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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

マジック「オワタ」二十撰

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Making Magic

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マジック「オワタ」二十撰

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年8月5日


 マジックの20周年を祝う、20周年記念特集へようこそ。マジックの歴史家、そしてよくメールを受け取る人間の1人として、私は今回のコラムでマジックがこれまでに体験してきた大変化を取り上げ、そして全ての変化それぞれに対してマジックを滅亡させるものではないかと心配されてきたということを語ろう。時系列順にやっていく。

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#1: 60枚デッキと4枚制限の導入でマジックオワタ

 最初は、デッキ構築のルールは非常にシンプルなものだった。好きな枚数のカードを集め、それをデッキにする。40枚以上。これで終わりだ。これがルールだったのだ。

 このルールは、完璧に最強のデッキができてしまうということがわかってきた。実際、ウィザーズはプレイするカード枚数に制限を設けないイベントを開催したことがある。そのイベントの様子はこうだった。最初にデッキをジャッジに見せ、分類してもらう。分類先は「第1ターンで勝てるデッキ」と「このイベントで勝てないデッキ」だ。

 開発部は、このルールが問題だと気付き、2つの変更を導入した。1つめが、構築のデッキサイズを40枚ではなく60枚にする。40枚という数字はリミテッドに残された。2つめが、基本土地以外のカードは4枚までしか入れられないようにする。4という数字は、デッキ構築の安定性をある程度確保した上で、毎ゲーム同じカードを引かないようにするように選ばれた。

 プレイヤーの反応は激しく、憤ったものだった。好きなカードを好きなだけ入れてプレイすることができなくなるのは嫌だったのだ。それまで、マジックには制限らしいものは存在しなかった。そして60枚デッキと言われると枚数は50%増えることになる。多すぎだ。ウィザーズは何を狙っているんだ?

#2: 制限禁止カードリストの登場でマジックオワタ

 4枚制限とデッキ枚数の増加によってある程度は防げるようになったが、それでも最強のデッキは存在した。そこで次に取った手段が、プレイヤーがプレイできるカードの枚数をさらに制限するというものだった。制限禁止カードリストは、問題のあるカードに2種類の取り扱いを定めた。禁止は、そのカードはもうデッキに入れられない。制限は、そのカードはデッキに1枚だけしか入れられないというものだ。

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 最初に禁止されたのは、《Shahrazad》とアンティ・カード(《青銅のタブレット》《Contract from Below》《Darkpact》《Demonic Attorney》《宝石の鳥》)だった。

 最初に制限されたのは、《Ali from Cairo》《Ancestral Recall》《Berserk》《Black Lotus》《Braingeyser》《不明の卵》《Gauntlet of Might》《氷の干渉器》《Mox Emerald》《Mox Jet》《Mox Pearl》《Mox Ruby》《Mox Sapphire》《オークの軍旗》《ルフ鳥の卵》だった。

 プレイヤーは再び怒声を上げた。デッキに入れられないカードがあるとか、最強のカードのほとんどが1枚しか入れられないとか、どういうことだ!

#3: タイプ2(現「スタンダード」)が始まってマジックオワタ

 セットが次々と登場してくると、マジックのパワーレベルそのものが制御不能にならないようにするために何か別の手を打つことが必要だと明らかになってきた。そしてその解決手段として、2つめのフォーマットが制定されたのだった。当時、フォーマットというものは存在せず、ただマジックだけがあったということを考えてもらいたい。プレイする方法は1つだったのだ(当時、マジックと言えば構築だった)。

 新しいフォーマットを作るために、ウィザーズはそれまでのものに名前を付けた。現在ヴィンテージと呼ばれるフォーマットはタイプ1、そして最近数年のカードしか使えない新しいフォーマットはタイプ2と呼ばれることになった。この告知を受けて、プレイヤーは今までになく激しい不満の声を挙げた。カードがフォーマットから消えて無くなるってどういうことだ? 我々のカード資産が時代遅れになるってことか!?

 マジックにおける告知の歴史上、最も激しい抗議を受けた告知の1つがこれだと思う。論争が起こるのを見ると印象に残るものだ。だが、ずっと長い年を経て、スタンダードが圧倒的に支持されるフォーマットになっているのは興味深いことだ。

#4: 《ナラスニ・ドラゴン》でマジックオワタ

 初期には、マジックのカードはほとんどが拡張セットの一部として売られていたが、そこにはわずかな例外があった。初期のマジックの本には、そこでしか手に入らないカードと交換できる引換券がついていたのだ。イラスト違いとかレイアウトが違うとかではないことを強調しておこう。それらのカードは、そのプロモーションでしか手に入れられず、他にはどこにも存在しないものだったのだ。

 1994年、Dragonconというコンベンションがあった。参加者への特別プロモーションとして、ウィザーズはこのカードを作った。

 本についたプロモにも苛立っているプレイヤーはいたが、《ナラスニ・ドラゴン》は彼らを激怒させた。本のカードは、(北米では――これはまた別の問題だ)どこでも売っている本を買えば手に入れることができた。《ナラスニ・ドラゴン》は、アトランタのそのコンベンションに参加しなければ手に入れられないのだ。まだ世の中にネットオークションはなかったので、アトランタから遠くに住んでいる人間には、値段の問題ではなく手に入れることができなかったのだ。

 プレイヤーの不満が高まったので、ウィザーズはブースター以外でメカニズム的に独特なカードを作るのを止めることにした。問題の《ナラスニ・ドラゴン》は、Duelist誌の付録として付けられ、プレイヤーが簡単に手に入れられるようになったのだった。

#5: クロニクルでマジックオワタ

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 初期に出て売れ行きの良かったセットについて、ウィザーズは様々な楽しいカードを買い逃したプレイヤーがいると気がつき、そしてそれらのプレイヤーに買い逃したカードを手に入れる機会を与えるべく再録カードだけのセットを作った。問題だったのは、この再録によって既存のカード資産の価値にどのような影響があるかをウィザーズが考えていなかったことだ。

 初期のセットは印刷数も少なかったので、クロニクルの発売によってそれらのカードは爆発的に増えることになった。そしてその結果、それまでのカード資産の価値に影響があったのだ。古いカードを手に入れられた新しいプレイヤーにはよかったのだが、古いカードを既に持っていた古参プレイヤーにとってはそうではなかった。

#6: 再録禁止リストでマジックオワタ

 クロニクル(と第4版基本セット)のもたらした影響を受けて、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは一部のカードを二度と再録しないと宣言することでコレクターに譲歩しようとした。この告知を聞いて賞賛したプレイヤーもいたが、カードを手に入れるために再録を望んでいた多くのプレイヤーはブーイングをした。

 今もなお再録禁止リストについては議論のある問題だ。プレイヤーは常に廃止を望み続けているが、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは約束を重んじるのでこれを守り続けるのである。

#7: ピッチスペルでマジックオワタ

 クリス・ペイジ/Chris Pageは「東海岸のプレイテスター」と呼ばれる、リチャードがペンシルバニア大学でであったゲームのプレイヤーで、マジックの発売前にプレイテストをし、そして初期のセット(『Antiquities』『Fallen Empires』『Ice Age』『Alliances』)のデザインを担ったグループの一員だ。

 私が初めてクリスを知ったのは、彼(と、マジックの初期のルール・マネージャーの1人であるベス・モーザンド/Beth Moursand)が私のマジック:ザ・パズリングの本の校正を受け持ってくれたときだった。クリスは、私のパズルにおいて、対戦相手がパズルの解法を妨害できないようにタップアウトしていることが多いことに気がついた。ここからクリスは、タップアウトしているときにも唱えられる呪文を思いついたのだ。これらのカードは「ピッチスペル/pitch cards」と呼ばれ、『Alliances』で登場した。その中でももっとも有名なのは、《Force of Will》である。


古参兵の傷痕》《Force of Will》《Contagion》《Pyrokinesis》《狩りの報奨

 この新カードに興奮したプレイヤーもいたが、逆上したものもいた。彼らは、タップアウトしているプレイヤーが呪文を唱えることなど出来てはならないと考えていたのだ。そんなカードを作れば、変わってはならないゲームの本質が侵されてしまう。この反応はウィザーズ社内からも出た。(当時の社長の)ピーター・アドキッソン/Peter Adkisonにカスタマー・サービスはピッチスペルの印刷を止めるよう文書で要請している。

#8: フォイル・カードの登場でマジックオワタ

 初期のマジックのカードは、それぞれ1種類しかなかった(初期のコモンのカードでは複数のイラストを使ったものも存在したが)。『ウルザズ・レガシー』の登場で状況は変わった。最初は、全てのカードは通常版と、フォイル仕様のプレミアム版の2種類が存在していた。トレーディング・カードのほとんどでプレミアム版を使っていたので、マジックのブランド・チームはマジックもそうすべきだと判断したのだ。

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 プレイヤーの中には、この新しいプレミアム版カードを気に入った者もいた。これでデッキを飾り立てることもできるし、蒐集が好きな者にとっては格好の目標となる。しかし、嫌った者もいたのだ。マジックのカードは既に種類が多く、集めるのが大変だ。さらに難しくする意味は? また、プレミアム版カードの見栄えや感触から、マジックには不必要な変化だと言う者もいた。やがてプレミアム版は受け入れられていったが、今日でもなお嫌っている者は存在している。

#9: 6版ルールの導入でマジックオワタ

 初期のマジックのルールは複雑怪奇だった。カードごとに個別の裁定が作られていて、ルール全体としては無理矢理につなぎ合わせたようなものだったのだ。これを解決するため、開発部はルールを完全に再構築することにした。この新しいルールは『第6版基本セット』の発売に合わせて導入され、6版ルールと呼ばれることになった。

 6版ルールはマジック史上最大のルール変更だった。スタックの導入、雑多なルールの撤廃、ターン進行の単純化。これによってマジックのプレイそのものが根底から変わり、今までのルールに慣れていたプレイヤーの多くはすぐに受け入れなかった。マジックを学ぶのに何年もかかったのに、新しいことを覚えなおさなければならないなんて冗談じゃない。スタンダードの導入の次に悲鳴が大きかったのは、この変更だと思う。

#10: Magic Onlineの登場でマジックオワタ

 最初は、マジックは紙のカードでだけプレイされていた。9年経って、Magic Onlineと呼ばれるプログラムを通じてデジタルでマジックをプレイすることができるようになったのだ。Magic Onlineは、非常に批判的に受け止められた。電子データの商品を紙のカードと同価格で売るとはばかげている。ビデオゲームはそんなもんじゃない。

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 巧く行くわけがないという声もあった一方で、このせいで店からプレイヤーがいなくなるんじゃないかという不安の声もあった。インターネットには、巧く行かない理由の声やプレイもしない理由の声が溢れていた。11年経ったが、今も好調である。

#11: 8版カード枠でマジックオワタ

 ある日、カードのレイアウトと印刷を担当するCAPSが、印刷のために変更すべき点があると言ってきた。開発部は、その主張を、カード枠にあった問題を解決するチャンスだと捉えた。この新枠は『第8版基本セット』で導入されたので、8版カード枠と呼ばれている。

 この変更はカードの見た目に大きな影響を与え、この変更に異論を唱えるプレイヤーも多かった。新しいレイアウトはファンタジーっぽくなく、マジックらしさの根底が失われるというのだ。この変更もまた、ブログや掲示板で批判の声が多かった。

#12: 常磐木メカニズムに注釈文がついてマジックオワタ

 『第8版基本セット』ではもう1つ議論を呼ぶものがあった。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストのだれもがカード枠変更に関する怒りの声を聞いたが、この2つめのほうが少しだけショックが大きかった。基本セットは新規プレイヤーがマジックを始めるポイントなので、開発部はクリーチャーの常磐木キーワード(飛行、先制攻撃など)にも注釈文をつけることにしたのだ。

 開発部がまた新規プレイヤーに媚びていると考え、注釈文が邪魔だというプレイヤーが大量に現れた。この注釈文は不必要で、カードを理解するためには余計な言葉を付け加えているだけだと感じたのだ。常磐木メカニズムへの注釈文は、後には拡張セットのレアリティの低いカードでも見られるようになった。

#13: プレインズウォーカーの登場でマジックオワタ

 14年に渡って、マジックのカード・タイプには変化がなかった。インタラプトはインスタントに統合されたし、マナソースという実験もあったが、全体としてはカード・タイプは『Alpha』にあったままだったのだ。『ローウィン』が発売され、ここに新しいカード・タイプが増えることになった。それがプレインズウォーカーだ。

 プレインズウォーカーは完全に違うものだった。最初は、レアにだけ存在していた。カードを見ただけでは使い方がわからないぐらいに複雑だった。そして、マジックにそれまで存在していた何とも異なる姿をしていた。この新しい追加に興奮したプレイヤーもいたが、気に入らないプレイヤーもいた。新しく登場したカードが、(当時の)3種類のレアリティすべてに存在していた他のカード・タイプよりも手に入れにくいのが気に入らなかった。クリーチャーをプレイしなければならないのが気に入らなかった。理解しにくいのが気に入らなかった。

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 当時の反応から、プレインズウォーカーがこれほど人気が出るとは予測できなかったが、今は開発部が各拡張セットに1枚はプレインズウォーカーを入れるというほどに人気になっている。

#14: 神話レアの導入でマジックオワタ

 マジックは最初のトレーディングカードゲームだが、後を追って発展したゲームは色々とある。ほとんどのトレーディングカードゲームで施されている変更に、レアリティの追加があった。各パックに1枚入っているという以上のレアリティを作ることで、さらなる興奮を与え、ゲームのコレクター性を高めることができると気付き、ウィザーズは4つめのレアリティを追加することにした。『アラーラの断片』のときのことである。

 神話レアの追加は、私の記事で紹介された(「The Year of Living Changerously(リンク先は英語)」)が、これほど大反響を受けた記事は他にはない。多くのプレイヤーは、それによって他のレアリティのカードが集めやすくなるとはいっても、集めにくい新レアリティの登場を嫌った。それから時は流れて、議論は「神話レアは存在すべきか」から「どんなカードが神話レアであるべきか」になっているが、今もなお議論の中心である。

#15: ブースターに土地が入ってマジックオワタ

 マジックの初期には、ブースターの他にスターターという商品があった。スターターは75枚(元は60枚)入りで、30枚の土地が入っていた。スターター(後には「トーナメント・デッキ」)が販売されなくなって、新規プレイヤーが基本土地を手に入れる方法がわかりにくくなった。エントリーセットやファットパックには土地が入っているとはいえ、ブースターだけを買うプレイヤーはどうすればいいのか? この問題を解決するため、コモンを1枚減らして基本土地を入れることにしたのだ。


》 アート:Eytan Zana

 新規プレイヤーにとっては朗報だったが、古参プレイヤーの中にはこの変更が気に入らない者もいた。パックのカードが1枚減って、コレクションとリミテッドの両方に打撃になったと感じたのだ。

#16: M10ルールでマジックオワタ

 基本セットはずっとマジックに存在していたが、アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheは基本セットに改革が必要だと判断した。まず、基本セットに新カードを入れるということ、そしてマジックの初期から段々と失われていた基本セットのフレイバー性を取り入れること。その点では何も異論はなかった。異論が出たのは、これと同時に導入されたM10ルールと呼ばれるルール変更だった。

 まず、「ダメージスタック」がなくなった。これによって不自然な状況が生まれていたので取り除けばよりダイナミックなプレイができるようになると開発部は感じたのだ。マナ・バーンは、プレイヤーが覚えていなければならない稀な状況を減らす試みの一環として取り除かれた。「戦場」「追放」といった新用語も導入され、フレイバー性を高めるとともに意思疎通を楽にした。この変更についての記事(リンク先は英語)は、現在の所、DailyMTG.com内で最も読まれている記事である。

 反響は6版ルールの時のルールの大変更に比べるとそう強くなかったが、それでも主張はあった。多くのプレイヤーはこの変更を不必要でマジックの質を落とすものだと感じていた。時を経て、6版ルールと同様、プレイヤーは6版ルールとともにM10ルールを受け入れている。

#17: 新世界秩序でマジックオワタ

 いつでもマジックにとっての最大の障壁は学びとることの難しさである。開発部はこの問題に対処すべく、コモンに与えられる複雑さの量について再検討した。コモンの作り方についてのこの再検討の結果は、開発部では新世界秩序と呼ばれている。

 開発部が「マジックをゆとり仕様にしている」と感じたプレイヤーは新世界秩序を批難し、この議論は今でもしばしば起こる。しかし、売り上げの向上というデータは、開発部の新世界秩序が巧く行っていることを示しているのだ。

#18: 両面カードでマジックオワタ

 『イニストラード』は、狼男などホラーの存在が持つ変身を描く方法を探していた。そして、ウィザーズの作っている別のゲーム、「デュエル・マスターズ」(現在の国際版はKaijudo)から、両面が表のカードというアイデアを持ち込んだのだ。マジックの裏面が統一されていることは必ず守られなければならないルールであると感じていたプレイヤーは、裏面のないカードという発想に激しく憤ったのだった。

回転

クリックで変身

 両面カードはスリーブを着けるか、チェックリスト・カードを使う必要があった。ドラフトは混乱した。変身するときにはスリーブを外して裏返す必要があった。どの点も、何度も指摘された。しかし、最終的には『イニストラード』『闇の隆盛』でもっとも評価の高いメカニズム要素となったのだ。『イニストラード』ブロック最終セットの『アヴァシンの帰還』に1枚もなかったことで、かなりの批判が起こるほどだった。

#19: 組織化プレイの変更でマジックオワタ

 この変更には様々なものが含まれる。Eloレーティングからプレインズウォーカー・ポイントへの変更、世界選手権の廃止、プロ・ポイントの廃止。プロツアーのトップ・プロの多くから、この変更は組織化プレイ全体にとって有害であるという強い批判が沸き起こった。

 ウィザーズ・オブ・ザ・コーストはその批判を受け入れ、数ヶ月後にさらなる変更を行った。プロ・ポイントの再導入、世界選手権に替わる新たなシステムの構築である。

#20: 『基本セット2014』の新スリヴァーでマジックオワタ

 最新の「マジックオワタ」は今年、『基本セット2014』の内容が発表されたときに起こったばかりのものだ。ファンの多いスリヴァーが戻ってきたのに、メカニズムと外見の2つの変化があったのだ。メカニズム的には、能力の効果を受けるのが同じプレイヤーのコントロールしているスリヴァーだけになった。外見的には、スリヴァーがあの鉤爪型の姿ではなく、より人間的な姿になったのだ。


スリヴァー構築物》 アート:Mathias Kollros

 メカニズム的変更には、スリヴァーの集団意識というイメージに合わないという批判があった。外見的変更にも、マジックの象徴ともいうべき独特のクリーチャーであるスリヴァーらしさだと思われている姿からあまりにもかけ離れているという批判があった。

20を経ても「マジックオワテナイ」

 これで20個だ。見ての通り、マジックにはこの20年間で様々なことがあった。今日の記事を読んだ諸君が、知らなかったことを学ぶなり、懐かしいことを思い返すなり、この歴史から何かを得てくれれば幸いである。

 私の挙げたものはどうだったろうか? 諸君の考える「マジックオワタ」のなかで、ここに挙げられていないものはあるだろうか? あるいは挙げられている中に相応しくないものがあるだろうか? メール、掲示板、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+)で教えて欲しい。20年の歴史のなかで語るべき思い出がある諸君は、是非それも聞かせて欲しい。

 本日はここまで。また次回、諸君の知らないマジックの昔話をする日にお会いしよう。

 その日まで、マジックが変わらず「オワテナイ」ものでありますように。

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