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Making Magic -マジック開発秘話-
学院、開講中
2021年4月12日
今回は、『ストリクスヘイヴン』のカード個別のデザインの話をいくつか紹介しよう。
《厄介な害獣、ブレックス》//《ブレックスの捜索》
ローアン、ウィル、ルーカはMDFCのプレインズウォーカーであり、ローアンとウィルが青赤、ルーカは赤白である。それらを考慮に入れて、残る3つの色の組み合わせの神話レアのMDFC枠が残り3枚分ある。それらそれぞれについて、セットデザイン・チームは、第2面が敵対色の呪文である伝説のクリーチャーを作った。プレインズウォーカーの第1面と第2面の割り振りから、ウィザーブルームのMDFCは、第2面が黒単色の呪文である緑単色の伝説のクリーチャーとなった。
邪魔者というクリーチャー・タイプは、各大学にそれぞれのマスコットとなるクリーチャー・タイプが必要だったことから選ばれた。黒緑で使える単純なバニラやフレンチバニラのクリーチャーはなかったので、我々は地虫/Grubというクリーチャーを作り、これは邪魔者として印刷された。死亡したときに1点のライフを得られる1/1クリーチャーである。ウィザーブルームには「ライフ関連」のメカニズム的テーマがあり、そのクリーチャー・トークンはそのテーマを扱うものにできるのだ。
世界構築チームは邪魔者づくりを非常に楽しみ、そのためセットデザイン・チームは伝説の邪魔者が必要だと考えて、そしてこのカードはまさにその枠にふさわしいものになったのだ。チームが最初に作ったブレックスはこうだった。
〈捉えがたい害獣、ブレックス〉(1.0)
{1}{G}{G}
伝説のクリーチャー ― 邪魔者
1/2
[カード名]が死亡したとき、これをあなたのライブラリーに加えて切り直す。あなたはあなたの初期ライフ総量の端数切捨てで4分の1に等しい点数のライフを得る。あなたがコントロールしていてこれでないすべての邪魔者や昆虫や蜘蛛は+X/+Xの修整を受ける。Xは[カード名]のパワーに等しい。
まずもって、そう、ブレックスは一番最初からブレックスという名前だった。そして、最終的なカードが持つことになるものの基本的な本質は持っていたのだ。彼自身以外の気色悪いクリーチャーを助け、死んだときにはライフをくれる。ただしブレックスは普通の邪魔者ではないので、得られるライフは1点よりも多い。最初のバージョンでは、邪魔者、昆虫、蜘蛛だけを強化していることに気づくだろう。また、ブレックスは最初、強化がパワーに関連付けられていたので小さな1/2クリーチャーだった。
〈捉えがたい害獣、ブレックス〉(2.0)
{2}{G}
伝説のクリーチャー ― 邪魔者
1/2
[カード名]が死亡したとき、これをあなたのライブラリーに加えて切り直す。あなたは5点のライフを得る。
あなたがコントロールしていてこれでないすべての邪魔者や昆虫や蜘蛛は+X/+Xの修整を受ける。Xは[カード名]のパワーに等しい。( // ソーサリー {2}{B}{B})
最初の反復工程では、ライフ獲得を変数から定数に整理している。これは、他の効果が変数であることから、このカードが何をするのかをわかりやすくするためにこうしたのだと思われる。マナ・コストも{1}{G}{G}から{2}{G}に変更になっている。
〈捉えがたい害獣、ブレックス〉(3.0)
{2}{G}
伝説のクリーチャー ― 邪魔者
1/2
[カード名]が死亡したとき、これをあなたのライブラリーに加えて切り直す。あなたは5点のライフを得る。
[カード名]が攻撃かブロックするたび、ターン終了時まで、あなたがコントロールしていてこれでないすべての邪魔者や昆虫や蜘蛛は+X/+Xの修整を受ける。Xは[カード名]のパワーに等しい。( // ソーサリー {2}{B}{B})
次のバージョンでは、ブレックスが気色悪いクリーチャーを強化するタイミングを変え、戦闘関連のものにした。
〈捉えがたい害獣、ブレックス〉(4.0)
{2}{G}
伝説のクリーチャー ― 邪魔者
1/2
[カード名]が死亡したとき、これをあなたのライブラリーに加えて切り直す。あなたは5点のライフを得る。これでない邪魔者や昆虫や蜘蛛や蠍は+1/+1の修整を受ける。( // ソーサリー {2}{B}{B})
最後の前のバージョンは強化を単純化して、常在型能力で+1/+1の修整を与えるようにした。何らかの理由で、蠍もクリーチャー・タイプに加えられている。おそらく、どこかの時点では、このセットのクリーチャー・タイプに蠍があったのだろう。
このあと印刷されたバージョンまでにいくつかの変更が加えられている。まず、ライフ獲得は5点から4点に減り、切り直すというテキストも除かれた。切り直すというテキストが除かれたのは、これをリアニメイトできることはプレイデザイン上の問題ではなく、ルール・テキストが短いほうがよかったからだろう。ブレックスの強化に、コウモリと蛇が追加された。プレイヤーから、なぜこのセットにリスがいるのにリスは強化されないのかという質問がよく届く。おそらく、リスは伝統的に気色悪いと考えられている生き物ではないからだろう。最後に、ブレックスは1/2から3/2に強化された。
ブレックスの第2面の、ブレックスを探す部分は最初のバージョンから1か所しか変更されていない。最初は一番上にあるカード5枚でなく6枚を見ていたのだ。
《騒々しい写本、コーディ》
コーディは最初、世界構築中のクリエイティブ・チームのアイデアだったと記憶している。魔法の大学があるなら、学生に情報を伝えるためのとても賢い歩き回る本もあるだろう。アーティストに送られた、カードのコンセプトはこれだ。
セット:『Fencing』
色:伝説のアーティファクト・クリーチャー
行動:伝説の騒がしい写本、意識を持つようになった神秘的な伝承の秘本をデザインしてください。(学生は「コーディ」とあだ名をつけています。コーディの略歴については34ページを参照してください。)コーディが構内を歩き回っていて、彼が知っている呪文について聞いている誰にでも怒鳴りつけています。コーディがどのように歩き喋るのかは決めてください。小さなサイドテーブルに載っていて、そのテーブルの足で歩くのかも知れません。本の表紙にある神秘的な記号が顔になっているかもしれませんし、金箔のエンボス加工が口になっているかもしれません。
焦点:生ける秘本「コーディ」
雰囲気:知識豊富な愚痴り屋「それからもう1つ! 酸の呪文を唱えるための たーだーしーい 調子は、南部オーク訛りだ! ここらの学生は、私の第94章を いーちーどーも 読んだことがないと見える!」
注記:現実世界の単語や文字や記号を使わないようにお願いします。描くルーンや記号は作ったものにしてください。
そして、このカード'の最初のバージョンはこうだ。
〈全知の秘本、コーデクス〉
{3}
アーティファクト・クリーチャー ― 構築物
1/5
あなたはインスタントやソーサリーである呪文しか唱えられない。
{T}:好きな色1色のマナ1点を加える。
{W}{U}{B}{R}{G}, {T}:あなたのライブラリーの一番上にあるカード5枚を見る。あなたはその中から、インスタントやソーサリーであるカードをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
このカードは最初、伝説のカードではなかった。おそらく、大学には複数の動く本があるということだろう。このデザインの最初のバージョンは、タップして好きな色のマナを出せるマナ・アーティファクトだったが、インスタントやソーサリーしか唱えられなくするという制約をもたらしていた。そして、多くのインスタントやソーサリーを唱えられるようにする能力があった。
〈全知の秘本、コーディ〉
{3}
伝説のアーティファクト・クリーチャー ― 構築物
1/4
あなたはインスタントやソーサリーである呪文しか唱えられない。
{T}:異なる色のマナ2点を加える。
{W}{U}{B}{R}{G}, {T}:あなたのライブラリーの一番上にあるカード5枚を公開する。その中から、インスタントやソーサリーである好きな枚数のカードをあなたの手札に、残りをあなたの墓地に置く。
その次のバージョンでは、タップして1マナでなく2マナが出るようになり、インスタントやソーサリーを唱えるのではなく手札に入れるようになった。この変更はおそらく、{W}{U}{B}{R}{G}を支払ったときにはその呪文を唱えるのに充分なマナが残っていないことが多いからだろう。コーディはこのバージョンで伝説のカードになり、名前がつき、1/5から1/4になった。
〈騒々しい写本、コーディ〉
{3}
伝説のアーティファクト・クリーチャー ― 構築物
2/2
あなたはインスタントやソーサリーである呪文でない呪文を唱えられない。
{4}, {T}:{W}{U}{B}{R}{G}を加える。このターンに次にあなたが呪文を唱えたとき、点数で見たマナ・コストがその呪文よりも小さくインスタントやソーサリーであるカードを公開するまで、あなたのライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していく。あなたはそのカードをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよいし、あなたの手札に加えてもよい。その後、それらのカードすべて公開あなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
その次のバージョンは、最終盤にかなり近いものになった。違いは、2/2であることと、最初の能力が単純な否定文でなく例外指定による肯定表現になっていたことである。この最後の起動型能力は、前の方のバージョンにあった本が単に呪文を引いてくるのではなく唱えるというフレイバーに富んでいた能力が気に入っていたからだろうと思われる。そして、その後に軽い呪文を「続唱」できる呪文を唱えられるように、マナを与えるようになっているのだ。最終的なものは、とても魅力的だ
《指数関数的成長》
このカードは数個だけ変更があったが、名前はずっと指数関数的成長のままだった。各大学が研究している内容を確定させた後で初期にしたことの1つが、その大学ごとに納得できる名前を書き出し、それに合うトップダウン・カードをデザインできるかを検討することだった。《指数関数的成長》は、数学の大学のためにどんぴしゃに思われたのだ。最初の試作はこうだった。
〈指数関数的成長〉(1.0 - コモン)
{2}{G}
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それのパワーとタフネスはそれぞれ2倍になる。
第1版は、単にパワーとタフネスを2倍にするだけの単純なカードだった。『アルファ版』の《狂暴化》は私のマジック歴の中でも初期のお気に入りカードの1枚だったので、それを思い出させるようなカードを作ることに私は心を踊らせていた。このカードへの反響は、「指数関数的成長とは言えない」というものだった。確かに、倍にはするけれど、1回だけだ。そこからできたのがこの第2版だ。
〈指数関数的成長〉(2.0 - アンコモン)
{2}{G}
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それのパワーとタフネスはそれぞれ2倍になる。
フラッシュバック {5}{G}(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、フラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後、これを追放する。)
これも同じカードだが、フラッシュバックが追加され(て、レアリティが上がっ)た。先週言ったとおり、フラッシュバックは展望デザインの間このセットに存在していて、セットデザイン中に取り除かれたのだ。さて、これで複数回倍にすることができるようになった。もちろん、これではまだ不充分だった。
〈指数関数的成長〉(3.0 - レア)
{X}{X}{G}
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それのパワーとタフネスをX回2倍にする。
第3版では、クリーチャーのパワーをマナがある限り何度も倍にできるよう、X(正確に言えばX2つ)をマナ・コストに加えた。このため、タフネスを倍にするのをやめ、レアリティをさらに高く、今度はレアにした。第3版と印刷版の唯一の違いは、プレイデザイン上の懸念から、マナ・コストに{G}が追加されたことである。
これで指数関数的成長らしくなっていれば幸いだ。
《オニキス教授》
『ストリクスヘイヴン』のファイルには、黒単色のプレインズウォーカーの枠が常にあり続けていたが、最初はその枠はダブリエルのものということになっていた。しかし、大局的な物語を決めたとき、『灯争大戦』の後に身を隠したリリアナを登場させる場所が必要だということに気づき、彼女を教授として登場させるのは見逃すには惜しい、いい機会だと感じた。初期から、彼女は偽名を使うことがわかっていたが、彼女のプレインズウォーカー・タイプはリリアナなので、誰が見ても彼女が何者かはわかる。
これが、偽装したリリアナ教授の第1版である。
〈エルヴィ教授〉
{3}{B}{B}
プレインズウォーカー ― リリアナ
忠誠度 ― 5
+1:各対戦相手はそれぞれ2点のライフを失う。あなたは2点のライフを得る。
-2:あなたはクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。そうしたとき、クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を対象とする。それを破壊する。
-6:あなたのライブラリーからカード3枚を探し、あなたの手札に加える。その後、ライブラリーを切り直す。
最初の2つの能力は、リリアナが使ったことがある、いかにも黒らしい能力だ。最後の能力、教示者能力は、彼女が教授であるというところを使ったものである。エルヴィ教授という名前がどこから来たのかはわからない。これは多少退屈に感じられたので、我々は彼女のデザインを作り直した。
〈ブラック教授〉
{3}{B}{B}
プレインズウォーカー ― リリアナ
忠誠度 ― 4
+1:対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカード1枚を捨ててもよい。そうしなかったなら、あなたはカード1枚を引く。
-3:あなたはクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。そうしたとき、クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を対象とする。それを破壊する。あなたはそのパーマネントのマナ総量に等しい点数のライフを得る。
-8:あなたのライブラリーからカード3枚を探し、あなたの手札に加える。その後、ライブラリーを切り直す。
1つ目の能力を、少しカードを引けるように、2つ目の能力をライフを得られるように調整した。これでもまだ平凡だった。我々は偽名をリリアナのリリアナらしさに関連付けたかったので、ブラック教授となった。
〈オニキス教授〉
{4}{B}{B}
プレインズウォーカー ― リリアナ
忠誠度 ― 4
魔技 ― あなたがインスタントやソーサリーである呪文を唱えるかコピーするたび、各対戦相手はそれぞれ2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
+1:あなたは2点のライフを得る。あなたのライブラリーの一番上にあるカード3枚を見る。そのうち1枚をあなたの手札に、残りをあなたの墓地に置く。
-3:各対戦相手はそれぞれ、自分がコントロールしているクリーチャーの中で最大のパワーを持つクリーチャー1体を生け贄に捧げる。
-8:あなたのライブラリーからカード3枚を探し、あなたの手札に加える。その後、ライブラリーを切り直す。
以前の記事で触れたが、我々は、プレインズウォーカーをそのセットとテーマ的に結びつけ、また常磐木なプレインズウォーカーのデザイン空間を使い尽くす速度を落とすため、セット・メカニズムをプレインズウォーカーのデザインで使うようにしている。我々は魔技(デザイン中は呪技と呼んでいた)を、吸収効果で使うことにしたのだ。こうすることで、あとでそのカードのカードを引く能力でコストとしてライフを使い、クリーチャー/プレインズウォーカー除去能力をライフ獲得と切り離すことができた。クリーチャーをコストとして生け贄に捧げることをやめたが、代わりに、除去の指向性を下げることでバランスを取った。奥義はそのまま残った。ブラックという名前はあまりに直接的だったので、ブラック教授からオニキス教授になった。
最終版は、この最後のものとかなり近い。変更点は3つだけだ。リリアナの初期忠誠度は4から5になった。プラス能力は2点のライフが1点のライフになった。奥義は完全に変更された。1つ目の能力でリリアナはカードを探すことができるので、奥義はもう少しリリアナらしいものにすることができたのだ。この能力が7回起こるのは、手札の最大枚数が7枚だからだろう。私は「この手順をあと6回繰り返す」というテンプレートが好きだ。
《実地歴史家、クイントリウス》
各大学には、アンコモンの伝説の学生がいて、ドラフトのアーキタイプを示す基柱カードとなっている。カードプール全体を見れば、それらの学生にはセット内の複数のカードを通して語られるちょっとした物語があることがわかるだろう。例えば、クイントリウスの場合、軍学校を除名されて、ストリクスヘイヴンでの情熱をロアホールドでの考古学研究に見出した。この小さな象はデザイン中にいくつもの変更を経ているので、それを見ていこう。
彼の枠は最初伝説のクリーチャーではなく、伝説でないエンチャントで、クリーチャー・トークンを生成するものだった。
〈追憶の日〉
{R}{W}
エンチャント
[カード名]が戦場に出たとき、赤白の1/3のスピリット・クリーチャー・トークン1体を生成する。郷愁 ― あなたの墓地に5枚以上のカードがあるかぎり、あなたがコントロールしているすべてのスピリットは+1/+0の修整を受ける。
赤白陣営のクリーチャー・トークンが1/3のスピリットだったのは、展望デザインのかなり初期の話だ。(印刷されたセットでは3/2のスピリットになっている。)展望デザイン中に我々がすることの1つが、何枚ものカードで出てくるメカニズムに名前をつけることである。これは完成品でも名前をつけたままにしておく必要があると考えているからではなく、全体のテーマを我々が見やすくするためである。「郷愁/nostalgia」は、赤白を墓地基盤の陣営にする助けとしての試みの1つだった。なぜ5枚にしたのかは覚えていない。『オデッセイ』ブロックのスレッショルドは7枚だった。『ゼンディカーの夜明け』では8枚を使った。おそらく、初期に有効になる小さな効果を試していたのだと思う。郷愁はそう長くは残らなかった。興味深いことに、完成版のカードが持っているスピリット強化が初めて登場したのはここである。
〈追憶の日〉(2.0)
{R}{W}
エンチャント
あなたの墓地や追放領域にあなたがオーナーである5枚以上のカードがあるかぎり、あなたがコントロールしているすべてのスピリットは+1/+0の修整を受ける。
召魔 スピリット ― {1}{R}{W}(あなたがこの呪文を{1}{R}{W}で唱えたなら、これが戦場に出たとき、赤白の2/2のスピリット・クリーチャー・トークン1体を生成する。)
次のバージョンもエンチャントのままだったが、クリーチャー・トークン生成は我々が試していた別のメカニズム、召魔になった。召魔の元になった考え方は、(キッカーのような追加コストではなく)呪文に加えてクリーチャー・トークンを出せるようにする代替コストであった。(プレイヤーがあまり計算しなくてもいいように、我々は代替コストを多く使うようになっている。)ここで、スピリット・トークンが1/3から2/2になっていることに気づくだろう。
〈追憶の日〉(3.0)
{R}{W}
エンチャント
[カード名]が戦場に出たとき、赤白の3/2のスピリット・クリーチャー・トークン1体を生成する。インスタントやソーサリーである3枚以上のカードがあなたの墓地にあるかぎり、あなたがコントロールしているすべてのスピリットは+0/+1の修整を受ける。
トークン生成を入場効果に戻し、スピリット強化の条件を変え、強化を+1/+0から+0/+1にした。スピリット・クリーチャー・トークンが再び変更されて、2/2から3/2になっていることに気づくだろう。時系列の記録を残したい諸君に言うと、この最後の変更はセットデザインで最初に起こったものである。
〈追憶の日〉(4.0)
{R}{W}
エンチャント
1枚以上のカードがあなたの墓地を離れるたび、3/2のスピリット1体を生成する。
次のこのバージョンはまったく新しい手法をとった。我々は赤白で墓地を扱う方法を探していて、興味深いことを見つけた。カードが墓地を離れた時に誘発するというものだ。我々はこの誘発を数枚のカードで試してみて(《冒涜された墓所》、《冒涜する者、トーモッド》)、赤白はどちらも墓地にあるカードをコストとして追放するということができる色だったので、これは赤白にうまくはまった。(確かにどの色でもできることだが、その一部である赤と白にもできることだ。)展望デザインはこのメカニズムを使い始めたが、この枠でうまくできたのはセットデザインのことだった。このカードは、スピリット・トークンを1体だけ作るのではなく、大量に作ることができるようになった。
〈学生霊媒師、プリメア〉
{2}{R}{W}
伝説のクリーチャー ― 人間・クレリック
2/4
呪文鎧 {2} (このクリーチャーを対象とする対戦相手の呪文は、唱えるためのコストが{2}増える。)
1枚以上のカードがあなたの墓地を離れるたび、3/2のスピリット1体を生成する。
この枠はついにここで伝説のクリーチャーになった。この初版は、歴史学の大学ロアホールドは、スピリットと話して直接過去のことを聞くことが好きだ。これが、最終的に護法となったものの初出である。開発部は防御的キーワードでプレイヤーのやり取りができるものを探していて、我々はさまざまなバージョンの護法を試していた。最終的に、キーワード化はするが、さまざまなコストを持ち、5色すべてで使えるように制限をつけないことにした。
〈実地考古学者、アルトリウス〉
{2}{R}{W}
伝説のクリーチャー ― 象・クレリック
3/5
呪文鎧 {2} (このクリーチャーを対象とする対戦相手の呪文は、唱えるためのコストが{2}増える。)
あなたがコントロールしているすべてのスピリットは+1/+1の修整を受ける。
1枚以上のカードがあなたの墓地を離れるたび、3/2の赤白のスピリットクリーチャー・トークン1体を生成する。
ついに、この象の考古学者ができたが、カード名は違っていた。1つだけ追加されたのは、スピリットを強化する常在型能力である。これは最終版とそう遠くない。このスピリット軍団に対戦相手が対処できるようにするため、スピリット強化が+1/+1から+1/+0になった。このクリーチャーから護法が取れた。3/5は再び2/4に戻った。こうして、愛すべき象の学生が生まれたのだった。
《秘密のランデブー》
白でカードを引くことについて少し話そう。白はあらゆる対処法を持つ色なので、何にでも対策できるということが効率的になりすぎないようにするため、白に2つの欠点を与えた。1つ目に、白の除去は、重いものでない限り、、使えなかったり対象の一部にだけ当たるものだったりと、非常に条件が厳しくなっている。2つ目に、白を5色の中でもっともカードを引くことが苦手な色にした。2人戦スタンダードでは、これはうまくいっていた。ウィニーでアグロにもできれば、全体除去のような大型の防御的なものを使うことでカード・アドバンテージを稼ぐこともできる。問題は、この、統率者戦という新しいフォーマットにあった。
統率者戦では、勝利のために何点のダメージを与えなければならないか、また対戦相手は何人なのかと言った基礎的なことのいくつかが変更されている。カードを引く能力に欠けていることは、問題だった。色の協議会は、白のフレイバーに合っていて2人戦で問題を起こさないような、何らかのカードを引く能力を与える方法を見つけるという課題を抱えていた。このカードは、我々の解決策の1つの方向に向かうものだった。ここで、白のカードを引くという解決策はさまざま存在しており、他の部分についてはそれが登場した時に語ろう。
《秘密のランデブー》は、我々が「グループ・ドロー」と呼んでいるものの方向に強烈に押す初めての手法である。このグループ・ドローの最初の試みは、すべてのプレイヤーが複数枚のカードを引くなら、白のプレイヤーも複数枚引くことができるというものだった。統率者戦のプレイテストで、白のドローの問題を解決するには非効率的だとわかったので、我々はこれに調整を加えた。グループ・ドローは、白が複数のカードを引いたとき、他のプレイヤーの全員でなく一部が、それと同数のカードを引けるとしたらどうだろうか。こうすれば、白はカードを得られるが、そのためには同盟を組むことが求められるのだ。
もう1つこの方法のいいところは、2人戦と多人数戦で全く違う作用をするということである。《秘密のランデブー》が2人戦で使われるかどうかはわからないが、もし使われたなら、それは独特の働きをすることだろう。
これはつまり、今後、白は、他にも1人同じ枚数のカードを引くという状況なら、複数のカードを引くことができる(上限をどうするかは検討中である。このカードでは3枚を試している)ということである。統率者戦がこれを使って何をするかを見るのが楽しみである。
終業ベル
『ストリクスヘイヴン』のカードのデザインの舞台裏を覗くことを楽しんでもらえたなら幸いである。いつもの通り、この記事や話題にしたカード、あるいは『ストリクスヘイヴン』全体について、諸君からの感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『ストリクスヘイヴン』の展望デザイン提出文書をお見せする日にお会いしよう。
その日まで、『ストリクスヘイヴン』をプレイして多くのことを履修できますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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