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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

今日の神に到るまで

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今日の神に到るまで

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2014年3月24日


 神特集へようこそ。今週は『テーロス』ブロックの伝説のクリーチャー・エンチャントについて語ることになる。既にエリック・ラウアー/Erik Lauerが神々のデザイン・デベロップについての記事を書いているが、この話は複雑なので、私はまた全く違った観点から記事を書くことにしようと思う。

 私がしたことは次のようなものだ。神々の中の1柱であるヘリオッドを選び、そしてデータベースの中からヘリオッドのすべてのバージョン、20種類を取り出す。そして、その最初から順にどう変更されたか、それは何故かについて掘り下げていく。これによってデザインの初期から印刷されるまでにカードがどう進化していったのかを見ることができるだろう。楽しんでくれたまえ!

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〈ヘイロー〉(第1版)

{3}{W}{W}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― スピリット

6/6

あなたがコントロールする他のクリーチャーは+1/+1の修正を得る。

あなたの戦闘前メイン・フェイズの開始時に、あなたはあなたのライブラリーからヘイローの呪文・カードを1枚探し、それをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。そうしたなら、あなたのライブラリーを切り直す。

 《太陽の神、ヘリオッド》の開発名、ヘイローが最初のバージョンだ。セットが醸し出すべき雰囲気を表すため、神々全ての名前をデザイン中に付け、ただの「白の神」と呼ぶのではなく可能な限り実際の名前で呼べるようにしたかったのだ。トップダウン・デザインにおいて、これは重要なことだと感じている。そのため、私はクリエイティブ・チームに神々の開発名をつけてもらうことにしたのだった。ところで、ここで神々をデザインしたにもかかわらず、最初のサブタイプはスピリットだったことに気付いたことだろう(以前神々を作った時はスピリットだったのだ)。

 最初に言っておくべきことは、神々はクリーチャー・エンチャントだということである。私はデザイン開始前からそうしたかったので、最初からクリーチャー・エンチャントとして始めることになった。この時点では、このセットに含まれるクリーチャー・エンチャントは神々だけになる予定だった。ブロック全体を通してクリーチャー・エンチャントを増やしていく予定だったが、最初は少しだけ入れるつもりだったのだ。この時点ではまだ授与は作られてすらいなかった。先行企画によってもたらされたとき、それは『神々の軍勢』で導入される予定だったのだ。

 さて、この第1版について見ていこう。これはエンチャントらしく、《栄光の頌歌》のような全体に影響する常在型能力を持っている。クリーチャー・エンチャントをエンチャントでもクリーチャーでもあるものにしたかったので、このことは重要なのだ。2つめの能力は興味深いものだ。最初の構想では、特殊タイプを使って各神々に関連する呪文が作られることになっていた。例えば、デザインの初期には、攻撃またはブロックしているクリーチャーを対象とし、それに3点のダメージを与えるという〈ヘイローの矢〉という呪文が存在していた。

〈ヘイロー〉(第2版)

{5}{W}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

6/6

あなたがコントロールする他のクリーチャーは+1/+1の修正を得る。

あなたのアップキープの開始時に、あなたはあなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストがあなたの白信心以下の白のエンチャント・カードを1枚探し、それをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。そうしたなら、あなたのライブラリーを切り直す。

 第1版でプレイしてみたところ、少しばかり寄生的すぎるということがわかった。つまり、神を使うにはこのブロックのカードと組み合わせなければならなかったが、我々は神々をもっと汎用的に使えるようにしたかったのだ。例えば、神々は伝説のクリーチャーになるので、統率者として使うことができることになる。

 一方で、私は神々がエンチャントと本質的に繋がり、エンチャントは神々が定命の世界にもたらす影響を示すようにするという構想を持っていた。この2つの問題を解決したのが、神々が自分の特殊タイプを探すのではなく、エンチャントを探すようにするという1つの解決策だった。これによって神々とエンチャントの連なりは強固なものになり、後方互換性も確保できることになった。

 他にも2つの小さな変更が加えられている。まず、コストが{3}{W}{W}{W}から{5}{W}{W}になった。そして、神々は「神」というクリーチャー・タイプを持つようになった。「神」をクリーチャー・タイプとして使いたかったのには、もう1つ隠された意図があった。「伝説のクリーチャー・エンチャント」というだけでも長く、これに「スピリット」と書くのはあまりにも長かった。実は「神」なら入ったのだ。

〈ヘイロー〉(第3版)

{5}{W}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

6/6

あなたがコントロールする他のクリーチャーは+1/+1の修正を得る。

信心 ― あなたのアップキープの開始時に、あなたはあなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストがあなたのコントロールするパーマネントのマナ・コストに含まれる白マナ・シンボルの総数以下の白のエンチャント・カードを1枚探し、それをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。そうしたなら、あなたのライブラリーを切り直す。

 次の変更は、信心をセットに加えたあとで行なわれた。住人の神々への信仰心を表すメカニズムを探していて、(イーブンタイドにあった)彩色を改良して使うのが良さそうだと思われた。我々はマナ・コストを見るのを戦場にある自分のコントロールするパーマネントだけに絞り、新しい名前をつけた。見ての通り、選ばれたのが「信心」である。このバージョンでは、信心は彩色と同じように能力語として扱われていた。

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〈ヘイロー〉(第4版)

{5}{W}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/9

[カード名]が戦場に出たとき、あなたはあなたのライブラリーから、点数で見たマナ・コストがあなたの白への信心以下の白のオーラを1枚探し、それを戦場に出してもよい。

各ターン、対戦相手は呪文を1つしか唱えられず、またクリーチャー1体でしか攻撃できない。

 今回は複数の変更がなされている。エンチャントを探す誘発型能力が毎ターン誘発するのはあまりにも強力だったので、それを修整するために2つの変更が加えられた。まず、探すのを1度だけの、戦場に出たときの誘発型能力にした。さらに、探せるのはオーラだけにした。なぜオーラに限ったかというと、この時点で焦点をオーラにあわせることにしていたし、探してくるのがオーラならまだ安全だと思われたからである。

 パワー/タフネスは6/6から5/9に修正された。元は全ての神々が6/6だったが、神々に個性を持たせるために変更したのだと思う。さらに、信心は能力語からキーワードに変更された。見ての通り、「色への信心」になっている。そして、全体に影響する能力を《栄光の頌歌》から対戦相手にだけ影響する《法の定め》/《果たし合いの場》に改めた。ヘリオッド(もとい、ヘイロー)がおわす場では、対戦相手は各ターンに呪文を1つ唱えるかクリーチャー1体で攻撃するかしかできないのだ。

〈ヘイロー〉(第5版)

{5}{W}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/9

[カード名]が戦場に出たとき、あなたはあなたのライブラリーから、点数で見たマナ・コストがあなたの白への信心以下の白のオーラを1枚探し、それを戦場に出してもよい。

発生源1つがあなたか[カード名]にダメージを与えるたび、あなたは「[カード名]はその発生源のコントローラーにそのダメージに等しい点数のダメージを与える」を選んでもよい。

 この版での変更点は、エンチャント的能力だけである。対戦相手に制約を加えるものから、危害を加えてくる相手を罰するような《目には目を》のような効果にしたのだ。

〈ヘイロー〉(第6版)

{5}{W}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/9

[カード名]が戦場に出たとき、あなたはあなたが所有するゲームの外部にある点数で見たマナ・コストがあなたの白への信心以下の白のオーラを1枚探し、それを戦場に出してもよい。

各ターン、対戦相手は呪文を1つしか唱えられず、またクリーチャー1体でしか攻撃できない。

 このあたりで、我々は神々が充分セクシーに仕上がっていないと気づき始めた。そこで、オーラをデッキに入れてなくても使えるというバージョンを試してみた。つまり、神々に必要なオーラを持ってくる、願いのようなものにしようとしたのだ。もちろん、イベントにおいてはサイドボードからのみ探せるようにする予定だった、

 ここでファイルはデザインからデベロップに引き渡された。提出されたデザインに、私は「セット全体としては満足しているが、神々にはもっと調整が必要だ。セットの重要な点になるのはわかっているが、完全な正解は見いだせていないし今後も考えていく」と付記した。アーロンもコメントとして、神々はホームラン級でなければならないが、現在の版ではとてもそうとは言えないと書いている。

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〈ヘイロー〉(第7版)

{4}{W}{W}{W}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/8

天界(あなたはこのカードをニクスから唱えてもよい。これが他の方法で戦場に出るなら、代わりにこれはニクスへ行く。このカードが戦場を離れるなら、代わりにこれはニクスへ行く。あなたの白への信心は、1つごとにこれのコストを{W}減らす。)

[カード名]がニクスか戦場にあるかぎり、あなたがコントロールする白のクリーチャー1体にダメージが与えられるたび、あなたは「[カード名]はその発生源のコントローラーにそのダメージに等しい点数のダメージを与える」を選んでもよい。

 『テーロス』のファイルが私の手を離れたので、私はまだ解決していないこの1つのものに集中することができるようになった。ある火曜の午後、私はデザイン・チーム(と言っても『テーロス』のデザイン・チームではなく、マーク・ゴットリーブ/Mark Gottliebと私の下で働く、開発部内のデザイナーの一団のことだ)を集め、そして何か奇想天外なものを考えることにした。フレイバーに満ちた「異常な」ものだ。デザインとして提出したものはあまりにも大人しかった。もっとずっと狂ったものが必要だったのだ。

 そしてチームは作り上げた。かなり異常なものができた。神々の動きはこうなった。唱えると即座に、新しく作られた領域であるニクスに行く。神がニクスにいる間、全体に影響する効果が有効である。《目には目を》効果は、自分の白のクリーチャーがダメージを受けたときにダメージを与えるように変更されている。

 その後、神をニクスから唱えることができ、そうすると戦場に出る。戦場ではクリーチャーとして働くのだ。この際、その神の色への信心の分だけ軽く唱えられるようになっている。その後、何かが神に起こって戦場を離れることになると、神はニクスに戻る。これによって神に完全な対策をするのが非常に難しくなる。ほとんどの場合はニクスに追い戻すだけで、再びプレイすることができてしまうのだ。

 もう一つ、最後にマナが{5}{W}{W}から{4}{W}{W}{W}{W}に、またサイズが5/9から5/8に変更になった。

〈ヘリオッド〉(第8版)

{4}{W}

伝説のエンチャント

ヘリオッドは破壊されない。

あなたがコントロールする白のクリーチャー1体にダメージが与えられるたび、あなたは「ヘリオッドはその発生源のコントローラーにそのダメージに等しい点数のダメージを与える」を選んでもよい。

あなたの白への信心が6以上であるかぎり、ヘリオッドは警戒を持つ5/8のクリーチャーである。これはエンチャントでもある。

 ここからの変更は、エリック・ラウアー/Erik Lauer率いるデベロップ・チーム(ダグ・ベイヤー/Doug Beyer、ザック・ヒル/Zac Hill、デイブ・ハンフリー/Dave Humpherys、トム・ラピル/Tom LaPille、ショーン・メイン/Shawn Main)の手によるものだ。

 エリックと彼のチームが最初にしたことは、ニクス領域の削除だった。彼らは神がエンチャント的な効果を持つこと、そして信心によってクリーチャーになるということは気に入っていたが、そのために新しい領域を作る必要は認めなかったのだ。

 そのための最初の手段が、神々を、ある条件下でクリーチャーになる伝説のエンチャントにするというものだった。また、破壊されないようにすることで、プレイヤーが次のようなことをするのを防ぐようにした。

「予がヘリオッド、神々の王である」

「《帰化》」

 クリーチャーのサイズやエンチャント的能力は同じままだったが、チームはクリーチャー・キーワードを神々それぞれに加えた。ヘリオッド(ここからはヘリオッドだ)は警戒を持った。神々がクリーチャーになる条件は、その神の色の信心が6点あることだった。

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〈ヘリオッド〉(第9版)

{4}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/8

警戒

ヘリオッドは破壊されない。

あなたがコントロールする白のクリーチャー1体にダメージが与えられるたび、あなたは「ヘリオッドはその発生源のコントローラーにそのダメージに等しい点数のダメージを与える」を選んでもよい。

あなたの白への信心が5以下であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

 ここで、私はエリックに神々を統率者として使えるようにして欲しいし、パワーやタフネスはカードに印刷されているようにしたい、神々はクリーチャー・エンチャントなのだと伝えた。エリックは、彼と彼のチームも同じ結論に達したと感謝して、信心が足りなければクリーチャーでなくなるようにした。また、この時点で、神がクリーチャーになるのに必要な信心は6から5に下がっている(訳注:マロは何か勘違いしているようです)。

〈ヘリオッド〉(第10版)

{5}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

7/5

警戒

ヘリオッドは破壊されない。

クリーチャーは、そのコントローラーが1体につき{2}を支払わないかぎり、あなたがコントロールするクリーチャーをブロックしたり、あなたやあなたがコントロールするプレインズウォーカーを攻撃したりできない。

あなたの白への信心が5以下であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

 このバージョンでは、デベロップ・チームはエンチャント的能力を《プロパガンダ》のような効果に変更している。また、コストは{4}{W}から{5}{W}になり、サイズは5/8から5/7になっている。

〈ヘリオッド〉(第11版)

{3}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

7/5

警戒

ヘリオッドは破壊されない。

あなたの対戦相手のパーマネントはタップ状態で戦場に出て、アンタップ・ステップに通常通りアンタップしない。対戦相手のアップキープの開始時に、そのプレイヤーはクリーチャー1体につき{1}を支払うことでクリーチャーをアンタップしてもよい。

あなたの白への信心が5以下であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

 デベロップ・チームはさらに効果とコストを変更した。効果は《宿命》のようなものになり、マナ・コストは{5}{W}から{3}{W}になっている。

〈ヘリオッド〉(第12版)

{3}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

7/5

警戒

ヘリオッドは破壊されない。

あなたの白への信心が5以下であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

あなたの対戦相手のコントロールするクリーチャーはそれぞれ「あなたのアップキープの開始時に、あなたが{1}を支払わないかぎりこのクリーチャーをタップする」を持つ。

 この変更は、ルールがどんどん冗長になっていったことの対策だと思われる。すべてがタップ状態で戦場に出るようになっていたのを、このバージョンではコストが支払われなかった場合にタップするようにしている。完全に同じではないが、本質的には同じことをずっと短い文で実現している。

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〈ヘリオッド〉(第13版)

{3}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

7/5

警戒

ヘリオッドは破壊されない。

あなたの白への信心が5以下であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

あなたのアップキープの開始時に、1/1の白の信奉者・クリーチャー・エンチャント・トークンを1体戦場に出す。

 ここで、エンチャント的能力は、トークン、ずばり信奉者トークンを出す誘発型能力に変更されている(デザインやデベロップはトークンに適当な名前を付け、クリエイティブ・チームが後で実際にどのクリーチャー・タイプなのかを決めるのだ)。

〈ヘリオッド〉(第14版)

{3}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

7/5

警戒

ヘリオッドは破壊されない。

あなたの白への信心が6未満であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

あなたがコントロールするアンタップ状態のクリーチャーは+0/+2の修整を得る。

{2}{W}:1/1の白の[信奉者]・クリーチャー・エンチャント・トークンを1体戦場に出す。

 このバージョンでは、デベロップはいくつかの変更を加えている。まず、必要な信心が5から6に戻っている(訳注:やっぱり勘違いしているようです)。また、エンチャント的能力を《城壁》のようなタフネスを増強するものに変えた。そして、新しい試みとして、起動型能力を加えた。この起動型能力は、前のバージョンで誘発型能力がやっていたことである。

〈ヘリオッド〉(第15版)

{3}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

7/5

警戒

ヘリオッドは破壊されない。

あなたの白への信心が5以下であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

あなたがコントロールする攻撃しているクリーチャーは先制攻撃を持つ。

{2}{W}:1/1の白の[信奉者]・クリーチャー・エンチャント・トークンを1体戦場に出す。

 信心は再び5になった。正しい数字が何なのかを探すための最善の手段は、こうしてプレイテスト中ずっと変更し続け、感覚を見ることなのだ。もう一つ変更されたのがエンチャント的能力で、攻撃クリーチャーに先制攻撃を与えるようになった。この変更は、このカードをより攻撃的にするためのものだったと考えられる。前の、タフネスを強化するバージョンだと、ヘリオッドのコントローラーは防御を固めることになっていたが、今回はより攻撃的になることが推奨されている。

〈ヘリオッド〉(第16版)

{2}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/6

破壊不能

あなたの白への信心が5未満であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

あなたがコントロールする攻撃しているクリーチャーは先制攻撃を持つ。

{3}{W}:1/1の白の[信奉者]・クリーチャー・エンチャント・トークンを1体戦場に出す。

 このバージョンでは数字が調整されている。マナ・コストは{3}{W}から{2}{W}に、サイズは7/5から5/6に、トークンを出す起動コストは{2}{W}から{3}{W}に。もう一つの変更は、破壊不能が『基本セット2014』でキーワードとなったことで、「ヘリオッドは破壊されない」から「破壊不能」に書き換わったことだ。

〈ヘリオッド〉(第17版)

{3}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/6

破壊不能

あなたの白への信心が5未満であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

あなたがコントロールするクリーチャーは警戒を持つ。

{3}{W}:1/1の白の[信奉者]・クリーチャー・エンチャント・トークンを1体戦場に出す。

 デベロップ・チームは先制攻撃の使われ方が気に入らなかったので、この能力を警戒に差し替えた。「攻撃しているクリーチャー」という限定は、警戒とうまく組み合わさらないので除かれた。

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〈ヘリオッド〉(第18版)

{3}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/6

破壊不能

あなたの白への信心が5未満であるかぎり、ヘリオッドはクリーチャーではない。

あなたがコントロールするクリーチャーは警戒を持つ。

{2}{W}{W}:2/1の白のクレリック・クリーチャー・エンチャント・トークンを1体戦場に出す。

 今回の変更は起動型能力だけである。起動コストが{3}{W}から{2}{W}{W}になり、トークンが正式なクリーチャー・タイプを得て(カッコが外れたことでそう区別できる)、クレリックとなった。クリーチャー・エンチャントのままである。

〈太陽の神、アエリオン〉(第19版)

{3}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/6

破壊不能

あなたの白への信心が5未満であるかぎり、[カード名]はクリーチャーではない。

あなたがコントロールするクリーチャーは警戒を持つ。

{3}{W}:2/1の白のクレリック・クリーチャー・エンチャント・トークンを1体戦場に出す。

 ヘリオッドはアエリオンと名を改め、太陽の神の二つ名を手に入れた。

太陽の神、ヘリオッド》(第20版)

{3}{W}

伝説のクリーチャー・エンチャント ― 神

5/6

破壊不能

あなたの白への信心が5未満であるかぎり、太陽の神、ヘリオッドはクリーチャーではない。(あなたの白への信心は、あなたがコントロールするパーマネントのマナ・コストに含まれる{W}の総数に等しい。)

あなたがコントロールする他のクリーチャーは警戒を持つ。

{2}{W}{W}:白の2/1のクレリック・クリーチャー・エンチャント・トークンを1体戦場に出す。

 そして最終版となる。ヘリオッドは再びヘリオッドに戻り、カードのテンプレートが正式なものになり、注釈文もついた。

 そして実際に印刷されたカードがこれである。

神々よ狂気であれ

 今日の記事から、カードが、特に『テーロス』の神々のように重要なカードがデザインとデベロップの間にどのような変遷を遂げうるのかについてのより深い洞察が得られたなら幸いである。今後、この書式を使うかどうかを考えるにあたって、諸君がこの書式を楽しんでくれたかどうかに興味がある。メール、掲示板、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で是非聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、プレイヤー各人にとってカードがどれだけ違うものなのかを語る日にお会いしよう。

 その日まで、あなたにあなたのヘリオッド物語がありますように。

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