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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

『時のらせん』のあとの時

Mark Rosewater
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2021年3月15日

 

 今回が『時のらせんリマスター』に関する私の最後の記事になるので、ここでそれらのカードが最初どのようにデザインされたかについての話をしよう。

隆盛なる勇士クロウヴァクス》《呪われたミリー》《鋭い感覚
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 『次元の混乱』は、「もう1つの現実の現在のセット」であった。もう1つのバージョンのカラー・パイに注目の大半は集まっていたが、このセットではまた別種のもう1つの現実も扱っていた。これら3枚のカードは、ウェザーライト・サーガの物語上重要な瞬間の、もう1つの現実を表したものである。シッセイ、カーン、ターンガース、それに(スタークの娘の)タカラを助けるためにヴォルラスの要塞に突入した時、ウェザーライト号のクルーは闇の天使セレニアに遭遇した。セレニアは天使だが、この時はクロウヴァクスの一族が所有する呪われたアーティファクトの一部だった。クロウヴァクスはセレニアに恋い焦がれ、彼女をそのアーティファクトから解き放つが、セレニアはすぐに消え去ってしまうのだ。

 ジェラードがウェザーライト号から落ちたとき、ラースに来ていたセレニアがその落下を支えた。そしてヴォルラスの要塞の中で、セレニアはクロウヴァクスを殺すために攻撃してきた。ミリーはそれに応戦して重傷を負った。ミリーを救うため、クロウヴァクスはセレニアを殺すことになるが、呪われて吸血鬼になってしまうのだ。さて、ミリーが最初にセレニアを攻撃した時にうまく倒すことができたとしたら、ミリーは吸血の呪いを受けるのだろうか。

 《隆盛なる勇士クロウヴァクス》は、この変更の結果クロウヴァクスがどうなったかを描いたものだ。彼に責任がある何かにミリーが囚われたことを受けて、クロウヴァクスは自分の過ちを償うため勇士になったのである。彼は善の指導者、悪を狩る者となっている。彼の最後の能力でライフの支払いをコストとしているのは、彼がもともと黒単色であったことを言外に示している。

 《呪われたミリー》は、彼女が吸血鬼になっていたらどうなっていたかを示している。2/3ではなく3/2になっている。先制攻撃はそのままだが、森渡りと警戒は飛行と速攻に代わっている。そして『アルファ版』の《センギアの吸血鬼》に似た(同じではない)吸血鬼能力も得ている。

 《鋭い感覚》はカラーシフトした《好奇心》だ。《好奇心》は『エクソダス』で初登場しており、傷ついたミリーがクロウヴァクスを追ってウェザーライト号から出ていくシーンを描いたものだ。このあと、クロウヴァクスがミリーを殺し、ウェザーライト号を離れることになる。《鋭い感覚》は彼らのやり取りを描いたものだが、物語上の状況は違っている。クロウヴァクスが呪われたミリーを残してウェザーライト号に乗り込んだところだ。

滅び
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 《滅び》のデザインに関する細かい話は何年にも渡って話してきたが、全体を通して話したことはなかった。これは、必要が発明の母だという好例なのだ。この話は、『時のらせん』のデザインの早期に始まった。私は『神河物語』ブロックの中期に主席デザイナーに就任した。そのブロックは既に本格的に始まっていたので、『神河謀叛』、『神河救済』のデザイン・チームに指摘は入れたが、ブロック構造全体には大きな変更は加えなかった。初代『ラヴニカ』が、ブロックを始めから監督できる最初の機会だったのだ。

 最初に私が興味を持っていたことの1つが、真のブロックのデザインであった。この時点まで、ブロックの第1セットである大型セットをデザインし、そしてそれ以降のセットはそれまでのセットを前提にして各デザイン・チームが必要だと考えることをすることになっていた。名前のあるメカニズムにデザイン上の進化を残すことはよくあったし、もう少し計画的なこと(『アポカリプス』のために敵対色の組み合わせを残したり、『ジャッジメント』で『トーメント』と逆に色を偏らせてバランスを取ったり)もしたことはあったが、事前に完全な計画が作られたことはなかったのだ。私はこれを変えたいと思った。

 『ラヴニカ』ブロックでは、私がパイ・モデルと呼んでいるものが導入された。ブロック全体を1つのものとして考え、それを3つに分割するのだ。最初の部分を見た時、何が足りないのかをわかるようにするのである。『時のらせん』ブロックでは、私はまた別のことを試すことにした。私がモチーフ・モデルと呼んでいるものである。それぞれのセットにそれぞれのテーマが存在するが、それらのテーマは繋がり合ってそのブロックの大きな一体的モチーフを描くのだ。『時のらせん』ブロックでは、最終的に私はそのモチーフを時間に決めた。時間をどのようにして3つのテーマに分けることができるだろうか。それは明確だと思われた。過去、現在、未来である。

 これはクールだと思われたが、実際にその実装を検証してみると、ずっと厄介なものだった。過去のセットはわかる。古いカードを再録し、古いカードを連想させるカードを作り、マジックの過去に存在していてまだカード化されていないもののカードを作る。マジックの過去を思い出させることをすればいいだけだ。現在と未来は、それよりもずっと手強いものだった。そもそもどのセットも現在ではないか。そして、未来のセットというのは一体どうすればいいのか。もちろん、そこでは今まで見たことのない最新のものを見せることになる。しかしそれは、どのセットでもそうではないか。

 この問題を解く鍵は、このブロックには時間以外のテーマ、郷愁があるということに気づくことだった。郷愁を活かして過去、現在、未来を伝える方法はあるだろうか。これも、過去は簡単だった。未来は、既存のマジックの要素を選び、組み合わせるなり延長するなり、新しいデザイン空間への視点にするなりという新しい形で使うことで郷愁を活かすことができる。問題は、郷愁を活かして現在を売り込むにはどうすればいいかだった。

 答えは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー パート2」にあった。知らない諸君のために添えると、私は時間旅行モノの映画が大好きだ。私は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作のことを考え、そこでどのように過去、現在、未来が扱われていたかを考えた。第1作では、現在は単なる物語上の締めくくりだった。それは主人公が戻りたいと思う居場所だった。「オズの魔法使い」のドロシーにとってのカンザスが、マーティー・マクフライにとっての現在なのだ。第2作では、さらに興味深い使い方をしている。(まだ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作を見たことのない諸君は、ここで読むのを止めて映画を見て来てもいい。待っている。)マーティは未来に行き、1950年から2000年の間のスポーツ大会の結果が書かれたスポーツ年鑑を買ってくる。悪党であるビフはその年鑑を見つけ、過去の自分にその年鑑を渡すためにタイムマシンを盗む。マーティが元の時間に戻ったとき、ビフの行動によって未来が変わっていた。そこに答えがあった。もう1つの現実だ。単なる現在ではなく、もう1つの現実である現在。

 解決すべき難しい問題だったので、私は非常に興奮した。1つ小さな問題があった。私以外誰もわかっていなかったのだ。私が「もう1つの現実である現在」と言ったら、人々はただ目を見開くだけだろう。まったく通じはしないのだ。最大の問題は、ビル・ローズ/Bill Roseに『次元の混乱』のリードを任せるつもりだったが、そのセットの前提がわからないという理由で断られていたということである。私は『未来予知』のリードをする予定であり、『次元の混乱』と時期が重なるので両方のリードをすることは不可能だった。どうしてもビルに承諾してもらう必要があった。つまり、私はビルに私の展望を理解してもらう方法を見つけなければならなかったのだ。

 私はすでに、カードをデザインすることが私の展望を人々に理解してもらう鍵だということを学んでいた。まだ実現していない可能性を見せる、というのは難しいことだ。実際のカードはそのアイデアを実現可能で振れられる現実に具体化する。ビルを引き込みたいなら、『次元の混乱』のカードを私が作る必要があった。そこで私は、私が望むものを表す最もわかりやすい方法について考え込んだ。このコンセプトへの鍵は、カラー・パイに関わっていた。この、もう1つの現実においては、カラー・パイは違う形で実行されている。各色の理念は変わっていない。(これが重要なのは、もう1つの現実というのは何かに立脚していなければならず、すべてを変えることはできない。)しかし、それらの理念を表すために我々が選ぶのは別のメカニズムなのだ。これを示す最もわかりやすい方法は、既存の有名なマジックのカードを選び、それを別の色で作りなおすことだった。

 そこで問題になるのが、どのカードを変えるべきかということだった。大量ではなく少しだけあればいいが、このアイデアをビルに共感してもらえるものでなければならない。そこで、私は、マジック・エンサイクロペディア(オンライン・データベースが今ほど一般化するより前のことだった)を取り出し、象徴的なカードを書き出していった。そして、その効果は他の色でも成立するか、と自問していったのだ。うまく行かないカードが多かったが、うまくいくものも少しだけあった。その中の1枚が、《神の怒り》だった。白以外で、大量のクリーチャーを殺すのにふさわしい色はあるだろうか。そう、黒だ。黒はクリーチャーを対象にして殺すことができるのだから、すべてのクリーチャーを殺すことができないわけがない。白はそうすることに長けているが、もう1つの現実においては、これが黒であるということは想像しがたい話ではない。

 私の計画は見事に成功した。古典的なマジックのカードのカラーシフトは私の意図をビルに伝えることができ、《滅び》と、印刷には到らなかった白の《記憶の欠落》の2枚のカードがビルを引き入れることに成功したのだ。《滅び》がこのアイデアを売り込むのにどれほど有用かということがわかって、私はウェブサイトでの直前公開に《滅び》を推したのだ。その日に公式サイトを見たら、《神の怒り》で通常のウェブサイトが除去されるのが表示されていた。その後、その《神の怒り》は《滅び》に変わるのだ。そして、ビルにそうしたのと同じように、私は《滅び》を「もう1つの現実の現在」を全世界に売り込むのに使ったのだった。

大火口のカヴー
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 ヴォーソス・デザイン、つまりクールでフレイバーに富んだ豊潤なものを選び、それを軸にカードを作る方法について、よく語ってきた。比べてほとんど語ってこなかったのが、ゲームのメカニズムでできることの豊かさをさらわすために作られたデザイン、つまりメル・デザインである。すばらしいメル・デザインは、メカニズムをうまく使うことで実現できるものを示すデザインである。《大火口のカヴー》はその一例である。

 このデザインは、『プレーンシフト』の人気のアンコモン・クリーチャー、《火炎舌のカヴー》を思い出させたいというところから始まった。

 これは4/2で、クリーチャー1体に4点のダメージを与える入場誘発を持っている。つまり、同じように戦場に出た時にクリーチャー1体にダメージを与える4/2クリーチャーであることが必要だろう。これは『時のらせん』なので、過去のキーワード・メカニズムを使うことができた。入場効果とうまく相互作用するキーワードはあっただろうか。少しはあるが、中でも飛び抜けていると私が感じたのは、エコーだった。

 エコーはもともと、マイク・エリオット/Mike Elliottが『Astral Ways』という自作セットのためにデザインしたものである。マイクがウィザーズに入社して、会社がそのセットを買い上げたのだ。『Astral Ways』には3つの主なメカニズムがあった。スリヴァー、アストラル/Astral、プレーンシフト/Planeshiftである。これら3つのメカニズムはすべてデザイン中に『テンペスト』に導入されたが、スリヴァーとアストラル(名前はシャドーとなった)だけが残った。プレーンシフト(後にエコーに改名された)は1年後の大型セットでありマイクがデザインのリードを務めた『ウルザズ・サーガ』に導入されることになる。『ウルザズ・サーガ』ブロックの3セットを手掛けていた当時、エコーに関して私が特に興味を持っていたことの1つが、エコーと入場誘発や死亡誘発との相互作用だった。これは、『ウルザズ・レガシー』と『ウルザズ・デスティニー』の大きなテーマになった。(エコーの歴史についてもっと知りたい諸君は、2007年のエコー特集で私が書いた記事(リンク先は英語)を読んでみてくれたまえ。)

 この新しいカヴーに、エコーと戦場に出たときにクリーチャーにダメージを与える能力を持たせることは当然できるが、私はもう少し複雑なことに興味があった。このカードが、戦場に出たときのダメージに加えて死亡したときのダメージも与えるとしたらどうだろうか。こうすれば、クリーチャー本体が重要かどうかを判断することができる。重要でなければ、2ターンかけて2体のクリーチャーにダメージを与えることができ、攻撃1回に対して使える4/2のブロッカーも手に入ることになる。重要だと考えるなら、《ショック》つきの4/2で、しかもブロック(して除去)したくないクリーチャーが手に入るのだ。このカードの最終版は、このクリーチャーのパワー/タフネスを反映して(そして《火炎舌のカヴー》にさらに近づけるようにするために)、戦場に出たときに4点、死亡時に2点のダメージを与えるようにしたが、ここからがメルの楽しい時間だ。この2つを入れ替えれば、このカードにもう1つ興味深いモードを追加できるということに気づいたのだ。《大火口のカヴー》が戦場に出たとき、自分に2点のダメージを与えることを選ぶと、すぐに死亡誘発が発生することになる。つまり、そのターンにクリーチャー1体に4点のダメージを与えるのが本当に重要な場合、そうできるのだ。これは限りなく私を興奮させた。私はこのカードを、〈賢いカヴー/Clever Kavu〉として提出したと思う。

契約サイクル
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 なぜか知らない諸君のために言っておくと、銀枠セット(『Unglued』『Unhinged』『Unstable』、『Unsanctioned』)は私の作品だ。何年もの間、私はそれらを守る発言を強いられ続けており、私が常にする反論の1つが、これらは将来に向けての偉大な試験なのだというものである。例えば、フルアートの土地、クリーチャー・トークン、分割カード、合体メカニズムはどれも銀枠セットで作られたものの副産物なのだ。契約サイクルもその一例である。(そう、これは『未来予知』にサイクル全てが存在しているが、白の《仲裁の契約》は『時のらせんリマスター』に再録する価値はないと判断された。)

 このサイクルのもとになったカードは、『Unhinged』の《Rocket-Powered Turbo Slug》だった。

 銀枠セットで私が好むことの1つが、通常のマジックのメカニズムを選び、それを弄ることである。ある日、私は、超速攻というメカニズムがあったら面白そうだと思いついた。それは一体何をするものだろうか。速攻に似たもので、しかしもっと強いものでなければならない。速攻よりも強いものというのはどうすれば作れるだろうか。クリーチャーをプレイしたそのターンにそのクリーチャーで攻撃できるのではなく、プレイする前のターンに攻撃できるとしたらどうだろうか。すごいことのように聞こえるが、しかし一体どうすれば行動する前のターンに何かをするということができるものだろうか。私はゲームを過去に戻す方法を掘り下げてみた。複雑すぎる。戦場に出た時にそのパワーと同じだけのダメージを対戦相手に与えるクリーチャーを掘り下げてみた。つまらなすぎる。黒枠マジックでもできる。そのとき、私は解決策にたどり着いた。前のターンに攻撃する、のではなく、次のターンに支払う、のではどうか。最後の問題は、支払わなかったらどうなるか、だった。単純なままにしたかったので、ゲームに負ける、とした。次のターンにそのコストを支払わなければならない。他の手段は存在しない。

 そして何年も後、『次元の混乱』を手掛けているときのこと。チーム・メンバーの1人、ポール・ソトサンティ/Paul Sottosantiがあるアイデアを投げかけてきた。「もう1つの現実として、《Rocket-Powered Turbo Slug》のメカニズムが黒枠にあるというのはどうでしょうか。」 超速攻という名前ではなかったが、「このターンはコストを支払わないけれども次のターンには支払わなければならない」というメカニズムには違いない。ポールはルール・マネージャーと話し合い、そして黒枠のルールでも可能だという返事をもらったのでカードのサイクルを作った。《Rocket-Powered Turbo Slug》の作者として、私はもちろんそのアイデアのファンだったが、1つ提案することがあった。呪文のコストを次のターンに支払うというのはもう1つの現実である現在という感じではなく未来だと感じるので、そのサイクルは『未来予知』に動かしたのだ。

 興味深いことに、我々はもっと《Rocket-Powered Turbo Slug》に近いものへ戻す前に、これと少し異なるバージョンのこのメカニズムを試していた。

〈深い拒絶〉
{3}{U}{U}
エンチャント
サプライズ・エコー ― {3}{U}{U}(あなたはこのカードを{0}でプレイすることを選んでもよい。そうしたなら、このカードはエコーを得る。)
[カード名]が戦場に出た時、呪文1つを対象とする。それを打ち消す。[カード名]がエコー・コストが支払われていない状態で死亡したなら、あなたのライブラリーを追放する。

 このバージョンの問題は、あらゆるエンチャント除去によって負けになることがあるということだった。その後、この文章を現在のものに巻き戻した。支払えなかったときの罰をゲームの敗北よりも緩いものにすることも少し話し合ったが、プレイテストの結果、プレイヤーは支払わなくていいようにデッキを組もうとすることになり、それはこのカードの狙いではなかったので、ゲームに敗北するという罰を受けるのは払わなかった時だけにした。

ウルザの工廠
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 『アンティキティー』は、メカニズム的テーマを扱った初のマジックのどのエキスパンションであった。(『アラビアン・ナイト』はトップダウンのフレイバー的テーマを持った初めてのセットだった。)このセット内にあって土地でないすべてのカードには、ルール文かカード・タイプに「アーティファクト」が含まれていた。すべての土地はタップして無色マナを出していた。(数枚のルール文には「アーティファクト」の語もあった。)熱烈なファンがいた土地の1種が、全体としてウルザトロンと呼ばれる3枚の土地だった。

 これら3種類を一緒にプレイすれば、無色マナ3点ではなく7点を得られるというものだった。数年後、これらのカードを現代のテンプレート下で成立するようにするため、その名前と同じサブタイプが与えられた。つまり、これら3枚はどれも「ウルザの」というサブタイプを持っている。

 『時のらせん』をデザインしていたときに、我々はこのサブタイプを持つ4枚目の土地を作るのが面白そうだと考えた。もちろん、ウルザトロンとうまく噛み合うようにする必要がある。問題は、どうやってそれをするか、である。タップして無色マナを出すことはわかっていたが、他の能力も持たせる必要があった。他の3種を持っていたら多くのマナを出すというのはどうだろうか。つまらなさそうだった。我々はいくつかのものを試し、そしてもっとも明瞭な答え、7マナを出す起動型能力を持たせる、に行き着いた。ウルザトロンがあるとき、このカードはクールなことをするのだ。

 このことから、次の疑問に繋がった。7マナでできる、クールでフレイバーに富んだことは何だろうか。我々はウルザのカードを振り返り、何か関連がないかと探した。何も目につくものはなさそうだった。次に我々は『アンティキティー』全体を振り返ってみた。すると、このセットにはもう1つ非常に象徴的なカードがあることに気がついた。《ミシュラの工廠》である。(公正を期すために言うと、このセットからの6枚の土地はどれも非常に象徴的になった。)《ミシュラの工廠》は組立作業員という2/2のアーティファクト・クリーチャーになることができる。基本的に《ミシュラの工廠》と同じように働く(2/2で、組立作業員に+1/+1する能力を持つ)《組立作業員》というカードはすでに作っていた。《ウルザの工廠》と《ミシュラの工廠》を関連させ、どちらも《組立作業員》を生成するとしたらどうだろうか。この兄弟はお互いの発明品を模倣しあってきた歴史があるので、クールなおまけになることだろう。フレイバー・テキストはこの部分を強調したものになっている。

『時』は来た

 本日はここまで。これらの話を楽しんでもらえたなら幸いである。いつもの通り、この記事や今回話題にしたカード、あるいは『時のらせんリマスター』そのものについて、諸君からの感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrInstagramTikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、本年の「基本根本」でお会いしよう。

 その日まで、あなたが『時のらせんリマスター』で楽しい時を過ごせますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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