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Making Magic -マジック開発秘話-
『団結のドミナリア』デザイン演説 その2
2022年9月5日
先週、『団結のドミナリア』のカード個別のデザインの話を始めた。今回(と次回)も、その話を続けていく。
《甦りし悪夢、ブレイズ》
ブレイズの初登場は『オデッセイ』で、陰謀団のために働く狂気の術師としてだった。
彼女のカードは非常に好評で、適正なフォーマットでは使われ続けている。後に『次元の混乱』で、陰謀団に入らなかった場合の彼女の姿を描いたもう1つの現実カードが作られた。
ブレイズは『団結のドミナリア』でも再登場するが、大きく変わっている。最初のバージョンはこうだった。
〈次元の住人、ブレイズ〉(バージョン #1)
{2}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・ナイトメア
3/3
各プレイヤーのターンの開始時に、そのプレイヤーは土地でないパーマネント1つを生け贄に捧げるか、カード1枚を捨てる。その生け贄に捧げられた、あるいは捨てられたカードが歴史的なら、そのプレイヤーは2点のライフを失い、[カード名]のコントローラーは2点のライフを得る。
最初のこのバージョンのブレイズは、もとの彼女のカードに近いものに保たれていた。上述の通り、そのカードはよくプレイされていたので、彼女の新しいカードも同じような雰囲気になるようにデザインしたのだ。このバージョンでは生け贄に捧げるだけでなく手札から捨てることもできて、展望デザインが再登場させることを計画していたメカニズム、歴史的との関係もあった。
〈次元の住人、ブレイズ〉(バージョン #2)
{3}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・ナイトメア
3/3
[カード名]が戦場に出たとき、各対戦相手の手札を見る。あなたが[カード名]をコントロールし続けているかぎり、各対戦相手の手札にあるクリーチャー・カードそれぞれ1枚を追放してもよい。これにより追放された各カードにつきそれぞれ、ナイトメアでもあり「あなたが[カード名]という名前のクリーチャーをコントロールしていないなら、このクリーチャーを生け贄に捧げる。」を持つことを除きそのカードのコピーであるトークン1つを生成する。
次のこのバージョンでは、違う方向性を探り始めた。これは、彼女の狂気の召喚者という部分を扱っている。彼女は対戦相手の手札からクリーチャーを「盗み」、ナイトメアにしてしまうのだ。これは強力な効果なので、対戦相手が脅威に対策できるよう、ブレイズが戦場に残っていなければならないようにデザインされている。
〈次元の住人、ブレイズ〉(バージョン #3)
{2}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・ナイトメア
2/2
あなたのアップキープの開始時に、アーティファクトやクリーチャーやプレインズウォーカーのうち1つを生け贄に捧げる。その後、それのマナ総量に等しい数のパワーストーン・トークンを生成する。(それらは「{T}:{C}を加える。このマナは呪文を唱えるためには支払えない。」を持つアーティファクトである。)
{X}{B}, {T}, [カード名]を追放する:カードX枚を切削し、その後、あなたの墓地にありマナ総量がX以下である、アーティファクト最大1つとクリーチャー最大1体とプレインズウォーカー最大1体を戦場に戻す。
この第3バージョンは、また違う方向性に向かっている。これは、自分のリソースをパワーストーン・トークンに変換し、2つ目の能力でそれらのパワーストーン・トークンを使って自分の墓地から戦場に特定のパーマネントを戻すことができるようになっている。おそらくこれは、狂気の召喚というものの別の捉え方だと思われる。この時点では、『兄弟戦争』への「前フリ」としてセット内でパワーストーン・トークンを大きく取り上げようとしていたことを指摘しておくべきだろう。パワーストーン・トークンはさまざまな変更を経ることになった。(これについては『兄弟戦争』のプレビューで語ることになるだろう。)このデザインでは、その初期のバージョンを使っていた。
〈次元の住人、ブレイズ〉(バージョン #4)
{2}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・ナイトメア
2/2
あなたのアップキープの開始時に、アーティファクトやクリーチャーやプレインズウォーカーのうち1つを生け贄に捧げる。その後、それのマナ総量に等しい数のパワーストーン・トークンを生成する。(それらは「{T}:{C}を加える。このマナは呪文を唱えるためには支払えない。」を持つアーティファクトである。)
壮大 ― {X}{B}, 「[カード名]」という名前でこれでないカード1枚を捨てる:あなたの墓地にありマナ総量がX以下であるアーティファクト・カード1枚を戦場に戻し、その後、同じことをクリーチャーとプレインズウォーカーについても行う。
次のこのバージョンでは、『未来予知』のキーワード能力(訳注:正しくは能力語です)で、同名の伝説のクリーチャーを捨てることで効果を発生させることができる壮大が追加されている。このカードでの壮大の使われ方は、このカードでしたいことをするために2枚目が必要になるという点で望ましくないと思う。
〈次元の住人、ブレイズ〉(バージョン #5)
{2}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・ナイトメア
2/2
{T}, これでないクリーチャー1体を生け贄に捧げる:あなたの墓地にありマナ総量が1にその生け贄に捧げられたクリーチャーのマナ総量を足した値であるクリーチャー・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。そのクリーチャーは、他のクリーチャー・タイプに加えてナイトメアでもある。この能力はソーサリーとしてのみ起動できる。
この第5バージョンは、『レジェンド』の《地獄の番人》というカードで初登場した、クリーチャーを生け贄に捧げて墓地にあるクリーチャーを戦場に戻すというメカニズムを調整したものだった。《地獄の番人》と違い、このデザインは生け贄に捧げたクリーチャーと戻すクリーチャーの大きさに関連性を持たせている。フレイバーのためにナイトメアのクリーチャー・タイプを持たせているが、それを簡単に把握する方法は提供していなかった。
〈次元の住人、ブレイズ〉(バージョン #6)
{2}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・ナイトメア
2/2
あなたのアップキープの開始時に、アーティファクトやクリーチャーのうち1つを生け贄に捧げ、その後、以下から1つを選ぶ。
・あなたの墓地にありマナ総量が1にその生け贄に捧げられパーマネントのマナ総量を足した値でありアーティファクトかクリーチャーであるカード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。
・パワーストーン2個を生成する。(それは、「{T}:{C}を加える。このマナを呪文を唱えるために支払うことはできない。」を持つアーティファクトである。)
次のこのバージョンは、これまでの複数のバージョンを、今回はモードを持つ「戦場に出たとき」(ETB)の効果として組み合わせたものである。生け贄のコストが基本の効果に組み込まれているのはうまいと言える。このバージョンでは、過去のバージョンに戻って、生け贄にできるものがアーティファクトやクリーチャーに拡張されている。
〈すべてを生け贄に〉(バージョン #7)
{3}{B}{B}{B}
ソーサリー
あなたがコントロールしているすべてのパーマネントを生け贄に捧げる。あなたのライブラリーの一番上にある、それと同数のカードを公開する。これにより公開されたすべての土地・カードを戦場に出す。これにより公開された望む数の呪文を唱える。その残りをあなたの墓地に置く。
ここで、セットデザイン・チームは少しばかり過激なことを試した。ブレイズを伝説のクリーチャーではなく、彼女が与える被害を表す呪文にしたらどうなるか。大規模なパーマネントの転換は赤ですること(であり、赤には珍しくて奇妙な効果が必要)なので、このデザインは黒というよりも赤だと思われる。
〈次元に閉ざされしもの、ブレイズ〉(バージョン #8)
{1}{B}
伝説のクリーチャー ― ナイトメア・ウィザード
2/1
あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を公開し、その後、パーマネント1つを生け贄に捧げる。あなたが土地・カードを公開し、土地を生け贄に捧げたなら、その公開したカードを戦場に出す。あなたが土地でないカードを公開し、マナ総量がそれ以下であるパーマネントを生け贄に捧げたなら、その公開したカードをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。これによりカードを戦場に出すことも呪文を唱えることもなかったなら、カード1枚を引く。
セットデザイン・チームは正気に戻り、「いや、プレイヤーはブレイズの新カードを求めているんだ」と気が付いてクリーチャーに戻している。このカードは、1つ前と同じく、黒というよりも赤寄りになっている。転換は黒よりも赤だが、赤では通例このカードよりもコントロールが効かない。ここでチームは、もっとブレイズのメカニズム範囲に戻すべきだと判断し、パーマネントを生け贄に捧げて対戦相手にも同じことをさせるという現在のデザインに移行した。そしてブレイズのマナやサイズを大きくした。
このカードのためにアーティストに送られたアート指示はこうなっている。
舞台:ドミナリア
色:黒のマナに関わるクリーチャー
場所:添付した参考資料と132-133ページを元にした陰謀団の寺院。
行動:陰謀団の新首領となったブレイズ(p. 375)の紹介。彼女はかつては人間だったが、今は、手や泣き叫ぶ顔へと剥がれ落ちる渦巻く闇の悪夢のエネルギーの身体をしており、香炉のように内側から光っている。今回、彼女はその邪悪なしもべから召喚されたばかりである。彼女は尊大に、狂気の嘲笑を浮かべており、儀式の間に頭が弾け飛んだ彼女の信奉者に囲まれていて、その首からは煙が立ち上っている(血はなしでお願いします)。信奉者はp. 139をもとにした制服を着ている。
焦点:ブレイズ
雰囲気:狂った邪悪
《傲慢なジン》
次のこのカードは、多くの変更を経ているので面白い話がある。
〈歴史書〉(バージョン #1)
{1}{U}
アーティファクト
{2}, {T}:カード1枚を引き、カード1枚を捨てる。
{2}, {T}, あなたがコントロールしているアンタップ状態の歴史的パーマネント2つをタップする:カード1枚を引く。
レアのクリーチャー《傲慢なジン》は最初、アンコモンのアーティファクトとして作られた。基本的には、ルーター効果(引いて捨てる)か、充分な歴史的カードがあるならカードを引くかができる。ブレイズ同様、このセットには、開発初期の展望デザイン中、歴史的が存在していた。
〈対策探し〉(バージョン #2)
{3}{U}{U}
インスタント
紋章的 ― あなたがこの呪文の持たない色1色であるパーマネントをコントロールしているなら、代わりにカード4枚を引く。
次のこのカードのこのバージョンはアーティファクトからインスタントに変わった。また、歴史的メカニズムを使うのを止めて紋章的/emblemishメカニズムを使っている。これは展望デザイン中に試していたが(歴史的同様)セットデザインには引き継がれなかったものである。紋章的は、他の色をプレイする(ルール的に言えば他の色のパーマネントをコントロールしている)ことで利益を得られるようにする能力語である。このカードはカードを引くカードのままだが、使い捨ての呪文なので一度に引く枚数は増えている。
〈対策探し〉(バージョン #3)
{3}{U}{U}
ソーサリー
カード3枚を引く。選別{3}({3}, このカードをあなたの手札やあなたの墓地から追放する。占術2を行う。これがあなたの手札から追放されたなら、カード1枚を引く。)
3つ目のバージョンで、カード・タイプも3つ目、使うメカニズムも3つ目だ。このカードはカッドを引く呪文ではあるが、今回はソーサリーになった。今回は、サイクリングを元にして墓地からも使えるようにした選別/siftを使っている。選別は、展望デザインが円滑化メカニズムとして試みたものである。
〈タトヨヴァの知恵〉(バージョン #4)
{2}{U}
ソーサリー
キッカー{G}(この呪文を唱えるに際し、追加で{G}を支払ってもよい。)
カード2枚を引く。[カード名]がキッカーされていたなら、このターン、あなたは追加の土地1つをプレイしてもよい。
このカードはソーサリーのままだが、4つ目のメカニズム、キッカーを試している。このバージョンはおそらく初期のセットデザインのものだろう。エリック・ラウアー/Erik Lauerたちは、色違いのキッカーをいつどのように使うべきか試していた。このデザインはアンコモンと言うよりもコモン寄りだろう。(ただし、この時点でこのカードはアンコモン枠のままである。)
《睡眠》(バージョン #5)
{2}{U}{U}
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールしているすべてのクリーチャーをタップする。それらのクリーチャーは、次のそのプレイヤーのアンタップ・ステップにアンタップしない。
次は、デザイン・チームはこのスロットに再録カードを入れることを検討した。《睡眠》は『基本セット2010』で初登場し、いくつもの基本セットに再録されたトップダウン・デザインである。
〈四十の瞬き〉(バージョン #6)
{U}
ソーサリー
キッカー{2}{U}(この呪文を唱えるに際し、追加で{2}{U}を支払ってもよい。)
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールしているすべてのクリーチャーは、次のそのプレイヤーのアンタップ・ステップにアンタップしない。[カード名]がキッカーされていたなら、クリーチャー最大3体を対象とする。それらをタップする。
このバージョンも封鎖系ソーサリーだが、キッカーを持つ単色カードになっている。ここでは、通常は1つの効果に含まれる2つの要素を分けて、一方の効果だけが必要なら軽く唱えられるようにするというキッカーの面白い使い方をしている。
〈フェアリーの群れ〉(バージョン #7)
{3}{U}
ソーサリー
あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるカード1枚につき1体の、飛行を持つ青の1/1のフェアリー・クリーチャー・トークンを生成する。
この第7バージョンは、まったく新しい方向に向かっている。フェアリー・クリーチャー・トークンを生成するが、それは大量のインスタントやソーサリーをプレイすることによって利益を得られるようになっている。これは、クリーチャーがクリーチャー・呪文に近づくことを連想させるものである。なお、デザインで比率を考える際は、クリーチャー・トークンを作るカードは、クリーチャーとして数えている。
〈フェアリーの群れ〉(バージョン #8)
{2}{U}{U}
ソーサリー
キッカー{W}(この呪文を唱えるに際し、追加で{W}を支払ってもよい。)
あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるカード1枚につき1体の、飛行を持つ青の1/1のフェアリー・クリーチャー・トークンを生成する。この呪文がキッカーされていたなら、代わりに、あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるカード1枚につき1体の、警戒を持つ白の2/2の騎士・クリーチャー・トークンを生成する。
次のこのバージョンでは、2種類目のクリーチャー・トークンを生成する白のキッカーが追加されている。おそらくこれは、当時の白青のドラフト・アーキタイプのテーマを扱っていたのだろう。
〈新アルガイヴのドレイク〉(バージョン #9)
{1}{U}{U}
クリーチャー ― ドレイク
*/4
キッカー{3}{W}(この呪文を唱えるに際し、追加で{3}{W}を支払ってもよい。)
飛行
[カード名]のパワーは、あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるカードの枚数に等しい。
[カード名]が戦場に出たとき、この呪文がキッカーされていた場合、代わりに、あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるカード1枚につき1体の、警戒を持つ白の2/2の騎士・クリーチャー・トークンを生成する。
このカードはついにクリーチャーになった。1つ前のバージョンとそう大きく変わっていないが、(呪文の本体として)変数体のクリーチャー・トークンを生成するのではなくパワーが変数であるクリーチャーになっている。また、この呪文が何を表すのかが決まっていなかったので、クリエイティブは変わり続けていた。フェアリーからドレイクになったのは、*/4がフェアリーらしくなかったからだろう。
〈新アルガイヴのドレイク〉(バージョン#10)
{3}{U}{U}
クリーチャー ― ドレイク
*/4
キッカー{R}(この呪文を唱えるに際し、追加で{R}を支払ってもよい。)
飛行
[カード名]のパワーは、あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるカードの枚数に等しい。
[カード名]が戦場に出たとき、これがキッカーされていた場合、望む枚数のカードを捨て、その後、同じ枚数のカードを引く。
緑と白のキッカーはすでに試している。赤をしない理由はない。おそらくこれは、赤ルーターが墓地にありインスタントやソーサリーであるカードを参照することという青赤アーキタイプで使われているテーマといいシナジーを持つことから作られたのだろう。
〈新アルガイヴのドレイク〉(バージョン #11)
{2}{U}{U}
クリーチャー ― ドレイク
*/4
飛行
[カード名]のパワーは、あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるカードの枚数に等しい。
このカードは基本のバージョンに単純化され、キッカーがなくなっている。
〈新アルガイヴのドレイク〉(バージョン #12)
{2}{U}{U}
クリーチャー ― ドレイク
*/4
飛行
[カード名]のパワーは、あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるカードの枚数に等しい。
あなたがインスタントやソーサリーである呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。
セットデザイン・チームは、2つ目の能力を与えてこのカードを強化することにした。彼らはこれの使われ方を本当に気に入ったので、これをレアに格上げしてコストを1マナ減らすことにした。ドレイクからジンになったのは、ジンのほうがドレイクよりも少し派手なので、レアへの変更に関わってのことだろう。
このカードのアート指示はこうだった。
舞台:ドミナリア
色:青のマナに関わるクリーチャー
場所:104-108にあるようなトレイリアの塔の外。
行動:横柄なジンがトレイリアの塔の上空を飛び、尊大にこちらを見ている。彼のデザインは113にあるようなトレイリア風学者のローブを連想させるもので、ただしそれは煙や霧や魔法で作られている。
焦点:ジン
雰囲気:なんでも知っているクリーチャー(であることを知っている)
注:ジンについては 257 参照。
《焦熱の交渉人、ヤヤ》
次は、ヤヤのデザインについて話そう。ヤヤ・バラードは最初、『アイスエイジ』のフレイバー・テキストで参照されていたキャラクターとして登場した。彼女の名字はグレーター・シアトルの都市名である。(特に当時は、フレイバー・テキストのキャラクターの名前はカードになっているキャラクターと違ってあまり時間をかけていなかった。)彼女のセリフには一定の流儀やウィットがあり、カードになってすらいないにも関わらず、すぐに熱烈なファンがついた。やがてヤヤは伝説のクリーチャー・カード(『時のらせん』の《特務魔道士ヤヤ・バラード》)になった。その後、『ドミナリア』で1枚目のプレインズウォーカー・カード(《ヤヤ・バラード》)、『灯争大戦』で2枚目(《敬慕される炎魔道士、ヤヤ》)が作られた。
彼女は『団結のドミナリア』の物語上で重要な役割を果たしているので、新しいカードを作るべきだということは明白だった。
〈外交使節ヤヤ〉(バージョン #1)
{3}{R}{R}
伝説のプレインズウォーカー ― ヤヤ
忠誠度 ― 4
+1:クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。[カード名]はそれに2点のダメージを与える。紋章的 ― あなたがこの呪文の持たない色1色であるパーマネントをコントロールしているなら、代わりに、これはそれに3点のダメージを与える。
-2:カード2枚を密封する。{R}{R}を加える。
-8:クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。[カード名]はそれに、あなたがコントロールしているパーマネントやあなたの墓地にあるカードの中の色1種類につき3点のダメージを与える。
ヤヤの第1バージョンは、伝統的な赤のヤヤのデザイン空間で作られた。直接ダメージを与える。衝動的ドローをする。大きな直接ダメージを与える。このデザインで違っているところは、他の色を含むデッキでプレイするというテーマを重視していることである。[+1]能力は上述の紋章的メカニズムを使っており、奥義は色が多ければ多いほど強力になる。
〈外交使節ヤヤ〉(バージョン #2)
{3}{R}{R}
伝説のプレインズウォーカー ― ヤヤ
忠誠度 ― 4
+1:クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。[カード名]はそれに2点のダメージを与える。
-3:あなたのライブラリーの一番上にあるカード2枚を追放する。このターン、あなたは追放領域にあるそれらをプレイしてもよい。あなたがコントロールしているクリーチャーやあなたの墓地にあるカードの中の色1種類につき{R}を加える。
-8:クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。[カード名]はそれに、あなたがコントロールしているパーマネントやあなたの墓地にあるカードの中の色1種類につき3点のダメージを与える。
次のこのバージョンでは、追加の色への言及が少し減り、代わりに戦場や墓地にあるクリーチャーを参照するようになった。
〈外交使節ヤヤ〉(バージョン #3)
{3}{R}
伝説のプレインズウォーカー ― ヤヤ
忠誠度 ― 5
あなたはいつでもあなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を見てよい。あなたはあなたのライブラリーの一番上からクリーチャー・呪文を唱えてもよい。あなたはあなたの手札から土地をプレイすることも呪文を唱えることもできない。
+1:カード1枚を引き、その後、カード1枚を無作為に選んで捨てる。
0:{R}を加える。
-3:クリーチャーやプレインズウォーカーのうち1体を対象とする。あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚をあなたの墓地に置く。[カード名]はそれに、そのカードのマナ総量に等しい点数のダメージを与える。
次のこのバージョンは、セットデザイン中に作られたものである。どうしてそれがわかるのか。ヤヤの能力が3つから4つになっているからである。能力3つのプレインズウォーカーか、能力4つのプレインズウォーカーかによって発注するアートが違うので、アートを指定するときにはわかっていなければならないのだ。通常は能力3つだが、物語上の理由からこのバージョンのヤヤを大物にする必要があったので、能力4つのプレインズウォーカーにしたのだ。ヤヤは物語上で重要だとわかっていたので、アート・ディレクターはセットのリード、多分その時点ではエリックに、ヤヤの能力を3つにするか4つにするか聞き、エリックは4つにすると選んだので、ヤヤは第1波のアートにあったはずである。ここでの「能力」とは、ルール文章欄の数のことである。その能力の中には、常在型能力や誘発型能力も含まれる。
このバージョンは、まったく異なった方向に向かっている。常在型能力でライブラリーの一番上を操作し、忠誠度能力はその常在型能力を元にしたものである。[+1]能力はその一番上にあるカードを引くことができるが、無作為に捨てるというリスクがある。[0]能力は一番上から呪文をプレイするためのマナを得る助けになる。[-3]能力は、直接ダメージ効果をライブラリーの一番上に関係させる賢い方法である。
〈外交使節ヤヤ〉(バージョン #4)
{2}{R}{R}
伝説のプレインズウォーカー ― ヤヤ
忠誠度 ― 4
あなたがコントロールしているクリーチャー1体が攻撃するたび、クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。これはそれに1点のダメージを与える。
+1:赤の1/1のモンク・クリーチャー・トークン1体を生成する。
-1:あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を追放する。そのカードを唱えてもよい。そうしないなら、クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。[カード名]はそれに2点のダメージを与える。
-6:「あなたはマナ総量がこのターンにあなたが攻撃させたクリーチャーの数以下である望む数の呪文をマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。」を持つ紋章を得る。
次のこのバージョンは、まったく新しい方向に向かっている。このバージョンは戦闘に焦点を当てたものになっている。常在型能力は攻撃することで利益をもたらすものである。[+1]能力は後で攻撃できるトークンを生成する。[-6]能力は攻撃することで利益を得られる紋章を生成する。炎魔術師なので、ヤヤは何らかの直接ダメージ効果を必ず持っている。[-1]能力が、カードかダメージかを選べるようになっているのは面白い。
〈外交使節ヤヤ〉(バージョン #5)
{2}{R}{R}
伝説のプレインズウォーカー ― ヤヤ
忠誠度 ― 4
+1:果敢を持つ赤の1/1のモンク・クリーチャー・トークン1体を生成する。
-1:あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を追放する。そのカードを唱えてもよい。そうしないなら、プレイヤーやプレインズウォーカーのうち1つを対象とする。[カード名]はそれに2点のダメージを与える。
-2:ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは「このクリーチャーが攻撃したとき、クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。これはそれに1点のダメージを与える。」を得る。
-6:「あなたはマナ総量がこのターンにあなたが攻撃させたクリーチャーの数以下である望む数の呪文をマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。」を持つ紋章を得る。
次のこのバージョンでは、常在型能力を、コストを支払って意図的に使う必要がある忠誠度能力にしている。最終版では能力の多くが調整されている。[+1]は、唯一そのまま残ったものである。[-1]能力は、1枚でなく2枚から選んで衝動することができる。[-2]能力は、ダメージを与える能力を自軍のすべてのクリーチャーに与えるのではなくクリーチャー1体にダメージを与えるようになった。奥義は完全に変わった。コピーのいちファンとして、私は大賛成だ。
このカードのアートの指示は以下の通り。
**** 垂直のプレインズウォーカーのアスペクト比 ***
舞台:ドミナリア
色:赤のマナに関わる伝説のクリーチャー
場所:ケルドの集落内、背景に茶色のテント。
行動:伝説の紅蓮術師にしてプレインズウォーカーのヤヤ・バラードが自信ありげに笑っている。彼女の杖には彼女の霞のようなオレンジの炎魔法のかすかな軌跡が輝いているかもしれない。彼女の後ろには、数人のたくましいケルドの戦士がいる。彼女は寒い北方で過ごしているので、彼女の上着には毛皮がつけてあるかもしれない。
焦点:ヤヤ
雰囲気:皮肉、既知、確信。注意:ケルドに関しては 168-171 参照。ヤヤに関しては 361 参照。
注意:今後のプレインズウォーカーは、通常枠とボーダーレス枠の両方で使えるようにしてください。アートが両方のテンプレートに合うように、意味のある詳細すべてが通常テンプレートの中心枠の中に収まるようにしてください。
「物語はおしまい」
本日はここまで。これらの話を楽しんでもらえたなら幸いである。いつもの通り、この記事や話題にしたカード、あるいは『団結のドミナリア』全体について、諸君からの感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『団結のドミナリア』のカード個別の話をまとめる日にお会いしよう。
その日まで、あなたがこのセットをプレイしてあなた自身の物語を生み出しますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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