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Making Magic -マジック開発秘話-
『カルロフ邸殺人事件』をやり遂げる その2
2024年1月22日
先週は『カルロフ邸殺人事件』のプレビュー記事の第一弾をお届けした。そこではデザイン・チームを紹介し、プレビュー・カードをいくつかお披露目し、このセットのデザインの話を始めた。デザインの話がまだ途中なので、今日は残りを話そう。クールなプレビュー・カードも公開する。それから、我々は『カルロフ邸殺人事件』では普段と異なることをやっている。各種製品全体に広がる謎解き要素を編み上げたのだ。それがどのように生まれ、どのように作られたのかについても触れよう。
事件捜査
先週、私は今回の再録メカニズム(「調査」)やひねりを加えての再録(「変装」は「変異」をひねったもので、「偽装」は「予示」をひねったものだ)を通して、新たなインスピレーションをもたらす既存のメカニズムについて語った。今週は新たなデザイン領域を扱うメカニズムについて話したい。興味深いことに、ここで取り挙げるメカニズムはどれも、私のデザインに対する考え方に新たな変化が起きたことで始まった。(私がすべてのメカニズムをデザインしたわけではないことに注意。後段で話すが、この変化はすべてのデザイナーに、このセットの目標について一定の方向性を与えたのだ。)
物語は、マジックがゲームとして存在するより前にさかのぼる。私はゲーム・デザイナーになる前、テレビの脚本家を目指していた。テレビドラマを作ることが私の夢だったのだ。そのためには、パイロット版と呼ばれる、番組の第1話の脚本を書くことになる。それは視聴者に番組を紹介するものだ。視聴者は登場キャラクターと出会い、舞台設定を知り、その番組の雰囲気を味わうのだ。私はいくつもパイロット版を書いたが、中でも一番誇りに思うのが「Tech Court」というSF法廷ドラマだった。その作品に取り組んでいる間、私はSF作品の書き方に関する本を読み漁った。
特に印象に残っているのが、技術の進歩に関する内容だった。ある技術を完成させたら、次はそれを可能な限り自然な形にしなければならない、という考え方だ。その技術を機能させる方法を確立したら、次はそのユーザーが魅力と美を感じられるようにデザインする方法を見つけるのだ。この考え方は、何十年も先の未来に存在する舞台をどう作るか考える上でとても役に立った。
創作という行為のクールな点の1つは、ある分野で学んだことを他の分野で活かせることだ。私が当時学んだのは未来について書くことだったが、それはマジックのデザインにも活かせることに気づいたのだ。諸君らもご存知の通り、私がマジックのカードをデザインするのは今年で29年目になる。私が学び続けていることの1つは、共鳴の大切さだ。我々の目標がプレイヤーたちを楽しませるゲームを作ることなら、すでにプレイヤーたちを楽しませているものを活用すべきである。これこそ我々がさまざまなトップダウン・テーマに挑戦する理由であり、「ユニバースビヨンド」を始めた理由だ。好きなものがマジックのカード・デザインを通して活き活きと表現されるのを見るのは、大きな喜びとなるのだ。
ある日、共鳴について考えていた私は、自身に問いかけた。マジックのカードをより自然で、魅力的で、美しいものにするための、ゲーム・デザインの技術における次のステップとは何か? ここで私は、SF作品における技術に関する考え方を思い出した。それをマジックのデザインに当てはめる方法はないだろうか? しばらく考えたのちに、私はその答えが言語にあることに気づいた。1人のライターとして、私は言葉というものに大いに尊敬の念を抱いている。言葉は多くの力を運び、人々の思考に形を与えることができる。例えば私がマジックのデザイン用語集を作ることを大いに支持しているのは、開発部と外部の人々が特定のコンセプトについて意見を交わす手段を持てる、というのが理由の1つなのだ。
言葉の力を活かすことを優先するデザインの方法はあったのか? それはあった。共鳴を生むことに取り組む際に、最も重要だと感じる言葉にタグを付けておき、そこを足がかりにメカニズム空間を探すというのはどうだろう? 『カルロフ邸殺人事件』でこれを話題に挙げたのは、このアイデアを初めて明確な形にできたのがこのセットだからだ。それは以下のように行われた。先行デザインの時期に、我々は殺人ミステリーのジャンルを特に体現する言葉を見つけ出していった。そしてそこから、特に強く共鳴を感じられるフレーズや文章を書けるような言葉に合うメカニズムを探っていったのだ。
トップダウン・デザインにおいては、フレイバーとメカニズムを合わせたいという願望は常にあり、我々が正しい仕事をすれば継ぎ目が見えなくなるということは指摘しておくべきだろう。ここで起きた変化とは、メカニズムの推進剤に言葉を活用した点だ。カード名やアートに合わせてカードをデザインするようなものだと考えてほしい。それらはどちらも、過去に我々がやった方法だ。これまで、我々はコンセプトに合わせてカードをデザインすることはあっても、言葉に合わせてデザインすることはあまりなかった。今回私は、カードに欲しい言葉を探して、そこから逆算していったのだ。本セットで私とともに共同リードを務めたマーク・ゴットリーブ/Mark Gottliebも言葉の世界の住人であり、カードに使いたい言葉を足がかりに可能な限りフレイバーに満ちたメカニズムを作ることに取り組んでいたことも、はっきり伝えておきたい。
それでは例を挙げることにしよう。殺人ミステリーにおいて最も重要なことの1つは、犯行があり、誰かが殺害されることだ(必ずしも殺害とは限らないが、犯行は行われる)。その誰かは被害者であり、そしてまた誰か(基本的には探偵)が犯人を突き止めることになる。そのために犯人の可能性がある容疑者のリストが作られる。探偵は証拠を集めて容疑者を絞っていき、犯人を暴き出す。この一連の流れを事件と呼ぶのだ。
さあ共鳴を引き出すぞ。直前の段落におけるトップダウン・ワードは以下の通りだ。
- 犠牲者/Victim
- 探偵/Detective
- 犯人/Culprit
- 容疑者/Suspect
- 証拠/Evidence
- 事件/Case
これらの言葉が殺人ミステリーのテーマだ。これらがカード名やフレイバー・テキストで使えるのは明らかだが、もう一歩踏み込めないだろうか? これらの言葉をルール・テキストへ織り込むにはどうすればよいか? 一番簡単なのは「探偵」だった。それは職業であり、本セットにおける諸君のことだ。マジックにはこれを表現する方法がある――職業を示すクリーチャー・タイプだ。マジックでは、ウィザードや戦士はクリーチャー・タイプとしてタイプ行に記載される。そしてカードの機能もそれを意識したものになる。我々は早い段階で、探偵をクリーチャー・タイプの1つにすることを決めた。それから探偵を意識したデザインの典型的なカードを作った。
《私立探偵》
「犠牲者」と「犯人」は難問だった。どちらも通常はクリーチャー単体に使うものであり、犠牲者は少なくとも殺人ミステリーのジャンルで使うなら死亡している。一方で「容疑者」はずっと多くの場面で使える。殺人ミステリーの登場キャラクターは、犠牲者か探偵以外はほとんどが容疑者だ。メカニズム的により多くの可能性を持っているように感じた。ではゲーム内でクリーチャーを容疑者にするとして、それは具体的にどういうことなのか? それがデザイン・チームに与えられた課題だった。どのようなメカニズムなら、カードに「クリーチャー1体を対象とする。それに容疑をかける。」と書けるだろうか?
以下に、ゴットリーブがメカニズムの割り当てを投稿した際にリストにまとめた変数をお見せしよう。
「容疑者」はクリーチャーに使えるタグで、不利な効果に関連する。
- このセットの柱は「偽装」と「手掛かり」。すべてはそれらを中心に組み立てること。このメカニズムは、マナの消費先やゲーム後半に強化されるものや、裏向きのカードに何の効果もないものであってはならないと思われる。
- 他のメカニズムとの兼ね合いで、これは(「凶行」や「証拠収集」を持つ)黒ではなく、(そのどちらも持たない)白であることが望ましい。しかしながら新たな「容疑者」メカニズムに十分な説得力があるなら、セットの再構成も検討できる。
- 理想を言えば、「容疑者」単体でゲームに影響を与えるものがよい。
手短に注釈を2つ添えよう。1つは、展望デザイン当時、「変装/disguise」が「偽装/cloak」と呼ばれていた。もう1つ、「凶行/foul play」はパーマネントやソーサリーが持つメカニズムで、このターンにクリーチャーが死亡していた場合、それをインスタントとして唱えられるというものだった(「陰鬱」にひねりを加えたようなものだ)。
我々が検討した「容疑者」のアイデアの一覧は以下の通り:
- 容疑者は、アップキープの間にそのコントローラーに1点のダメージを与える。
- あなたがコントロールしている容疑者であるクリーチャーは対象に取りにくくなる(コストが増えるなど)
- 対戦相手がコントロールしている容疑者であるクリーチャーは対象に取りやすくなる(コストが減るなど)
- クリーチャーの上にN個以上の容疑カウンターが置かれたら、それは死亡する
- 容疑自体は意味を持たず、他のカードがそれを参照する。
- 「偽装」を「容疑」に変える
- 容疑者は攻撃もブロックもできない。そのコントローラーがカードを3枚引くとその容疑は晴れる。
- クリーチャーの上にN個の容疑カウンターを置くという形もあるかもしれない。それの上に容疑カウンターが置かれている間は攻撃もブロックもできないが、そのコントローラーがカードを1枚引くたび、容疑カウンターを1個取り除いていく。
- 容疑者はすべての回避能力を失う。何でもそれをブロックできるようになる。
- 容疑者が死亡したとき、そのコントローラーに何かよくないことが起きる(例えばライフを失うなど)
- クリーチャーが容疑者になったとき、それを裏向きにする。
- 容疑者は、毎ターン税やコストを支払わない限り攻撃もブロックもできない。
- 容疑者は能力を失い、表向きにできない。
- 容疑者は-2/-0の修整(あるいは他の不利な効果)を受ける
- 容疑者として戦場に出るクリーチャーがいて、さまざまな手段でそれを晴らす
- (不利な効果を持つ)容疑カウンターが置かれたクリーチャーがいて、それはカウンターを他のクリーチャーに移せる。
- 容疑者が対象に取られるたび、それはターン終了時まで-2/-2の修整を受ける。
- 「暴動」や「解鎖」のようなバージョン。
- 容疑は探偵が戦場に出たときにオーナーの手札に与えられるボーナス。
- 容疑者は-1/-1カウンターが置かれた状態で戦場に出るか、麻痺カウンターが置かれた状態かつタップ状態で戦場に出る(コントローラーが選ぶ)
- 容疑カウンター=-1/-1カウンター。-0/-1カウンターか?
- 容疑者は「{1}:ターン終了時まで、このクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。この能力はどのプレイヤーも起動できる。」を持つ。
- カード1枚を捨てることで、対戦相手の容疑者1体を留置できる。
- もっと幅を広げるなら、[コストを支払う]ことで容疑者1体を[機能停止に]できる
- あなたの戦闘ステップの開始時に、あなたは容疑者1体を選ぶ。このターン、それではブロックできない。
- 容疑者が攻撃やブロックをするなら、そのコントローラーは対戦相手に手掛かりを与えなければならない。
- プレイヤーは容疑者1体でしか攻撃やブロックができない。
- 容疑者は単独でしか攻撃できない(ブロックも?)
- 容疑者は容疑者でないクリーチャーをブロックできない。
- あなたがコントロールしているアンタップ状態のクリーチャーをタップしない限り、容疑者は攻撃もブロックもできない。
- 容疑者は攻撃もブロックもできない。それが対象に取られたとき、それの容疑は晴れる。
- 容疑者は攻撃もブロックもできない。対戦相手がコントロールしているクリーチャーが死亡したら、それの容疑は晴れる。
我々が最初に試したのは次のような形だった。
クリーチャー1体を対象とする。それは容疑者になる。(容疑者は攻撃もブロックもできない。そのコントローラーは、各対戦相手に手掛かり1つを与えることで容疑を晴らすことができる。これはソーサリーとして行う。)
読み心地は悪くないが、我々が望むような挙動ではなかった。我々は「第一容疑者」のバージョンについても議論を行った。そちらは一度に1体のクリーチャーにしかつかないオーラ(統治者のような挙動の《拘引》)を生成するもので、呪文でそのオーラを動かしたり、そのオーラを動かすことで手掛かりを得たりできるものだった。
我々は次に、クリーチャーにかけられた容疑を晴らすコストが、対戦相手に手掛かりを与えるより高いバージョンを求めていくことにした。そこで、クリーチャーに置かれると攻撃やブロックを阻害するカウンターを生み出し、カード1枚を捨てるか手掛かり1つを生け贄に捧げることでその容疑カウンターを取り除ける、というバージョンを試してみた。手掛かり1つを生け贄に捧げるというコストはその後、3点のライフを支払うに変更された。
最終的に、我々はそれに有利な要素と不利な要素の両方を持たせるというアイデアを気に入った。対戦相手のクリーチャーを容疑者にしたいときもあれば、自身のクリーチャーを容疑者にしたいときもある形だ。容疑者であるクリーチャーに威迫を与えたのは、フレイバー面での勝利を感じた。クリーチャーが容疑者を単独でブロックするのを躊躇するのは当然だろう。そいつは殺人を犯したのかもしれないのだから。そして我々は、それとペアになる何かを持たせたかった。違うものでありながらつながりが感じられるものを。威迫が攻撃における要素なので、我々は防御における要素を選ぶことにした。容疑者はブロックできないのだ。こうすることで、プレイヤーはクリーチャーでの攻撃を意識するようになり、ゲームを膠着させようとする能力よりもゲームを先に進めてくれるのだ。
我々はこのバージョンの容疑者を試し(展望デザインの後半でのことだ)、あとはもう振り返らなかった。それはフレイバーに富んでいてわかりやすく、プレイ感も良好だった。その後は言葉のニュアンスをわずかに変えたくらいだ。誰かを容疑者にするのではなく、あなたが容疑をかけて、それは容疑をかけられたクリーチャーになる、ということになった。
続いて「証拠収集」だ(メカニズムの開発はすべて同時進行で行われていたため、紹介する順番が時系列順というわけではない)。収集するということはリソースを得ることだと感じたため、我々はプレイヤーが得られるさまざまなリソースを見ていった。ここで言うリソースとは、ライフのように単にゲームを始めるだけのものとは違うだろう。ゲーム中に得られるものでなくてはならない。ゲーム中にリソースを得られる領域は、基本的に3つある。1つ目は手札。カードを引けばリソースを得られる。2つ目は戦場だ。パーマネントを戦場に出すのでもよいし(おそらく特定のタイプやサブタイプを持つものになるだろう)、一定量のトークンを戦場に出すのでもよいし、あるいはパーマネント1つにカウンターを置くというのも考えられる。3つ目は墓地だ。カードを墓地に置くことや、墓地のカードをリソースとして利用するという形だ。それから最後にもう1つ、領域ではないのだが、あなた、つまりプレイヤーがカウンターを得るというものもある。
我々が最も共鳴を感じたのは、墓地だった。殺人ミステリーにおける探偵は、死亡したキャラクターである犠牲者とその過去を調べて、何があったのか解明しようとする。死亡したものも過去も、墓地によって表現されるため、それがしっくりきたのだ。証拠を「収集」するため、墓地からカードを取り除くというアイデアを我々は好んだ。他の「墓地をリソースとする」メカニズムとわずかに異なる空間を使うために、我々は追放するカードのマナ総量の合計を扱うことにした。当初は数字が6で固定されていたが、このメカニズムをプレイしていくうちに、証拠収集に調整可能なツマミをつける価値があることに我々は気づいたのだった。
本日私からご紹介するプレビュー・カードは、証拠収集を持つ1枚だ。以下をクリックして《陰謀の解明者》をご覧あれ。
クリックして「陰謀の解明者」を表示
ご覧のように、《陰謀の解明者》は証拠収集の数字が大きくなるとどれだけ大きな効果を発揮できるのかがわかる1枚だ。諸君がこれを使ってどんなデッキを組み上げるのか、楽しみにしている。
我々が言葉をもとにデザインした最後の1つは、「事件」だった。「~事件」と呼ばれるカードをこのセットに入れるというアイデアは、フレイバーにぴったりに見えたのだ。事件がエンチャントのサブタイプであることは明白に思えた。なぜエンチャントなのか? 事件も物事ではあるが、有形のものではない。それこそまさに、エンチャントがパーマネント・タイプとして果たす役割なのだ。では、事件は具体的に何をするべきだろうか?
1. それは「解明する」ものである必要があった
事件は基本的に探偵が取り組む仕事であり、その感覚を表現するために、プレイヤーであるあなたに何かを達成させなければならないと我々は考えた。
2. それには報酬が必要だった
プレイヤーに輪を飛び越えさせるのは楽しいものだが、そのためには動機が必要だ。何かを得られるようにしなければ、プレイヤーは他のことに時間を使うだろう。
3. それにはデッキに採用するに足る価値が必要だった
つまり条件付きで効果を発揮するかもしれないカードをプレイするだけでは十分な価値があるとは言えないため、事件を解明した後に何か他のことをするものでなければならなかった。
事件の全体的なデザイン空間は、我々がこれまでに試してきたものだった。初代『ゼンディカー』では、さまざまな「クエスト/Quests」のバージョンの中に、あなたがする必要がある3つのことと、それらをやり遂げた報酬が書かれたエンチャントのアイデアがあった。我々はそのバージョンのクエストを『エルドレインの王権』で再び試したが、日の目を見ることはなかった。『ニューカペナの街角』では、似たようなデザイン空間を使って「犯罪/Crimes」と呼ばれる新たなエンチャントのサブタイプを試したが、これも印刷には至らなかった。事件ではまた、異なるアプローチが試されたのだろうか?
以下に、我々が検討したことの一部をご紹介しよう。
- ミステリー/Mystery 6(あなたがカード1枚を引くかカード1枚を表向きにするたび、このカードの上に証拠(evidence)カウンター1個を置く。これの上に6個以上の証拠カウンターが置かれているなら、これは解明される。)
- 解明/Solve {4}(あなたは{4}を支払うとともに、墓地からクリーチャー・カード1枚とインスタントかソーサリーであるカード1枚とアーティファクト・カード1枚を追放してもよい。解明はソーサリーとしてのみ行う。)
- (証拠収集を行うとは、あなたの墓地からクリーチャー・カード1枚か、インスタントかソーサリーであるカード1枚か、アーティファクトか土地であるカード1枚を追放することである。それらはそれぞれ1回のみ行う。それらをすべて行うことで、この事件は解明される。)
- (事件が解明されていないなら、あなたの墓地からまだ証拠収集していないカード・タイプを持つカード1枚を追放することで、証拠収集を行う。カード3枚を集めれば、あなたはこの事件を解明したことになる。)
- あなたがカード1枚を引くたび、[カード名]の上に解明(solve)カウンター1個を置く。
- [起動コスト]:[能力]。[カード名]の上に3個以上の解明カウンターがなければ起動できない。
- あなたがカード1枚を引くたび、[カード名]の上に証拠カウンター1個を置く。その後、[カード名]の上に3個以上の証拠カウンターがあるなら……
- [カード名]は、解明カウンター3個が置かれた状態で戦場に出る。クリーチャー1体が死亡するかあなたが手掛かり1つを生け贄に捧げるたび、[カード名]からカウンター1個を取り除く。
- 各ターンのアップキープの開始時に、あなたは{1}を支払ってもよい。そうしたなら、[効果]、[カード名]の上に事件(case)カウンター1個を置く。
- [カード名]の上に3個以上の事件カウンターがあるとき……
- [条件]たび、[カード名]の上に事件カウンター1個を置き、[効果]。その後、[カード名]の上に4個以上の事件カウンターがあるなら……
- クリーチャー1体が死亡するたび、[カード名]の上に事件カウンター1個を置く。
- [カード名]から事件カウンター3個を取り除き、それを生け贄に捧げる:……
- [カード名]が戦場に出るに際し、あなたは証拠収集を行ってもよい。そうしたなら、[カード名]は解明カウンター1個が置かれた状態で戦場に出る。
- 解明N(この事件を生け贄に捧げるためには、示唆(hint)カウンターN個を必要とする。)
- あなたがカード1枚を引くたび、[カード名]の上に示唆カウンター1個を置く。その後、あなたはそれを解明してもよい。
- あなたが[カード名]を解明したとき……
- (この事件が戦場に出た際とあなたが1ターン中に2つ目の事件でない呪文を唱えるたび、解明カウンター1個を加える。Ⅲの章能力解決後に、これを生け贄に捧げる。)(これは英雄譚のバージョンだった。)
ご覧の通り、証拠収集と事件はしばらく混じり合っていた。最終的に、事件は3つの部分に分けることで最もよく機能すると我々は判断した。1つ目は、そのカードをプレイするに足るものにする「戦場に出たとき」の効果だ。2つ目はプレイヤーが事件を解明するために飛び越えるべき輪だが、これは1つに絞った。「クエスト」や「犯罪」での複数の目標を用意するという試みは、多すぎたのだ。3つ目は、事件解明の報酬だ。繰り返しになるが言葉は非常に重要なため、我々は「解明」と「解明完了」という言葉を織り込むことにした。
我々の言葉に注目する姿勢は主要なメカニズムだけに留まらなかった。他のトップダウン・デザインのセットと同様に、今回のセットは殺人ミステリーというジャンルのあらゆる面白さを表現した名前やカードのコンセプトにあふれている。
「ゲームが始まるぞ」
謎を解く最後のピースは、文字通りの謎解きだ。何年も前に、マイケル・ライアン/Michael Ryanと私が謎に満ちたマジックのセットを思い描いたことについては、先週話した(ウェザーライト・サーガの中でスタークが殺害されたときにやろうとしたのだ)。『カルロフ邸殺人事件』を発売計画に入れることを決めたとき、私はその中で謎を作ることを楽しみにしていた。それはシリーズ計画チームがこのセットを計画に加えた時点で、セットの構成要素として含まれていた。マーク・ゴットリーブが展望デザインとセット・デザインの共同リード・デザイナーを務めることになったのは、彼が謎解き制作の達人だからなのだ。大規模な謎解きを監督できる人物なら、彼しかいなかった。
マーク・ゴットリーブは自ら謎解き制作チームを発足し、マット・タバック/Matt Tabakとベラ・グオ/Bella Guo、そして私が加わった。我々の最初の目標は、その謎解きが何についてのものなのかを定めることだった。謎を解いて今回の物語で起きた殺人事件を解決するというのは簡単に思いついたが、犯人が明かされるという物語の重要な場面は、物語の中でやりたいというのがクリエイティブ・チームが重視していたことだった。そのため謎解きでは、我らが天才探偵アルキスト・プロフトが挑むサイド・ミステリーとなった。
ではどのように謎解きを構成すればよいか? そこでゴットリーブの長年にわたる謎解き制作の経験が活かされた。優れた謎解きには数多くの個別の謎と、それらをつなぎ合わせてできる大きな謎が必要だ。つまり、個々の謎の答え自体がまた謎となり、そして最終的な答えが明らかになるのだ。
我々はどのような形の謎解きが作れるか、ブレインストーミングに多くの時間をかけた。大きな制約となったのは、マジックは多言語で展開しており、どの謎も各言語で解けるものにしなければならないことだった。謎解きを制作したことがない諸君に伝えると、それは作れる謎解きの形が制限されるほどの複雑な問題だったのだ。
チームはまず、謎解きを作る上で使用できるツールを探すことに集中した。『カルロフ邸殺人事件』のメインセットに何かを隠すことはできるが、そこだけに制限されることもなかった。関連する製品なら(ほとんど)どれでも使えた。最終的に、我々は12の個別の謎とそれらの答えを使う13番目の大きな謎を作り上げた。謎解きに興味がある諸君は、ぜひRavnicaDetectiveAgency.comを訪れてみたまえ。プレリリースに最初の謎が公開され、残りは上記ウェブサイトにて1日1つずつ公開されていく。
「事件が始まる」
本日はこれで以上だ。我々がまとめ上げたセットやあらゆる謎に、私は心躍らせている。諸君がこのセットをプレイし、謎を解く日を心待ちにしている。いつもの通り、この記事や『カルロフ邸殺人事件』、それから登場する謎に関する意見を、メール、各ソーシャルメディア(X(旧Twitter)、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『カルロフ邸殺人事件』のカード個別のデザインの話でお会いしよう。
その日まで、あなたが探偵帽をかぶっていますように。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
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