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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

『戦争』行為 その1

Mark Rosewater
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2022年10月31日

 

 諸君、『兄弟戦争』のプレビュー第1週にようこそ! 今日は展望デザイン・チームを紹介し、このセットの展望デザインの話を解説し、そしてクールなプレビューカードをお見せする。それでは早速はじめよう。

『兄弟戦争』委員会

 慣例通り、デザイン・チームのリード、今回は『兄弟戦争』の展望デザインのリードを務めたアリ・ニー/Ari Niehに、そのチームを紹介してもらおう。

マーク・ローズウォーター/Mark Rosewater

 この人のことは知っているでしょう。マークはチームリーダーとしての技術で最も有名ですが、デザイン・チームに参加する個人としても有能です。創造性の方法論の達人として、彼は新奇で革新的なアイデアを私が知る誰よりも速く生み出すことができます。マークはまたプレイヤーの要望に深く沿っていて、私たちが計画していることがユーザーを興奮させられるかどうかを確実に教えてくれます。

エミリー・テン/Emily Teng

 『兄弟戦争』の世界構築展望リードとして、エミリーはテリシアやその住人や物語上の出来事の全体的な展望を監督しました。『神河:輝ける世界』でエミリーとともに働いていたので、私は彼女がゲームのメカニズムとフレイバーの相互変換の達人だということを知っていました。彼女は、チームが、ファンたちがずっと待っていた豊かで魅力的な物語を伝えるカードの基礎を作る助けになったのです。

カズ・ネグリ/Kazu Negri

 プレイデザイナーのカズは、先行デザイン・チームに豊かな競技経験をもたらしました。私たちがセットで未知の新しいメカニズム空間を掘り下げるとき、私たちはそれらのメカニズムがスタンダードその他の競技フォーマットにどれだけ「的中」するかを知りたいと考えます。カズは、楽しめるリミテッドや構築のプレイのためにバランスを取れるのは何なのかを私が理解することを助けてくれました。

ケン・ネーグル/Ke Nagle

 開発部のベテランとして、ケンはどのデザイン空間に実りが多いかの鋭い直感を育ててきました。彼のアイデアは、純粋に楽しく魅力的なゲームプレイの深い井戸を引き出しています。

ノア・ミルロッド/Noah Millrod

 ノアは面白くて独創的なアイデアを持つ、多才なデザイナーです。彼はデザイン上の問題に対し、他の誰も考えないような賢明な角度を必ず見つけ出してくれるので、彼と一緒に働くのはいつでも楽しいのです。

イーサン・フライシャー/Ethan Fleischer

 セットをリードした経験が豊富なグレート・デザイナー経験者として、イーサンは私の開発での初期の指導者であり、私がレベルアップするのを助けてくれました。『兄弟戦争』では、彼はマジックの小説すべてを読んでいたので、いつも以上に価値ある存在でした! 彼の物語に関する網羅的知識は私たちが長年のファンが愛してきた物語に忠実なセットを作る助けになり、さらに古くからのヴォーソスを満足させる切り口を提供しました。

ヨニ・スコルニク/Yoni Skolnik

 『基本セット2020』と『ストリクスヘイヴン:魔法学院』で成功を収めた直後に、ヨニは『兄弟戦争』のセットデザイン・リードを務めました。彼のチームが何か月も掛けてカードの素案のファイルを私たちの提供した道具を使って完璧なものにするので、他の誰にも増して、彼が私たちが選んでメカニズムの柱に満足してくれるようにする必要がありました。の独特の論理構成と超越的な洞察力を持つヨニは、これらの計画を徹底的に解決していくための理想的な協力者なのです。

ブライアン・ホーレイ/Bryan Hawley

 デザイナーたちの技量ある指導者として、ブライアンは開発部のデザイン工程を完全に理解しています。彼はどのセットが進行中でどう進化しているかを答えることができるのです。そのため、彼はよく展望デザインの終盤、提出直前の1~2か月の間、チームに所属することがあります。彼からの評価は落とし所を定める上でこの上ない助けになりました。

アリ・ニー/Ari Nieh

 私がマークの指導の下で開発部で働き始めてすぐ、私は『兄弟戦争』を進めることになるプロトタイプを作りました。1年と少しの変更を経て、私は、技量あるベテランたちのチーム、『神河:輝ける世界』のカード・ファイルの管理経験、弛まぬ創造への意欲を身に着けました。プレイヤーが一目惚れするようなセットを作り始める準備ができたのです。

『兄弟戦争』計画

 『兄弟戦争』は最初、本流のセットではなくサプリメント・セットとして作られる予定だった。(イーサン・フライシャーと私がマジック・ハッカソンで売り込んだ)初代『モダンホライゾン』の成功を踏まえて、プロデューサーのマーク・グローバス/Mark Globusはイーサンにドラフト可能なサプリメント・セットのアイデアを提案するように求めた。イーサンは熱心なプレイヤーに刺さる一方で本流のセットでは問題があるようと思われるテーマを探した。そして、濃いアーティファクトというテーマを思いついたのだ。本流のセットでは扱いにくいことがわかっているので、彼は『兄弟戦争』と『清純なるミラディン』を提案した。イーサンはマジックの物語の大ファンで、これらのセットのアイデアに興奮するユーザーがいるだろうと感じたのだ。

 数週間後、週例のアーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheと私の1対1の会議(マネージャーとその直属の部下は週1回話し合うのだ)で、兄弟戦争のセットというアイデアについての私の意見が求められた。私は、それは素晴らしいアイデアだと答えた。『アンティキティー』でその物語を扱ってはいたが、それは時が流れて発掘された品々を見た考古学者の解釈を通してのものだった。ジェフ・グラブ/Jeff Grubが兄弟戦争の小説を描いていたが、マジックはその戦争の出来事を(ほんの数枚の例外を除いて)カードで描いてはいなかったのだ。プレイヤーが長年にわたって待望している、アシュノッドやギックスといったカード化されたことのないキャラクターも何人もいた。

 アーロンは次に、本流のセットにできると思うかどうか聞いてきた。私は、もちろん、と答えたのだ。我々は大きな物語の流れ(マジックのセットは通例現在を舞台にしている)に当てはめる方法を考えなければならなかったが、素晴らしいセットにするための材料は揃っていた。アーロンも本流のセットにしたいと考えていたが、予定に入れる前に証明する必要があるということで私に試作版を作る任が与えられた。私は1か月ほどで、このセットができる可能性を示せるプレイ可能なデモを作ることになった。

 そこで、グレート・デザイナー・サーチ3に優勝してウィザーズで働き始めたばかりのアリ・ニーに協力を求めた。私が立てた作戦は、まずウルザとミシュラのそれぞれに60枚のデッキを作ることだった。各デッキはそれぞれ、異なるメカニズムを使うことができた。ウルザのデッキは白青で、ミシュラのデッキは黒赤だろう。それらのデッキには大量のアーティファクトが必要だ。マナ・コストは不特定マナで、ルール文中には色が含まれうる。各デッキには兄弟のそれぞれを表す合体カード1枚があって、1枚は兄弟の伝説のクリーチャーで、もう1枚は変身に関連する品物なのだ。アーロンと私は兄弟の合体バージョンを作ることを考え、アーロンはそれにかなり興奮していたので、私はデッキに採用する必要があると思った。

 ウルザのデッキに関しては、私は、Aの第2面やBの第2面を持つカードという合体/宿主-拡張の変種を提案した。Aの第2面は(拡張のように)誘発条件を持ち、Bの第2面は(宿主のように)効果を持つ。Aの第2面はどのBの第2面とも合体できるのだ。これは、コモンで合体能力を成立させられるようにする試みだった。ウルザの発明家としての創造性の示し方として私はこれが気に入ったのだ。この最初の試作版では、このメカニズムはアーティファクトだけが持っていたと思う。ミシュラのデッキに関しては、アリが蘇生の再録を提案した。兄弟戦争の物語は過去のものをリソースとして掘り出すことが重要だった。(兄弟のどちらもスランの技術のの多くを使っていた。)ミシュラはファイレクシアの影響を受けていたので、ミシュラのデッキではファイレクシア・マナも使った。

 アリと私はこれらのメカニズムを使い、『アンティキティー』のカードに言及していくらかのカードをデザインし、そしてアリがデッキを作成した。彼女は彼女の上司のマーク・ゴットリーブ/Mark Gottliebに相談して評価をもらった。彼女はプレイデザイナーの1人であるドナルド・スミス/Donald Smithに相談してカードのバランスを取った。そして、彼女と私はそのデッキでプレイした。私は彼女に多くの指摘を与えた。彼女はそのデッキで多くの他のデザイナーとプレイし、さらに多くの指摘を集めた。彼女はそれらの指摘を解決するためにカードを調整し、そして最後に私とプレイした。この時点で、私はこれならアーrとプレイしていいと確信したのだ。彼はいい評価を下した。そして、アーロンはこれをケン・トループ/Ken Troopとビル・ローズ/Bill Roseに見せた。彼らも高評価を下した。そして、正式に、本流のセットの予定に組み入れられることになった。私はデモ・デッキで良い働きをしたアリに展望デザインのリードを任せることにしたのだった。

現在の『兄弟戦争』

 先行デザインと展望デザインはデモ・デッキでアリと私がしたことに基づいて始まった。合体/宿主-拡張カードは最終的にいくつもの変更を経ることになった最終的に、すべてアーティファクトにするのではなく、1枚はアーティファクトでもう1枚は呪文であるようにした。アーティファクトは誘発条件を持つA側で、B側は呪文だったと思う。その呪文を唱えたとき、そのアーティファクトが戦場にある場合、合体するのだ。クールなメカニズムではあったが、あまりにも孤立的で、またプレイデザインが構築の競技レベルのマジックに適用するのは難しいと判断された。また、統率者戦で使うのも難しかった。これらの理由から、ボツになったのだった。

 初期デザインのほとんどの期間、蘇生はファイルにあった。最終的にはこの後話すメカニズムのためにボツになったが、そのメカニズムがうまくいかなかった時の予備として留め置かれたのだ。(実際、うまくいかなかった。)ファイレクシア・マナも、不必要だと考えられて(バランスを取るのも難しかったので)、打ち捨てられた。

 以下が展望デザイン提出文書に記されたすべてのメカニズムである。

試作

 このメカニズムは、違う形でデザインされるアーティファクトのフレイバーを再現しようとしてできたものである。試作には、私たちが気に入った2つの機能があった。1つ目が、アーティファクトに2種類の状態を与え、興味深いプレイパターンをもたらすこと。2つ目が、2種類目の状態には色マナを含めることができること。私たちの目的はすべてのマナ・コストを不特定マナにすることだったが、一方で通常のアーティファクト・テーマにある最強のカードすべてをデッキに突っ込むだけという問題を避けたいと考えていた。有色部分を小さい方にすることで、カードを多目的に使えるようにするけれども色マナによる縛りをかけることにしたのだ。そして、「試作/prototype」という名前を思いつき、そのまま採用された。

 提出時点でのテンプレートはこうだった。(ほぼ同じと言っていい。)

試作N(これを試作コストで唱えてもよい。そうしたなら、これはX/Yである。)

パワーストーン

 パワーストーンはこれと並行にデザインされた部分がある。最初のデモ・デッキのブレインストーミングをしていたときに魔力貯蔵器のアイデアが出たが、それをどうするべきかは決まらなかった。一方、デザイナーのザック・エルシック/Zak Elsikが、『団結のドミナリア』のためにパワーストーン・トークンを考えだした。イーサンとアリは『団結のドミナリア』でそれを生成し、その後『兄弟戦争』でそれをもっと使うという方針に同意した。展望デザイン提出文書で提出されたバージョンはこうだった。

パワーストーン・トークン1個を生成する。(それは「{T}:{C}を加える。このマナは呪文を唱えるためには支払えない。」を持つアーティファクトである。)

 これの最終形への変遷については、来週詳しく語ろう。最初の計画では、『団結のドミナリア』の数枚のカードで登場して、『兄弟戦争』ではより多く使う、という予定だったが、最終的に、カーンだけで使うことになった。

合体

 最初のデモ・デッキにあった合体版のウルザとミシュラのカードは大正解だったので、採用することは決まっていた。我々は3種類目となるティタニアを入れ、高レアリティの合体カードに5色すべてが存在するようにした。合体/宿主-拡張カードがボツになっても、我々は低レアリティの合体カードを模索していた。実際、展望デザイン提出文書では、コモンに5組の合体カードがあった。宿主や拡張のようなカードで試していたのと同じ構造を使っていた。組の片方はアーティファクト・クリーチャーで、2枚目はインスタントやソーサリーだった。このバージョンでの違いは、好きな順番で唱えられるということだった。呪文を唱えてからクリーチャーをプレイした場合、その呪文が墓地にあるかぎり、合体が起こるのだ。フレイバー的には、そのアーティファクト・クリーチャーも呪文も戦争に関係していないという考えが気に入っていた。ウルザとミシュラは民生品を使い、戦争の道具に変えてしまうのだ。来週、なぜこれがセットデザインでボツになったかの話をしよう。

屑鉄/scrap

 ウルザとミシュラの物語は、過去の品物を掘り出し、それを彼らの現代のデザインに合わせることが主眼になる。それを元に、我々は屑鉄というメカニズムを思いついた。アーティファクトが持つ能力で、墓地にあるそれをコストとして追放して、その能力を戦場にある自軍のアーティファクトに持たせることができるのだ。展望デザインで提出したテンプレートはこうだった。

屑鉄 N(N, あなたの墓地にあるこのカードをソーサリーとして追放する:アーティファクト1個を対象とする。永続的にそれはこれのこれ以外のすべての能力を得る。)

 屑鉄はクリーチャーも非クリーチャーも保てたが、アーティファクトに限られていた。それらのカードはそれ自身でも機能するが、破壊されたあとでその能力だけを復活させること大ができるのだ。ここで例を挙げる。

〈網罠のゴーレム〉(アンコモン)
{4}
アーティファクト・クリーチャー ― ゴーレム
3/3
このアーティファクトがタップ状態になるたび、あなたは{2}を支払ってもよい。そうしたとき、クリーチャーやアーティファクトのうち対戦相手がコントロールしている1つを対象とする。それをタップする。
屑鉄{2}{W}({2}{W}, あなたの墓地にあるこのカードをソーサリーとして追放する:アーティファクト1個を対象とする。永続的にそれはこれのこれ以外のすべての能力を得る。)

 屑鉄は楽しいメカニズムだったが、変容同様、かなりの複雑さの問題があった。複雑すぎるなどの実装上の問題がありうることは認識していたので、我々は蘇生を代替として記載しておいたのだ。

強襲

 展望デザインはもう1つメカニズムを再録した。『兄弟戦争』はアーティファクト・クリーチャーの戦闘が中心なので、その対立を表すメカニズムを入れるのはいいと考えたのだ。試作も屑鉄も代替コストを使うので、単純な戦闘関連メカニズムがいいと考えた。このメカニズムはセットデザインでボツになった。

 これらのメカニズム以外に、展望デザイン・チームが重要だと書き出したものがいくつかある。

3つの章

 『兄弟戦争』というセットは、セット内で物語を具体化した『灯争大戦』を元にしている。ただし、『灯争大戦』の舞台は1日だけだった。『兄弟戦争』は何十年にも及ぶ。展望デザイン・チームは、クリエイティブ・チームと協力のうえ、物語を3つの章に区切った。

  • 子供時代 ― 兄弟がともに成長し、分裂をもたらす大発見をする。
  • 成人時代 ― 状況がエスカレートし、何十年も続く戦争に発展する。
  • 最終戦争 ― 戦争を終わらせ、ドミナリアを永遠に変質させる究極の事件を目撃する。

 これらの3つの章は均等に扱われるのではなく、時間的にも長くなる真ん中の章でほとんどのカードを使う。

事件のトップダウン・デザイン

 物語上の重要なポイントは大量にあり、我々はそれらをセット内のカードで描きたいと考えた。展望デザイン・チームは、見たいものすべてのリストを作った。

  • 羽ばたき飛行機械の製造 ― 興奮
  • パワーストーンの分割 ― 嫉妬
  • トカシアが死ぬ、パワーストーンの闘い ― 怒りから後悔
  • 羽ばたき飛行機械の空爆 ― 裏切り
  • クルーグの破壊 ― 苦悩
  • ギックスが門から現れる ― 恐怖
  • アシュノッドがタウノスを解き放つ ― 愛
  • アシュノッドとミシュラの対立 ― 裏切り
  • ロランがテリシア市から酒杯を奪回する ― 絶望
  • ウルザとミシュラの最後の対立 ― 復讐
  • 衝撃の後で ― 自責
  • クルーグの生き残りをカイラが率いる ― 希望

 セットデザイン・チームはクリエイティブ・チームと協力して、他のいくつかの出来事を追加した。

伝説のクリーチャーとそれに関わるカード

 展望デザイン・チームは、物語上重要でプレイヤーがカード化を望んでいるキャラクターのリストも作った。

第1類:最優先で登場させる
  • ウルザ
  • ミシュラ
第2類:強調することが重要
  • カイラ・ビン・クルーグ
  • タウノス
  • アシュノッド
  • ギックス
  • ロラン
  • ティタニア
第3類:登場させるべきだが焦点を当てることは重要ではない
  • ハジャー
  • フェルドン
  • ハーキル
  • ドラフナ
  • 最高機構長
  • トカシア
  • レイモス

 ウルザとミシュラは、若い日の彼らを描いたアンコモン、成人期の彼らを描いたレア、戦争の最終局面での姿を描いた合体カードからなる垂直サイクルにすることが決まっていた。他のキャラクターはそれぞれ1枚ずつになる。(ロランは2枚。)加えて、彼らの多くには、それぞれにとって重要な品物や呪文や場所や物語上の場面があり、それらもカード化すべきである(後述)。物語上の場面については、セットデザイン・チームはクリエイティブ・チームと協力して、他のキャラクターを追加した。

物語の中心になる品物と場所

 展望デザイン・チームはカード化すべきと考え た品物や場所を書き出した。

品物
  • ゴーゴスの酒杯
  • マイトストーンとウィークストーン
  • ファイレクシアへの門
  • サヒーリとテフェリーの時間渡航機
  • ドラゴン・エンジン
  • 羽ばたき飛行機械
場所
  • トカシアのキャンプ
  • コイロス
  • アルゴス

 これらについても、セットデザイン・チームやクリエイティブ・チームが追加した。

再録カードと連想させるカード

 最後に、展望デザイン・チームは、最初に兄弟戦争について触れたマジックのエキスパンション『アンティキティー』を連想させるカードをいくらか入れたいと考えた。カードの多くは直接再録するには弱すぎたり強すぎたりしたので、それらに言及した新しいバージョンが多く作られることになった。再録できる数枚は再録された。

 最後に、展望デザイン・チームが作った、さまざまなデザインがあった。

色の組み合わせ

 『兄弟戦争』は陣営セットではないが、物語上の陣営は存在し、色に対応している。

  • ウルザ(青白黒)
  • ミシュラ(赤黒青)
  • 第三の道(白青緑)
  • ギックスの兄弟(黒青)
  • アルゴス(緑赤)
挑戦

 これはこれら5つの陣営の目標を表すレアの、インスタントやソーサリーのサイクルである。

〈ファラジの挑戦〉
{6}{R}{R}
ソーサリー
速攻を持つ赤の2/2の戦士・クリーチャー・トークン5体を生成する。
対戦相手があなたより多くの土地をコントロールしているなら、これを唱えるためのコストは{3}少なくなる。

兄弟の競争

 兄弟の対立を表す、鏡像関係にある呪文の組が存在した。

〈ウルザの根気強い調査〉
{3}{W}
エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、カード1枚を引き、これの上に調査カウンター1個を置く。その後、これの上に3個以上の調査カウンターがあるなら、これを生け贄に捧げる。

〈ミシュラの衝動的な調査〉
{1}{R}
ソーサリー
あなたのライブラリーの一番上にあるカード3枚を追放する。ターン終了時まで、これにより追放されているカードをプレイしてよい。)

 これらの呪文は似た効果を持つが、全く違う形で行なわれている。これらは垂直サイクル(コモン、アンコモン、レア)2組が作られた。

工学的発展

 時の経過と、ウルザやミシュラが武器をどう進化させたかを描く数枚の呪文がある。

羽ばたき飛行機械
{0}
アーティファクト・クリーチャー ― 飛行機械
0/2
飛行

〈強化羽ばたき飛行機械〉
{2}
アーティファクト・クリーチャー ― 飛行機械
1/2
飛行
これが対戦相手1人に戦闘ダメージを与えるたび、{1}{U}を支払ってもよい。そうしたなら、飛行を持つ無色の1/1の飛行機械・アーティファクト・クリーチャー・トークン1体を生成する。

 上記全てはセットデザインに提出された。来週は、完成したセットに至るまでの多くの変更を見ていこうと思う。

 今日の締めくくりの前に、物語の各章から1枚ずつ、合計3枚のプレビュー・カードをお見せしよう。

 1枚目は、師匠トカシアの死と戦争の始まりにつながる、ウルザとミシュラの初期の対立を描いたカードだ。

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通常版、拡張アート版

 

 次は、ウルザとミシュラが戦争を続ける必要がある、拡大し続ける軍隊を描いたカードである。プレイヤーから、メカニズム的に兵士を扱うカードをもっと増やしてほしいという要望が大量に届いていて、これはそれに応えるカードとなる。

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通常版、拡張アート版

 

 最後に、この物語の終わりに、プレインズウォーカーになったウルザに何が起こったのかをお見せしよう。

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通常版、拡張アート版

 

『兄弟戦争』の終わり

 本日はここまで。『兄弟戦争』の展望デザインについての話を楽しんでもらえたなら幸いである。今日の記事や私の話した内容に関する意見があれば、メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrInstagramTikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『兄弟戦争』のセットデザインを解説する日にお会いしよう。

 その日まで、あなたが兄弟ともう少し仲良くなれますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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