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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジャンド・スーペリア・リアニメイト:恐怖!最後の贈り物(スタンダード)

岩SHOW
 

 『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』がスタンダードにもたらしたもの……最大のインパクトは《スーペリア・スパイダーマン》に違いない。なんせ新しいアーキタイプを生み出した、その功績は大きい。「スーペリア・リアニメイト」は墓地からクリーチャーを釣り上げるリアニメイト系コンボの最新モデルで、これまでのものとは一味違う感覚を体験できる。《スーペリア・スパイダーマン》はカード名やパワー/タフネスなどはこのカードのままで、墓地のクリーチャーのコピーとして戦場に出せる。要するに墓地のクリーチャーの能力を得るというわけで、巨大なクリーチャーを得られるわけではないが、能力が強力なものをコピーすることでその恩恵を受けられるというもの。

 呪禁や速攻などのキーワード能力はもちろん、起動型能力などテキストがたくさん書かれているカードをコピーしたいところだが……現スタンダードでは最高の相性を誇る《最後の贈り物の運び手》がいる!この吸血鬼・デーモンは唱えて戦場に出すことで誘発する能力を持つ。非常に高コストでハードルが高いのだが、これをスーペリアでコピーすれば唱えて戦場に出すことはたった4マナで叶えられる。こうして唱えて戦場に出た運び手のコピーは、戦場にいる他のクリーチャーをすべて生け贄にさせる。自身のものも含まれるが、対戦相手のものを一網打尽にできる全体除去になる。さらにこうして生け贄にされたものを除くクリーチャーを、各プレイヤーの墓地から戦場へと戻す。自身の墓地にクリーチャーを複数用意しておけば、対戦相手の盤面を吹き飛ばしつつこちらの戦場に怪物たちを並べる、一方的な盤面を形成することが可能だ。

 そんなわけで切削や手札を捨てるなどして墓地にクリーチャーを貯めて、《スーペリア・スパイダーマン》×《最後の贈り物の運び手》コンボで仕上げる「スーペリア・リアニメイト」。コンボの根幹は固定ではあるが、運び手で何を釣り上げるか?コンボのセットアップはいかにして行うか?そういったスロットは自由が利くので、派生形も見られる。というわけで今回はこのド派手コンボデッキのバリエーションを一つ紹介しよう。

bobinchese - 「ジャンド・スーペリア・リアニメイト」
Magic Online Standard League 5-0 / スタンダード (2025年10月19日)[MO] [ARENA]
4 《マルチバースへの通り道
4 《魂の洞窟
4 《踏み鳴らされる地
3 《ブレイズマイアの境界
4 《ウェイストウッドの境界
1 《大音声の劇場
2 《商業地区
1 《地底の遺体安置所
1 《
-土地(24)-

2 《放射線を浴びた蜘蛛
4 《逸失への恐怖
4 《町の歓迎者
4 《スーペリア・スパイダーマン
4 《ベイルマークの大主
2 《峰の恐怖
4 《最後の贈り物の運び手
2 《簒奪者、アーデン
-クリーチャー(26)-
4 《苦々しい勝利
2 《削剥
4 《密輸人の驚き
-呪文(10)-
2 《塔の点火
4 《腹黒茸
3 《強迫
2 《魂標ランタン
2 《峰の恐怖
2 《簒奪者、アーデン
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 ご覧の通り、このリストはジャンド(黒赤緑)+青という構成。スーペリアの青黒をベースに緑を足したものがよく見られるが、このリストでは青を添える形に組まれているのが独自性が高く面白い。青マナの使い道はスーペリアしかなく、そのための土地も《魂の洞窟》《マルチバースへの通り道》のみという潔い形だ。

 運び手以外にスーペリアがコピーにする候補は、このアーキタイプでもお馴染みの《簒奪者、アーデン》。デーモンタイプにはキーワード能力を3つも与え、そしてアーデンもまた墓地のクリーチャーをデーモンとしてコピーする変則的リアニメイターである。アーデンは特にデーモンに速攻を持たせるのが強く、運び手やそのコピーらが戦場に出てすぐさま殴ってフィニッシュという展開を演出できる。運び手やアーデンなどを墓地に落とすためには《町の歓迎者》や《ベイルマークの大主》らによる切削や、《苦々しい勝利》などで手札から捨てるなど。特に捨てる要員として採用されている《逸失への恐怖》は、昂揚で追加の戦闘フェイズをもたらす。戦闘の開始時にデーモンを生成するアーデンとの組み合わせは◎で、赤を用いるなら必ずや投入しておきたい1枚である。

 

 さて、このジャンド型が赤を用いる最大の理由は、メインとサイドに併せて4枚採用されている《峰の恐怖》!このドラゴンがいるからだ。クリーチャーが戦場に出るとそのパワー分のダメージを発生させる《峰の恐怖》、これは有用な除去であると同時に対戦相手のライフを大きく削るフィニッシャーを兼ねる超強力カードだ。特に《最後の贈り物の運び手》で他のクリーチャーらとまとめて戦場に出ると、それだけで20点を超えるダメージを生み出すことも。まさしく最後の贈り物をもたらす恐怖のドラゴン、これを素出し出来るようにするためのジャンドカラーというわけである。

 そして《峰の恐怖》により爆発的なダメージを叩き込む手段はもう1つ、《密輸人の驚き》!3つのモードを持つこのインスタントは、切削して墓地を増やす手段にもなるし、巨大なクリーチャーに呪禁と破壊不能を持たせる除去回避手段でもある。しかし最大の狙いは真ん中のモード、手札からクリーチャーを2枚出すという動き。これにより《峰の恐怖》やアーデンらを繰り出し、一気にゲームを終わらせる!墓地対策がされるサイド後には特に頼りになる、別ベクトルの勝ち手段なのだ。

 

 《スーペリア・スパイダーマン》を用いるリアニメイトの強みとして、最重要パーツが『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』でプッシュされている蜘蛛・英雄タイプであることが挙げられる。《放射線を浴びた蜘蛛》はこのタイプを持つクリーチャーをサーチできるため、実にシンプルにデッキ内のスーペリアを水増しできるというわけ。このおかげでゲームが長引いた時のトップデッキ率が底上げされており、そのわずかな違いが勝利に繋がる。スーペリアとはより優れたという意味で、オットー・オクタビアス扮するスパイダーマンがそう名乗るのも当然というわけである!

 カッコいいキャラクターが刺激的なアーキタイプを生み出す、コラボセットとなるユニバースビヨンドならではのワクワク感。《スーペリア・スパイダーマン》と《最後の贈り物の運び手》がもたらすより優れた墓地利用、試してみるしかあるまい!

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