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Making Magic -マジック開発秘話-

感謝のトークン

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Making Magic

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感謝のトークン

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年5月27日


 『Modern Masters』プレビュー特集へようこそ。今特集では、まもなく発売となる『Modern Masters』セットに入っているカードのうち何枚かを公開していくことになる。私が今日紹介するのは、そのうちの4枚である。ただ公開するのではなく、今回は少し異なった視点からプレビューを行うことにした。『Modern Masters』は熟練プレイヤーのための複雑なドラフト環境となるようにデザインされているので、そのドラフトの可能性の広さを理解してもらうためにプレビューをドラフトにおけるテーマごとに行うことにした。私は自分の大好きなテーマの1つ、トークンを取り上げていく。今回は、デザイン面におけるトークンの歴史を取り上げながらプレビュー・カードを1枚ずつ公開していくことにしよう。(トークンを主題にした記事(リンク先は英語)は2002年のトークン特集の時にも書いている。よければ読んでみてくれたまえ)興味を持ってもらえれば幸いである。


アート:Chuck Lukacs

はじめに

 アルファ版で、リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldはこんなカードを作った。

 当時、マジックに「トークン」というものは定義されていなかった。ルールブックでは触れてさえいなかった。実際、トークンを作るカードはこれだけで、ただ「represent Wasps with tokens/ワスプをトークンで表す」と書かれていただけなのである。実際、トークンの処理に関するルールは全てこのカードに書かれていた。トークンが場(訳注:現在の「戦場」)を離れたらゲームから取り除く、というルールは、《蜂の巣》のルール・テキストから生まれている(トークンが一瞬墓地に落ちることで死亡誘発が発生するというルールは後でできたと思われる)。

 トークンには広い未来が開けていたのは明らかだった。なぜわかるか? 市場に出たアルファ版を、私も買っていたからだ。インターネットはまだ未成熟で、誰もが初心者だったのでマジックのノウハウもほとんどないと言ってよかった。当時、誰もトレードに出してくれないだろうから自分でブースターパックを開いて手に入れる以外に手に入れる方法がないと思われていたカードが2枚あった。それが、《蜂の巣》と《機械仕掛けの獣》であった。

 実際、どちらのカードも強いものではない。しかし、当時誰もが強いと思っていたのだろう。《蜂の巣》がトークンを生み出すこと、《機械仕掛けの獣》がカウンターを使うこと(7つのうち1つずつ。これについてはまた別の機会に語ろう)は面白いことだ。毎ターン毎ターン新しいクリーチャーを出せカードは強い、と感じられたのだ。

 『Arabian Nights』で、リチャードはトークンを出すカードを2枚作った。

 どちらもとても好評だった。《蜂の巣》と違い、これらのカードはトークンを1度だけ生み出す(カードとトークンが同時に戦場にあることはあり得ない)ものであり、《スレイマンの壺》に関して言えば、1度も生み出さないこともある。リチャードがトークンを使ったのはフレイバー上の理由だった。壺の中に閉じ込められていて呼び出されるジンであったり、《ルフ鳥の卵》の中で孵化を待っているルフ鳥だったりした。1/1から5/5になったが、どのトークンも飛行を持っていたのは面白いことだ。そして、《ルフ鳥の卵》は初めての有色のトークン・カードだった。トークンはどれも正方(パワーとタフネスが等しい)だったことにも注目してもらいたい。

 次は『Antiquities』で、ここでも1枚のトークン・クリーチャーが増えることになる。

 このカードも大人気になった。《テトラバス》の特徴は、カウンター(+1/+1)とトークンを使い、言ってみればそれを互換できるということだった。フレイバー的には、《テトラバス》の一部が分離して独立した小型クリーチャーになり、その小型クリーチャーが再び《テトラバス》に合体できるのだ。今回も、トークンは飛行を持ち、正方だった。もう1つ新しく導入されたのが別の能力を持つトークンだった。このトークンはエンチャントされないのだ。移植技術(トークンが「このクリーチャーはエンチャントされない」)はまだ存在していないことに注目してほしい。《テトラバス》はそのトークンの働きについてのルールを示しただけであった。

 『Legends』では5種類が増え、それまでの倍以上のトークン・カードが存在するようになった。


Boris Devilboon》《Hazezon Tamar》《Master of the Hunt》《毒蛇製造器》《スタング

 『Legends』ではトークンのデザインが広がった。新しく導入されたものには次のようなものがある。

  • 飛行以外の能力を持つトークン(《Master of the Hunt》の狼は「他の狼とのバンド」を、《毒蛇製造器》の蛇は毒カウンターを与える能力を持っている)
  • 正方でないトークン(《スタング》は3/4のトークンを出した)
  • 多色のトークン(《Boris Devilboon》のMinor Demonトークンは黒赤、《Hazezon Tamar》のSand Warriorsトークンは赤緑白、《スタング》のスタングの双子トークンは赤緑)
  • Xに関連したトークン生成(《Hazezon Tamar》のSand Warriors)
  • クリーチャーに関連したトークン(《スタング》とスタングの双子トークンはどちらかが戦場を離れたら死亡する)

 『The Dark』にあったトークン・カードは1枚だけだが、すごいカードだった。

 《あまたの舞い》は、最初のコピーであるトークンだった(後になって、より少ない語数で表す表記を見付けることになる)。

 次のセット『Fallen Empires』はトークンをサブテーマとしているだけあって、トークンに溢れていた。どの色にもトークン生成カードがあり、それぞれ異なったトークンを作っていた。緑以外のものから見ていこう。


アイケイシアの都市》《Homarid Spawning Bed》《増殖槽》《ゴブリンの巣穴

 『Fallen Empire』の物語は、相争う派閥と抗争そのものに関連するメカニズムが中心だった。どの色にも、複数のトークン・クリーチャーを生み出す能力があった。白は市民、青はカマリッド、黒はスラル、赤はゴブリン。《Homarid Spawning Bed》《増殖槽》《ゴブリンの巣穴》はどれも毎ターントークン・クリーチャーを生成できるエンチャントだった。白の《アイケイシアの都市》は4体を一度に出せるソーサリーだ。

 デザイン上の観点から見ると、デザイナーが説得力のあるトップダウン・カードを作るためにトークン技術を使い始めていることがわかるのでこれらのカードは非常に興味深い。例えば《増殖槽》はクレリックが生け贄を用いて魔法のクリーチャーを作り出しているという描写であり、《ゴブリンの巣穴》はゴブリンの多産性を描写しているのがわかるだろう。

 しかし、もっとも興味深く、そして評価の高いトークンの使用は、緑のメカニズム的テーマにあった。


Elvish Farmer》《Night Soil》《サリッド》《Thallid Devourer

 後に緑の基本的なトークン・タイプとなる苗木の初登場である。なお、苗木/Saprolingは、sapling(苗、若木)を元にしたマジックの造語であり、動き回り感覚を持つ植物系の動物のことである。

 《サリッド》のメカニズムは、カウンターを使い、3ターンに1度苗木を生み出せるというものだった。デッキを組む軸となるようにデザインされたトークン・テーマはこれが初めてである。苗木メカニズムは『Fallen Empires』の中でも最も人気の高いテーマの1つとなり、苗木デッキを大量に生み出した。非情に人気が高かったので、このテーマは後に時のらせん・ブロックで戻ってくることになった。そして、『Modern Masters』でも。ここで本日の1枚目のプレビュー・カードをご紹介しよう。(『Fallen Empires』、時のらせん(タイムシフト)、Magic Onlineの『Masters Edition II』に続き)マジック史上4度目の登場となる。

 《サリッド》能力をコモンに入れることは重要だったので、チームはもっとも基本的なもの、つまり《サリッド》そのものを採用したのだ。

 触れるべきことは多くトークンも多いので、ここからはトークン生成のデザインを進化させたと言えるトークン生成カードだけを見ていくことにしよう。

カリブー放牧場》(Ice Age)

 トークンを生け贄に捧げる能力を持つ最初のトークン生成カードである。この場合はライフを得るというものだ(《テトラバス》もそうだという意見もあるだろうが、あれはトークンとカウンターを行き来するものなので数に入れないことにした)。

影写し》(Homelands)

 《影写し》は(コピーでない)可変のトークンを生み出す初のトークン生成カードであり、また一時的な(つまり、ある期間だけ残る)トークンを生み出す初のトークン生成カードである。フレイバー的には、短い時間だけ存在できるクリーチャーの影を生み出すというものだった。

Phelddagrif》、《Varchild's War-Riders》(Alliances)

 《Phelddagrif》と《Varchild's War-Riders》は、対戦相手に与えるトークン・クリーチャーを作る初のトークン生成カードである。

死後の生命》、《玄武岩のゴーレム》(ミラージュ)

 《死後の生命》と《玄武岩のゴーレム》は、多くの場合対戦相手のコントロールする、存在するクリーチャーをトークンに変身させるという初のカードである。技術的にはそのクリーチャーを破壊し、トークンで置き換えるものである。このメカニズムを用いて変身というフレイバーを表すのは、その元となったクリーチャーが墓地に存在し、リソースとして用いられるということからも無理があることであった。デザインには、この元となったクリーチャーを追放することでよりそれらしくしようという動きがある。

霊の鏡》(テンペスト)

 《霊の鏡》の目的は、伝統的なクリーチャー除去で除去できず、エンチャント破壊でのみ死亡するクリーチャーを作ることだった。この奇妙な目的を果たすため、私はクリーチャーの代役としてトークンを用いるこのカードをデザインした。トークンを除去することはできるが、このエンチャントがそのトークンを再び戻すので、トークンを完全に始末するにはトークンを生み出すこのエンチャントを破壊するしかないのだ。

 《霊の鏡》を取り上げたのは、トークン技術を用いることで他には表現できないデザインができるという好例だからである。このトークンの柔軟性が、デザイナーの間でトークンの人気が高い理由の1つなのだ。

ヴォルラスの研究室》(ストロングホールド)

 《ヴォルラスの研究室》はトークンを作る上でプレイヤーに自由度を与えた最初のカードである。作れるトークンは? なんでも。このカードが、クリーチャー・タイプとして何が選べるのかという質問を開発部内に巻き起こしたことも興味深い。その議論から、クリーチャー・タイプの大更新や、アン・シリーズのクリーチャー・タイプの除外が起こったのである。(サヨナラ、Chicken、Pig、Cow。)

ファイレクシアの処理装置》(ウルザズ・サーガ)

 このカードは、後にミラディンで《魂の鋳造所》という名前で印刷されることになるカードとしてデザインされた(デザイン名は〈Clone Machine〉だった)。イラストが既にできあがった後でルール上の問題が生じ、このカードはギリギリで変更されることになったのだ。マジックには既に可変のトークンは存在していたが、マナ以外のリソースを用いてサイズを変化させられるのは《ファイレクシアの処理装置》が初めてだった。このカードと、どれだけのライフを支払うかという判断から、プロツアー史上でももっとも劇的な決勝戦が生み出された。(ともに殿堂入りを果たした)ジョン・フィンケル/Jon Finkelとボブ・マーハーJr/Bob Maher Jr.による、ベルギー・ブリュッセルで行われた2000年世界選手権の決勝でのことである。

錯乱した隠遁者》(ウルザズ・レガシー)

 『Homelands』の《センギアの従臣》が、「1体のクリーチャーが複数のトークンを生み出す」ということはやっていた。《錯乱した隠遁者》が新しいのは、トークンを作り、そしてそれを強化することである。マジックには既にトークン生成カードもロードも存在したが、《錯乱した隠遁者》はその両方を兼ね備えていたのだ。これによってプレイヤーは目の前の脅威とその背後で強化している存在のどちらがより問題なのかを判断することになった。このカードに関してもう1つ有名なエピソードは、アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheが初めて脚光を浴びたカードだということである。このカードを軸にして作られたデッキで、アーロンは2000年のアメリカ代表チームの一員となった。彼、ジョン・フィンケル、クリス・ベナフェル/Chris Benafel、フランク・ヘルナンデス/Frank Hernandezは、ベルギー・ブリュッセルで開かれた2000年世界選手権のチーム戦部門でアメリカを優勝に導いたのだ。

はじける子嚢》(ネメシス)

 トークンとカウンターはどちらもアルファ版から存在しており、同じカードに存在したことも数回はあったが、その関連性を一気に高めたのは《はじける子嚢》だと言える。《はじける子嚢》の生み出す苗木・トークン・クリーチャーのパワーやタフネスは、《はじける子嚢》の持つ消散カウンターの数によって定まる。このカードは競技マジックに多大な影響を与えたのだ。

暗影のワーム》(アポカリプス)

 暗影メカニズムはキーワード化されていないが(ただし、全てのクリーチャー名には「暗影」が含まれている)、トークンをメカニズムの一部として組み込んだ最初のメカニズムの1つである。暗影クリーチャーが死亡すると、そのサイズを複製した黒のトークンになる。そのため、対戦相手は暗影クリーチャーを2回ずつ除去しなければならなかったのだ。

根気強いハンター》(オデッセイ)

 長年にわたり、我々はトークンを「トークンでない」以外の形ではメカニズム的に参照せずにいた。このカードを「トークン対策」カードとして作ったのは、このブロックには(フラッシュバックが存在したことなどにより)通常以上のトークン・クリーチャーが存在したからである。クリエイティブ上は熊と熊・トークンの間には違いが存在しないため、この種のカードを意味づけることができないのでクリエイティブ・チームはこの種のカードを嫌った。

ゾンビの横行》(オデッセイ)

 このカードは、手札のカードをマナを使わずにクリーチャーに変換できるようにする、直接のエンジン・カードである。マナを使わずに何度もトークンを生み出せる方法はほとんどないので、《ゾンビの横行》が特別なのだ。

ドングリの収穫》(トーメント)

 このカードはフラッシュバック・メカニズムでのトークンの使い方を表している。フラッシュバックはインスタントやソーサリーでしか使えないので、トークン技術を使って「フラッシュバック・クリーチャー」を作ったのだ(後に蘇生メカニズムで同じことをやっている)。《ドングリの収穫》を取り上げたのは、オデッセイ・ブロックではカード名だけでなくクリーチャー・タイプも私が決めたからでもある。

激浪の複製機》(オンスロート)

 このカードは、これまで示してきた多くのカードの頂点と言えるカードである。様々なトークンの進化を組み合わせたトークン・カードであり、どの要素も新しいものではないが、組み合わせたことそのものが新しいのだ。

共生のワーム》(オンスロート)

 このカードは、共生メカニズムの代表として挙げている。暗影クリーチャーと同様、共生クリーチャーも死亡時にトークンを生成する。このメカニズムで加えられた変化は、クリーチャーの(正方の)パワーやタフネスに等しい数の1/1トークンを作るということである。

ドラゴンの日》(スカージ)

 単一のクリーチャーがトークン1個に変身するカードは作ってきたが、《ドラゴンの日》は全てのクリーチャーをなんと5/5の飛行を持つドラゴン・トークンに変えてしまうのだ。

魂の鋳造所》(ミラディン)

 刻印メカニズムにより、非常に複雑なトークンを何度も生成できる可能性を持つカードを作ることができるようになった。

双子エンジン》(ダークスティール)

 《双子エンジン》の興味深い部分は、トークンがデザイン上便利な道具として使えるということを示している点である。例えば、《双子エンジン》は、自身を攻撃中にコピーする。そのための方法はそう多くないが、トークン技術によって非常に明瞭にできている。また、このカードはトークンを永続的なものとして使っていないことも注目して欲しい。このトークンはほんの一瞬だけ存在するのだ。

マイアのマトリックス》(ダークスティール)

 マイアのロードがマイアを生み出すアーティファクトだというのはいい発想だ。

カルドラの兜》(フィフスドーン)

 3つの伝説の装備品をブロック内の各セットに1つずつ入れて、それら全てを揃えるメリットはなかなかわからないようにした。全て組み合わせる必要はあるが、揃えてから何ターンも待つのではなく、揃えたらすぐに何かが起こるようにしたかったのだ。トークンが生まれて装備品全てがつく、というのは完璧な回答だと言える。

鏡割りのキキジキ》(神河物語)

 ここまでのカードの中にもあったが、デザインは一時的なトークンをどんどん掘り下げていった。《鏡割りのキキジキ》の場合、一時的トークンとコピーの組み合わせによって無限の柔軟性が生まれている。このカードは私のデザインした中でも十指に入るお気に入りのカードだ。

 さて、ここで次なるプレビュー・カードを紹介することにしよう。これは私の手がけた中でもお気に入りのカード・デザインである。このカードが入ったことで、トークンを使ったドラフト戦略としてカードを紹介する栄誉にあずかることができたのだ。プレイヤー諸君からも、再録についてよく尋ねられていたカードである。

種のばら撒き》(ラヴニカ:ギルドの都)

 召集そのものがトークンを使うわけではないが、セレズニアにおけるトークンの価値を高めているのは事実である。トークン生成が緑単色に集められているのは、セレズニアが召集でトークンを使うと対戦相手を押しつぶせる一方で、ゴルガリなら生け贄の種として使うことができるからであった。

 さて、ここで3枚目のプレビュー・カードの公開に移ろう。今までのプレビュー・カード2枚との相性も抜群だ。

センギアの吸血魔》(時のらせん)

 《テトラバス》は1/1の飛行を持つトークンに(事実上)変身させられる+1/+1カウンターを使っていたが、《センギアの吸血魔》は自身をトークンに(事実上。ルール上はそうでないことは知っている)変身させられるカードであるという意味で次のレベルに進化したと言える。吸血鬼が蝙蝠になるという話は、イニストラードで両面カードを用いて《金切り声のコウモリ》/《忍び寄る吸血鬼》で再び描かれている。

ゴールドメドウの監視人》(未来予知)

 《ゴールドメドウの監視人》は特定のカードのコピーであるトークンを戦場に出すクリーチャーというサイクルのうちの1枚である。このサイクルの中で《ゴールドメドウの監視人》を取り上げたのは、このカードが作り出すトークンの元となるカードは次のエキスパンションである『ローウィン』のカードだからである。

皇帝の仮面》(未来予知)

 長年にわたり、トークンはすべてクリーチャー・トークンだった。ミライシフトの《皇帝の仮面》は、エンチャント・トークンを作り出す初めてのカードである。

 さて、ここで本日最後となる4枚目のプレビュー・カードをローウィン・ブロックから紹介しよう。

スプリングジャック飼い》(イーブンタイド)

 このカードは革新的ではないが、『ローウィン』に山羊を入れて《山羊さらい》を正当化する試みが失敗したことを受けて(ああ、うん、変わり身は3体いたよ。でも《山羊さらい》を使えるようにするために山羊をよこせってメールの津波は消えなかったのさ)、ローウィン=シャドウムーア・ブロックでは山羊を作れるカードを入れようという考えからイーブンタイドに入れたのだ。

軟泥の庭》(アラーラの断片)

 トークンのいいところは、様々なタイプのプレイヤーに魅力的だということである(多分一番好きなのはティミーだと思うが)。《軟泥の庭》はかなりジョニー向けのカードで、トークンはジョニーに投げつけられた挑戦状だ。ジョニーが作れるトークンのサイズはどれぐらいか? そのためにはどういう手段があるか?

くぐつの妖術師》(アラーラの断片)

 ターン終了時に消えるトークンを作るのはこのカードが最初ではないが、それをどうするか考えなければならないカードはこれが初めてである。

獣性の脅威》(ワールドウェイク)

 長年にわたり、開発部は複数のトークン・タイプを生成するカードを作らないという取り決めがあった。実際、このカードは印刷に至る9年前に一旦セットに入り、この取り決めのために取り除かれていたのだ。このとき、頻繁にすべきではないが、デザイン上面白ければ完全に禁止する必要はないという判断に至ったのだ。

走り回る侵略》(エルドラージ覚醒)

 落とし子・トークンという独特なタイプのトークンを使ったメカニズム(生け贄に捧げることで無色マナ1点を得ることができる)について話すためにこのカードを取り上げた。

試作品の扉》(ミラディンの傷跡)

 《試作品の扉》はクリーチャーでないアーティファクト・トークンを生み出せる最初のカードである。興味深いことに、同じようなカードが『フィフス・ドーン』でもデザインされたが、当時はアーティファクト・トークンを作りたいとは思わなかったので取り除かれた。

皮羽根》(ミラディン包囲戦)

 史上初の0/0トークン・クリーチャーを生み出す生体武器メカニズムの代表としてこのカードを挙げておく。

忌むべき者の軍団》(イニストラード)

 《忌むべき者の軍団》はXを使わずに26体のトークン・クリーチャーを生み出せる史上初のカードである。元々のデザインでは、なんと40体を作ることができたのだ。

ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士》(ラヴニカへの回帰)

 本日取り上げる最後のカードは、史上最もトークン寄りのメカニズム、居住の代表である。このメカニズムは、ミラディンの傷跡・ブロックの増殖をトークンでやる方法として作り出された。元々は自分のコントロールするトークンをタイプごとに1つずつコピーするというものだったが、強すぎるということで現行の能力に変更されたのだ。

トークンの仕草

 はあ! トークンの話はいくらでも。トークンの歴史を楽しんでもらえたなら幸いであるし、諸君が『Modern Masters』でトークン・デッキをドラフトしようと思ってもらえたならさらに幸いである。

 いつもと同じようにメール、掲示板、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+)で待っている。

 それではまた次回、話の話でお会いしよう。

 その日まで、トークン(や何か)を戦場に置く喜びがあなたとともにありますように。

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