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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

グルール昂揚:新環境最速の覇者!(スタンダード)

岩SHOW


 行ってきました横浜。プレイヤーズコンベンション横浜2025、今回も裏方としてサイドイベントのビデオカバレージに関する仕事をしてきたよ。まず感想として、港の近くというのはやはり雰囲気が良いね!11月の末なのでもっと冷えるかと思ったが、風もあまり吹いておらず朝などはむしろ心地よく散歩がてら会場へと迎えたものだ。ぼくは横浜へはマジック関係でしか行ったことはないが、1年に1回は行かないとなんだか寂しく感じるような、楽しい思い出がたっぷりの地。

 そんな横浜で、特にレガシーとスタンダードのイベントを合計22マッチ見届けさせていただいた。どのゲームも面白かったなぁ。しかしやはり『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』がリリースされた直後のスタンダードは刺激的でたまらなかったよ。観戦していてマジックしてぇぇという欲求が高まるのはいつものことだが、今回はいつも以上にそれを感じた。環境最初期も最初期、大最初期。手付かずの未開の地に、約370名のプレイヤーが持ち込んだデッキはいずれも素晴らしいものだったが……まずはチャンピオンのデッキを取り上げねばなるまいね。

 では2025年のジャパンスタンダードカップ、トリを飾った優勝リストはこの75枚だッッ!

優勝:石川 雅英 - 「グルール昂揚」
ジャパンスタンダードカップ:『アバター 伝説の少年アン』 / スタンダード(2025年11月22~23日)[MO] [ARENA]
4 《始まりの町
4 《踏み鳴らされる地
7 《
4 《ソーンスパイアの境界
2 《不穏な尾根
-土地(21)-

4 《継ぎ接ぎのけだもの
1 《鋭い目の管理者
4 《ラノワールのエルフ
4 《アナグマモグラの仔
1 《野火の木人
4 《逸失への恐怖
4 《光砕く者、テルサ
4 《ウロボロイド
1 《新星のヘルカイト
-クリーチャー(27)-
4 《脱走
1 《自然の律動
3 《暴力的衝動
4 《過剰防衛
-呪文(12)-
1 《屑鉄撃ち
2 《鋭い目の管理者
3 《稲妻の一撃
1 《ロクの伝説
2 《魔道士封じのトカゲ
2 《陽背骨のオオヤマネコ
4 《炎魔法
-サイドボード(15)-
 

 このリストは……グルール(赤緑)カラーの昂揚デッキ!墓地に4種類以上のカードタイプがあることで真の効果を発揮する昂揚カード。それらを用いるためにライブラリーを切削や諜報したり、手札を捨てたりするカードを盛り込んだのが「グルール昂揚」というアーキタイプ……だった。

 だったと過去形にしたのは、このリストが以前のそれらと比較すると大きく異なる構成だからである。《継ぎ接ぎのけだもの》や《逸失への恐怖》、《暴力的衝動》と昂揚関係のカードは採用されている……が、それらを達成させるために切削して墓地から何かを回収する類の呪文などは不採用であり、従来のグルール昂揚といえば真っ先に思い浮かぶ《野火の木人》の枚数はなんとたったの1枚!というわけでこのリストは以前のように昂揚を無理矢理にでも狙っていくデッキというわけではない。クリーチャーを展開して攻撃する、そのアグロとしての自然な流れの中で昂揚達成してたらラッキーだね、くらいの感覚。というか昂揚達成していなくても十分に殴り勝てるデッキとして作られている、そういうわけだ。

 

 では一体その空いたスロットには何が収まっているのか?それが『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』にて登場した《アナグマモグラの仔》!このクリーチャーは本当に……すげえヤツがやってきたもんだ。2マナ2/2とアグロデッキとしても採用できるスペックで、土の技を行う。これにより土地が1/1のクリーチャーに。たかが1/1、されど1/1。アグロにとってクリーチャーが増えることは歓迎だ。そのクリーチャー化した土地は墓地に置かれたり追放されると戦場に戻ってくるため、ノーリスクでクリーチャー化させられる。そのためフィーチャーの席でも度々土の技をかけた土地が相手のクリーチャーをブロックして時間稼ぎしている光景が見られた。

 またクリーチャーがマナを加える能力を起動してタップされると、追加で緑マナ1つをもたらすという……このマナ加速としての性能がヤバすぎる。特に《ラノワールのエルフ》が絡むと、1ターン目ラノワール→2ターン目土地とラノワールからアナグマモグラ、アンタップの土地に土の技をかけて2マナの呪文を...という具合に手数がとんでもないことになる。この展開力とマナを確保できるようになるアナグマモグラとパッケージを成すのが《ウロボロイド》!自分のコントロール下の全クリーチャーに+1/+1カウンターをばら撒く打撃力の申し子である。これが簡単に戦場に出せるようになり、また土地までも強化されて戦力になる。そんなわけでこの2枚の組み合わせを主軸としたデッキが同大会の台風の目となっていたが、グルールというカラーリングにこれを取り入れたのは野心的なアプローチであり、リストやゲームを見ていて胸が躍ったものだ。

 

 アナグマモグラの登場で一躍注目されるカードとなったのが《自然の律動》。以前までは競技イベントで存在感が薄かったが、今大会ではこのソーサリーがあっちでもこっちでも大活躍。ライブラリーからマナ総量X以下のクリーチャーを戦場に出す便利なカードだが、いかんせんマナを必要とするため多くのデッキでは運用できなかったのだ。その欠点をアナグマモグラは完璧に補ったというわけである。溢れるマナから《ウロボロイド》などパワフルなクリーチャーを繰り出す!調和で墓地から唱えるための緑マナ4つも、モグラがいれば大丈夫!

 それから相性が良いといえば、《不穏な尾根》にも驚かされた。この土地はマナを払えばクリーチャー化し、攻撃すれば能力が誘発する。この誘発型能力は自身の能力でクリーチャー化した時にのみ働くものではなく、土の技でそうなった場合にも機能するのである。お手軽にクリーチャー化した尾根が攻撃し、他の攻撃クリーチャーのパワーを2上昇させてアンタップする様は爽快だ。なんだったらマナクリーチャーである場合、攻撃後にそれをタップしてマナを加えて後続展開などという、エクストリームすぎるムーブも炸裂する。いやぁ《アナグマモグラの仔》、とんでもないヤツが現れたものだ。

 このフルール昂揚が躍動する様は見ていて心地よく、スタンダードをプレイしたくてたまらなくなった。というわけでこれを書いているのは横浜から大阪へと帰る新幹線の中。帰ったらガッツリとスタンダードで遊ぶぞ〜!

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