインの物語を始めたところだ。本日は物語の続きを話し、このセットにおける4つの主要製品を紹介し、それぞれが提供するものを見ていこう。

 先週の終わりに、ブライアン・ホーレイ/Bryan Hawley率いるチームが初心者へゲームを教えることについて大きな教訓を2つ得たと語った。それらは、『ファウンデーションズ』のデザインの核心を成す考えだった。本日の記事を通して、その2つの教訓を説明することを約束しよう。

『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックス

 我々が得た大きな教訓の1つは、「道づくり/pathing」と呼ぶものの必要性である。我々が新規プレイヤー向けの製品を制作する場合、最初の数ゲームを楽しめるように作っている。それは素晴らしいことだ! 初心者はマジック経験者の友達と一緒に遊ぶことを目指すようになるだろう。問題は、「数ゲーム遊んだことがあり、何をするのかはだいたいわかります」という人と「毎週マジックで遊んでいます」という人の間にある大きなギャップである。『ファウンデーションズ』は、新規プレイヤーに最初のゲームから100回目のゲームまでの道を通すのである。

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『ファウンデーションズ』
ビギナー・ボックス

 第一歩となるのがチュートリアル・ゲームだ。我々もそこに一番時間をかけた。各プレイヤーはカードの並び順が決まっているデッキとパンフレットを使い、最初のゲームを1ターンずつ進めていく。そうすることで、初心者が学ぶことを適切な順番と間隔で教えられるのだ。このチュートリアルが、『ファウンデーションズ』で最初に着手した部分だった。それは『ファウンデーションズ』でブライアン率いるチームが最初に手がけた製品、ビギナー・ボックスへとつながることになった。

 次に取りかかったのは、ビギナー・ボックスの後の一歩を見つけることだった。それは、我々が過去にできていなかった領域だった。これまでは、遊び方を教えた後はマジックという海の浅瀬からより深みへ行く方法はプレイヤー任せだったのだ。

 ビギナー・ボックスの次の一歩は、新規プレイヤーへのガイダンスとなるようなものありながら、その中でも探検の余地があるものでなければならなかった。それを実現するのが、「ジャンプスタート」だった。厳密に言うならジャンプスタートのデッキ構築方式である。ジャンプスタートでは、最も簡単な形でデッキ構築ができる。決断する要素はハーフデッキを2つ選ぶことのみ。あとはシャッフルするだけでデッキが完成するのだ。ジャンプスタートならすぐにゲームを始められる。それなら『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックスに、テーマ同士がサポートし合うように厳選されたジャンプスタート・パックを同梱するのはどうだろうか?

 セット・デザイン・チームは、この製品に同梱するテーマパックに必要とされる要素を以下のように見出した。

すべての色を紹介できること

 マジックのカラー・パイは、フレイバーの面でもメカニズムの面でもこのゲームの基盤である。プレイヤーにマジックの最もクールな要素を紹介するなら、我々は最初にカラー・パイのことを教えたい。そのために、各色少なくとも1つはハーフデッキを用意するようにしたかった。最終的に、チームは各色2個ずつの合計10個を同梱することに決めた。各ハーフデッキには20枚のカードが封入されているため、『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックスには合計200枚のカードが収められている。カード20枚入りのテーマパックとチュートリアル・パンフレットに加えて、この製品にはプレイマットやダイス、カウンター、トークンも同梱されている。初めてのゲームに必要なものがすべて入っているのだ。

マジックのクールなテーマを見せること

 マジックの強みの1つは、プレイヤーがデッキを自分好みにできるカスタマイズ性の高さである。プレイヤーはフレイバーやメカニズム、あるいはその両方をもとにした膨大な数のテーマから、好きなものを選んでデッキを構築できるのだ。デッキ・テーマもまた、マジックの重要な側面を初心者に見せる機会となるだろう。セット・デザイン・チームは各色2つずつの合計10のテーマを選んだ。いずれも、新規プレイヤーから人気を集める要素に注目したものだった。

 『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックス収録の10のテーマは以下の通り。

  • 白:「猫」、「治癒」
  • 青:「ウィザード」、「海賊」
  • 黒:「吸血鬼」、「アンデッド」
  • 赤:「ゴブリン」、「業火」
  • 緑:「エルフ」、「原始」

 これらのテーマは、我々が長年にわたり集めてきたデータをもとに、プレイヤーに最も共鳴するテーマの観点で厳選されたものだ。マジックにはプレイヤーの楽しみ方に豊富な選択肢があることを強調するため、テーマの多様性を見せることも大切だった。

テーマを混ぜ合わせるという発想を示すこと

 シナジーもまたマジックの強みの1つである。トレーディングカードゲームの利点として、ゲーム用品に高い柔軟性がありそれらを組み合わせることでさらに強力になるという点がある。プレイヤーがシナジーを学ぶことは、このゲームを楽しむために欠かせないのだ。ビギナー・ボックスに収録のテーマは、新規プレイヤーがシナジーの大きな恩恵を体験できるようになっている。この「シナジーを学べる」という点もまた、ジャンプスタート関連製品が強力なティーチング・ツールたる理由である。2つのハーフデッキを混ぜ合わせるという手法に、シナジーの考えが組み込まれているのだ。

バラエティに富んだプレイ体験を味わってもらうこと

 カード20枚入りのテーマパックは、トレーディングカードゲームが擁する広大な可能性も見せており、さまざまなテーマを組み合わせることでバラエティ豊かなプレイ体験を味わえるようになっている。例えばビギナー・ボックスに同梱の10個のテーマパックでは、それらを組み合わせることで45通りのデッキでプレイできる。新規プレイヤーが1つの製品でさまざまなプレイ体験を楽しめるのだ。

 『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックスにカード20枚入りのテーマパック10個を同梱すると決めたセット・デザイン・チームは、そのうち2個をチュートリアルに使うことにした。最終的に選ばれたのは、白単の「猫」テーマと黒単の「吸血鬼」テーマだった。この2つが選ばれたのは、収録カードがチュートリアルに最適で、テーマも初心者向けだったからだ。その2つのテーマ・カードには、チュートリアル用パンフレットでそれぞれのデッキの顔となるプレインズウォーカーが描かれた。「猫」デッキのプレインズウォーカーはアジャニ、「吸血鬼」デッキのプレインズウォーカーはリリアナだ。チュートリアルは各プレイヤーともデッキの並び順が決まった状態で始まり、ゲームにおける重要な要素を1ターンずつ学んでいく。

 チュートリアルが終了したら、デッキをシャッフルして改めてゲームをプレイできる。そしてそれに慣れたら、『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックスに同梱の他の8テーマも使い、チュートリアル・デッキに1パック混ぜて遊ぶこともできる。その後も10個のハーフデッキでさまざまな組み合わせを楽しめるだろう。どの『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックスにも、同じテーマパック10個が同梱されている。プレイヤーはゲームの基本を身につけるまで何度も体験できるのだ。

『ファウンデーションズ ジャンプスタート』と『ファウンデーションズ』Starter Collection

 『ファウンデーションズ』のセット・デザイン・チームは、「ビギナー・ボックスの次は何か」という問いに答えなければならなかった。先述した通り、我々は新規プレイヤーに基本を教えるだけで終わりにするのではなく、未経験から定期的にプレイするマジック・プレイヤーへの道を通すつもりだった。それを実現するためには、新規プレイヤーがそれぞれの道を進めるような個別の製品が3つ必要になると、セット・デザイン・チームは判断した。

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『ファウンデーションズ ジャンプスタート』ブースターボックス

 第1の道は『ファウンデーションズ ジャンプスタート』である。『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックスは基本的に新規プレイヤー向けのジャンプスタート体験であり、初心者にジャンプスタートの仕組みを理解してもらうためのものだ。これにより通常のジャンプスタート製品へとスムーズに移行できる。ビギナー・ボックスと『ファウンデーションズ ジャンプスタート』の大きな違いは、ランダム性の有無だ。

 『ファウンデーションズ ジャンプスタート』は、過去のジャンプスタート製品と同じ構成になっている。テーマは全46種類。そのうち20種類には4つのバージョン違いがあり、収録カードがわずかに異なる。それから15種類のレア・テーマが設定されており、それぞれ2つのバージョン違いがある。そして11種類の神話レア・テーマもあり、そちらはバージョンが1つになっている。つまり合計すると、46種類のテーマに121通りのハーフデッキがあるのだ。

 『ファウンデーションズ ジャンプスタート』には、この製品にのみ収録される新規カードが56種類ある。各テーマに少なくとも1枚新規カードが収録されており、2枚以上収録のテーマもある。また、各パックには伝説のクリーチャーが1枚以上封入されている。伝説のクリーチャーには新規デザインのものもあれば再録のものもあるが、各テーマの目玉となる伝説のクリーチャーは、アニメ調のアートで飾られている。他にも新規アートが用意される再録カードが多数ある。

 46種類のテーマにはそれぞれ、テーマ名がついている。「天使」や「忍者」といったそのままのものもあれば、「サプライズ!」や「極悪非道」のように内容を示唆するものもあり、「海辺のもの/Of the Coast」や「駆ける馬/Giddyap」のように遊び心が込められたものもある。テーマのほとんどは多色である。ジャンプスタート・ブースターは開封してからテーマを2つ選んでもよいし、中身が見えないように開封してそのまま混ぜ合わせ、プレイしながらテーマを体験してもよい。

 『ファウンデーションズ ジャンプスタート』の道は、『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックスを楽しんだものの、まだデッキ構築を自分でやるには早いと感じている新規プレイヤーのための道である。『ファウンデーションズ ジャンプスタート』ブースターボックスには、ジャンプスタート・ブースターが24パック収められており、新規プレイヤーが何度もテーマを混ぜ合わせて遊べるだろう。収録カードは合計780種類だ。

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『ファウンデーションズ』
Starter Collection

 第2の道は『ファウンデーションズ』Starter Collectionである。この製品には、370枚を超えるカードが同梱されている。内容はランダムではなく、開封した人全員が同じカードを手に入れることになる。同梱されるカードの選定は、いくつかの目的をもって厳選された。

デッキ構築を促進すること

 我々はプレイヤーが自分のデッキを構築できるようにしたかったため、同梱のカードには15を超えるテーマを盛り込んだ。スタンダードで使われているテーマも多数含まれており、同梱のカードでデッキを組むこともできるようになっている。カード100枚の統率者戦用5色デッキを組むことも可能だ。

マジックの奥深さを知らせること

 我々はこの製品をシンプルなコモンの詰め合わせにはしたくなかったため、マジックの奥深さを味わえるように選んだ。あらゆる色やレアリティから選ばれたカードの中には、マジックの歴史に残る逸品や、スタンダードやパイオニア、モダン、統率者戦の主力も含まれている。

プレイヤーにキーカードを与えること

 我々はStarter Collectionに有用なカードを詰め込みたかったため、プレイヤーがデッキビルダーとして振る舞えるようなカードを多く採用した。印象的なデッキのパーツやかつての名カード、デッキの核を成すカードが含まれている。

さまざまなプレイ・スタイルを幅広く見せること

 同梱のカードは、マジックでできることの幅広さを見せられるように選ばれた。例えばプレイヤーはこの製品を通して、デッキ構築における決断に多色のカードが与える影響を感じることができるだろう。同梱のカードには伝統的な多色カードや混成カード、それから起動コストに色マナを用いない能力を持つ単色のカードが含まれているのだ。

 この第2の道の理念は、プレイヤーが初めてのデッキ構築へ飛び込む後押しをすることだった。『ファウンデーションズ』Starter Collectionの目標は、プレイヤーを最初の10ゲームから100ゲーム目まで導くことである。靴箱いっぱいの余りカードからデッキを組ませてくれる友人の存在は、マジックを始める大きなきっかけの1つだ。そういった存在をすべてのプレイヤーに持ってほしいというのが、我々の願いであった。新規プレイヤーにマジックの歴史の一端を味わってもらえるよう、手加減なしでカードを選んだ。Starter Collectionは、新規プレイヤーがデッキ構築を始める上で必要なものをもたらすのだ。

『ファウンデーションズ』メインセットとプレイ・ブースター

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『ファウンデーションズ』
プレイ・ブースターボックス

 第3の道は『ファウンデーションズ』のメインセットである。メインセットには271種類のカードと20種類の基本土地が収録されており、収録カードのおよそ半数は新規デザインだ。通常のスタンダード・セットと同じく、プレイ・ブースターは1パック14枚入りで、1ボックスに36パックが収められている。『ファウンデーションズ』のメインセットは、『ファウンデーションズ』製品ラインナップの中でランダム封入製品の中核を担っている。

 メインセットでは、我々がここ数年の間に得たもう1つの大きな教訓に取り組んだ。マジックの優れた入門製品を作るための鍵は、このゲームがここまでエキサイティングなものであるその魅力を、新規プレイヤーに見てもらうことにあるのだ。この教訓には、興味深いエピソードがある。

 我々は初心者向け製品を制作するたびに、数多くのテストを重ねる。テストは社内に留まらず、社外でも行われる。その製品がマジックのプレイ経験がない人へ遊び方を教える設計なら、マジックの遊び方を知らない人を対象にテストを行い、効果のほどを確かめるのだ! 「フォーカスグループ/Focus group」と呼ばれるテスト対象者は一部屋に集められ、我々はマジックミラー越しにテストの様子を観察した。フォーカスグループでは思いも寄らないことでテストが台無しになることがよくあるため、フラストレーションがつきものだ。それでも集められた人々は、極めて有益な情報をもたらすのである。

 我々は長年にわたり、入門用製品を可能な限りシンプルなものにする戦略をとってきた。マジックは難しいと思われがちであるため、我々は新規プレイヤーへ投げかける要素の量を制限することを選んだのだ。我々が目指していたのは、プレイヤーが初めてのゲームを通して「マジックの基本的な遊び方がわかった」という感覚を得られることだった。長い間、それが我々を動かす原動力だったのだ。

 さてフォーカスグループの話に戻ろう。我々はテストの対象者たちへ「手助けなしで」入門用製品を渡した。つまりゲームの遊び方はその製品だけで学んでもらったのだ。専門家を交えていくつかのことを教えるグループも用意したが、我々としてはティーチング用製品の出来のよさを確かめたかったため、製品だけで遊び方を学べることが望ましかった。プレイヤーたちが製品を用いて遊び方を学んだら(少なくともそれぞれの中で飲み込めたら)、グループに専門家を加えて初心者へ質問をした。

 私がよく言っているが、ゲーム・デザインの成功を示す最も明白な指標は、プレイヤーがもう一度遊びたいと思うことである。フォーカスグループへ尋ねる質問の中で最も重要なものの1つは、「もっとマジックで遊びたいですか?」であり、それに続く「その理由は?」なのだ。この日のテストで、我々は「いいえ」という回答を数多く受け取った。その理由を尋ねると、ゲームが退屈だというのだ。奥深さに欠けていて、物足りないと。

 前回の記事冒頭で述べたように、奥深さこそがマジックの核となる強みだ。我々はマジックに対する障壁を下げようとするあまり、奥深さから離れすぎ、このゲームの魅力を削いでしまったのだ。これは重要な教訓であった。我々は、間違った目標に向かって進んでいたことを学んだのである。最初の数ゲームはこのゲームの仕組みを知って終えてほしいと我々は望んでいたが、それは誤りだった。マジックというゲームに触れた人を心躍らせることこそが、我々のやるべきことだったのだ。すべてを理解していなくても問題ない。もっとプレイしたいと思ってもらえればいい。楽しくプレイを続けていれば、やがては細かい部分も理解できるだろう。

 こうして、『ファウンデーションズ』ではあらゆる面でマジックの特にクールな部分を見せられるようにしなければならなかったが、それを双肩に担ったのがメインセットであった。この理念がデザインに浸透した結果、4つのことが行われた。

 1つ目は、シンプルさよりもクールさを優先したことである。我々は長年にわたり、プレイヤーが心躍らせるものが何かを学んできた。たとえカードのテキスト量が増えるとしても、それを可能な限り多くセットへ取り入れたのだ。伝説のクリーチャーも数多く追加し、プレインズウォーカーのサイクルも採用した。個別のカードについても、レアリティの格上げを挟みつつではあるがこれまでの基本セットでは検討もしなかったであろうカードを収録した。そして落葉樹メカニズムも数多く採用した。常盤木メカニズムではないものの、幾度となく登場しているメカニズムたちだ。『ファウンデーションズ』では、以下のように落葉樹メカニズムを配置した。

  • フラッシュバック――青黒赤
  • キッカー――白赤緑
  • 上陸――青赤緑
  • 陰鬱――黒赤緑
  • 果敢――青赤
  • 強襲――青黒赤
  • スレッショルド――青黒

 2つ目は、プレイヤー人気の高いテーマの歴史に焦点を当てたことである。タイプ的テーマに墓地テーマ、スペルベースのテーマ、戦闘に注目したテーマなど、『ファウンデーションズ』では成功を収めたテーマの数々を意識的に取り入れた。

 3つ目は、マジックのメカニズム面だけでなくフレイバー面も含めたことである。『ファウンデーションズ』は1つの次元を舞台としたセットではないが、代わりに舞台を多元宇宙じゅうに広げ、さまざまな次元を見せている。舞台の多彩さは伝説のクリーチャーやプレインズウォーカーの多彩さにもつながっている。我々はプレイヤーたちに、マジックを始めたての頃からこのゲームのメカニズム面だけでなく、クリエイティブ面の豊かさも感じてほしいのだ。

 4つ目は、『ファウンデーションズ』を経験者と初心者が一緒に楽しめるものに仕上げられるよう重点を置いたことである。決してマジックを水で薄めたようなものではなく、印象的なカードやメカニズムが詰まったセットに仕上げ、プレイヤーがこのゲームと恋に落ちるのを後押しするようなものになっている。諸君もこのセットを通して、次世代のプレイヤーたちとゲーム愛を分かち合えるのだ。

 『ファウンデーションズ』のメインセットは、マジックの奥深さへ喜んで飛び込む初心者におすすめの道である。その奥深さに躊躇する者もいるが、それを魅力に思う者もいるだろう。『ファウンデーションズ』は、新規メカニズムこそないものの豊富な落葉樹メカニズムでマジックのセットがどういうものなのかを新規プレイヤーに伝え、シールドやドラフトへの探究心を持つ者にも味わい深いリミテッド環境が待っているのだ。

 『ファウンデーションズ』のメインセットは、後からでも入れる道だ。『ファウンデーションズ ジャンプスタート』やStarter Collectionの方が入門用に適しているというなら、その後のフォローはメインセットがしっかり務めてくれるだろう。『ファウンデーションズ』の核となるのは、新規プレイヤーにマジックを学ぶ道を自分で決める力を与えることなのだ。

迷わず『基礎』へ

 2週にわたってお送りしたコラムが、『ファウンデーションズ』の各種製品に込められた理念を理解する助けになったなら幸いである。いつもの通り、本日の記事や『ファウンデーションズ』に関する意見を、メール、各ソーシャルメディア(X(旧Twitter)TumblrInstagramTikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『ファウンデーションズ』の再録カードを見ていく日にお会いしよう。

 その日まで、あなたがマジックと恋に落ちるきっかけになったものとの再会を楽しみますように。


(Tr. Tetsuya Yabuki)

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