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鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」

第25回:日本選手権のメタゲームと、優勝した石田 龍一郎の「白単《鍛えられた鋼》」をリプレイ!

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鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」

2011.07.20

第25回:日本選手権のメタゲームと、優勝した石田 龍一郎の「白単《鍛えられた鋼》」をリプレイ!


 こんにちは、鍛冶です。

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 週末の日本選手権の最終日が祝日の月曜日だったこともあり、自分の担当する火曜日の掲載が間に合わず、一日遅くなってしまい本当に申し訳ありません。
 自分としては、Magicの記事は鮮度が命だと考えており、優勝したデッキを紹介したく、編集と相談してこのような措置をとらせていただきました。どうかご理解ください。


メタゲームブレイクダウン

 さて、今週のリプレイに入る前に、この日本選手権のスタンダード部門のメタゲームをおさらいしてみたいと思います。

 今年の日本選手権に参加したプレイヤーは、全部で358名。
 全プレイヤーデッキリストも既に公開されています。

 では、全体として、どういった分布になっていたのでしょうか?

 『基本セット2012(M12)』発売翌日のプレミアトーナメントということもあり、プレイヤー達のデッキ選択を予測するのは普段よりも難しかったように思うのですが、直前に中国選手権で優勝した青黒コントロール、デッキパワーが飛び抜けて高い赤緑の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》、プロツアー・名古屋の影響を受けてかブロック構築からスタンダードへと現れた白単《鍛えられた鋼》あたりが注目されていましたね。

 今週分の津村の記事でも掲載していますが、実際の分布がこちらになります。

デッキタイプ
赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート 80
赤単 43
白青コントロール 33
鍛えられた鋼 27
青黒コントロール 22
Caw-Blade 21
青黒テゼレイター 18
青赤《欠片の双子 16
エスパーコントロール 10
黒赤吸血鬼 7
緑単エルドラージ 7
白緑ビートダウン 7
ボロス 7
出産の殻 6
青赤《紅蓮術士の昇天 6
黒単吸血鬼 5
黒単コントロール 4
青黒赤《欠片の双子 4
エルフ 3
バント 3
同盟者 3
緑青赤ターボランド 4
純鋼の聖騎士 2
緑白黒《復讐蔦 2
青緑エルドラージ 2
緑青赤《欠片の双子 2
青白緑コントロール 2
新鮮な肉 1
青赤白《欠片の双子 1
集団変身 1
白単エメリアコントロール 1
青白ビートダウン 1
無限ライフ 1
黒単感染 1
緑単ビッグマナ 1
緑赤ビッグマナ 1
大建築家 1
緑単感染 1
緑青感染 1
無色コントロール 1
青黒赤《紅蓮術士の昇天 1
緑白エルドラージi 1
赤緑《復讐蔦 1

 大方の予想通り、赤緑の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が一番人気となり、続いてM12で大幅に強化された赤単が2番手と、《》を置くデッキが流行っていたようです。
 しかし、青白のコントロールや、新しいCaw-Blade、青黒コントロールといった《マナ漏出》を使ったデッキは、あわせると120名を優に超えており、"青いコントロール"という広い見方をすれば最大勢力でした。

 また、自分がこの分布を見て意外に感じたのが、青赤《欠片の双子》と、白単《鍛えられた鋼》の少なさでした。

 ですが、デッキリストを1枚1枚目を通していると、《呪文滑り》の枚数のあまりの多さに、《欠片の双子》を選択しない理由が伝わってきます。

 逆に、白単《鍛えられた鋼》は、超高速ゆえの構築の難しさから、デッキの完成形が作れなかったプレイヤーが多かったのかもしれません。
 Top8進出率だけを考えれば、このデッキが抜群であることが一目瞭然なのですが、メタゲーム的にデッキの選択が良かったというよりは、単純にデッキ構築の面での「伸びしろ」を活かせたプレイヤーが成績を残せたのだろうと感じました。

石田 龍一郎
日本選手権2011・優勝[MO] [ARENA]
11 《平地
4 《墨蛾の生息地
3 《激戦の戦域

-土地(18)-

4 《メムナイト
4 《羽ばたき飛行機械
4 《信号の邪魔者
4 《きらめく鷹
4 《大霊堂のスカージ
4 《鋼の監視者
3 《磁器の軍団兵

-クリーチャー(27)-
4 《オパールのモックス
4 《急送
3 《きらめく鷹の偶像
4 《鍛えられた鋼

-呪文(15)-
3 《呪文滑り
4 《コーの火歩き
2 《精神的つまづき
2 《天界の粛清
4 《忠実な軍勢の祭殿

-サイドボード(15)-

 特に、優勝した石田 龍一郎の「白単《鍛えられた鋼》」は、他の「白単《鍛えられた鋼》」とは違い、確実に一歩踏み込んだ構築をしています。

 これも津村の記事で言及がありますが、具体的には、《羽ばたき飛行機械》と《きらめく鷹》、そして《激戦の戦域》です。

 ドローに自信がある=「右手が光る」プレイヤーならば使ってもいいかもしれないと、前評判では言われていましたが、《鍛えられた鋼》が引けない時、《信号の邪魔者》、《鋼の監視者》だけでは足りなかったパンチ力を補う《激戦の戦域》のメイン採用が「ブン回り」の安定性を上げ、マナカーブを極力下げることでさらにスピードを上げるという一貫性のある構築を石田はしてきたのです。

 惜しくも日本代表の座を逃した井川の構築では、タッチで青を採用し、《鍛えられた鋼》を探す構成になっていますが、この真っ直ぐさが今大会ではデッキの真価を引き出すことになったのでしょう。

 ただ、今後白単《鍛えられた鋼》がメタゲーム上で意識され始めると、《忍び寄る腐食》といった強力過ぎるカードが増えるでしょうから、サイドボードの《統一された意思》が欲しい瞬間は増えてきそうですから、やはりメタゲームを読みきれるかが鍵なのかもしれません。


 また、今大会ので最もよく目にし、影響を与えたM12のカードは、《真面目な身代わり》でしょう。

 《墓所のタイタン》と《原始のタイタン》という2大クリーチャーのマナ域である6へと到達する為の補助的な枠割と、赤単やヴァンパイアへの対策も兼ねており、《ワームとぐろエンジン》と一緒に採用されてしまうと、火力を使ったビートダウンでは歯が立ちません。

 そういった理由から、上位残ったビートダウンは白緑だったり、白単《鍛えられた鋼》だったのかもしれませんね。


 それではみなさんお待ちかね、ここからは日本選手権を優勝した、石田 龍一郎の「白単《鍛えられた鋼》」のリプレイをどうぞ!


Game 1

http://www.youtube.com/watch?v=qcp_mkizU5I


0:00
 さすがは2マナで重いと言われる超高速の白単《鍛えられた鋼》。
 初手のの7枚の内、5枚をパーマネント化し、いきなり5点のダメージクロックだ。
 相手の初動も《大霊堂のスカージ》と、既にMO上ではこのデッキのミラーマッチが流行している。

1:23
 石田のデッキの特徴の《きらめく鷹》は、《オパールのモックス》を戻すことで実質フリースペルと化す。
 動きの悪い相手とはパーマネントの数が違いすぎ、あまりの爆発力に使ってとても驚く。

2:27
 金属術で《オパールのモックス》は5色を供給する。
 なので、地味に《大霊堂のスカージ》の黒マナが支払えたりする。中盤にファイレクシア・マナでライフを支払わずに済むのが嬉しい。

2:42
 ここでのトップデックは《激戦の戦域》!
 彼を優勝させたのは、こカードをメインに採用したことだ。間違いない。


Game 2(サイドボード後)

http://www.youtube.com/watch?v=u3KsNZhFhJ0

0:00
 クリーチャー、除去だけでなく《鍛えられた鋼》もあるなかなかいいハンド。
 白マナさえ引ければブン回りの予感だ。

0:24
 《オパールのモックス》を引く可能性もあるので、相打ちせずに攻撃を《羽ばたき飛行機械》で受ける。
 だが、その選択が次のターンの酷いことにつながってしまう。

0:40
 さすがはデッキ名にもなるカード、《鍛えられた鋼》。
 《大霊堂のスカージ》3枚の絆魂で、何故かライフは6対24!
 3ターン目に12点はさすがに厳しいが、《鋼の監視者》と、手札にはまだ後続が残っている。
 こちらも《大霊堂のスカージ》を上手く使って、盤面のカードをさばいていこう。

1:24
 戦闘と《急送》で相手のクリーチャーを減らしたものの、さすがに+2/+2の差は厳しい。
 ここで白マナを引けないと、即投了かと思っていたが、なんとか《オパールのモックス》をトップデックし、
 《鍛えられた鋼》をキャストする。
 これで落ち着けば、《鋼の監視者》で盤面は制圧できそうだ!

2:25
 やっと落ち着けるかと思った矢先、明らかに今引かれたばかりの《急送》でブロッカーの《きらめく鷹の偶像》を除去される。
 《大霊堂のスカージ》で12点まで回復したライフも、チャンプブロックしてなんとか1残る程度と、《刃砦の英雄》の攻撃力は半端ない。
 《激戦の戦域》も奪われてしまったが、すぐに奪い返さないと!

2:37
 1マナ以下のブロッカーを引かなければならない瞬間に、《大霊堂のスカージ》という最高のドロー!
 相手も総攻撃を仕掛けるしかなく、《鋼の監視者》で大きく育てた《羽ばたき飛行機械》などのクリーチャーで《刃砦の英雄》を返り討ちに。
 絆魂を生かせた戦闘のお陰で、逆転勝利!



 《鍛えられた鋼》を引けなくても、という構築を単色のままで、しかもシンプルにまとめたデッキ構築。
 日本選手権、スタンダード部門を11-0の無敗で突破し優勝したデッキは伊達じゃないですね。
 これは世界選手権も期待できそう!と思ったのですが、ちょっと気が早いですか?(笑)

 それではまた来週!

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