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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

分散性 その1

Mark Rosewater
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2019年12月16日


 

 今回(と、『テーロス還魂記』のプレビューの後に)、ゲームデザインにおいて重要だがこれまで深く掘り下げてこなかった、分散性として知られる要素について語ろうと思う。分散性とは何か、それがどうゲームデザインに影響するのか、そしてそれを理解するのがマジック(他のゲームも)をデザインする上で重要なのはなぜかを説明していく。

 まず、定義から始めよう。ここで、この用語をゲームデザインの文脈で定義するということを明記しておく。分散性とは、「あるゲームプレイ要素がプレイ経験ごとにどのように異なった展開をするか」である。分散性は尺度として考えることができる。ある要素の分散性が高いとは、その要素がプレイされるごとに異なった働きをする可能性があるということである。ある要素の分散性が低いとは、その要素がプレイされるごとに似通った働きをすることが予想されるということである。

 これに関連して、2つ目のベクトルがある(そのため、この尺度を分散性と直交しているものとして考えることができる。これについては後述)ので、それについても取り上げておこう。そのベクトルとは、選択性である。ゲームには、選択性が高いものと低いものがある。選択性が高いとは、プレイヤーがそのゲーム要素についての決定を行なうということである。プレイヤーの入力が、その要素がどう働くかに影響を及ぼす。選択性が低いとは、プレイヤーがそのゲームプレイ要素についての決定をしないということである。それがすることにプレイヤーは何の入力もしない。

 さまざまなものが「ゲームプレイ要素」として定義できるので、マジックを使っていくつもの例で見ていこう。それぞれについて、選択性が高い、低い、混在する(つまり、その要素は低いものから高いものまで存在しうる)のどれであるか説明していく。

悪魔の教示者》 アート:Zack Stella

カードの持つ分散性

 最初に、個別のカードを見ていこう。そのカードをプレイするごとに、その効果はどれほど変わるだろうか。これに関わる因子はいくつも存在する。

対象

 このカードを唱えるに際して、影響を与える先としてどれだけの選択肢があるか。選択肢が多ければ、分散性は高い。

 ここで、直接ダメージ呪文を例に取ろう。それに「プレイヤー1人を対象とし、それに3点のダメージを与える。」と書かれていれば、2人対戦では選択肢が多いとは言えない。理論上は対戦相手だけでなく自分自身も選ぶことができるが、非常に稀な状況を除いては、対戦相手を選ぶことになるだろうから、分散性は低いのだ。対照的に、「クリーチャー1体を対象とし、それに3点のダメージを与える。」の場合、対戦相手が2体以上のクリーチャーを出している可能性は十分にある(しかも、特定の状況では自分のクリーチャーを選ぶことができる)ので、選択肢は多くなることが予想される。したがって、分散性は高い。「プレイヤー1人かクリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を対象とし、それに3点のダメージを与える」呪文は、プレイヤー、クリーチャー、プレインズウォーカーのいずれを選ぶこともできるのでさらに選択肢は多くなる可能性があり、したがって直接ダメージ呪文の中では最も分散性が高いのだ。

 この分類では、そのカードを唱えたプレイヤーがまず間違いなく対象を選ぶプレイヤーであるということを前提に選択性が高いとしている。

モード

 その呪文を唱えるときに効果の選択肢がいくつあるか。

 《帰化》のような単純なモードを持つ呪文は、アーティファクトかエンチャントか、どちらでも破壊することができる。ここにはいくらかの分散性はあるが、最低限である。3つの選択肢を与える「魔除け」はそれよりも分散性が高く、4つの選択肢(そして2つを選ぶ)を与える「命令」はさらに分散性が高いのだ。通常、モードの数が増えれば増えるほど、分散性も高くなる。

 ここで重要なのは、それぞれのモードの有用性を考えることである。カードに3つの選択肢が書かれていても、ほとんどの場合そのうち同じ1つだけを選ぶのであれば、全体としてそのカードの分散性は低いことになる。開発部は一般に、モードを持つカードの選択肢に意味があるようにしようとしている。この分類が高い選択性を持つと考えられているのは、対象と同様、呪文を唱えるプレイヤーが(通常)モードを選ぶことになるからである。

特定のカードを選ぶ

 そのカードの効果は特定のカードを選ばせるものか。これにはいくつかの種類がある。

 もっとも有名なものは、おそらく教示者や願いといった、大抵の場合は特定の部分集合(それぞれ自分のライブラリー、ゲームの外部)から選んだカードを自分の手札に入れるというものであろう。選んだカードを他の領域に入れるものもある。その他にも、カードを選ぶときにゲームプレイに何らかの影響を与えるものがある。例えば、カードを指名して、それを唱えたり起動したりできなくするというものだ。

 この分類が選択性が高いのは、可能な選択肢が多いからである。興味深いことに、どのゲームでも常に同じカードを指名すべきことが非常に多いので、分散性は低いことが多いのだ。(詳しくはまた次回。)

未知の領域との相互作用

 この分類は、主にライブラリーや他のプレイヤーの手札との相互作用に関わるものである。

 例えば、 「カードを1枚引く。」は、その効果を使うたびに無作為化されたライブラリーと相互作用することになるので分散性が存在する。同様に、対戦相手の手札と相互作用する、手札破壊呪文のような効果も、その呪文を唱える時点での対戦相手の手札にあるカードに影響されるので、異なった働きをする。対戦相手の手札は違うのが普通なので、ゲームごとに変わることになる。

 カードの結果が異なる理由に影響するような決定はしていないので、この分類の選択性は低い。

無作為な効果

 この分類は、無作為化する要素を用いているために結果が変わるカードを扱う。

 黒枠のカードではコイン投げが、銀枠のカードではサイコロが用いられる。ライブラリーもまた、無作為化する要素として用いられることがある。これらの種類の呪文は、その分散性が特に目立つものである。この分類は、何が起こるかに関して入力を与えることはほとんどないので選択性は低い。(ただし、ライブラリーが占術によって影響を受けているといったようなことはありうる。)

他のカードに基づく効果

 この分類では、そのカードがすることを決定するために他のカード(戦場にあることが多いが、どの領域のものである可能性もある)を必要とする効果を扱う。

 何かの部分集合を数える、拡大効果が存在する。クリーチャーのパワーやタフネスを使って効果の大きさを決定する効果も存在する。特定の条件を満たしていたら強化される閾値効果(開発部的に一般的な表現であり、スレッショルド能力とは限らない)も存在する。これらの効果の鍵は、その効果が何をするかを決定するために他のカードと相互作用する必要があるので、分散性が存在するということである。効果が何なのかに入力がどの程度影響するかにはいくらかの幅がありうるので、この分類の選択性は混在している。

追加コスト

 マナ以外のコストの支払いを要するカードが存在する。カード1枚を捨てるものもあれば、クリーチャー1体を生け贄に捧げるものもあれば、パーマネント1つを自分の手札に戻すものもある。

 前の分類と同じく、この種の効果も他のカードやカード群と相互作用が必要なので、ゲームごとにその働き方は変動することになる。追加のコストが効果に影響を与えることがあるので、先の分類と重複することもある。この分類の選択性も、先の分類と同じ理由で、混在している。


 

 見ての通り、個別のカードそれぞれが持ちうる分散性に影響を与えるものはさまざまに存在する。

発明の天使》 アート:Volkan Baga

メカニズムの持つ分散性

 次に、一歩引いて、個別のメカニズムについて見ていこう。このメカニズムを持つカードをプレイするときに、同じ用に働く頻度はどの程度か。メカニズムにに関して、選択性が高いか低いかはゲームプレイよりもデッキ構築に依存する。それぞれについて論じていこう。カードと同様、メカニズムの分散性に関わる因子も複数存在する。

変数

 そのメカニズムが、変数部分を持つものかどうか。つまり、そのメカニズムを持つカードごとに変わるものはあるかどうかである。変数には以下のようなものがある。

  • コスト:多くのメカニズムは、マナなどのコストを必要とする。サイクリングなど、カードごとに異なるコストを持つメカニズムも存在する。{1}、{2}、特定の有色マナであることもありうる。食物・トークンなど、そのメカニズムすべてが一定のコスト({2}, {T}, 生け贄)を持つものもある。
  • 入力:起こる条件が変わるメカニズムが存在する。例えば、増殖は常に同じ出力(さまざまなパーマネントやプレイヤーにカウンターを1個増やす)をもたらすが、入力(コストや誘発イベント)はさまざまである。
  • 出力:対照的に、上陸などのメカニズムはどれも入力(土地が1つ自分のコントロール下で戦場に出る)が同じで、出力が異なる。
  • 入力と出力:信心などのメカニズムは、入力(信心が誘発する閾値は異なりうる)と出力(信心カードにはさまざまな効果がある)の両方で変化しうる。
  • 効果範囲:生成する効果の強さに幅があるメカニズムが存在する。例えば、滅殺には対戦相手が生け贄に捧げなければならないパーマネントの数を決定する数字が書かれている。

 メカニズムが持つ変数が多ければ多いほど、分散性は高くなる。選択性に関しては、お互いに似通った働きをする特定のメカニズムを持つカードだけを入れることを選ぶことは理論上可能だが、それはゲームプレイ的に推奨されるものではないことが多いので、これの選択性は低いと考えている。

拡大能

 そのメカニズムの効果がゲーム内の状況によって変動するかどうか。

 例えば、召集は戦場に出しているクリーチャーの数が多いほど強い。この分類の分散性は2つの因子に依存する。

(1) ゲームが合理的に生成できる、参照するものの数。(クリーチャーを参照するもののほうがエンチャントを参照するものよりも分散性が高い。)

(2) そのメカニズムに必然的な上限があるかどうか。例えば、親和のようなコスト低減メカニズムはその呪文のその部分を0にまでしか下げられない。

 通常、効果がどれほど大きくなるかについてはデッキ構築によってコントロールできるものなので、これの選択性は高いと言える。

選択/モード

 このメカニズムは選択を内包しているかどうか。

 例えば、製造は1/1の霊気装置・クリーチャー・トークンか+1/+1カウンターかどちらを得るかを選ぶことができる。選択が多ければ、通常、分散性は高い。これは選択性の高い因子であり、その呪文を唱えるときに生じるものである。

選択的使用

 そのメカニズムが、使うかどうかを選べるものか。

 これの好例が、キッカーである。キッカーを持つ呪文は、その呪文を強化することができる追加コストを持つが、そのメカニズムを使うことは強制ではない。その呪文をキッカーを支払わず通常通り唱えることもできる。この種のメカニズムの分散性は、その使用を選ぶことがどの程度簡単かによる。それを使うかどうかが(通常)プレイヤーに任されているので、選択性も高い。

再利用

 このメカニズムは、その呪文を通常の方法で唱えた後で使うことができるようにするものかどうか。

 フラッシュバックはこの種のメカニズムの好例である。カードを通常通り唱えて、そのゲームの後半でそれをフラッシュバックするかどうか決めることができるのだ。前の分類と同じく、この種のメカニズムの分散性はその使用の簡単さに従う。これも前の分類と同じく、選択性の高い選択肢である。


 

 これらすべては基本的に、そのメカニズムを持つカードすべての一貫性に行き着くことになる。その使い方やその効果の種類に柔軟性があれば、それだけ分散性は高くなるのだ。

デッキ・アーキタイプの持つ分散性

 さらにもう一歩引いて、今度はデッキ全体に焦点を当ててみよう。同じデッキを使ったときに、ゲームごとにどれだけの変化があるか。この章では選択性は高くなる傾向にあるが、それはゲームプレイよりもデッキ構築に組み込まれたものである。デッキ・アーキタイプの分散性は、以下のようなものを軸にしていることが多い。

マナの安定性

 そのデッキがマナを得る能力を最大化するように調整されているか。そうであれば、分散性は低くなる。

マナ・カーブ

 そのデッキに、ゲームの毎ターン可能な安定したものがあるか。

 マナ・カーブが緻密であればあるほど、デッキの分散性は低くなる。また、デッキ内のカードの点数で見たマナ・コストの平均が低くなればなるほど、一般にそのデッキの分散性は低くなる。(これは、初期に土地を出すターンの分散性が低いという事実に依るものである。)

マナ・カーブ

 そのデッキに、ゲームの毎ターン可能な安定したものがあるか。

 マナ・カーブが緻密であればあるほど、デッキの分散性は低くなる。また、デッキ内のカードの点数で見たマナ・コストの平均が低くなればなるほど、一般にそのデッキの分散性は低くなる。(これは、初期に土地を出すターンの分散性が低いという事実に依るものである。)

マナの効率性

 そのデッキは、各ターンにマナを使って何かできるようになっているか。

 これはマナ・カーブだけの問題ではなく、開発部語で言う「マナのはけ口」、つまり必要に応じてマナを消費することができるもの、ががあるかどうかも含む。マナのはけ口の好例として、パーマネントの起動型能力でマナを必要とするものがある。

カードの枚数

 同じカードを4枚入れてプレイしているかどうか。

 4枚入れていれば、分散性は低い。そうでなければ、分散性が高くなる。特定のカードを多く入れていればいるほど、そのデッキは同じ動きを見せることが多くなる。これは、なぜヴィンテージ以外では制限カードを制定しないのかという理由に関わってくる。(詳しくはまた次回。)

効果の頻度

 同じ機能を持つ複数のカードを入れているか。

 入れていればいるほど、そのデッキの分散性は低くなる。(デッキが単一のことをする頻度が高ければ、ゲームの動きは同じになることが多くなる。)


 

 諸君もこの章のテーマに気づいたことだろう。デッキを競技的なものにするということは、同時に、デッキの分散性を低めるのだ。その理由として、低い分散性は安定性に繋がり、安定性は勝率を高めてくれるからである。これについてはまたすぐに触れる。

なぜ分散性が重要なのか

 マジックには、高い選択性と低い選択性の両方を通して、分散性が高まる可能性も低まる可能性も大量に存在する。それでは、ゲームデザイナーがそれを考慮しなければならないのはなぜだろうか。まず最初に、それぞれの尺度に焦点を当て、その高低それぞれの利点について見ていこう。

 まず、分散性から。

低い分散性の利点

安定性

 分散性が低ければ、ゲームは同じような動きを見せることになる。カード、メカニズム、デッキが、使うたびに同じことをする傾向になるのだ。

詳細に依存するゲーム

 分散性の低いゲームは安定するのでプレイヤーは予測されることについてよく理解していることが多くなる。その結果、ゲームは細かな決定に依存することになる。

経験の評価

 ゲームが細かな決定に依存することが多くなると、そのマッチアップを最も実践してきたプレイヤーが有利になる。どこでアドバンテージをかき集めるのかを知ることが、低分散性ゲームの鍵なのだ。

単純さ

 カード、メカニズム、デッキがどのゲームでも同じように働くので、理解するのが簡単になる。そういったゲームにも複雑さはあるが、それは理解上の複雑さ(カードがすることを知ること)ではなく盤面の複雑さや戦略的複雑さ(部品がどう関連するかを理解すること)に移っている。

技術が重要になる

 低分散性ゲームはコントロール可能になるので、一方のプレイヤーが不運だったことで終わりになる頻度が低くなる傾向にある。

高い分散性の利点

新奇性

 分散性が高いと、ゲームは異なった動きを見せることが多くなる。カードの使われ方、メカニズムの使われ方、デッキの使われ方がそれぞれずっと広い可能性を持つようになる。各要素が他のゲームではしないようなことをするため、ゲームはより新奇なものになるのだ。

大枠に依存するゲーム

 高分散性ゲームの動きは大きく異なるので、プレイヤーはゲームプレイ上の各瞬間の扱い方を理解した上での経験が少なくなる。このため、大枠が意味を持つようになる傾向がある。知識ではなく直感に依ってゲームの展開の流れを理解したプレイヤーが勝利する傾向が強い。

柔軟性の評価

 ゲームが大きく変動するので、即興で対応することに長けたプレイヤーが有利になる。すべてのゲームが異なるものであれば、素早く判断して新しい状況を活かすことのほうが、過去の経験から何をすべきかを知ることよりも勝利につながることになる。

ゲームの理解の評価

 カード、メカニズム、デッキがゲームごとに違う動きをする場合、ゲームはより複雑になり学ぶのが難しくなる。そうなると、ゲームを上手に把握できるプレイヤーが有利になる。

経験の浅いプレイヤーが勝てる可能性が出る

 高い分散性によって、幸運にせよ不運にせよ運の影響を大きく受ける機会が増える。これによって、弱いプレイヤーにも経験豊富なプレイヤーを倒せる機会が増えることになる。

心躍る瞬間が増える

 幸運不運のゆらぎは、ゲームプレイ上の盛り上がる瞬間を生み出すことになる。


 

 さて、ここからは選択性の尺度を見ていく。

低い選択性の利点

プレイが簡単

 カードをプレイする際に決定することが少なければ少ないほど、プレイするのは簡単になる。

単純な盤面

 各個別のカードができることが少なければ、盤面も理解するのが簡単になる。

プレイヤーが先を読めるようになる

 選択することが多ければ将来の盤面も可能性が広がり、将来のターンに何が起こるかを予想するのが難しくなる。選択性が低ければ、プレイヤーは将来のターンに何が起こるのかを予測できるようになり、前もって計画を立てることができるようになる。これは、低選択性のゲームでは勝利の鍵になる。

速いゲームプレイ

 選択のためには考えることが必要であり、考えているとゲームプレイは遅くなる。

高い選択性の利点

技術の評価

 ゲーム内の選択の数が多ければ、技量の高いプレイヤーが有利になるのは当然である。

多くの驚き

 選択が増えることで何が起こるかを予測するのが困難になり、そのためプレイヤーが予想していないことが起こることが多くなる。

有利不利がひっくり返る機会が多くなる

 高選択性ゲームでは、ゲームプレイ中に大きなゆらぎをもたらす可能性が大きい動的局面が生じることが多くなる。

見ていて楽しいゲーム

 驚きと逆転が多くなると、見ていて楽しいゲームになることが多くなる。


 

 ここで、これら2つの尺度を1つの格子にまとめるとこうなる。

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 (1)高選択性-低分散性、(2)高選択性-高分散性、(3)低選択性-低分散性、(4)低選択性-高分散性、の4つの象限に分かれることになる。

 それぞれの象限について見ていこう。

(1) 高選択性-低分散性

 これは、経験豊富な競技プレイヤーがもっとも楽しむ象限である。この象限では、プレイヤーはゲームに影響を与える能力が最も強く、一方で偶然の敗北をもたらすようなコントロールできないものは少ないのだ。

(2) 高選択性-高分散性

 これは、経験豊富なカジュアル・プレイヤーがもっとも楽しむ象限である。プレイしたり見たりして、最も心躍るゲームになる。ゲームごとの変化が豊富で、プレイヤーが影響を与えていると感じることができる。

(3) 低選択性-低分散性

 これは、経験の浅い競技プレイヤーがもっとも楽しむ象限である。理解するのは最も簡単な一方、上手くプレイすることによる利益を得ることができる。

(4) 低選択性-高分散性

 これは、初心者がもっとも好む象限である。初心者でも理解するのが最も簡単だが、時々勝利できる可能性がある。

「それはつまり……」

 分散性とは何か、それがマジックでどう現れるのかについて語ってきたので、ここからはゲームデザインと分散性の関連について語っていくことになる。残念ながら、前者を語るために3000語以上を費やしてしまったので、後半部分は次回に持ち越しになる。

 いつもどおり、待ちきれない気分だ。デザインの話を掘り下げるたび、諸君が私の書いたことについてどう感じたかを聞きたくなる。今日の記事や分散性について何か意見があれば、メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrInstagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『テーロス還魂記』のプレビューを挟んだ、その2でお会いしよう。

 その日まで、マジックがあなたの大好きな程度の分散性をもたらしてくれますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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