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鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
第7回:中村修平の「ボロス」をリプレイ!
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鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
2011.03.15
第7回:中村修平の「ボロス」をリプレイ!
こんにちは、鍛冶です。
3月11日に大地震が起こりました影響により、今週末に開催を予定していたグランプリ・神戸の延期が決定しました。
みなさんの無事を祈りつつ、自分はこの仕事をさせて頂きました。
そのグランプリ・神戸用に調整されていたデッキを特別に中村修平氏に提供してもらったので、今回はそのデッキのリプレイをご紹介したいと思います。
というわけで、頂いたデッキはこちら。
4 《平地》 4 《山》 4 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 4 《湿地の干潟》 3 《岩だらけの大草原》 2 《広漠なる変幻地》 -土地(25)- 4 《ステップのオオヤマネコ》 4 《運命の大立者》 4 《ゴブリンの先達》 4 《板金鎧の土百足》 3 《石鍛冶の神秘家》 4 《ミラディンの十字軍》 -クリーチャー(23)- |
4 《稲妻》 4 《流刑への道》 1 《肉体と精神の剣》 1 《饗宴と飢餓の剣》 2 《遍歴の騎士、エルズペス》 -呪文(12)- |
2 《ブレンタンの炉の世話人》 2 《イーオスのレインジャー》 2 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 3 《電弧の痕跡》 2 《忘却の輪》 4 《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
第3回、第4回でも紹介したプロツアー・パリの決勝戦でPaul Ritzelが使用ていた「ボロス」、これをエクステンデッドにリメイクしたもので、スタンダードのものとかなり近い構成です。
また、先週紹介した「バント」との共通パーツも多く、やはり《ミラディンの十字軍》と《饗宴と飢餓の剣》が目を引くのではないでしょうか?
最近は《石鍛冶の神秘家》+二種の剣のシステムはかなりのデッキに応用されていますね。
さてこのボロス、実際にプレイしてみるとどうなんでしょう?
Game 1
http://www.youtube.com/watch?v=SoJ6m9--BB8
ここでの対戦相手は、なんとBilly Moreno。
2005年のプロツアー・ロサンゼルスの準優勝者であり、自分にFacebookで地震の心配のメッセージをくれた友人でもあります。
そんな彼と久しぶりのマッチアップとなり、ちょっと緊張しますね。
0:00
マナカーブの綺麗なハンドに、土地も《乾燥台地》を含めたフェッチランド。
《運命の大立者》を育てるタイミングこそないが、マナの使い道もあり期待できる初手。
0:21
青緑の土地から《獣相のシャーマン》って何デッキ?と思ったのは僕だけでしょうか。
内容は想像できませんが、《復讐蔦》が絡みそうな予感だけはあったので、2/2がアクティブになる前に即除去。
余ったマナで《運命の大立者》をパンプアップ。
0:51
《板金鎧の土百足》か《ミラディンの十字軍》でちょっと考えるも、さすがにダメージ効率が違うのでセオリー通りにマナを使い切る《ミラディンの十字軍》を選択。
《遍歴の騎士、エルズペス》や《饗宴と飢餓の剣》とのシナジーもあるし、そもそもプロテクション(緑)が心強いですね。
1:15
ここでやはり《復讐蔦》登場。《極楽鳥》を使っている時点で3色な気がするが、赤白黒のどれなんだろう?
1:21
土地が伸びなかったので、《饗宴と飢餓の剣》を唱えるのみに。次のターンに二段攻撃が決まるのか?
1:30
さすがの《精神を刻む者、ジェイス》のバウンスも、確実に通る《饗宴と飢餓の剣》の一撃でテンポロスを補填できてしまう。
チャンプブロックを許さないという強みを最大限に生かせている瞬間だ。
1:41
《極楽鳥》からの《稲妻》だけが心配だったが、そんなこともなく。
アタックはプレイヤーにしつつ、剣の土地アンタップに対応して《稲妻》で《精神を刻む者、ジェイス》を対処する。
そして、ここで起きた3マナから再度《ミラディンの十字軍》をキャストした。
2:02
なるほど!と、ここで相手のデッキの内容を把握するも、こちらはプロテクション(緑)が2体と相性がとても良い。
無敵のブロッカーと、ブロックされないアタッカーという最強の布陣。
2:14
ついに《ミラディンの十字軍》に《饗宴と飢餓の剣》を装備させてのアタック。
一度目の誘発の3マナで、《運命の大立者》を4/4に育てつつ、次の3マナで《ミラディンの十字軍》2枚目!
ついでに《ゴブリンの先達》と、2枚ディスカードのおまけ付きでよくわからないほど有利になってしまう。
ここでゲーム終了。
☆ 違和感をさがせ!
ドローにも恵まれ、マッチアップ自体もプロテクションで有利な対戦でしたが、対戦中になにか感じるものはありませんでしたか?
未知のデッキと対戦したときに、相手のライブラリーや手札の中身をいかに予測するのかを考えてみましょう。
例えば、0:45の行動は3色デッキであり、しかも3色目が白でないことを匂わせるものです。
理由としては、3色目が青と緑の友好色ならば《金属海の沿岸》などミラディンの傷跡の土地を複数使えるところで、《島》と《溢れかえる果樹園》を選択していること。
さらに、《貴族の教主》ではなく《極楽鳥》というところからです。
また、黒の特徴として強いカードは色拘束が強かったり、ソーサリーなどでタッチしにくい傾向がある事を思い出すと、3色目に赤を使っている可能性が高いと判断しました。
そういった理由から、1:41の装備に対応する《極楽鳥》からの《稲妻》の可能性を考慮したわけです。
納得していただけましたか?
Game 2
http://www.youtube.com/watch?v=0W3RvklPLyY
そして次の対戦相手は「バント」。
先週紹介したタイプとは違い、《謎めいた命令》や《バントの魔除け》を採用したコントロール要素を高めた構成です。
1-1で迎えた3ゲーム目、相手がマリガンを選択し、こちら先攻でゲームが始まります。
0:00
《ステップのオオヤマネコ》があるものの、いまいちな土地バランスで最序盤のダメージが全く期待できなさそう。
しかし、《石鍛冶の神秘家》と、相手にマリガンがある状況から、焦らずにどちらかの剣の一撃を通すことが出来ればかなり有利になるだろう。
0:16
《肉体と精神の剣》をドローしたので、《石鍛冶の神秘家》で探すカードを迷わずに済んだ。
ハンドに2枚目の剣がある状態の神秘家は、アーティファクト破壊を潜りぬけて大きなダメージを与えるチャンスを作ってくれそう。
0:33
相手に《ブレンタンの炉の世話人》が登場。もちろん、《ゴブリンの先達》のようなカードはサイドボードに待機してもらっているわけだが。
ただ、《電弧の痕跡》といったカードはこの《ブレンタンの炉の世話人》で止められてしまうことに。
相手のサイドプランから《イーオスのレインジャー》の可能性をかすかに感じる。
0:39
1ダメージよりも大切な1マナ。
4枚目の土地はもっていないが、相手は3枚目の土地も置けないという状況だった。
0:59
マナを立ててエンドした相手から《流刑への道》は高確率で唱えられそうだが、こちらのプレイは変わらずに《饗宴と飢餓の剣》を装備からの攻撃。
1:22
《クァーサルの群れ魔道士》の登場で、《饗宴と飢餓の剣》を破壊されることが確定してしまった。
しかも、4マナ目は無いので《肉体と精神の剣》は装備できず、アタックでその交換を強制するのみで終わることに。
その代わり、相手のエンドまで白マナを残せるので《流刑への道》を構え続けることができる。
1:48
《貴族の教主》のみでターンを終えられてしまうと《流刑への道》の対象も特になく、《肉体と精神の剣》を場に出すのみ。
《ステップのオオヤマネコ》に装備させるが、この剣も《バントの魔除け》で即、破壊されてしまう。
2:23
いまいちダメージクロックの伸びない自分に対し、対戦相手は《饗宴と飢餓の剣》をキャスト。
こちらの手札が強いこともあり、1枚捨てるが厳しいのでブロッカーを立てたいところ。都合よく4枚目の土地も得たので、《静寂の守り手、リンヴァーラ》を残して上陸でライフを攻める。
2:48
《流刑への道》から《饗宴と飢餓の剣》の一撃を喰らうも、相手のライフはもう7。
《電弧の痕跡》と、《流刑への道》を自分の《石鍛冶の神秘家》に唱えられることを考えれば、上陸とあわせて実質1と考えてもよいだろう。
ここではもうゲームを長引かせたくなかったので、あえて《静寂の守り手、リンヴァーラ》をディスカードすることにした。
3:14
そしてなんと、ドローは期待に応えてくれ《湿地の干潟》。
フェッチランドからの2回の上陸で、もう1枚の《流刑への道》をものともせず勝利した。
☆ 違和感をさがせ!
さて、このゲームでも相手の行動からプレイの予測できる可能性を探ってみましょう。
1:47の《貴族の教主》のみのエンドは、明らかにこちらの《石鍛冶の神秘家》の能力と《流刑への道》を意識したプレイです。
《バントの魔除け》を構えて《肉体と精神の剣》とクリーチャーの両方を意識する選択と言えるでしょう。
こうなっては、こちらの「残した3マナをロスして終わる」か、「あえて《肉体と精神の剣》を場に出して破壊されに行く」か、の二択になります。
しかしこちらの後続が4マナであるため、「4枚目の土地が引けないならドローゴー」で構わない場合は良いのですが、それでは《貴族の教主》分のマナでテンポ負けするのが目に見えています。
総合して、ここは「あえて」《肉体と精神の剣》を壊されに行くという選択が正しいように思いました。
みなさんは相手のプレイという情報をどうやって分析し、判断に生かしますか?
それではまた来週お会いしましょう。
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