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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

まだまだ強いぜ!アバター環境の赤単アグロ(スタンダード)
スタンダードの後継は大きく様変わりした。『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』の新カードがかつてなかったデッキを成立させ、影の薄くなっていたデッキを引き上げ、あと少し足りていなかったデッキの完成度を高めて環境の中心まで……この新セットによる劇的な変化に先駆けて、禁止カードが新たに指定されたことも大きい。
3種のカードが指定されたことで、それまで競技イベントの上位を支配していたイゼット(青赤)および赤単系のデッキは変化を余儀なくされた。ストレートに言ってしまえばパワーダウンだ。イゼットはかつての形がまるっきり成立しなくなり、別の方向性のデッキに行きついた。
では赤単はどうか?赤単色やほんーの少し青が入ったアグロデッキと言えば前環境のド定番だった。そのアーキタイプは《叫ぶ宿敵》を失うことに。このクリーチャーはダメージを受けることで能力が誘発。受けた分と同じ値のダメージを対象に与える。これが厄介で、簡単に対戦相手のクリーチャーと1:2交換を狙える。さらにこの誘発により生じるダメージを対戦相手に与えると、そのプレイヤーはこのゲーム中にライフを得られなくなる。この効果が強烈で、赤単アグロの猛攻を耐えるための手段としてライフ回復を用いるデッキを否定してしまっていた。
逆に言えば現スタンダードにライフを得る手段は豊富であり、赤単は宿敵を失えば……相手の回復を許さざるを得ない。《陽背骨のオオヤマネコ》という有用なアンチカードは依然として存在するが、メインから採用しやすい《叫ぶ宿敵》の存在はとても大きかった。実際のところこの3マナ域を失って、赤単の使用率は大きく減少した。しかし、アーキタイプが終わってしまったというわけではない。宿敵を失ったとて、他にも攻める手段はいくらでもある!
| 19 《山》 4 《岩面村》 -土地(23)- 4 《雇われ爪》 4 《焼き切る非行士》 4 《熾火心の挑戦者》 4 《剃刀族の棘頭》 3 《月殺し、ジャオ》 3 《最深の力、オヘル・アショニル》 4 《新星のヘルカイト》 -クリーチャー(26)- |
4 《噴出の稲妻》 2 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 1 《アイローの表演》 -呪文(11)- |
2 《ショック》 2 《アイローの表演》 1 《復讐に燃えた憑依》 4 《魔道士封じのトカゲ》 3 《陽背骨のオオヤマネコ》 3 《倦怠の宝珠》 -サイドボード(15)- |
というわけでコストパフォーマンスに優れたクリーチャーと、《噴出の稲妻》《稲妻の一撃》などのダメージ呪文で構成された「赤単アグロ」、そのアバター環境の姿を紹介しよう。素のパワーは1ながらより高いダメージを生み出せる《焼き切る非行士》《雇われ爪》を皮切りに、優秀なダメージ源となるクリーチャーがズラリ。
そして空いた3マナ域の枠、それを担うのは《新星のヘルカイト》。5マナ4/5飛行で速攻、これがワープであれば3マナで唱えられる。以前より使用されていたドラゴンが、今や3マナのエース枠だ。ワープで飛び出てとりあえず空から4点、ゲームが長引けば追放領域から唱えて再出撃!戦場に出た時に1点ダメージを与える能力も、現環境なら《ラノワールのエルフ》だったり《アナグマモグラの仔》でクリーチャー化した土地だったりとこれで除去できる対象は多いため良い感じに機能するだろう。
ヘルカイトと同じく、前環境で注目されていたクリーチャー達もより赤単にとって重要な存在となった。特に《最深の力、オヘル・アショニル》!この神を採用し、これやヘルカイトを唱えるために4・5マナ必要なので土地を合計23枚以上採用しているリストが今では主流になっている。少々重めのカードを入れて戦う、中・長期戦も見据えたアグロだ。オヘル・アショニルは戦闘でないダメージが対戦相手に与えられる際に、その値が自身のパワーより低ければ同じ値にまで上昇させる。
ダメージ呪文や《雇われ爪》などの飛ばすダメージを、4点まで昇華してくれる可能性がある。この神がいるおかげで一見ちっぽけな《ショック》もトドメの一撃になりやすい。対戦相手がドローするたびに1点ダメージを与える《剃刀族の棘頭》も良い仕事をしてくれるだろう。攻撃に行けない膠着状態でも、オヘル・アショニルがいればフルオートで毎ターン4点ダメージだ。こういったカードのかみ合わせを重要視するようになったのが今の赤単で、デッキとしての面白さは以前のものに勝っているようにも感じるね。
さて、新セットの恩恵は赤単もしっかり受けている。アバターの世界からやってきたのは……《月殺し、ジャオ》!武功を重んじるこの火の国の将は、『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』アニメでは月と海の精霊を狙う。かれの行動により月が赤く染まり……これをマジックのカードで再現するなら、月=《血染めの月》と解釈して赤の名カードに通ずるところのあるデザインになったと、そういうわけである。2マナ2/2で威迫という時点で悪くなく、そこに与えられた能力は……基本でない土地がタップイン!土地がタップ状態で置かれるなら、マナを加えることが出来ず、多色デッキは速度が大幅ダウン。赤単である自分はほぼ《山》のデッキなのでデメリットはほとんどない、というわけでこちらだけが全力で展開し相手は常に1ターン遅れている、そんなアグロデッキにとっての理想的なゲーム展開を生み出せる、かなりの凄腕2マナ域だ。
{7}を払って征服者カウンターを得て、《血染めの月》よろしく基本でない土地を山にしてしまう能力は……なかなか起動する機会もないだろう。もしグダグダの長期戦になったらマナロックが出来るかも?くらいのオプションであり、基本でない土地タップインで十二分すぎるほど仕事をしているので、相手をスローダウンさせつつバチバチに攻撃を仕掛けていこう。
《アイローの表演》も良いソーサリーだ。全クリーチャーに1点か1体に4点か、状況により使い分けて相手のクリーチャーを効率よく除去し、攻撃をねじ込むべし。全体に1点ダメージは対戦相手のクリーチャーのみに飛ぶので、安心して唱えられるのも良いところだ。今後よく見る1枚になること間違いなし。
赤単は失ったものはかなり大きいが……大丈夫、スタンダードにはカードが沢山ある。いくらでもデッキは組めるのだ。むしろ赤単が減ったと思って他のデッキがガードを下げれば、むしろチャンス到来だ。赤単でこそ堪能できるアグロの妙味、今こそ味わおう。
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