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Making Magic -マジック開発秘話-
カジュアル・プレイ
2020年11月16日
今回は、開発部がカジュアル・プレイ向けにどのようにデザインしているかを語っていく。これは私がずっと語りたいと思っていた話題なのだ。9月、私は「Casual Magic with Shivam Bhatt」というポッドキャストを録った。(公開したのは10月だ。こちらから聞くことができる(英語)。)その中で、我々はカジュアル・プレイについてかなり語っており、それが今回の記事のもとになったのだ。これからわかるだろうが、この話題は諸君が初見で考えるよりも少しばかり複雑なのである。
カジュアル・プレイとは何か
カジュアル・プレイ向けにどうデザインしているかを説明する前に、それが何なのかを定義しなければならない。マジックのコミュニティ(および開発部)は、「カジュアル」という語を3つの別々の意味で使うようになっている。
定義1 ― 経験がない
マジックは複雑なゲームである。20,000種類以上のカードが存在し、総合ルールは電話帳のようなサイズである。理解すべきことが多いのだ。プレイヤーの中には、私のように、このゲームを長い長い間プレイしている者もいる。彼らはこのゲームを学ぶために何時間も費やしており、このゲームの多くの側面に馴染みがある。この定義におけるカジュアルとは、このゲームをプレイしているがその詳細を理解するために必要なほどの時間をまだ費やしていないプレイヤーのことである。彼らが気づいていないルールや聞いたこともないメカニズム、まだ知らないマジックの要素が存在するかもしれない。この定義はコミュニティの話ではなく、コミュニティには彼らが存在することも存在しないこともある。マジックのゲームに含まれる込み入ったものについて、彼らがどれほど気づいているかという話である。
定義2 ― 熱心さがない
マジックは、そのゲーム1つだけで終わるものではない。コミュニティ全体なのだ。マジックについて読んだり、動画を見たり、デッキ技術を論じたり、コスプレ写真を撮ったり共有したり、ソーシャルメディアでミームを作ったり共有したりすることにも時間をかけることができる。マジックは、ただの活動だけを大きく超えた、一個人として自分が何者であるかを定義づける役に立つものになりうる、いわばライフスタイルのゲームなのだ。マジックのすべてのプレイヤーがそうしているわけではない。実際のところ、ほとんどのプレイヤーはしていない。例えば、我々は、マジックのチャンネルを通してプレイヤーを探すのではなく広く外部を探して一般大衆を探す、「深層」調査と呼んでいるものをした。これによって、我々は通常なら出会えないようなマジックのプレイヤーと出会うことができる。それらのプレイヤーの多くはプレインズウォーカーが何かを知らず、フォーマットとは何かを知らず、私が何者であるかを知らなかった。この定義におけるカジュアルとは、マジックをプレイしていて広いコミュニティに関わる時間をかけていない(あるいは、せいぜいでその表面にしか気づいていない)人々のことである。
定義3 ― 競技性がない
マジックには、競技プレイを基柱にした大きな環境が存在する。最寄りの店舗に向かい、大会に参加し、可能な限り多くのゲームに勝てるように最善を尽くし、可能ならば大会に優勝することができるのだ。この出発点から、プレイヤーが大会で競技的にプレイできるようにするための組織化プレイ・システムが存在している。トッププレイヤーたちは多くの観衆の見ている大きな大会で賞金を懸けてプレイできるのだ。しかしこの競技性が、すべてのプレイヤーを突き動かしているわけではない。プレイヤーの中には、マジックをプレイすることのそれ以外の側面を楽しむ者もいる。それは、友人と交流することの社交性かもしれないし、それまでする機会がなかったことをすることの感動かもしれないし、クールなデッキを作ってお披露目することかもしれないし、単に自分が笑顔になるようなことをする回数を増やすためかもしれない。この定義のカジュアルさは、勝利が唯一の目標ではないという考えを許容するものである。確かに、カジュアルなグループでも、ほとんどのプレイヤーは勝利を目指している。違いは、勝ったかどうかが成功の指標ではなく、勝利はそのデッキをプレイするという経験を楽しみたいという欲求以上のデッキ作成上の決定を推進するものではない、ということである。
開発部がそれぞれのグループをサポートするための別々の行動を取ることができるように、これらの区分を別々に扱うことが重要なのだ。これから、それぞれについて順番に見ていこう。
カジュアル(経験がない)向けのデザイン
このグループのカジュアル・プレイヤー向けのデザインをする鍵は、彼らを怯えさせないように意識することである。このグループは学習中なので、怖いものだと感じさせることなくマジックを楽しめるようにする必要があるのだ。楽しめば、彼らは戻ってくる。恐ろしいものだと思えば、戻ってこないだろう。つまり、このグループ向けのデザインをする場合、観察しなければならないものがいくつも存在するということである。
認識負荷
認識負荷とは、マジックをプレイするために必要なすべての情報を把握するというプレイヤーの能力である。過負荷になれば、プレイヤーはやめてしまう。また、この情報の多くが新しいものなので、処理するために必要な脳の容量も大きくなる。例えて言えば、プレイヤーはコップであり我々が追加していくゲームの要素は水なのだ。コップから飲むのが、情報を処理することにあたる。コップの水が少なすぎれば、プレイヤーは干上がってやめてしまう。コップから水があふれれば、プレイヤーは怒ってやめてしまう。我々の仕事は、コップに適切な量の水を入れることなのだ。これをうまくやるための鍵は、我々が必要とするゲームの要素は何種類あるかということを監視することである。これには、基本的なゲームの機能、カード個別の能力、メカニズムが含まれる。
語彙
新しい単語は、新しい概念を表すので恐ろしい。多くの面で、ゲームの語彙を学ぶことは新しい言語を学ぶことに似ていて、ほとんどの人にとっては恐ろしいものだ。我々が使っている重要なデザイン道具の1つが、芳潤さである。プレイヤーが新しい単語を理解する助けになるフレイバーが多ければ、我々が導入できる語彙も多くなる。つまり、飛行のようなものは比較的簡単だが、警戒のようなものはずっと難しい可能性があるのだ。
単語数
怖いのは新しい単語だけではなく、あらゆる単語である。監視するべきものの中には、使っているカードに含まれる単語数が挙げられる。この種のカジュアルを扱う場合、単語数が少ないほうが良いことが多い。これは、我々が初心者向け製品でバニラ・クリーチャー(ルール文のないクリーチャー)、フレンチバニラ・クリーチャー(ルール文なしで能力だけ)、実質バニラ・クリーチャー(プレイされたターン以降は基本的にバニラであるクリーチャー。単純な入場効果を持つだけのクリーチャーなど)を増やす大きな理由の1つである。
戦場にあるパーマネントの数
戦場にあるカードは、それぞれが戦場にある他のカードとどのような相互作用を持つかを理解するためにそれぞれいくらかの脳の容量を必要とする。この問題はカードが増えていくたびに指数関数的に増大するので、パーマネントでない大量のカードやパーマネントを除去する大量の方法を準備することが重要となる。(そしてこの2つはかなりの部分で重複することがある。)
各ターンに行なう決定の数
毎ターン何をするか決めなければならないことは、選択肢が多すぎると、恐ろしいものである。これを処理するには、戦場にあるクリーチャーの数を意識し続けることが必要である。もう1つの方法は、マナ・コストを使って、序盤にプレイヤーがプレイすることを検討できるカードの枚数を絞ることである。初期手札に複数あるようにするために軽い呪文が充分必要だが、選択肢が多くなりすぎないように数を絞らなければならない。
この種のデザインの鍵は、プレイヤーが扱わなければならないあらゆるものに意識を配り、それから情報を一口大に切り分けるように製品をデザインすること、あるいは先ほどの例えを使うなら水を継続的に、ただしゆっくりと、注ぎ続けることである。
カジュアル(熱心さがない)向けのデザイン
この3つのグループの中で、通常のマジックのデザインから一番乖離しないで済むのがこの分類である。最初のグループのような理解の問題もなく、第3のグループのような逸脱への欲求もない。このグループはマジックを理解しプレイすることを楽しんでいるが、その頻度は、熱心なプレイヤーがプレイするよりも概して低い。意識すべきことはいくつか存在する。
彼らは郷愁よりも芳潤さを求める
マジックのコミュニティとの接触が薄いということは、マジックのゲーム外の要素との接触が薄いことが多いのだ。このグループは、例えば、物語のことをよく知らない(あるいはその存在すら知らない)ので、事前知識が必要なクリエイティブ要素を扱ったカードにはあまりインパクトを受けない。彼らが最も楽しむ傾向にあるのは、彼らがすでに知っているテーマや概念、大抵はマジックよりも広い芳潤な概念を扱ったものである。これは、彼らがマジックにしか存在しないものを楽しめないということではないが、楽しむためには他のカードやセットに依る文脈がなくても筋が通るものでなければならない。
新奇さをあまり必要としない
このグループは概してマジックをプレイする頻度が低いので、全体を把握するのには時間がかかる傾向にある。うんざりするようになるにはずっと長い時間がかかるので、このグループはテーマの繰り返しを問題視することは少ない。これから見る通り、新奇さは第3グループのカジュアル・プレイヤーにとって非常に重要でありうる。
マジックの歴史をあまり知らない
プレイ頻度が低いことに加え、このグループは、これも概して、全体としてプレイしている時間が短い傾向にある。つまり、彼らは、我々が10年以上前の何かを再録した時、それにあまり気づかないのだ。この結果、新鮮に見えるものよりも懐かしいものに興奮するということは少ないということになる。
新しい概念をあまり支持しない
最後に、このグループはコミュニティに属していないことから、新しいセットやテーマやメカニズムを理解するのは独力に依る部分が大きくなる。一般に、このグループは複雑になりすぎるとそれを把握する手段を持たないので苛立つ傾向が強い。そのため、このグループが楽しめるとわかっているものがあるように、簡単に会得できて芳潤な概念がすべてのセットにあるようにすることが重要なのだ。
カジュアル(競技性がない)向けのデザイン
この種のカジュアルなユーザーを満足させるためにデザインが使える2つの道具が存在する。1つ目は、分散である。分散は、カード、メカニズム、デッキといったゲームの要素がゲームごとにどれほど同じ働きをするかを表す。競技プレイヤーは一般に、分散が低いことを求める。勝利の鍵は、デッキを安定させることである。つまり、すべてのものが一般に、ゲームごとに同じ働きをすることを求めることになる。例えば、あるカードが、あるゲームでは弱く、次のゲームでは過度に強い、ということは望まない。
カジュアル・プレイヤーの目的は、ゲームに常に勝つことではなく、ゲームを楽しむことである。何回ゲームをしても結果が同じになるのは、この望みには反するのだ。それでは退屈なのである。これが、例えば統率者戦が60枚デッキでなく100枚デッキであること、そして4枚制限でなく1枚制限であることの理由である。同じカードの組み合わせが手に入ることが少なければ、ゲームが同じ展開になることはずっと少なくなる。
デザインの観点から言うと、これはつまり、分散の大きなカードをデザインする必要があるということになる。その方法はいくつも存在する。銀枠セットはこの種のユーザー向けであり分散が大きくなるようにデザインされているので、『Unstable』を例にとって説明していこう。
ゲームごとに変化する要素を持っている
分散を作る方法の1つが、ゲームごとにほぼ各日に変動する因子に依存するカードを作ることである。例えば、『Unstable』では、《〈ハイタッチしよう〉》というカードを作った。これは可能な限り多くの人とハイタッチをすることでライフを得るカードである。このカードは環境によっては(例えば、地元のゲーム・ショップで大盛況のゲームナイト中では)非常に強く、環境によっては(台所で妹と2人きりでプレイしている場合は)非常に弱い。
黒枠では、ゲームの進行によって変動する(自分がコントロールしているクリーチャーの数、自分の墓地にあるカードの枚数、自分の手札にあるカードの枚数、などの)ゲームの状況を参照するカードを作ることができる。参照するものの分散が大きければ、そのカードの分散も大きくなるのだ。また、デッキ作成によって調整できる分散が小さければ、ゲーム中の振れ幅は大きくなることが多い。
他のカードと組み合わせることで作用に影響を与えるカードを作る
分散を高めるもう1つの方法は、その効果が他のカードとの相互作用に依存するカードを作ることである。それは(そもそも構造にかなりの分散が組み込まれている)トレーディング・カードゲームの中核要素だが、この種の相互作用に寄せたデザインが存在するのだ。『Unstable』から例を挙げれば、左側と右側を組み合わせて新しいクリーチャーを作る、宿主/拡張メカニズムがそうである。左側は誘発条件を、右側は効果を決める。宿主が19種、拡張が13種あるので、組み合わせは247種類になる。
黒枠では、作るものの性質を変化させるためにそのメカニズムを使う先を選ぶ変容のようなメカニズムでこれを実現しているのがわかるだろう。この種のデザインの鍵となる部分は、カードを異なる順番で引くことで、それまでプレイした他のゲームと異なる形で組み合わせなければならなくなるということである。デザインがこの種の相互作用に基づいて変化すればするほど、生み出される分散は大きくなるのだ。
高い分散を内包したゲームの要素を用いる
この分類は、プレイヤーが、自然に分散をもたらす道具を使うというものである。『Unstable』からの例示として、サイコロを振ることを挙げよう。《〈刑務所に行け〉》は、対戦相手のクリーチャーを何ターンか追放するが、それが何ターンになるかを知る方法は存在しない。確かに、統計上一番起こりやすいのがいつなのかは理解できるが、実際にいつ発生するかはわからないのだ。
黒枠では、ほとんどの分散の高い道具は忌避する傾向にある。コイン投げのカードは時折存在するが、プレイデザインはそれらを競技レベルから遠ざけようとするのだ。分散の高い道具で唯一我々が使うものは、マジックの基柱となっている分散の高い道具である、ライブラリーである。少しドラマ性を加えたい場合、我々がよくライブラリーを使っていることに気づくことだろう。もう1つ我々が黒枠で、1回あたりの量は少なくてもよく使う道具が、無作為性である。カードが何か無作為の選択をさせる場合、その結果はゲームごとに違うのが普通である。
大量の選択肢を持つカードを作る
この分類では、そのカードを使っている本人が何をしたいかという大量の選択肢を与えることによって分散を高めている。例えば、《〈大会常連、スパイク〉》は、それまでに構築フォーマットで禁止あるいは制限されたことのあるカードを得ることができるようにする。大量のカードが存在する。マジックにはこの27年間に多くのフォーマットが存在しており、それらさまざまなフォーマットで禁止や制限されたカードは大量に存在する。この分類が前述の3つと異なっている唯一の部分が、これによって分散が高くなることはあるが、必ず高くなるというわけではないということである。《〈大会常連、スパイク〉》をプレイして、毎回同じカードを持ってくることは可能なのだ。選択がプレイ体験ごとに異なるようなこの類のカードを作ることは可能だが、それには選択を変えるメカニズムが含まれるものだ。例えば、《〈大会常連、スパイク〉》が対戦相手が最後にプレイした呪文の色のカードだけを持ってこれるとしてみよう。
この分類を取り上げた理由は、競技志向の高いプレイヤーが安定性を得られるようにしながらプレイヤーが望むときに分散を得られるようにすることから来る、分散を作り出す能力があるからである。これは大抵の場合、モードを持つカード、複数の状態を持つカード(分割カードや両面カードなど)、あるいはさまざまな対象を取ることができてプレイヤーに広い選択肢を与えるカード、から来ているものである。
ミニゲームの使用
分散を作り出すもう1つの技術は、ゲーム内でゲームを使うことである。しばしば、そのゲームはプレイしているゲームの一部である。例えば、『Unstable』の《〈カウントダウン残り1〉》では、マジックのサブゲームをプレイすることになる。プレイしているゲームが完全に別のゲームとなる場合もある。例えば、『Unglued』には、腕相撲や息止め勝負などのことをするミニゲーム・カードのサイクルが存在する。これらのミニゲームはゲームごとに異なる(誰が対戦相手かなどの)因子に依存することが多いので、そこには分散が存在することになる。
黒枠マジックでは、これらのミニゲームは短く、そのゲームに存在している要素を基柱にしていることが多いとはいえ、存在はしている。『プレーンシフト』の《ゴブリンのゲーム》、『メルカディアン・マスクス』の《泥棒の競り》、『ジャッジメント』の《陰謀団式療法》などでは、ゲーム全体に影響を及ぼす短いゲームをプレイすることが求められる。
デザインが使える2つ目の道具は、新奇性である。新奇性とは、ユーザーが見慣れていないものに寄せた実践である。そのための方法はいくつか存在する。
他のカードが参照してこなかったマジックの一面を参照する
この分類は、他のカードが全く(あるいはほとんど)参照してこなかったものを参照するカードを作るということである。例えば、『Unstable』の《〈大文字犯罪〉》は、カードのルール文中にどれだけの大文字が存在しているかを参照する。これまでそんなことをしたカードは存在していなかったので、《〈大文字犯罪〉》を使う場合、ゲームを全く新しい観点から見て考える必要が生じる。カジュアル・プレイヤーの多くにとって、これはそれまで体験したことがなかった体験であり、楽しいものなのだ。
黒枠でもこの類のことをすることがある。その場合、参照できるものとして小さな母集合から選ぶというだけである。(黒枠では英語でカード名が同じカードは全て同一なので、カード名の性質やエキスパンション・シンボル、すかしなどといったさまざまなカードの要素が参照できなくなっている。)
通常は変数ではないものから分散を生み出す
この分類の例としては、『Unstable』の《〈大体〉》を挙げよう。このカードでは、ルール文中の数を1増やしたり減らしたりすることができる。通常、マジックでは、ルール文中の数は固定されており、変化させることはできない。1が2になったらどうなるか、などということはありえないので考える必要がなかったのだ。《〈大体〉》が存在するようになると、プレイヤーはルール文中に数を含む全てのマジックのカード(大量にある)を新しい光のもとで再検討することになる。
黒枠でも、この分類に手を付けている。初期のマジックには、色の単語や基本土地タイプを変更できる、《臨機応変》や《魔法改竄》などが存在した。変更を認めることによって何かを壊すことにならないかどうか観察しなければならないので、黒枠においてどの種類のものを変更できるようにするかについて、単に、非常に慎重にならなければならないだけである。
プレイヤーに楽しませる選択を強要する
新奇性を作り出す方法の1つは、プレイヤーにそれまでしたことがないような選択をさせるというものである。重要なのは、その選択そのものが楽しいものであり、ゲームにメカニズム的に強い影響を及ぼさないものであることである。『Unstable』の《〈魔法の言葉〉》はその好例である。これは、プレイヤーに単語1つを選ばせる。その後、その単語をそのカードの機能の一部として使うことが必要になる。(能力の1つの起動コストとしてその単語を発声しなければならない。)しかし、その単語が何であるかは重要ではない。文字通り、どんな単語を選んでも同じように働くのだ。多くのプレイヤーにとってクールなところは、『Unstable』のゲームをいくつも観戦してきた1人として言うなら、どれだけ面白い単語選びをするかである。そのプレイヤーと対戦相手の間で流行っている身内ネタかもしれない。プレイヤーが自己紹介することになる単語かもしれない。対戦相手を笑わせるかもしれない。何でも好きなものを選べるという自由度が重要であり、カードを使うたびに変更できる、必然的に新奇な体験を生み出す何かを選ぶことになる。
黒枠でも少しだけこのようなものがある。《ゴブリンのゲーム》では、どんな品物を隠すかということは定められていない。カードの中にはメカニズム的に意味を持たないような、しかしその選択そのものを楽しむことができるような、選択を認めるものがある。例えば、『ストロングホールド』の《ヴォルラスの研究室》では、そのカードが生成するトークンのクリーチャー・タイプを選ぶことになる。それが意味を持つこともあるが、ほとんどの場合は意味を持たない。しかし、多くのプレイヤーにとって、その選択をすることは楽しいのだ。
この最後のグループを満足させるための鍵は、彼らが楽しいと思う方向でそのゲームを体験する方法を提供することである。
全員のためのカジュアルな楽しみ
カジュアル・プレイヤー向けのデザインという話題の掘り下げを楽しんでもらえたなら幸いである。これは我々が充分考えなければならないものなので、諸君たちとこれについて語れたことは楽しい体験だった。いつもの通り、諸君からの反響を楽しみにしている。マジックを諸君にとってもっと楽しいものにするためにデザインにしてほしいことはないだろうか。あるいは、今日の記事やカジュアルの意味についてのわたしの考えについて意見があるかもしれない。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、伝説のクリーチャーについてのトリビア記事でお会いしよう。
その日まで、あなたがマジックのカジュアル面を楽しみますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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