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Making Magic -マジック開発秘話-
『殺人事件』を作る その1
2024年1月29日
ここ2週にわたって、『カルロフ邸殺人事件』のセット・デザインの話をしてきた(その1、その2)。本日はカード個別のデザインの話を始めよう。今回はいつもと少し違うことを試してみることにした。私のブログ「Blogatog」で、コミュニティの諸君に『カルロフ邸殺人事件』でデザインの話を聞きたいカードを尋ねたのだ。今週と来週の2回で、寄せられたものからいくつか取り挙げて話をしていく。
《大ドルイドの魔除け》
私がマジックのデザイナーになる前は、マジックの開発者だった。初期の開発部は小さく、私(とビル・ローズ/Bill Rose、マイク・エリオット/Mike Elliott、ウィリアム・ヨクシュ/William Jockusch、 そしてヘンリー・スターン/Henry Stern)は開発者というくくりだったのだ。これは現在我々が用いている展望デザイン、セット・デザイン、プレイ・デザインという開発モデルへ移行する以前のことである。さて当時のある日、『ミラージュ』の開発ミーティングでのことだが、私はある重要な発見を成し遂げた。ファイルには、アンタップ状態の《森》1枚を生け贄に捧げるとターン終了時まで+2/+2の修整を受けられる緑のクリーチャーがあった。私は「アンタップ状態の《森》1枚を生け贄に捧げる」という文言が「{G}, 《森》1枚を生け贄に捧げる」と本質的に同じであることに気づいたのだ。そのとき私の頭の中にあったのが、《エイトグ》だった!
元祖《エイトグ》は、マジック2番目のエキスパンション『アンティキティー』に収録された赤のクリーチャーだった。そのセットが世に出た当時《エイトグ》は大きな反発を受けたが、私はとても良いカードだと思い、それを中心にしたアーティファクト・デッキを組み上げた。そして私の考えは正しかった。《エイトグ》は特に当時のクリーチャーのパワーレベルにおいては極めて良いカードであり、私はいたるところでそれを支持した。《エイトグ》は、私の初めてのお気に入りカードになったのだ。
『ミラージュ』に《エイトグ》的な機能(リソースを食べてターン終了時まで強化を受ける効果)を持つカードがあることに気づいた私は、それを《エイトグ》にしようと主張した。その主張が通ると、私は探求の旅に出ることになった。各色に1枚ずつ《エイトグ》が出るまで、《エイトグ》を作り続けることにしたのだ。
こうして、続く3セットにわたり《エイトグ》が1枚ずつ作られた。私は《エイトグ》を食べる5色の《エイトグ》も作り、『Unglued 2』に入れた。しかしその製品は発売中止になったため、『オデッセイ』で有効色の《エイトグ》を5種加えた上でそちらへ入れることになった。
さて時は飛び、『テンペスト』ブロック第2セット『ストロングホールド』のデザインへ。物語の舞台は《ヴォルラスの要塞》だ(このセットが『ストロングホールド/Stronghold(要塞)』と呼ばれる由来である)。私はこのセットのために伝説の土地を作りたくて仕方がなかった。『ミラージュ』のときに、青マナを生み出す《テフェリーの島》を1枚だけ伝説の土地として作ったことを思い出していたのだ。《エイトグ》のときの成功に触発された私はさらに大きく考え、「メガ・メガ・サイクル」と呼ばれるアイデアを思いついた。我々は5年間にわたり1ブロックに1枚ずつカードを印刷していき、サイクルを完成させたのである。
この出来事が水門を開くことになった。サイクルは何年にもわたって作れるということを理解した開発部は、あらゆることを始めた。とはいえすべてのメガ・メガ・サイクルがサイクルとして始まったわけではない、ということははっきり伝えておこう。1枚か2枚作られたカードがのちにインスピレーションをもたらし、残りが作られたという場合もあったのだ。こうして話は『モダンホライゾン』収録の《大魔導師の魔除け》につながっていく。
『モダンホライゾン』は呼び戻しに満ちたセットであるため、私の勘ではこのカードは新たなメガ・メガ・サイクルの始まりとしてデザインされたものではなかったと思う。とはいえ私はセット・デザイン・チームにはいなかった(このセットで私が所属したのは展望デザイン・チームのみだった)ので、確かなことはわからない。いずれにせよ、『カルロフ邸殺人事件』でサイクルの2枚目のカードが作られた経緯を話そう。まずは、緑のレアの枠に入っていたこのカードの最初期のデザインをご覧あれ。
〈素手での喧嘩〉(Ver.1)
{4}{G}
ソーサリー
あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とし、あなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。その前者はその後者と格闘を行う。このターンに行われた格闘が2回以下なら、あなたはこの呪文をコピーし、そのコピーをそれのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
そう、このセットが始まった当初は、このカードは《大ドルイドの魔除け》ではなかった。それとはまったく異なる、レアの格闘を行うカードだったのである。このカードの意図は、プレイヤーに格闘をちょうど3回行わせることだった。生き残っている限り同じクリーチャーで複数回格闘を行うこともできるが、呪文をコピーし続けることはできない。
〈素手での喧嘩〉(Ver.2)
{G}
ソーサリー
あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とし、あなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。その前者はその後者と格闘を行う。この方法であなたがコントロールしているクリーチャーが余剰のダメージを与えた場合、あなたは[カード名]を追放してもよい。そうしたなら、このターン、あなたはそれをそれのマナ・コストの代わりに{1}{G}を支払うことで追放領域から唱えてもよい。
格闘3回は少し多すぎると考え、プレイヤーに格闘を2回行わせるカードを試したが、プレイヤーは1回目の格闘をより吟味するようになった。もしこのカードを今作るなら、落葉樹となったフラッシュバックがつくだけになるだろう。
〈大ドルイドの魔除け〉(Ver.3)
{G}{G}{G}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
- あなたのライブラリーから基本土地カード1枚を探し、それをタップ状態で戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。
- あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とし、あなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、その前者は+1/+0の修整を受ける。その前者はその後者と格闘を行う。
- アーティファクト最大1つを対象とし、エンチャント最大1つを対象とする。それらを破壊する。
セット・デザインの段階でチームは格闘を行うカードを諦め、そして誰かが新たなメガ・メガ・サイクルを始めるという素晴らしいアイデアを出した。どのようなサイクルであれ、そのサイクルが貫き通すものを見出すことが肝要だ。このカードはサイクルの2枚目になるため、芯を通すために定めるべきことがたくさんあった。最終的に、我々は色マナ3点をコストとし(この場合は{G}{G}{G}だ)、強力なレアの魔除けであることが必要であると結論づけた。
このカードについては、最初期から3つのことが意識されていたとわかるだろう――土地を持ってくることと、緑ならではの方法でクリーチャーを破壊すること、そしてアーティファクトやエンチャントに対処できることの3つだ。それぞれの進化の過程を見ていこう。
土地を持ってくること――これはシンプルに《不屈の自然》の効果(基本土地を探し、それをタップ状態で戦場に出す)から始まった。通常の魔除けならこれで良かったのだが、我々が作ろうとしているのは「大~~の魔除け」だ。もう一段階上げなければならなかった。そこで土地を探すだけでなく、クリーチャーも探せる効果になった。クリーチャーは通常、土地よりも強力であるため、探したクリーチャーは手札に入るようにする必要があった。また「基本」という文言も外して、どの土地でも持ってこられるようにした。
緑ならではの方法でクリーチャーを破壊すること――この効果は、一時的なパワー強化を含む「格闘」から始まった。チームはここでも効果を一段階上げた。一時的な強化ではなく+1/+1カウンターを使い、「格闘」ではなく「噛みつき」(一方的にダメージを与える効果)にしたのだった。
アーティファクトやエンチャントに対処できること――この効果については、一段階下げることが議論された。破壊ではなく追放になったのは強化だが、以前のバージョンではアーティファクト1つとエンチャント1つを対処できた。現在のバージョンでは、どちらか片方だけになっている。
今回のことをきっかけに、「大~~の魔除け」がもう3枚やってくるということだろうか? その通りだ。2枚目を作ったことで、我々は自ら設定した見通しを把握できた。《エイトグ》や伝説の土地サイクル以来、メガ・メガ・サイクルも普通の仕事になったのだ。次はいつになるか? なんとも言えないが、私の勘ではそれぞれの間隔が5年空くことはないと思う。
最後に、このカードのアート指示をお見せしよう。
*** 拡張アート用のアスペクト比でお願いします***
舞台:『Polo』
色:緑のマナに関わる呪文
場所:特に指定なし/抽象的
意図:これは強力な魔導師に関連する「魔除け」サイクルの一角である。アートはすべて、実物の背景ではなく魔法的なエフェクトを背にした魔法のアミュレットが描かれる。例として青に関連する魔術師のアミュレットを添付するので、ファイルを参照のこと。
行動:緑の呪文を扱う強力な魔導師である大ドルイドが使う、魔法のアミュレットのデザインをお願いしたい。マジックにおいて、緑は自然や持ちつ持たれつの関係、本能を司る色である。アミュレットは強大な緑の魔力で脈打ち、周りを囲む邪悪な紫の魔力を押し返している。敵の魔力を表す色を完全に拒絶しているのだ。
焦点:魔除け
雰囲気:自然の力と叡智がすべて、このアミュレットに込められている。
《磁力の鼻鳴らし》
私はカード個別のデザインについての記事を楽しく書いている。データベースにアクセスして、カードの歴史を覗けるからだ。このカードの進化の過程は短いため普段なら取り上げなかったのだが、我々が作成に至らなかったカードの姿が見えたため、それを公開したくなった。前置きはこれくらいにして、アンコモンの無色アーティファクトの枠に入る《磁力の鼻鳴らし》の初期デザインをご覧あれ。
〈謎の機械〉(Ver.1)
{5}
アーティファクト ― 機体
6/6
偽装3(あなたはこのカードを{3}で3/2のクリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの偽装コストでいつでもこれを表向きにしてよい。)
搭乗3(あなたがコントロールする望む数のクリーチャーを、パワーの合計が3以上になるように選んでタップする:ターン終了時まで、この機体はアーティファクト・クリーチャーになる。)
我々がトップダウン・セットの先行デザインに取りかかるとき、通常やることの1つに題材となるポップカルチャーについて人々に言及されていることをすべてリスト化する、というものが挙げられる。例えばミステリーというジャンルについて諸君が語る場合、多くの者がともに育ったという特定の作品があるだろう。今回のセットでは、それを参考にした《妨げる若者》というカードがある。
その作品には有名な乗り物もあるため、この枠はそこから始まった。我々がセットに機体を入れる際は通常、そのメカニズムやそのセットのテーマを表現できる方法を探す。つまり機体の弱点の1つは、早い段階では使えないことが多い点にある。ではそのセットに早い段階で使えるメカニズムがあったらどうだろうか? 諸君に思い出してほしいのは、セット・デザインの大部分において「変装」が「偽装」と呼ばれていたことだ。だからこのカードも変装を持っていたことになる。このバージョンは展望デザイン初期の頃のものなので、変装クリーチャーは護法2を持つ2/2ではなく3/2になっている。搭乗3は偽装の数字に合わせたのだと思う。なぜ偽装に数字がついているのかはわからない。それは常に3だった。
〈謎の機械〉(Ver.2)
{5}
アーティファクト ― 機体
6/6
[カード名]が表向きになるに際し、それはターン終了時までアーティファクト・クリーチャーになる。
偽装3(あなたはこのカードを{3}で3/2のクリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの偽装コストでいつでもこれを表向きにしてよい。)
搭乗3(あなたがコントロールする望む数のクリーチャーを、パワーの合計が3以上になるように選んでタップする:ターン終了時まで、この機体はアーティファクト・クリーチャーになる。)
さて我々が〈謎の機械〉をテストしていると、誰かがそれを裏向きにプレイし、それから攻撃し、攻撃中に表向きにした。そこで質問が出てくる。「これは今クリーチャー?」 答えは「No」なのだが、そのことがわかりにくいという人が十分にいたため、クリーチャーであるように変更した。これは、カードが期待した通りにプレイできるように行う調整の好例である。
〈金属探知機〉(Ver.3)
{5}
アーティファクト・クリーチャー ― 構築物
3/3
[カード名]が戦場に出たとき、あなたの墓地にある手掛かり・装備品・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻し、[カード名]につける。
装備品・カード1枚がいずこかからあなたの墓地に置かれるたび、飛行を持つ無色の1/1の飛行機械・アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体生成する。
我々は機体を諦めた。それは十分にわかりやすいものではなく、ラヴニカらしくもなかったのだ。加えて、《妨げる若者》というカードもあった。我々はゲームの『クルード』と結びつくアンコモンの装備品サイクルとうまく機能する、新しいカードを作ることにした。我々は、『クルード』に登場する凶器6種のうち5種を使って、手掛かりにもなる装備品のサイクルも作れることに気づいていた。このカードのデザインとしては、装備品のプレイを促しながら手掛かり・装備品を使うと追加のボーナスが得られる、というものだった。ボーナスとして飛行を持つ1/1の飛行機械・トークンを得られるのは有用だったが、フレイバー面がしっくりこなかった。
〈金属探知機〉(Ver.4)
{5}
アーティファクト・クリーチャー ― 構築物
3/3
[カード名]が戦場に出たとき、あなたの墓地にある装備品・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻し、それが手掛かりであるなら[カード名]につける。
あなたが手掛かり1つを生け贄に捧げるたび、[カード名]の上に+1/+1カウンター1個を置く。
続くバージョンでも手掛かり・装備品を持っていることにボーナスを与えるが、どの装備品にとってもより有用なものになった。1つ目の能力の対象を広げながらも、2つ目の能力の幅は狭め、特に手掛かりを意識した形になった。プレイテストでどちらの能力も狭すぎることが示されたため、最終的にはもう少し幅広くなった。こうして手掛かり・装備品や手掛かりだけでなく、さまざまな装備品やアーティファクトを生け贄に捧げることともうまく機能する1枚になったのだ。
最後に、このカードのアート指示をお見せしよう。
舞台:『Polo』のラヴニカ
色:どの色マナにも関わらないアーティファクト・クリーチャー
場所:都市公園の外観(「一般的なラヴニカの環境」8~11ページおよび150~151ページ参照のこと)
行動:「感覚を持つ金属探知機」を基本に、幻想的な金属アリクイをデザインしていただきたい。鼻の先は平らで幅広の皿状になっており、魔法のように金属を感知する。それは感知したものを目がけて地面を掘り進み、慌てて捨てられたような短剣を掘り出すのだった。
焦点:アリクイ
雰囲気:かわいいが心はない
《名うての殺人鬼、虐殺少女》
通常、先行デザインは物語の流れをすべて把握する前に始まる。実際に『カルロフ邸殺人事件』でも、我々が取りかかった時点では犠牲者や犯人が定まっていなかった。その後展望デザインの中盤になって、我々は舞台に新規次元ではなくラヴニカを使うことを決定した。そのため言うまでもなく、展望デザイン中にも誰が殺害され誰が殺害するのか定かでなかった。それでも我々は、我々に何ができるかを想像して楽しんだ。
それから我々は、虐殺少女を第1容疑者にするという面白いアイデアを思いついた。殺人といえば彼女だ。「ええ、私でもできたわね。でも残念、これは違う」という雰囲気を、我々は気に入ったのだ。
虐殺少女がキャラクターとして初めて登場したのは、『ラヴニカへの回帰』の短編(「世界魂を称えて その1」、その2、その3)でのことだった。物語が書かれたのがセットのデザインが完了した後だったため、彼女は『ラヴニカへの回帰』ブロックのどこにも姿を現さなかった。彼女は大人気キャラクターとなったため、我々のもとには彼女のカードを作ってほしいというリクエストが数多く寄せられた。それがついに実現できたのは、『灯争大戦』でのことだった。
このカードは、キャラクターの人気に負けない人気ぶりを見せてくれた。今回のセットでラヴニカへ行くことを知った我々は、虐殺少女の新規カードを作らねばならないことをわかっていた。虐殺少女なしに、殺人ミステリーのセットをどう作れというのか?
では彼女のカードは何をすべきか? 第一に、それは虐殺少女らしさを感じさせるものでなくてはならない。つまり殺害が絡むものだ。それから、プレイヤーがそれを中心にしたデッキを組めるようなものにしたかった。テーブルトップのフォーマットで最もプレイされているのは統率者戦であるため、我々が人気キャラクターの伝説のカードを作成するときは、それを中心にデッキを組めるよう能力を考えているのだ。我々のデザインの最初の試みは、次のようなものだった。
〈アリバイなしの虐殺少女〉(Ver.1)
{3}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・暗殺者
4/4
あなたがコントロールしていない各クリーチャーは、犯行 ― クリーチャー・カード1枚かクリーチャー・トークン1枚がいずこかから墓地に置かれるたび、このクリーチャーはターン終了時まで-1/-1の修整を受ける。」を持つ。
「犯行」はしばらくの間このセットに入っていた、「陰鬱」の変種だ。このカードで使われたバージョンでは、クリーチャー・カードがいずれかの領域から墓地へ行った(切削や手札を捨てることなども含む)際に誘発するものだった。虐殺少女と犯行を結びつけるのはフレイバーに富んでいるように感じるし、一時的な-1/-1修整は彼女の最初のカードを思い起こさせる。{3}{B}{B}で4/4なのも、同じ理由だったと思う。
〈見るからに怪しい虐殺少女〉(Ver.2)
{1}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・暗殺者
3/3
威迫
これでないクリーチャー1体が死亡するか、クリーチャー・カード1枚が戦場でないいずこかから墓地に置かれるたび、これでないクリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで-1/-1の修整を受ける。
最初のバージョンは対戦相手のクリーチャーが墓地へ行った場合に誘発する能力だった。この2つ目のバージョンはどのクリーチャーでも誘発するため、これを中心にデッキを組みやすくなっている。またコストとサイズを小さくし、威迫を与えた(彼女の最初のカードが威迫を持っていた)。伝説のクリーチャーは同じサイズであることが望ましいが、常に一致させる必要はないと我々は感じている。
〈見え透いた容疑者、虐殺少女〉(Ver.3)
{1}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・暗殺者
2/3
威迫
対戦相手がコントロールしているトークンでないクリーチャーが死亡するなら、代わりにその上に責め苦(torment)・カウンター1個を置いた状態で追放する。そのカードが追放され続けている限り、それは「あなたのアップキープの開始時に、あなたは1点のライフを失う。」と「{3}: このカードを追放領域から墓地に置く。」を持つ。
続くバージョンでは大きく変えたものを試した。これは基本的に、クリーチャーを死亡させた対戦相手を罰する形だ。対戦相手はマナとライフの両面で税をかけられるのだ。最終的には選ばれなかったものの、私はこのデザインに感心している。
〈見え透いた容疑者、虐殺少女〉(Ver.4)
{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・暗殺者
2/2
威迫
対戦相手がコントロールしているクリーチャーが死亡するか、戦場に出ていないクリーチャー・カード1枚が対戦相手の墓地に置かれるなら、代わりにその上に責め苦(torment)・カウンター1個を置いた状態で追放する。そうしたとき、それは「あなたのアップキープの開始時に、あなたは1点のライフを失う。」と「{2}: このカードを追放領域から墓地に置く。」を持つ。
この「誅罰」バージョンの虐殺少女は、しばらくファイルに残り、さらに軽く小さくなった。「トークンでない」の文言が削除されたのは、必要がなかったからだろう。トークンは他の領域に置かれると消えるからだ。プレイテストによって税が少し重すぎることがわかったため、{3}から{2}に下げられた。
〈一流殺人鬼、虐殺少女〉(Ver.5)
{3}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・暗殺者
4/5
あなたがコントロールしているクリーチャー1体が他のクリーチャー1体にダメージを与えるなら、代わりにそのクリーチャーはターン終了時まで-X/-Xの修整を受ける。Xの値は、その与えられるダメージに等しい。対戦相手がコントロールしているクリーチャー1体が死亡するたび、それのタフネスが0以下なら、各プレイヤーは1点のライフを失い、あなたはカード1枚を引く。
最終的にこのカードがさらに変更されたのは、虐殺少女らしさが感じられないからだった。虐殺少女といえば殺害だ。「誅罰」のバージョンは殺害に報酬を与えるものではあったが、その殺害は虐殺少女の手によるものではない。この新たなバージョンはあなたのクリーチャーをすべて殺人鬼に変え、それらがクリーチャーを殺害したら報酬をもたらすのだ。そしてそのとき、誰かがこう言った。「これ、ほぼクリーチャーに萎縮を与えるってことですよね。そう書いちゃダメなんですか?」
知らない人のために説明すると、開発部には+1/+1カウンターと-1/-1カウンターの混在を好まないという法則がある。それらが混在すると、特にリミテッドにおいてクリーチャーのスタッツを追うのが難しくなってしまうのだ。しかしこのカードは神話レアだった。我々は、「カメオ・カード」と呼ばれるものの実験を始めた。高レアリティのカードに古いメカニズムを持たせるという方法だ。虐殺少女をカメオ・カードと考えるのはどうだろう? リミテッドでたまにカウンターが混在することは予想されるが、それは頻繁に起こることではない。試してみないか? 我々は頷き、それを採用することにした。それから虐殺少女は威迫を持っているべきだと感じたため、威迫を戻した。そしてバランス調整のため{3}{B}{B}の4/5から{2}{B}{B}の4/4に変更されたのだった(これで彼女の1枚目のカードとスタッツが同じになった)。
最後に、彼女のアート指示をお見せしよう。
*** 拡張アート用のアスペクト比でお願いします***
舞台:『Polo』
色:黒のマナに関わる伝説のクリーチャー
場所:破滅小径の、不気味で影がある雰囲気の場所(144~147ページ参照のこと)
意図:虐殺少女は、ラヴニカで最も疑わしい人物の1人である。濃く厚い影で、その怪しさを強調していただきたい。(例として16ページを参照のこと)
行動:自慢の短剣を軽快に扱う、悪名高き快楽殺人者「虐殺少女」(添付を参照)を描いていただきたい。彼女は牙を剥いて威嚇するようなフェイスペイントをしているが、その下では大きな笑みを浮かべている。もしかしたら、もっと赤色の筋が走っているかもしれない。ペンキか血の跡だろう。彼女の背後には濃い影が長く伸びており、紙吹雪が舞う明るい雰囲気と対照的に、不吉な印象を与える。
焦点:虐殺少女
雰囲気:嬉々として殺人を行う者。「もちろん私がやったけど。何だと思ったの?」
注意:このアートは(1)標準のアスペクト比 (2)拡張マージン込み(添付のテンプレート参照)の2種類のアスペクト比で印刷されます。標準のアスペクト比で切り取れるように絵を組み立て、拡張マージンの部分は、拡張アスペクト比で印刷されたカードで見えるイースターエッグとして、追加の面白い詳細で埋めてください。
「その出会いは殺人的だった」
本日はこれで以上だ。いつもの通り、この記事やここで取り挙げられたカード、それから『カルロフ邸殺人事件』に関する意見を、メール、各ソーシャルメディア(X(旧Twitter)、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、その2でお会いしよう。
その日まで、あなたが『カルロフ邸殺人事件』のカードであなただけの物語を紡ぎますように。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
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